なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~   作:アークフィア

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我らが一つに、四つを一つにbyハルケギニア

「……これ、どう考えても『四つの四』が揃う奴だよね」*1

「そこまで行かずとも、四つの虚無の担い手は揃うかもね」

 

 

 ぼんやりと呟いた言葉に、竜籠に同乗したルイズからの言葉が返ってくる。

 

 ……ロマリアの一番偉い人とか、はたまたエルフの中で一番動いていた人とか。

 本来ならもっと後の方に出てくる人たちが、挙って集まってきているこの状況。……いろいろすっ飛ばしてる感がすごいのだけど、ガリアで一体なにが起きるって言うんだろう?

 エルフも来る以上、物騒なことにはならないと思うけれど……。

 原作を見ていると、エルフ側も蛮族思考なところがあるような気がしないでもなく、穏便に終われるかはちょっと未知数……かな?

 なんてことをつらつらと考えてみるが……うーん。

 

 

「まぁ、なるようになるか」

「……暫く一緒に過ごしてわかったけど、貴方って結構いい加減よね」

 

 

 あれこれ考えても仕方ない、どうせ向こうに行ったら嫌でも事態は動くのだ。だったら気にせず当たって砕けろだ!

 ……みたいな感じに思考を放り投げたのが伝わったのか、呆れたようでもあり安堵したようでもある声がルイズから飛んでくる。

 

 こっちであれこれやり始めてはや一月ほど。

 それだけ一緒に過ごしていれば、さすがにこちらのやり方とか性格とかもわかってくるというもの、ということだろうか。

 まぁ多分、それだけじゃないのだろうけど。

 

 

「……なにかあったかしら?」

()というキャラクターの成り立ち的に、ルイズっていうキャラクターとは相性がいいんだろうなってこと」

「ふぅん?」

 

 

 興味深そうにこちらに視線を向けてくる彼女に、 私……もとい、『キルフィッシュ・アーティレイヤー』の成立過程について、簡単に解説をする私。

 

 

「元々は、別のキャラクターを使っていたのだけれど、話の流れというか、マンネリ打破というか……まぁ、色々あって。『キーア()』というキャラクターを作ることになったのよ」

 

 

 と、昔を懐かしむように言葉を紡いでいく私。

 以前、マシュ()に少し話をした通り、元々『キーア』というキャラクターは、スレ内の軋轢を解消するために生まれたモノだ。

 

 戦闘というのは凄まじく雑に解釈すれば、相手とのやりとりの手段の一つである。

 言葉とは違い、殴り合い……場合によっては命のやり取りとなるそれは、例え両者に合意の上でのモノであったとしても、時に軋轢を残すものでもある。

 ゆえに、そもそも『戦わせない』ことを至上命題として生まれた『キーア』というキャラクターは、あらゆる事態に対応できるように設計されている。

 

 

「それが虚無、ってわけね?」

「そうそう。……まぁ、最初のうちは漠然と『なんでもできる』の理由付けのためのものだったから、今みたいなもの(極有型虚無)ではなかったんだけど」

「そうなんだ?」

 

 

 ルイズの驚きに、小さく頷きを返す。

 ……最初のうちは『無から有を産む』くらいのイメージでしかなかったそれは、ある意味子供らしい──本当に『なんでもできる』ものでしかなかった。

 なにをしてもいいという言葉の具現に近いそれは、当時は『他の作品の力や武器を無尽蔵に使える』という、世に溢れる最低系オリ主の『王の財宝』とか『無限の剣製』に近しいものだった。

 ……この辺りの『オリジナルではない、原作のある能力』の多用をしていた過去こそが、今私がこうして()()()()()()()()()()の一つなのだろうと思っているが、そこは割愛。

 

 どんなモノも扱えるから、何に対しても対処できる。

 ……作りが最低系オリ主と同じだと言うのなら、その万能性が鼻につくというのも宜なるかな。

 深く考えずに付与されたその能力は、結果として余計に戦闘描写が増えていく、という形で跳ね返ってくる。

 

 

「あの時は酷かった。……なりきりでシリアスとか、よっぽど上手くないと嫌がられるに決まってるのに、ねぇ?」

「んー……私は貴方の当時の姿を知らないから、偉そうには言えないけれど。……止めたくてやったんでしょ?そこは誇っていいと思うけど」

「いやー、あの時はむきになって相手してたから、正直止められてたかと言うと……」

「ええ……?」

 

 

 ルイズから慰めのような言葉が飛んでくるが、とんでもない。

 あの時の私は『なんで止まらないんだ』みたいに、逆に火に油を注ぐ感じだったから、あんまり褒められたようなモノではないのだ。……疑装(イミテーション)とかを使う時にあんなに嫌がるのは、当時の黒歴史を直視させられるから、というのが大きかったりする。

 

 結局。そういった戦闘描写の加速は、とある名無しの台詞によって終わりを迎えるのだけれど……。

 

 

「そこで私、見た目を変えてるのよね」

「ん?見た目を?なんでまた?」

 

 

