なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「……めっちゃこわい」
「気持ちはわかる」
まぁ、一種の自殺みたいなものだからねぇ、これ。
一応、本来の【星の欠片】がやる
……そんなわけで、柱の前に進み出たもののそれに触れるのに躊躇している私とオルタ、およびアクアである。
「これ、私たちは見てるだけでいいのかしらね?」
「今のところ『月の君』様からなにかを言われてる様子もないし、一先ずは傍観していていいんじゃないかしら。まぁ、三人の試練が始まった途端になにかしらのトラブルが降り掛かってくる可能性も否定はできないけどね?」
「そうやって怖いこと言って脅すの止めない?!」
私たちの背後では、待機組がなにやら呑気に話をしているが……代わって貰えるのなら代わって貰いたいものである、切に。
いやまぁ、自分でやるしかないのだからどうしようもないのだけれど、なんとなく自身の瞳孔がぐるぐるしてるのが自分でもわかるくらい緊張してるのでダメそう、というか?
まぁ、仮に交代して貰ってもやっぱりなにかしらの面倒ごとが飛んできそうな気もしたので、結局逃げ場はないと思い知る羽目にもなったのだけれど。
──はぁ、と大きくため息。
時間が長引けば長引くほど、余計な解釈が挟まる余地を生むことになるのは明白。
……となれば、それがもたらすトラブルより目の前の
「──死なばもろとも、行くぞぉ!!」
「あっちょっ、ふざけっ」
「きゃあっ」
未だ躊躇する他二人の手を取って伸ばすように、私は目前の柱に触れたのだった。
「小さな世界の全てが うん わかって……きたぞ…… そうか 無限と零と私との関係はすごく簡単なことなんだ ふふふ……どうして宇宙にこんなにも
「大きな星が点いたり消えたりしている……あはは、大きなあれは彗星かしら?……いや、違うわね。彗星だったらもっとパーっと動くもの。にしても暑いわねぇ、出られないのかしら、ここ。ねぇー?ここから出してよー、誰かー」*2
「私が──私たちがお姉ちゃんです……!!」*3
「なんだこの地獄みたいな光景」
──はい、正気を取り戻す前の私たちの姿がこちらになります(白目)
面白半分に記録されたそれを確認した私たちは、揃って頭を抱えたわけだけど……しゃあないねん、この時の私たちってば色々見えすぎてワケわからんことになってたんだし。
「見えすぎっていうと……宇宙が?」
「まぁ、うん。『想起』によって叩き起こされる範囲はこの宇宙の全て。……言い方を変えると、いきなり宇宙の端から端まで全ての場所にある微細粒子の動き方やら性質やらのレベルの詳細情報をいきなり頭に叩き込まれた、みたいなものだったわけだし。分かりやすく言うと疑似『無量空処』みたいなもんよ」*4
「……唐突に僕にまで飛び火させるのよくないと思うよー」
無限に近い情報を頭に叩き込まれる、という状況を簡潔に説明できてしまう貴方の能力が悪いのよ、と責任転嫁する私である。
……ともかく、一応は『想起の柱』の踏破に成功した、ということで間違いないはず。
実際私たち三人は柱の向こうに移動できているわけだし、状況証拠的にこれで一つ目の試練に関してはクリアしたと言えるだろう。
……言えるはず、なんだけどねぇ?
