なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「あー、リアルタイム解説だとこの動画方式は使いやすい……みたいな話を聞いたことあるなぁ……」
「まぁ、その創始者?の趣味嗜好のせいで、別方面にちょっとアレだったりすることもあるんだけどね?」
なおうちでは例の語録は基本出禁である。
そうとは知らずに使っているパターンもあるため、使ってたからと言って罰則があるわけでもないんだけどね?
「そりゃまた、なんで?」
「最近の世の中は変な繋がりをしているのか、はたまた昔からそういう流れは変わらないのか……若い子がどっかから覚えてきて使う、みたいなことが結構あるから。流行語大賞とかにノミネートされてることもあるしね」*1
「ええ……?」
当たり判定がでかすぎるともいう。
似たようなのにボーボボがいたりする*2が、似たようなのが他にもいるって時点で世の中わりとアレだと思う。
とまぁ、事前情報についてはそれくらいにして、モニターに映った動画についての解説に戻ろうと思う。
「まず、動画部分のエフェクトは、本来【俯視】で視えているものを再現したもの。正確にはこんな感じではないんだけど、視ている二人の反応から逆算するとこんな感じ……みたいなことになるのかな?」
「……この映像だけじゃと、さっきお主が言っておった懸念が全く感じられんのじゃが?」
「そりゃまぁ、感じられちゃったら大事だもの。さっきも言ったけど、本来【俯視】で視えるのは
「……やっぱりこれ危ない技術なのでは?」
「何度も言ってるでしょ。他人が視るから危ないんであって、本人だけが視てる分には問題ないんだよ」
最初に解説に取り掛かったのは、動画部分──周囲の枠内ではなく、実際に二人が見ているモノに特殊なエフェクトを張り付けたそれについて。
動画部分は単に二人の物理的視界をそのまま投影しているだけなので、必然解説するのはエフェクトの方になる。
で、このエフェクトはさっきも言ったように、二人が【俯視】によって視ているモノを可能な限り簡略化して張り付けたもの、ということになる。
……実際にはこんなにデフォルメが効いてないとか、はたまたもっと大量に見えているかも……みたいな違いはあるが、概ね同じようなものが見えていることは間違いないだろう。
とはいえ、映像だけ見ていると──特にきらりんの方は『なんだかファンシーだな?』みたいな感想しか出てこないのは百も承知。
その理由の一端については、先ほど述べた通り。
この映像を見て、違和感を抱かない──本人達と見え方が同じになってしまった場合、それは魂のレベルで相手と同化しているに等しい状態ということになる。
一応、精神面では別物なのでまだ引き返せるとは思うが……処置が遅れれば一種の多重人格のような状態に陥る可能性が高く、そうなった場合はそれこそキリアや『星女神』様に頼まなければ元に戻ることは不可能だと言えるだろう。
いや、下手するとその二人でもどうにもならない、なんてことになる可能性も……?
「無駄に危機感煽るの止めなさいよ!?」
「いやー、でも実際そうなんだよ?確かにこの二人は【星の欠片】の中でも
「……ん、んん?どう言うこと?」
そうして首を捻る私に、ゆかりんがツッコミを飛ばしてくるが……別にこれは悪戯に恐怖心を煽っているわけではない。
そもそも【星の欠片】において
その小ささと無限数が合わさることにより、
それはつまり、単純に時間と手間を考えるともっと効率のよい
「……つまり?」
「餅は餅屋*3、ってこと。特に制限をせずに餅を作る、ってなった場合に素人と職人で勝負になるわけがないでしょ?【星の欠片】は極論
「いや、わからなくはないけど……今それを言うの?なんでもできる人たち、みたいな紹介を今までしておいて?」
「
「はぁ……?」
正確に言うのなら、
そしてその間違えるというのも、本来であればその間違いによって発生する問題を自力で解消できる存在──先の
ゆえに、そもそも『星女神』様やキリアが対処に駆り出されることも稀、という話になるのだ。
……で、話を映像周りのモノに戻すと。
動画中のエフェクトは本人達の魂の視覚のデフォルメ。
そしてここからが重要なのだが、これらは適当にデフォルメされているわけではなく、ある一定の法則を以てデフォルメされている、という仕様になっている。
「一定の法則と言うと……」
「諸星ちゃんの方がファンシーで、サウザーの方はちょっとリアル調だけどほんのりギャグっぽくもある……みたいなこと?」
「うん、それ。それこそが『魂の視覚』の本質、ってやつでね?」
この、一定の法則と言うのが、言い換えると『魂の視覚』──即ち【俯視】によって見えているものの性質、ということになる。
……なにを言っているのかよくわからないのでもう少し簡略化すると、『共感覚』における『音を感じる』時の『感じる』部分、『色を視る』時の『視る』部分を他人にも理解できる形にしたもの、ということになるだろうか?
「ふむ?」
「例えばこの焚き火みたいなの。これは『熱さを感じるもの』に対してのきらりんの【俯視】をデフォルメしたものだけど、実際にそこにあるのは焚き火じゃなくて……」
「あっ、猫?!」
「えーっ!?」
その辺りの説明のために指し棒で指したのは、画面内の焚き火の絵文字。
これをタッチすることでエフェクトが消え、その下にあるもの──一体なにを焚き火のように視ていたのか、ということが白日の元に晒される。
結果、現れたのは焚き火とは結び付かないであろう子猫。
……この時点で【俯視】が一般的な視覚とは全く別物であることがわかると思うが、もう少し詳しく解説することでそこら辺の理解も進むと思われる。
なので、問題に抵触しない程度に詳しく語っていきたいと思う。
「多分、『焚き火を囲んで静かにしている時』の感覚に近いものを子猫から感じているってことになるんだろうね」
「……ええと、ほっとする……みたいな?」
「安心とか、まぁそういう系列だね。──ただこれ、焚き火の絵文字だからそうだろうって予測になるけど、その実この『焚き火の絵文字』は容易く変わるものなんだよね」
「はい?……って、あ?!」
再度画面をタッチすると、先ほど焚き火が表示されていた場所には代わりに花の絵文字が。
……人の感じているものというのは絶えず同じではないので、こうして変化することもある。
ゆえに、表示されているものが重要なのではなく、『ファンシーな形にデフォルメされている』ということの方が重要になる、ということになるのだ。
「結論から言うと、きらりんの【俯視】は周囲をファンシーに視るものだということ。そしてそのファンシーの根幹に触れると私たちもきらりんに同化する……ファンシーになってしまう、というわけ」
「えー……」
まぁ、その結果として語ったことに関しては、なんとも気の抜けたような視線が返ってきたわけなのだけれど。
……笑い話ではないんだけどね、実際。