なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
はてさて、暫くの反省ののち、なんだかまだ微妙に退行気味なオルタを引き連れつつ、先への道を進む私たちである。
「次の柱で最後らしいけど……なにが起こるのか、みたいな予想はあるの?」
「多分みんな死ぬ」
「……とても物騒!!」
その道すがら、ゆかりんが最後の試練についての質問を投げ掛けてきたのだが……正直なところ、なにが起こるかは全く不明である。
いやまぁ、酷いことになるでしょうという予感はあるのだが。
なにせ今回、ほとんど居る意味のない一般人組まで連れてくるように、とのお達しである。
……この場合の「居る意味のない」とは【星の欠片】ではない的な意味であって、得られるものがなにもない……という意味ではないので悪しからず。
「と、いうと?」
「『星女神』様のところではこっちに無茶振りをしないようにするための囮……もとい安全装置みたいなものだったけど、こっちではその反対──みんなを危ない目にあわせたくないならもっと頑張りなさい、みたいに発破をかけるための起爆剤扱いでしかない……みたいな?」
「そんなところでも反対なんじゃのぅ……」
原則的に、『星の死海』というのは【星の欠片】以外が立ち寄ることのできない場所である。
その理由は幾つかあるが……一番わかりやすいのは、普通の人がそこに立ち寄ることはほぼ自殺に等しい、という部分になるだろう。
対策も無しに踏み入れば、まず間違いなく足先から分解されて塵一つ残らない……それが、本来の『星の死海』のあり方。
一応、『星女神』様の場合はこちらに友好的なこと・および加減をしてくれていたことなどから特に問題はなかった……
だがしかし、彼女の対としての性質が大きい『月の君』様の場合、友好的ではあっても
……まぁ、問題があったとしても『向こうに呼ばれてしまっている』以上、行かないという選択肢は端から用意されていなかったのだが。
その辺りもある意味では対であったせい、ということになるのかもしれない。
なにせ『星女神』様の方は、一応嫌なら無理にとは言わない……みたいな譲歩できる部分が普通にあったわけだし。
「そんな向こうの配慮を、こっちにも理由があるにせよ
「その辺りの機微はわしらにはよくわからぬが……とりあえず、
「……まぁ、大雑把に言うとそうだね」
なので、『月の君』様の方はこちらに拒否権がなかった。
呼ばれたモノは必ず行かなければならないし、呼ばれていないものは決して同行してはいけない。
それを破れば、今以上に酷いことになっていただろう。……無論、今が酷いことは前提として、だ。
ともかく、『星女神』様側の試練が優しかった以上、『月の君』様側の試練が厳しくなるのは自明の理。
さらに、向こうでは(結果的に)試練を受けずに『星女神』様と対面できたけど、それゆえこちらは
……そこら辺を加味して考えると、どうにもまだまだ物騒なことが起きそうな予感がひしひしとしてくるのである。
いや、試練そのものはもう最後の一つしか残っていないので、それが滅茶苦茶難題になるだろう……的な予感になるわけなのだが。
「まぁ、その辺りは本当に今更な話なんだけどね。だって『星女神』様の方と違って、キリアが同行してなかったら真面目にみんなここに来るまでに死んでただろうし。……正確に言うと分解されてた、だけど」
「……そうね。『星女神』様と違ってこっちは『星の死海』の出力が一切抑えられてないから、生身で放り出されていたら数分もしないうちに粉微塵に分解されていたでしょうし」
「こわー……」
……【星の欠片】の特質を利用しての分解は、それと同じ位階に自身がいない場合に、対処の方法が一切存在しない。
肉体の分解は『想起』の物質操作を覚えていなければまず必殺だし、魂の分解ならば『励起』の魂魄操作無くして対処は不可能。
ご丁寧に、柱ごとに周辺の分解条件が切り替わっており、事前にキリアが保護を行ってくれていなければ、単に柱に近付いただけで床の染みになっていた可能性が非常に高い。
流石にそんな人殺しみたいな真似はしないだろう、と言いきれないのが『月の君』様の恐ろしいところ。
……いや、正しくは『星女神』様が優しいので、対である『月の君』様はそれくらい厳しいはず……ということになるわけだが。
ともかく、キリアが居てくれなければまず間違いなく初手全滅であったことを思えば、これから先に待ち受けるものはまず間違いなく
「……マジで?」
「正確に言うと、そうして全滅したあとに
ぶっつけ本番・スパルタの極み……みたいな?
ともかく、キリアの次点に位置される存在である、という設定を持つ私ならば、そうして無理矢理全滅させられたとしても容易に建て直しが可能……と評価されている可能性が高いことは否定できない。*2
なので、その辺りの性能を実際に確かめるため・そしてその試練からの逃走を阻むため、こうしてなんの関係もない面々も『星の死海』に招かれた……ということになるのであった。
「なるほどねぇ、そういう意味でも発破扱い……と」
「まぁ、そこら辺はあくまで私に向けての見え方であって、五条さん相手とかの場合だとまた別の意味があるとは思うけどね」
「……あー、あっちにお願いしたのがこっちにも影響してる、ってこと?」
「そういうこと」
まぁ、こうして五条さんに告げたように、まったく関係がないのかと言われると微妙な面々もいるわけなのだが。
……そこら辺も含めて、色々試練を出す気でいるというのが正解だろう。
だがしかし、五条さん相手の試練がはっきりと行われていると確認はできていない。
強いていうなら初回、『想起の柱』に触れたのがそれだと言えるだろうが……あれで彼が成長したか、と言われると微妙と言う他ないだろう。
また、誰に試練を与え誰は無関係なのか?……みたいな話は、結局のところ『月の君』様自身にしかわからない。
となると、それらの試練を最後に纏める可能性は非常に高い。
というか『逆憑依』自体、成立の仕様が精神面に振れている感が強く、それらの存在を鍛え上げるのならば『想起』『励起』では足りていないと言わざるを得まい。
……『想起』に軽く触れさせることで試練の下地を作り、最後の試練でみんなを纏めて恐怖のどん底に陥れる……。
そんな鬼畜めいた行為を画策している、と想定しておいた方が、実際になにか起きた時に対処する余裕がとれるというもの、みたいな?
「そういうわけなので、みんな死ぬ気でいてね。死ぬ気を高めすぎて額から炎が吹き出るくらいに」
「マフィアになれとでも言っておられる?」
そんなわけで、これからもっと酷い目にあうから準備しろよ(要約)と告げたところ、みんなからは微妙な視線が返ってくることとなったのであった。
……こうして小粋なジョークでも挟まないとやってられないでしょってだけの話なんだけど、そこで首を捻られても困るんだよなぁ……。