なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「……これはまた、なんとも言えぬ……」
「わぁー、すっごいすっごーい!」
比較的安全だろう二人に【俯視】を付与して早数分。
特殊な視界を得た二人は、その世界に驚きを隠せない様子である。
……あるのだが、個人の視覚なので他人には共感し辛いのが難点というか?
「そういうわけなので……『
「なんでドラえもん風……?」
それでは他の人にこの能力の本質を伝え辛い……もとい、危険性がわかり辛いので、彼ら二人の視線を間借りすることにする私である。
……こういう時、安心院さんは便利だよね!
ともあれ、
作中人吉善吉君に貸し出されたスキルであり、その効果は他者の視界を盗み見るもの。
さらにその際、その人間が考えていることまで纏めて認知することができるため、見ている方向だけではなく次に相手がどう動くか、みたいなところまで把握できるとのこと。
……まぁ、他人の心を覗くようなモノでもあるため、その当人の心が嵐のようなものであれば嵐に揉まれることに。
はたまた漆黒の闇であれば無明の荒野に放り出されることになる……みたいな、別方向のデメリットも存在しているみたいだが。
「……危なくない?」
「って言っても、これ以外の方が寧ろ危ないんだよね。【俯視】は視界にあって視界にあらず、その人自身の魂の見方。……言い換えると、直接他者が見えないからこそ汚染しない、ってものでもあるから」
「……ん、んん?」
あ、こいつまたややこしいこと言い始めたな、って顔をゆかりんがしている。
確かに、『欲視力』の時点で他者の心身の影響を受けるデメリットがある、みたいなことを言っていたにも関わらず、この能力でないと【俯視】を覗き視る際の心身の影響をカットできない……みたいな話に聞こえてくるわけだし。
とはいえこれは些細な誤解ゆえのもの。
今少し触れたように、『欲視力』は他者の視界を盗み見るもの。
そして【俯視】はその能力の
「……余計にややこしくなってない?」
「じゃあこう言い換えよう。『欲視力』が盗み見ることができるのは肉体の
「……それ、意味あるの?」
「あるよー?言ったでしょ、他所はともかく【星の欠片】にとって肉体と魂は所詮精神の下位に過ぎないって。──『欲視力』は
「……なるほど。間接的に精神を覗き視ることができる、と?」
「五条さん正解ー」
私たち【星の欠片】にとって、肉体と魂は辛うじて魂の方が優先度が
……他所の作品だと肉体と精神が等価とされることが多いせいというかお陰というか、ともあれそれによって直接ではなく間接的に触れられる余地ができた、ということになるわけだ。
ある意味では仕様の穴を突いたバグ技、みたいな感じだろうか?
ともあれ、【俯視】に対して『欲視力』を適用すると、それそのものをそのまま映し出すのではなく、あくまでもそれを視ることによって起こる
それにより、本来他人の【俯視】を直接間借りすることによる悪影響をカットできる、というわけなのだ。
……まぁ、元々の『欲視力』のデメリットである『盗み見されている側の精神状態による悪影響』に関しては無防備極まりないので、そういう意味でもサウザーさんときらりん以外を被験者に選ぶのは躊躇われた、みたいな話にもなってくるわけだが。
「まぁ、きらりん側の視界に関しては、長く見続けるとちょっとはぴはぴしちゃうかもだけどぉー、その辺は勘弁してね☆」
「既にちょっと影響を受けてるっ!?」
「にょわ?」
……なお、命に関わるような影響が出辛いだけであり、この二人に関しては
みたいな感じで、私の言動が暫くおかしなことになったが問題はない。
少なくとも他人の【俯視】を直接覗くよりは遥かにマシである。
「そ、そんなにヤバイの……?」
「【俯視】による視界って言うのは、簡単に言うと
「つ、つまり……?」
「最初は『欲視力』で
「こっわ!?」
単純に言うと、【俯視】はその視界にアクセスするための鍵であると同時に、それを見る際に保護膜となるモノでもある……みたいな感じだろうか?
正確には自身の魂をそれらの視界を得られるように加工する、という方が近いわけだが……ともあれ、そうして得られる世界はまさにその人個人のためのもの。
他人が見ることを全く考慮していない混沌の坩堝のようなものであり、対策もなしに覗き込めばミイラ取りがミイラになるのは必然というわけである。
……まぁ、この辺りは【俯視】以外の【星の欠片】でも代用は効くのだが、その場合は逆に自身を【俯視】の位階に近付け自分自身で見ればいい……という話になるため、逆に無意味なことになってしまっていたりするのだった。
「【俯視】の位階は魂に関係するモノだってことから【星海烙印】であることは一目瞭然だけど──その実誰でも使えるようになるもの、って言われてるように他の同じ位階と比べるとアクセスのしやすさは格段に
「便利な劇薬……劇薬ねぇ……」
なお、ここまでの話を聞いていたゆかりん達は、『便利な』という部分が引っ掛かった模様。
まぁ確かに、ここまで【俯視】のデメリット部分にしか触れていないため、それが役に立つとかなんとか言われても首を傾げてしまうのは無理もない話かもしれない。
……と、いうわけなので、いい加減解説は終わりにして実地のお時間である。
用意したのは大きめのモニター二台。これに二人の視界を映し出すことで、【俯視】の感覚を間接的に掴んで貰おう、という流れになる。
「……いやちょっと待った。確か『欲視力』では直接【俯視】は覗き視れないんだよね?」
「?そうだけど?」
「でも代わりにそれを視ている二人の反応は視られると。……質問なんだけど、どうやって二人の反応を映すわけ?というか、そもそも反応が視られたとしてそこからどうやって便利さを知るわけ?」
「あー、そこは単純。このモニターには仕掛けがしてあってね?こうしてこうすると……」
と、そこで五条さんから質問が。
モニターに映すのはいいが、相手の反応などという
そして仮にそれが見えたとして、そこから【俯視】の利便性をどうやって知るのか。
……中々鋭い目の付け所である。
ゆえに私は、答えの代わりにモニターに向かってリモコンを操作。
結果、明かりのついたモニターに映し出されたのは、三人称視点の映像と、
『にょわー、これはなんだか暖かい感じ☆あ、あっちはきらきらしてゆー!』
『ううむ、これはあれだな……固い。こっちはサラサラ?うーむ、なんとも奇っ怪な……』
「字幕と……ミニキャラ?」
「いわゆる実況方式ってやつだね。それと、映像に被さってるエフェクトが、本来二人が【俯視】で視てるモノを思考から逆算して擬似的に再現したもの、ってことになるね」
本物はもうちょっと漠然としたイメージみたいな感じなんだけど。
……と言いながら私が指し棒で示した先に映るのは、きらりん側だと焚き火のような絵文字に星のような絵文字。
サウザーさん側だとならば大きな岩のようなものと、一画に広がる砂の山。
共にそれらが実際に視界の中にあるわけではなく、【俯視】によって得られた視界の中で『彼らがそのように感じたもの』をエフェクトとして張り付けたもの、ということになる。
で、このモニターはタッチ式なので、それらのエフェクトに触ると……右の方の映像の流れていない部分に詳しい解説のようなものが映し出される。
それと同時、画面の下の方ではきらりん達の感想がミニキャラの吹き出しのような形で垂れ流されている……。
もうお気付きだろう。この画面が一体何を利用したモノなのか、ということが。
「そう、いわゆるb○imシステムってやつだ!」*3
「突然の実況動画!?」
突然始まったRTA的ななにかっぽい流れに、周囲は混乱の渦に叩き落とされたのであった──。