なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~   作:アークフィア

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幕間・長引くほど苦しいぞ、思い切って飛べ(無責任な発破)

 はてさて、先ほどから数分ほど経過した今。

 ぽつぽつと柱に触れる者が現れ、その度にさっきの私たちみたいな精神崩壊者が生まれているこの状況、皆様いかがお過ごしでしょうか?

 私と致しましては、最後の最後まで残りそうな面子が決まりきっていてあれだなー、みたいな感じでございます()

 

 

「ま、まだ頭がふらふらするよぅ~……」

「その程度で済んでる辺り、一応加減はされてるんだね、やっぱり」

「ええー、これでぇ~……?」

「そうじゃなきゃみんな、柱に触れた途端に【星の欠片】に(他の能力無く)なってるよ」

「……あ、なるほどぉ」

 

 

 で、真っ先に試練を越えた人物──きらりんがふらふらしているのを支えつつ、現状についての解説をする私である。

 

 以前にも述べた通り、【星の欠片】はその人物に宿る全てを千々に散らすもの。

 そして今彼らが受けている試練は、()()()()()()()()【星の欠片】に目覚めてしまうものである。

 ……【星の欠片】の目覚め方の一つである『自身の矮小さの自覚』を突き詰めたものが『想起』であるのだから、必然この試練がまともに稼働しているならば、柱に触れた人はみんな【星の欠片】に変貌しているはず……ということになるのだ。*1

 

 そういう素振りがなく、あくまでも精神的な体調不良で済んでる辺り、キリアの補助があるとはいえ大分加減をされている……という評価になるのは仕方のない話なのだ。

 まぁ、だからといって一歩間違えれば即死案件なものに触れさせるのが正しいのか?……って部分が許されたわけでもないのだけど。

 相手が相手なので訴えられないだけ、みたいな感じというか。

 

 

「個としての終わりと、それを迎えた上でなお個を保つ始まり。……自身の把握と掌握、って意味では他の能力にも応用は利く方だけど、だからってスパルタ過ぎやしないかなぁというか……」

「……あ、もしかしてぇ、悟ちゃんの要望に答えた結果……ってことなのかにぃ?」

「(悟ちゃん?)まぁ、多分そうだろうねぇ。個の分解まで行かずに個の解体程度で済ます*2のなら、普通の能力にも活用できるってのも確かだし」

 

 

 ぼやく私に対し、得心したような声をあげるきらりんである。

 

 ……そう、別名『掌握』とも呼ばれるように、『想起』は自分という存在への理解度を極度にあげるもの、と見なすこともできるのだ。

 全てが微細な【星の欠片】で作られていると知ることは、それ即ち万物を理解するのに等しいがゆえに。

 

 簡単に言うと、組成とか原理とか法則とか、そういったもの全てに適応される【星の欠片】について知ると、同時に色んなモノにその理屈を応用できるようになるのだ。

 何度か私たち(星の欠片)の能力行使は『無限を応用しての総和』みたいなことを述べたことがあるが、それゆえにどんな計算式にも代用できてしまう。

 

 式の簡略化などを行わない、無駄にまみれた計算式であるそれらは、だがそれゆえに()()()()()()()()()()()()()()()()

 ……雑に言うと、迂遠ではあるもののあらゆる全てを理解できるようになる、ということになるか。

 

 単純な計算問題も複雑な文章題も、はたまた社会や福祉の疑問や経済の流れと言った、ありとあらゆるモノを同じ式で計算できるようになる……というのは、言い換えればそれらの価値を正確に測ることができるようになる、ということでもある。*3

 ……まぁ、だからこそ私たち(星の欠片)は全てを等しく価値あるものと扱うようになってしまうのだが……そこまで行くと普通の社会生活では寧ろ足枷になるので、普通の人がそこまで極端に走る必要はない。

 

 ここで重要なのは、例え遠回りで長々と時間が掛かって応用に向かないとはいえ、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()の方。

 その経験はまず間違いなく、普通の能力行使の際にも活用できるものだ。

 

 確かに【星の欠片】をそのまま計算式に用いるのは無駄まみれであるものの、視点をミクロにまで落とせば全てのモノに同じ法則が流れている、と実感できるわけで。

 ──その感覚は、凝り固まった固定観念を崩すのに丁度良い刺激となるだろう。

 

 

