なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~   作:アークフィア

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幕間・おいでませ『月の君』様の海へ

「無限の彼方へさぁ行くぞー(死んだ目)」

「カッコ付けて落ちろと!?」*1

 

 

 はいまぁ、その通りです。

 ……ってなわけで、お腹を抑えて呻くキリアにお願いし、特殊なゲートを開いて貰ったわけなのだけれども。

 ここを一歩抜ければそこは戦場、なにが襲ってくるかわかったもんじゃない鉄火場である。

 

 そういうわけなので、清水の舞台どころではない覚悟を持って飛んでほしい、と願ったところゆかりんからは当たり前のようにツッコミが飛んできたのだった。

 ……まぁうん、精神の世界なのだし、気持ちで負けてると宜しくないというか?

 とはいえ私とオルタ、それからアクアは負ける可能性大なんですけどね(色んな意味で)初見さん。

 

 

「だ、大丈夫なのでしょうか……?」

「知らないわよ、どうせこのパターンなら離れてても繋がってる私たちは酷い目に合う……ってんで連れてきたけど、本当に連れてきただけであって庇うとか犠牲にするとか全部考慮の外だし」

「お、オルタが自棄っぱちに……!なんとかならないんですか、キーアさん?!」

「無理でーす私は私のことで手一杯でーす。まぁそっちは最悪キリアが負担を頑張って肩代わりしてくれるよ、多分」

「うーん投げ槍な信頼……」

 

 

 で、精神的に負ける可能性大な今回の主役(?)である私含む三人は、なんとも言えないテンションで入り口の縁に手を掛けていたのでした。

 ……ビジュアル的にはヘリコプターから飛び降りようとしている、というのが近いのかな?

 まぁ実際にはそこら辺の部屋の扉を擬似的なワープゲート……もといエクスチェンジゲートに変換したってだけなのだけれど。

 

 まぁ、位相の低い世界へと飛び込んでいくのだから、一種の飛び降りとして認識しても間違いではないと思うよ、私は。

 ……とかなんとか言いながら、仕方ないので先陣を切って飛び込む私である。

 キリアを最後尾にしないといけない都合上、必然的に彼女に着いていかないといけないオルタ達も後回しになるからね。

 ってことは、この中で唯一【星の欠片】である私が真っ先に飛び込まないと後の面々が尻込みしちゃうってわけだね。

 ……うん。

 

 

「ねぇゆかりん、一緒に飛び込まない?」

「いやよ!?」

「じゃあミラちゃん」

「いやじゃ、犠牲になどなりとうない」

「……きらりん」

「きらりは二人を連れて飛び込むよ☆ちゃんと連れてくから安心して☆」

「あ、はい」

 

 

 ……道連れでもいないとやってられねー、とばかりに近くにいた面々に声を掛けるものの、みんな素っ気ない返事でやんの。

 いやまぁ、きらりんだけはこっちの別の心配を片付けてくれる感じだったので、流石頼りになるぅって感じだったんだけども。

 

 ……こうなっては仕方ない。

 いつまでも先頭で詰まっていても仕方ないし、意を決して飛び込む他あるまい。

 と、いうわけで。

 

 

「五条さん」<ガシッ

「えっちょっまっ」

「あーいきゃーんふらーい!!」

「ボードも無しにリフは無茶だって!?……ってあ、この人ボードになってる!?」

『トラパーの波を感じるんだ!君ならできる!』

「なんでこのタイミングでふざけるかなこの人!?」

『ふざけないとやってられないんだよぉ!!』

「うわぁ切実」*2

 

 

 目立たないように後ろに下がっていた五条さんの首根っこを取っ捕まえ、二人して大空に飛び込む(I can fly)

 無論、このままだと地面に激突してぺちゃんこ、もしくは地面に設置された試練にそのままシュー!……するだけなので、私自身はリフボードに変身して五条さんに装備。

 

 いやー、見た目だけだと五条さん(目隠しモード)ってボード系滅茶苦茶似合うよね!

 ……という現実逃避を行いつつ、空を華麗に舞うのであった。

 

 なお、そこから地上までは特になにもありませんでしたとさ。……肩透かし感凄いんだけど!?

 

 

 

 

 

 

「なにかが起こるって話だったけど……」

「うーん、個別にじゃなくて纏めてってことなのかも」

「それ僕らも君達のキッツい試練を受ける羽目になる、ってことにならない?」

「強くなりたいって動機で問題を起こした人ばっかだから寧ろ好都合、みたいなあれなのかも」

「あれーおっかしいなー言い訳のレパートリーが一気に吹き飛んだぞー」

 

 

 それはまぁ自業自得ということで。

 ……ってなわけで、ある意味今回の騒動の引き金となったとも言える五条さんには諦めて貰うように誘導しつつ、他の面々が空から降りてくるのを待つ私たちである。

 

 まず真っ先に降りてきたのはサウザーさんとメレオロンさんのコンビ。

 本当ならメレオロンさんは五条さんと一緒に降りてくる予定だったのだけれど……すまんな、その役割は私が取っちまった。

 ……というわけで、元々一人で降りてくる予定だったサウザーさんに同行することにした、という形になるらしい。

 

 え?なんで一人で降りてこないのかって?

 そりゃ、確かに彼はキメラアントだから頑丈だし、あの高さから降りても特に怪我とかはしないだろうけどさ?

