なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
はてさて、やってきました次の試練。
こちらは『
── それぞれ『デコンポジション』が分解、『スティグマータ』が烙印という意味の英単語である。
「……分解って単語が、なんで管理って言葉のルビに?」
「【星の欠片】的には、自分の
「あー……」
そんな私の解説を聞いて、ゆかりんが疑問の声をあげるが……基本的にこういうのは【星の欠片】的に見てどうか?……というのが優先されるということを伝えれば、なんとなく理解できたのか呻きにも似た納得の声を返してきたのだった。
……まぁうん、ワケわからんと言われればわからんのもなんとなく理解できるから、その反応についていちいちツッコんだりはしないけども。
ともあれ、こうして対峙したのだからさっさと終わらせるより他あるまい……ということで、早速『
……思わぬ足踏みに、無意識にジト目を向けてしまうのも仕方のない話というか?
「ちょっと、変なところで止めないで欲しいんだけど?っていうか下手にストップすると、やる気もとい死ぬ気が失せるんだけど?」
「その気持ちはわからなくもないけど、その前によく柱を見なさいな」
「……はいー?柱をよく見るぅ?」
ただ、そうしてジト目を向けたキリアから返ってきたのは、謝罪ではなく忠告の言葉。
その言葉を受け『なにを見ろと言うんだ、ここにあるの単なる試練の柱でしょ?』……と訝しみつつ視線を前に戻した私は、そこでようやく柱のちょっと上の部分になにかが張り付いている……ということに気が付いたのだった。
……微妙に手の届かない位置に張り付いているため遠目では確認できず、仕方なく浮遊しながらその『なにか』へと近付く私。
そうして接近するにつれ、張り付いているそれがなんなのかを認識した私は──それがそこにある意味がわからず、しかめっ面をする羽目になったのだった。
「んん?なになに、なにがあったのよキーアちゃん?」
「……んー、いやまぁ、内容的には寧ろ知らせるべき……か。ほい」
「なによその不安になる台詞……って、メモ?」
張り付いていたものをひっぺがして下に戻れば、こちらの様子を窺いながら不思議そうに首を傾げるゆかりんの姿が。
そんな彼女の様子に苦笑しつつ、ひっぺがしたモノを渡す私である。
……この状況下でしかめっ面になるというと、なにか別種の面倒事が発生したのではないかと身構えるのはわからんでもないが──
柱に張り付いていたのは、正確には
……やってることだけ見ると、昼休みとかに伝言を張り付ける学生みたいな微笑ましさがあるが、そこに書かれている内容は一切微笑ましくもない・寧ろ恐ろしさすら感じるものなのであった。
「えーとなになに……『試練には一名同行のこと』……って、は?」
「……端的に言うと、『月の君』様は道連れをご所望じゃ」
「ええー!?」
そう、それはこの試練に挑む際の条件のようなもの。
……言い換えると、それを満たさないままに試練を受けても合格にはならんよ、という後付けの制約である。いじめかな?()
で、その追加条件の内容というのが、この『励起の柱』に挑む際に私一人ではなく他の誰かを同行させろ、というもの。
……暗に同行者に死ねと言っているかのような条件だが、もしかするとそこの辺りを考慮して試練が簡単に……なってない?さいですか……(白目)
そして恐らくだけど、どこにも明記はされていないものの、
「な、なんでよ!?」
「これは試練を受ける際の条件だから、
「な、なるほど……」
更なる追加条件にゆかりんが悲鳴をあげるが……これに関しては少し考えればそうなる理由が理解できる分、まだ優しい方である。
結局のところ、これは『ちゃんと試練を受けろ』という趣旨のモノ。
正確に意味を解説すると『自分以外の誰かを
……なので、自分で自分を守れるどころか、下手をすると
で、この件に関して敢えてよかった部分を絞り出すとすると、キリア以外は誰を選んでも問題はなさそう……という部分になるのだが。
正直、それが本当によかった部分に該当するのかは疑問を挟まざるを得なかったり。
「一般人でも辛うじて触れる『想起の柱』はともかく、『励起の柱』なんて【星の欠片】以外には即死トラップ以外の何物でもないからね、仕方ないね」
「スパルタにも程があるでしょそれ……」
無茶苦茶言いやがる、みたいな顔で呻くゆかりんに対して思わず苦笑を返す私である。
……いやまぁ、こんなことになってるのは多分私のせい……というか、私の
「……どういうこと?」
「
言うなれば『自覚が足りない』ということになるだろうか?
既に前もって『星女神』様による見定めが済んでいる以上、その位階に相応しいことができるようになっている・もしくはその資質があることを認められているわけでもあるのだから、その辺りの確認もしないわけにはいかないだろう……みたいな。
本来『励起の柱』は自己の魂を砕くものだが、私の場合その次の部分も既に納めているはずなので、他の人と一緒に試練を受けた場合、そちらの魂の崩壊を精神面から保護できるはず……みたいな?
寧ろ、できない方がおかしいと思われているレベルというか。
……この分だと、最後の試練とかもっと酷いことになる予感がひしひしするのだが……そもそもそこに辿り着けるかどうかの時点で困っている現状、一先ずは目の前のことに注力する他あるまい。
ってわけで、じゃあ誰を連れていくのかって話に戻るんだけど……。
「……流石にぶっつけ本番は勘弁して欲しいので、ここはオルタで」
「ファーッ!!?」
いきなり『励起』の影響下で他人の保護を同時にやれ、とか言われても恐ろしすぎるため、キリアほどではないもののそこら辺に耐性がある──もとい、失敗時の巻き戻しが利きやすい
……選ばれたオルタ当人は「なんでよなんでそこで私なのよ別にアクアの方でも良くない!?」と喚いているが……いやー、アクアの方は流石にここに突っ込むのはちょっと……。
「はぁ?!」
「いやほら、忘れてるかもしれないけどアクアってば【顕象】なので。……庇護膜としての『逆憑依』の役割を果たせない可能性が高いから宜しくない……みたいな話、何度かしてるでしょ?」
「あ゛」
……『逆憑依』とは恐らく失われるものを保持するための器、ないし保護膜のようなものだと推測されるわけだが、【顕象】の場合はその保護膜自体が一個の存在として動いている、という一種のエラーのような存在である。
この辺り、『逆憑依』そのものが意思あるモノだからこそのバグ、ということになるのだろうが……。
ともかく、より重要な中身を持つからこそ、そしてそれが周囲から隔離されているからこそ外見の補正・ないし保持力が上がっている『
今でこそ安定してるけど、本来ならどこかに閉じ込めて監視しといた方が安心……っていう程度には。
なので、端からアクアは考慮外。
また、他の一般人組も基本的にはバツ。
……となると、消去法的にもオルタしか残らない、ということになってしまうのである。
「なんでよ!!?」
「恨むのなら自分の生まれを恨むのだね……」
まぁそもそも、今回対象外でもどうせ次でみんな巻き込まれるし()
……というわけで、嫌がるオルタを引き摺りながら、私は『励起の柱』に触れたのでしたとさ。