「……ねぇ、だったらこの柱ってどっかに移動してくれたりとかしないの?」
「いやー、そうなる予定……見積もり?だったんだけどねー……」
「だったんだけど?」
「……予想を外した、ってことになるのかなこれは?」
「「「ふざけんなーっ!!?」」」
「うわびっくりした」
そうして唸る私を他所に、柱の向こう──入り口側に立つ五条さん達から通れないんだけど(※意訳)、という言葉が飛んでくる。
……本来の予想通りであれば、私たちがこの柱を踏破した?時点で件の柱は地面にでも沈んでいき、結果として他の面々も五体満足に通り抜けられるようになるはず、みたいな話だったのだけれど。
ご覧の通り、そびえ立つ柱はうんともすんとも言わない。
地面に沈む際の振動すら一震えほどもなく、周囲は至って平穏……いっそ無音ですらある。
……つまり、それがなにを意味するのかというと。
この
いやまぁキリアが彼らの補助に入るのなら、サファリパークに自家用車で突っ込むくらいの危険度にまで下がるとは思うけども。
どちらにせよ、サファリパークに生身で突っ込まされるようなものだった私たち三人に比べれば遥かに楽、というのは間違いない。
……いや待った、もしかしてこれ向こうにキリアがいるから、逆に試練の難易度の許容値が上がってたりとかする?
彼女が守ることが前提になるから、その条件の中で
それが正解だとしたら裏目どころの話じゃないけれど、そもそもキリアが居ないと今回の話自体成立しないわけなのだから、ここで迂闊に話題に出すと無用な火種になりかねない……というわけで、仕方なく黙っておくことにした私なのであった。
……後で怒られるのならその時はその時、ということで。
ともあれ、この柱の様子からしてみんなも(簡易的な)試練を受ける必要がある、ということになるわけだが。
それを素直に知らせてみたところ、みんなからは予想通りの
「いやいや、いやいやいやいや、待ちなさいよだってそれ無量空処みたいなものなんでしょ?いや聞いてる限りそれよりは優しめみたいだけど、でもなんの準備もなしに受けさせるようなもんじゃないわよね絶対!?」
「本来の性能の無量空処なら、
「無茶苦茶じゃないの!?ええと、私のスキマでなんとかなる?なるわよね???」
「えー、大変申し上げにくいのですが……多分、スキマで防御しようとすると余計に酷いことになるよ」
「なんでよ!?」
「
「うぐぬぬぬ……」
「……えっとぉ、水みたいになって回避とか……」
「多分、スマブラの『無敵時間が切れるまで照射され続ける』みたいなことになるかと……」*6
「だよねっ☆(ひきつった笑み)」
「そうなると、必然他の奥義での回避も無意味か……」
「……わし、今から帰っても「ダメです」ダメかぁ」
「俺の透明化も……意味ないよな……(白目)」
ご覧の通り、皆必死である。
……必死であればあるほどよい、とか言われそうなので寧ろこれこそ正答というか(遠い目)
その辺り、やっぱりスパルタだな『月の君』様……と思わずぼやく次第である。
っていうかこれあれだな?どういう動きをしても最終的にみんなに『想起の柱』に触れさせるつもりだったな?
「どういうことよ?」
「例えば私たちが触れる前になんとかして向こうに進む、みたいなことをしようとすればいきなり足元に草とか生えてきて足が取られる……みたいなことになってた可能性が高いってこと」
「雑っ」
いやまぁ、あくまでこれはものの例えだからね?
柱に触れるかどうか悩み続ける私たちの横を抜けて柱の向こうに抜ける、となった際にはかなり無茶をしなくてはいけない。
……よく見ると無茶をすれば抜けられそうではあるのだ、今でもなお。
でも多分、この空気感からするとそうやって細い隙間を通ろうとした途端に柱が膨れ上がる、みたいなことをやって来てもおかしくないというか。
今は近くにいないので膨れてないだけで、近くにいるのなら気付かれないように触れさせようとか普通にしてただろうなーというか。
……なんにせよ、向こうは誰一人として試練から逃すつもりはない、ということは間違いあるまい。
「そういうわけなんで……みんな頑張って、私たちはこっちでみんなが来るのを待ってるから」
「~~~~、~~~~!?」
声にならない悲鳴をあげる一同を眺め、苦笑とため息を一つ。
……これ、私たちが早々に抜けて良かったなぁ、下手に躊躇ってたら本当にエグい時間掛かってただろうなぁ、とぼやく私なのでしたとさ。