 

 

「流石に無意味に痛いのは嫌だってさ」

「物理的に見えるのに精神的ダメージに区分されるからね、ここでの衝撃って」

 

 

 ……まぁ、そういうわけである。

 なお、本来の予定通りに五条さんと降りてきた場合、無下限による快適な(?)フライトが約束されるとのことだったのだが……。

 

 

「ふははははは!!下郎の皆様!おはようございます!!」

「いぃいいいいぃいいぃぃやあぁあああぁぁぁあぁあぁあっ!!!?」

「oh……」

 

 

 現在、彼は天翔十字鳳のポーズで落ちてくるサウザーさんの首に手を回して必死に掴まっている状況。

 具体的に言うとその手を離したらそのまま真っ逆さま、みたいな体勢である。

 そりゃまぁ、あんなに大声で絶叫だってするよなーというか。

 ……え?じゃあサウザーさんは大丈夫なのかって?腐っても()あの人世紀末の住人やぞ、これくらいの高さなら余裕で着地でき、

 

 

「……スッゴい音立てながら地面に突っ込んだけど?」

サウザーさーんっ!?

 

 

 こっちが説明し終わる前に彼らは地面に到達。

 何故か着地姿勢すらとらないままだった彼らはそのまま衝突し、周囲に土ぼこりを舞い上げた。

 それが晴れた時そこにあったのは……彼らの形にくり貫かれたように空いている地面の穴、だったのでした。……古典的昭和ギャグ!?

 

 

「ふ、このサウザーを殺すには足りんとだけ言っておこう」

「あ、生きてた。流石サウザーさん頑丈だね」

「ふははは、もっと褒めるがよい。ついでにここらの地面の堅さも確かめておいたぞ」

「サスガサウザーサンガンジョウダネー」

「はっはっはっはっ。……これ褒められてるってことでいいのよな?」

「好きに解釈したらいいんじゃないかなー」

 

 

 なお、地面をくり貫いた本人であるサウザーさんはピンピンしていた。……背中のメレオロンさんは気絶してる?知ら管()。

 ついでに言うと、五条さんがサウザーさんの頑丈さにぱちぱちと拍手を送っていたけど……多分これ『これだからゴリラは』とかそういうことを考えているやつだと思う。

 

 ともあれ、彼らは特に問題なく(?)降りてきたため、残りのメンバーも意を決したように飛び降りてくる。

 

 

「にょわー!!きらりんふろーと☆」

「……空を舞う不思議な病人?」*3

「一応私の補助もあってのことよ?」

「そこを補助するのなら顔面に打ち付けてくる風とかもどうにかして欲しかったんじゃがのぅ……」

「……?いや貴方、自分で防護できるでしょうに」

「…………なんでわし、自分のこと無力な子供だと勘違いしてたのかのぅ?」

「いや、知らないわよ。きらりちゃんが近くにいたからとか?」

「にょわ?」

「あー、ありえるかものぅ……」

 

 

 次に降りてきたきらりんチームは、『フワーッ!』って感じに地面に降りてきたのだけれど……見た目はそこまで速度があったわけでもないにも関わらず、何故かミラちゃんだけ髪が爆発したように広がっていたのだった。

 ……どうやら、きらりんが不思議なパワーで、ゆかりんが自前の能力で空気抵抗を逃がしていたのに対し、彼女はなにもせずにそのまま打ち付けてくる風を受けていた、ということになるらしい。

 なんでそんなことに、って感じだったのだが……あーうん、きらりんと一緒だと杏ちゃんみたいになっちゃうとかそういうあれのようだ。

 言い換えると自分を単なる幼女だと思ってた、みたいな?

 

 なんとも言えない空気を纏う彼女に、思わずみんなが苦笑したのは言うまでもない。

 

 

「無効化されるかと思ってたんだけど……意外となんとでもなったわね?」

「一応聞くけど、途中で無効化された場合はどうするつもりだったのよ?」

「そりゃ勿論、私が先に降りて受け止めるとかしてたわよ?」

「なるほど、流石ですねキリアさん!」

 

 

 で、最後の組であるキリア以下三名だが、こちらは特にトラブルも無く降りることに成功していた。

 ……通常ルートがとかく厳しくなる可能性が高いこの場所において、能力の無効化とかが一切飛んでこなかった、というのは確かに疑問点ではある。

 あるが、同時にそこに至るまでも特に妨害がなかった辺り、あくまで試練はこれからであって入場までは妨害しない……みたいなあれなのかもしれない。

 

 まぁ、今までの『月の君』様へのイメージからすると、微妙に違和感があるのも本当の話なのだが。

 

 

「……はっ!?まさか降りてくる間にこっそりメンバーを入れ換えているとか?!」

「流石にそんな回りくどいことはしないわよ。──それより、早速柱のお出ましよ」

「おおっと」

 

 

 思わず深読みする私に対し、キリアがこちらの肩を叩きながら注意を促してくる。

 そうして視線を上げた私は、目前にいつの間にか現れた巨大な柱──『想起の柱』の姿に、思わずとばかりに小さく唸ったのだった。

 

 

*1
『トイ・ストーリー』より、主人公の片割れである『バズ・ライトイヤー』の台詞から。前者はキャラクターとしての彼の名台詞であり、後者はおもちゃとしての彼の台詞である(そちらは正確には『飛んでるんじゃない、落ちてるだけだ。かっこつけてな』)

*2
『あーいきゃんふらーい!』『リフ』『トラパー』などの単語は『交響詩篇エウレカセブン』より。『トラパー』はこの作品に登場する特殊な粒子であり、正式には『透過性光粒子(Transparent Light Particle)』と言う。これが作る波に乗るために『リフボード』があり、彼らはボードに乗って空を滑るように飛ぶ。この場合は空気中の【星の欠片】をトラパーに見立て、それに乗って飛べというわりと無茶難題だったり

*3
元ネタは『東方輝針城』における博麗霊夢の二つ名。そこから肖り『北斗の拳』のトキが空を飛んでいる場合にこう呼ぶようになったとかなんとか。ここのきらりんの要素にトキが含まれていることからのネタ

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