 私はその前後で、自身の見た目を変えている。

 具体的には、髪型と髪の色。それらが、最初は長く黒い髪・かつ腰まで届くストレートだったのが、この時をきっかけにウェーブ掛かったストロベリーブロンド……つまりルイズの髪の色と近しいものに変わったのだ。

 

 その理由は単純で、黒歴史の封印と、虚無使いの先達であるルイズという少女へのリスペクト(敬意)からのものだった。

 

 

「え、私に?」

「単純に無の使い手って言うなら、エクスデス*2とかも居るけど。虚無って言って一番有名なのはルイズだからね。で、肖ったってわけ」

 

 

 それに、肖ったとは言っても瞳の色は変わってないしね、と告げて、自身の瞳の色を思い浮かべる。

 右が金、左が銀の金銀妖瞳(ヘテロクロミア)。……左目は視力をとある人物に貸しているため、実際は見えていないのを能力で補っている……なんて設定があったりする。

 起き抜けに左側の視界が無い時があったりするので、わりと無意識に補っているのは確かなようだが、それを誰かに言ったことはない。

 

 ……閑話休題。

 ともかく、私の髪の色は虚無使いの先達たるルイズに対しての、敬意から来ているものである。

 こちらに来て、虚無使いとしての役割が自身に回ってきたのも、『リスペクトしてるのなら代わりくらいできるよな?』みたいな、世界からの試しのような気がしないでもなかったり。

 

 

「まぁ、一方的な親近感だから、ルイズ側からすると迷惑かも、だけど」

「ふぅむ。……貴方(ビジュー)が今の貴方(キーア)じゃなかったら、もしかしたら──のかも」

「……?ルイズ?」

「ん、なんでもないわ。ほら、外を見て」

 

 

 勝手に親近感とか敬意とか抱かれても迷惑なだけでしょうけど、と苦笑いと共に告げれば、彼女はどこか遠くを見るような、儚げな笑みを浮かべていて。

 こちらがその表情に疑問を抱く前に、彼女が身を乗り出して、籠の窓から外を指差す。

 そこに居たのは───。

 

 

「話の途中だけどワイバーンよ!」

「なんでさっ!?」*3

 

 

 

 

 

1/1

 

 

 

 

 

 ………!?

 え、なんでワイバーンに紛れてドラゴンまで居るの!?

 マシュから連絡?相手の個体名はエンシェント・ドラゴン?……それアニメ版のラスボスぅ!!?*4

 

 まさかまさかの大ボスに、思わず周囲を見渡す私達。

 ……ダメだ、誰も居ない!?場所的にはガリア領内だろうけど、王都まではまだまだ遠いここでは、何かしらの助けも望むべくもない、と?!

 

 マジかよ、みたいな気分で相手を見る私。

 道理でなんかさっき『GRAND BATTLE』っていう幻覚が見えた気がしたわけだよ!普通にラスボス戦じゃんかこれ!!

 

 

『我とデュエルしろぉぉぉぉっ!!!』

「うっさ!?って、デュエル!?」

「あー、なんか姿が変わっていってるような?」

 

 

 なんて言ってたら、更に事態が変化。

 いや、なんで本当に出てくるのさ『覇王龍ズァーク』!!?確かに四つがどうとか言ったけども!

 ラスボスにラスボスを重ねる愚行、まったくもって度し難し、だよこんなもん!!

 

 思わず叫んだけれど、アレがヤバいものなのは間違いない。

 そもそもエンシェント・ドラゴン自体が大災厄の同一体みたいなものなのに、そこに戦力上乗せとか堪ったもんじゃない。

 ……あー?ちょっと待った。これってつまり……?

 

 

「やるしか、ないのか」

「ちょっと待ちなさい、なんかとんでもないこと考えてない?」

 

 

 思わずちょっと真面目な顔で呟けば、ルイズから呆れたような声が飛んでくる。……ふざけているのがバレたらしい。

 

 いやだって、ねぇ?……タイミングの問題なのか、はたまた()()()()()()なのか。

 いずれにせよ、さっきまで自身に掛かっていた枷とでも言うべき重さが、今になって突然消えたのである。

 つまり目の前の竜は、原作でタルブに来襲したレキシントン号と、扱いとしては同じだと言うこと!

 

 

「……は?え、それもっと先の話、」

「知らぬぅ!やれと言うのならやってやるさ!徹底的になっ!!」

「ちょっ、キーア?!正気に戻って来なさい!!」

 

 

 ルイズが何事か喋っているが、ふははは聞こえぬ聞こえぬぅっ!!

 いい加減鬱憤とか貯まっていたのだ、ここらで一発ドカンと打ち上げてやらぁっ!!

 

 

「やっぱりダメだったじゃないの!!?」

「キーアならやると思ってた。なにも不思議じゃない」

「せんぱーい!お願いですから穏便にー!!」

「うーむ、俺もこっからじゃ援護とかは無理だなぁ」

 

 

 他の竜籠からも悲鳴とかが聞こえてくるが、さっきからビーム吐きつつ『デュエルしろぉぉぉぉっ!!』しか言ってないデカブツをどうにかする方が先!

