なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「はっはっはっー、もう破れかぶれじゃ皆のもの行くぞー!」
「完全に発狂しておるのぅ……」
「精神分析いる?」
「いるっていう前に殴るのやめない?」
はてさて、一先ず全員が柱を越えたため、恐らくここから先は私だけが酷い目に合うことが約束されたわけだが……。
正直とても気が重い。一つ目の時点で大概だが、二つ目以降はもっと大概なのでやりたくなさすぎてヤバいのである。
「確か……『肉体』『魂』『精神』の順番だったっけ?」
「そういうので『魂』の方が優先度が低いのは中々珍しいのぅ」*1
「それに関しては簡単な話よ、私たち【星の欠片】にしてみればより大切なのは『精神』──人が持つなにより重要な要素だってだけの話だから」
以前少し触れたことがあるが……柱に設けられた試練と言うのは、それぞれ『肉体』『魂』『精神』を
より正確に言うのであれば、それがない状態でも自己という存在を確立できるようにする……みたいな話になるのだが、詳しく語ると日が暮れるのでざっくり触れるに留めておく。
一つ目の試練である『想起』とは、単一の肉体というある種の枷を取り除き、【星の欠片】としての性質を自身のものとするためのもの。
言うなれば、人間であることを止め自身が粒子であることを認知するためのものだと言える。
「自分の身体があるという認識を持ったままだと、
「発狂するの!?」
「と言っても、バーサーカー的なあれじゃなくて、さっきの五条さんみたいな感じだけどね。あの状態を突き詰めると最終的には『俺は大自然であり大自然は俺』みたいなことになっていくし」
「怖っ!?」
より大きな循環の中に含まれてしまう……みたいなのがイメージとしては近いだろうか?
逆を言うと、『想起』によって目指す場所というのは、その『大きな循環』こそが自分であると認知することになるわけだが。*2
……言っててなんだけど、ヤベー宗教みたいだねこれ。
「まぁともかく、万物全てに含まれる自身を認知する……って言うのが目的である以上、最終的には自分こそ全て、みたいな勘違いをしてしまいそうになるのは仕方のない話なんだよね。──実際にはその真逆、全ての自分を焚べて人は素晴らしいものを作っている……言うなれば人間の凄さを認知するのが正解なわけだけど」
「分かり辛ー」
まぁ実際のところ、最終的には全部人間賛歌になるため、危ない宗教染みているのは間違っていなかったりするのだが。
……ともかく、『想起』によって【星の欠片】は人の身体に縛られなくなり、量子テレポート的なことが可能になるわけである。
「もしくは、スワンプマン問題を気にしなくなったとも言えるかも?某人形師*3さんみたいに、『記憶と性能が同じなら本物も偽物もない』と認識するようになった、みたいな感じでもいいかも」
「……ねぇ?それ私もそうなってるの?いつの間にかそんなことになってるの???」
「心配しなくてもオルタはそこまで行ってないよ。前も言ったけど、『想起』の柱をクリアしたとしてもそこから下に行かないといけないわけでもないし」
その時の説明に倣って述べるなら、『引き返した』人達ということになるか。
試練そのものはクリアしたけど、その先に進んで肉体を捨てることは拒否した……みたいな?
まぁ、肉体が同一でなくとも魂・精神が同一であるなら問題ない、と割り切れる人の方が少ないだろうからそれは仕方ない。
ともかく、オルタ達もその例に倣っているため、自己の同一性を失ってはいない。
精々道が開かれたこと・および他の【星の欠片】達に認められたくらいで済んでいるはずだ。
武装タイプの【星の欠片】であることも相まって、以前までと同じように行動できるのは間違いあるまい。
──そこから逆算すると、次の試練以降は肉体の同一性は捨て去らなければならない、ということになるわけで。
「……今さらではないかのぅ?」
「逆よ逆。
「……むぅ?」
今ミラちゃんがツッコミを入れたのは、恐らく私が軽率に人型以外へと変化していたことについてだろう。
あれは『想起』を前提とした行為であり、肉体の変化は自己の変化に当たらない──詳しく言えばそれより下の要素である『魂』と『精神』には影響がない、ということを知っているからこそ行えるモノである、ということになっている。
分かりやすく言えば、例え私が女性だろうが男性だろうが、はたまた人間だろうがそうでなかろうがそれらは全て『キルフィッシュ・アーティレイヤー』に相違ないと理解した状態である、ということになるか。
見た目が本人の証明にならずとも、それ以外の部分で証明を行っているとも。
ともあれ、自己の保証を別の場所でしているからこその変化であるならば、
「次の試練では魂の同一性を失うことになる。そうなると、自己の証明のために使えるのは精神面だけってことになるわけ」
「ふぅむ……精神鑑定でもするのか?」
「そんな分かりやすいことをするわけじゃないよ。【星の欠片】なら見える確認方法があるってだけ」
「ううむ……?」
何度も言っているが、【星の欠片】はあらゆるものに適用できる最小単位である。
……ゆえに、肉体や魂、果ては精神の同一性についても、【星の欠片】が認知できるのなら・そして必要な位階まで視野を広げられているのなら、それを証明できるのである。
とはいえ、なに言ってるのかよくわからんという人の方が多いだろうから、可能な限りわかりやすく説明すると。
例えば、現状の私たちの世界において、辛うじて実態を証明・ないし認知できるのは肉体についてのあれこれ……言い換えると物質的なモノについてまで、ということになる。
もっと単純に言うなら、私たちがどうにかできるのは
その上で、例えば二十六次元以上の観測を行うことで、俗に『魂』と呼ばれるものの波動を掴むことができるとする場合。*4
それはすなわち、普通の人間であっても二十六次元以上の観測を行えば『魂』に触れられる──干渉・証明できるということになる。
私たち【星の欠片】は寧ろ観測次元を落としていくような感じなので、丸っきり同じ考えだとは言えないが……ともあれ、認知の範囲が広がることで証明できるものが増える、という部分に違いはない。
「つまり、次の試練は『魂』に触れられるようにするためのもの、ってこと?」
「五条さん的には『真人』みたいに、って説明になるのかな?*5……だからって試練を受けてみたいとか言っちゃダメだからね?正直一般人どころか並の【星の欠片】も普通にギブアップするような試練なんだから」
そうして認知・干渉を行えるようにした上で、自身の魂を解放する──己を単一・同一と定めるものを自らの手で捨てる、というのが次の試練、通称『励起』と呼ばれるものである。
これは、魂というラベルをひっぺがすことにより、他者に含まれる
言い方を変えると、洗脳扱いされない洗脳のための技術、ということもできるものだ。
「……なんて?」
「例えば、『想起』までしか
「……さらっと恐ろしいことを言わなかったか?」
「言ったよー。でも、『励起』まで
「わりと真面目になにを言ってるんだお前は??」
と言われても、この辺りは普通にワケわからん範囲の話だからなぁ……正直遊戯王での説明が一番わかりやすいだろう、ってくらいには。
ともかく、『想起』と『励起』では他者への干渉の際の危険度がダンチ、というのは間違いない。
その上で、『励起』の場合魂方面のファイアウォールなどを回避しやすくなるのも特徴の一つ、ということになるのだろう。
他者と自己の魂の違い、というものを捨て去った形になるため、そこを起因とする防御が役立たずになるというか。
そんな感じのことをあれこれと話す内に、次なる柱は目前まで迫り。
「……よーし、ちょっくら死んでくる」
「待てぃ」
意を決した私の発した言葉に、周囲からツッコミが飛んでくることになったのでしたとさ。
……言いたいことはわかるけど字面が悪い?それもそうだ。