「長くなりそうだからサクッと纏めると、例えば反転術式。これを他人にアウトプットするのは才能やらなにやらの関係から凄まじく難度が高いらしい*4けど、【星の欠片】的に見るのなら自己と他者の境界なんて大したことはない──言い換えれば自分と他人を区別する必要なんてない、ということになる。この考え方と感覚をそのまま応用できるのなら、()()()()()()()()他人に反転術式を使うこともできるようになる……みたいなことになるわけ*5

「なるほどにぃ?」

 

 

 まぁ、自己と他者の境界をあやふやにし過ぎるのは良くないので、活用の仕方としてはわりとギリギリだし。

 他人への反転術式の行使と、この『自分と同じ扱いで他人に反転術式を行使する』行為は似ているようで全く別──つまりそれによってどんな問題が発生するかわかったものじゃない、という点で実は例として挙げるのはちょっとあれだったりするのだが……わかりやすい例えが思い付かなかったので仕方がない。

 

 ともかく、【星の欠片】そのものではなく【星の欠片】の原理を応用するだけでも、普通の能力の解釈範囲を広げるには十分であり、それをやれるようにするには擬似的に【星の欠片】に触れるのが一番手っ取り早い……というのは確かな話。

 ゆえに、今回彼らが柱に触れなければならなくなったのは、ある意味では()()()()()()()()()()()という理由になってしまうのであった。

 ……酷い言い方をすると自業自得、みたいな?

 

 

「私、別に強くなりたいとか願ってないんだけどぉ!?」

「ゆかりんに関しては『逆憑依』の中で一番の変わり種、みたいな感じだからサンプルとして選ばれた感じだと思うよ?」*6

「まさかの実験動物扱いぃっ!?」

 

 

 なお、その話を柱の向こうから聞いていたゆかりんが、悲鳴混じりの叫び声をこちらに向けて投げてきたわけなのだけれど……。

 彼女という存在がある意味『逆憑依』の中の特異点みたいなものになっており、そんな彼女に【星の欠片】を体験させるとどうなるのか?……みたいな実験的意味合いもあるんじゃないかなぁと伝えると、その悲鳴は更に悲痛()なものへと変化したのだった。

 可哀想だけど、私を恨むのは筋違いやでー。

 恨むんなら『月の君』様にしといてやー。恨んだ結果どうなるかは知らんけどー()

 

 

*1
『星天想起』。視野の拡大を主な目的として行われる試練であるが、【星の欠片】基準のそれは『自身が何処にでも含まれている微細な粒子であることを自覚することにより、何処にでも含まれているのだから見れない場所なんてないと認知する』という、何言ってるのこの人……みたいなモノとなっている。物理的な存在の活断を理屈に持つこと・そしてそれが無限にあることを理由にあらゆる死角を消している。この試練をまともに踏破した場合、宇宙の端に居ながら反対側の出来事を瞬時に知る、みたいなことも可能になる上、自分の体調を正確に把握することなども可能になる(死角がないので自分の内側も見えるようになる)

*2
ここでの分解は文字通りの(物理的な)分解を指すが、解体の方は客観視という意味合いになっている。本来人間は自身の体調不良の原因すらろくに確認できないが、ここではそれが行えるような・もしくはその為の感覚を掴めるような試練が用意されていた、ということ

*3
なお『想起』だけだと物質的な分解に止まる為、あくまでも基礎的な価値としての高低を判別できるようになる、という程度に留まる。個人個人による価値の増大や縮小については範疇外、と言い換えてもいい

*4
『呪術廻戦』作中において反転術式が使えるのは数名であり、かつそれを他人に使用した描写がある者となると僅か三例のみとなっている(家入硝子、乙骨憂太、両面宿儺)。そもそも反転術式自体が高度・かつ消費の激しいものである(正の呪力を作り出すには負の呪力同士を掛け合わせる必要があるので、単純に倍の消費となっている)こともあり、それを自分の体内という一種の領域から外に発する、という行為がどれほど難しいのかは言うまでもないだろう

*5
縛りを用いずとも、【星の欠片】のラインまで視野の高さを下げられるのなら、他人に反転術式を使うことは普通に可能になる……という意味。ただしある意味では暗示・洗脳に近い裏技のようなモノである為、使い方を間違えると他人を()()()直す、ある種の無為転変みたいなことになる可能性もあったり。そうでなくとも自他の境界線を壊す恐れがあるため、その実あまり褒められた応用法とは言い辛い

*6
【継ぎ接ぎ】の結果そうなったのではなく、端からその状態の存在として『逆憑依』し、かつそこから成長している……という点で特別。近い存在に劉備もとい桃香がいるが、彼女は成長面においては紫には及ばないので選外となった。?『なんだかわかりませんけど助かりました!』

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