 

 どうせ色々変なことになってて、虚無以外じゃ効かないとかそういうことになっているのだろうから、こっちも相応のモノを叩き込んでやるわ!!

 高速で飛翔しズァークのビームを避ける竜籠から身を乗り出し、その籠の上に仁王立ちをして相手に向き合い、口を開く。

 

 

「──白き光より果て無きもの 昏き夜天より這い()しもの」*5

「わ、私にはわかるわよ!これヤバい奴でしょ!黒歴史とか言ってた癖にそっから引っ張り出した奴でしょ!」

 

 

 ルイズがうるさい、気が散る。

 ……とは口に出さず、詠唱に力を込める。

 本来()()()()()ものである呪文(それ)を、自分用にアレンジしたオリジナルスペル。

 黒歴史、と揶揄してみるものの、結局抜け出せないその楽しみは、今もこの胸に有るがゆえに。

 ──実際にやれるのならやるよね、みたいなテンションで、呪文を組み上げていく。

 

 

「原初の黎明 混沌の海に揺蕩いし 大いなる我が断片を以て 此処に謡う」

「視線果てる先 我が手の届く全て その一切を(かて)に」

「無を知らぬ愚かなる全てのものに 等しく眠りを手向けんことを───ッ!!」

 

 

 凄まじく物騒な詠唱と共に、私の手に現れる一つの球体。

 黒く、白く、色彩の入り交じった、混沌の球体。

 ……うむ、まぁ、うむ。──できちゃった♡

 

 

「今なんかすっごいアレなこと考えなかった貴方!?」

「……」

「ちょっ、こっちを見なさいキーア!?」

 

 

 ……いやー、半ばノリだったんだけど、本当にできるとは思わなんだ。

 なので、その。……みんな死んじゃったらゴメンね?

 

 

「え、は、えっ!!?」

「ははは、一応最低限被害が広がらないように努力はする!なんで気合いで耐えてね!じゃあ、いっくよー!!」

「マシュゥゥウゥゥッ!!?たぁすけぇてぇえええぇっ!!?」

「る、ルイズさん飛んで!飛んでください!」

「あああもぉぉぉおおぉっ!!!」

 

 

 ぴょいーんっと竜籠から飛び出しマシュの背後に向かっていくルイズを見送り、そのまま私も竜籠からジャンプ。

 ……すまんな運び手の竜君、できれば頑張って有効範囲の外まで逃げてほしい。

 そんなことを思いながら、自由落下に身を任せつつズァークの方に視線を向ける。

 ──彼は未だに『デュエルしろぉぉぉぉっ!!!』と叫び続けている。じゃあ、その願いを叶えてあげましょう!

 

 

「キーア・ビジューの攻撃!──虚空斬(ヴェイン・スレイブ)】っ!!

 

 

 解き放たれた球体は高速で宙を駆け、かの竜の体に接触し。

 

 ───世界を、削り取った。

 

 

*1
『ゼロの使い魔』内の用語。担い手・使い魔・ルビー・秘宝の四種が四つ揃った時、『始祖の虚無』が蘇るとされている。なお、ルビーとは言うものの、始祖の血から作られたと言われているため、赤以外の色も存在している……と言われているのだが、そもそもの話ルビーとはコランダムの一種であり、サファイアとは兄弟のようなものなので、赤以外のルビーも普通に存在する、という風に解釈することもできなくもなかったりする

*2
『FINAL FANTASY Ⅴ』のラスボス。名前は『死を越えるもの(X-death)』の意味。宇宙の 法則が 乱れる!

*3
ソシャゲによくある、もしくはよくあったこと。台詞自体は『fate/grand_order』から、『話の途中だがワイバーンだ!』。なんでワイバーンなのかというと、どこにでも出せる敵キャラだったから。ドラクエだったらスライムだったのかもしれない。ソシャゲには長い間『長い文は読まれない』=『長い文を入れるとプレイして貰えない』という不文律が存在していた。そのため、もとにある文を『もと』『に』『ある』『文』くらいに分割することがほとんどだった。その分割のためのきっかけに、便利に使われたのがワイバーンだった、というわけである。今ではネタとしてくらいしか使われない。なお、TRPG『シノビガミ』にはこの台詞を元にした『シナリオタイトルの途中だがワイバーンの群れだ!』というシナリオが存在したりする(ユーザーメイドのシナリオ)

*4
アニメ版の『ゼロの使い魔F』におけるラスボス。当時は原作が終了していなかったため、オリジナルのラスボスが必要になったために生まれた。ハルケギニアの戦力では、到底打倒しきれるモノではない、というほどの強さを持つ

*5
元ネタはみんな大好き『竜破斬』。『スレイヤーズ』における魔法の一つ。主人公リナ=インバースの代名詞。当時のオタクは、この呪文をそらで言えるのが当たり前だったのだとか。とある存在から『力を借りる』タイプの魔法。なので、明確に効かない相手が居る

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