なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「……私としては、こんな忙しさはいらないからさっさと終わらせて欲しいんだがね?」
「って言っても、それが無理なのはライネスが一番よくわかってるでしょ?」
「…………まぁ、亜種の亜種みたいなものとはいえ、曲がりなりにもオルトだからねぇ」
はぁ、と大きなため息を吐くライネス。
実際、今のラットハウスの盛況振りには、オルト・ハロウィンの存在がまったくの無関係であるとは言い辛い。
確かに、オルトは型月世界観における絶望の象徴。
FGO民も撃破に成功したものの、その実本来の原種とでも呼ぶべき相手より攻撃性が落ちていたりだとか、打倒のために協力してくれていたのが本来推定ラスボスであった人物だったりとか、なにが欠けても渡りきれないギリギリの綱渡りの結果であった……ということは十二分に承知しているわけだが。
それが同時に、その脅威を正しく認知する結果に繋がるかと言えば、それはまた別の話なのだ。
……え?言ってることがおかしい?
撃破できたのは様々な要素が重なった結果であり、再度同じ事をやれと言われても不可能だということは認知しているんじゃないのかって?
うむ、そこの認知とオルトへの感情というのは切り離して考えるべきだね!
川´_ゝ`)「実際、倒せてしまったということが、一種の愚弄のようなモノになっている節はあるからね。真に最強であるのならば、何者にも侵されぬ領域でなければならない……というような」*1
「言ってることはあってるんですけど……そのお声で最強云々の話をされると、なんか裏切られそうな予感がひしひしと……」
「なに、気にすることはないさ」
(微妙に寄せてきた!?)
眼鏡無いのに眼鏡掛けてそうというか、その眼鏡を砕いてわたてんしそうな気がするというか。*2
……そんなウッドロウさんの空気感はともかく、彼の言うことは事実である。
ストーリーの流れや状況・そこまで積み上げてきた様々なフラグなどを無視して結果だけを抽出し、あたかもその相手が与しやすいモノだと誤認させるような話、というか。
……ともかく、最強の名を冠するものは一度でも負けるととことん馬鹿にされる、という風潮はかなり古くからあるもの。
オルトの場合もその例に漏れず、『倒せたのだから大したことない』みたいなことを言う人というのも、少なからず存在するわけで。
まぁ、本気でそんなことを思っている人間はそう多くなく、あくまでネタとして述べているモノがある大半だと思うが……しかしてその手の感覚というのは伝播するもの。
分かりやすく言うと、現状なりきり郷を襲っているオルト・ハロウィンを、真に脅威として見ているものはそう多くないということになるのだ。
「タイミングがハロウィンなのも良くない、というやつだね。そのせいでみんな『なんだ
「実際にエリザベートさん関連の話である、というのも誤解を助長しているわけですね……」
今年の夏、FGOにて登場した派生ケルヌンノスみたいなものだと思われている、とも言えるだろうか?
……要するに、必要以上に脅威を軽視する風潮が蔓延っているというわけだ。
本来のオルトであれば、こんな悠長なことはしていられない。
この地に住まう存在全てを動員し、それでも勝ちの目は一切拾えない……くらいの戦力差が本来想定されるべきもの。
こっちがどうにかしようと思うのであれば、適応や理解がすなわち死に繋がる【星の欠片】をぶつけるくらいしかない。
それにしたって、亜種の見せた解析能力が悪い方向に作用すれば、【星の欠片】を自身の浸食固有結界にしたオルト……などという悪夢以外の何物でもないものが爆誕する可能性もあるのだ。
……いやまぁ、実際のところどうなるかはわからんのだが。【星の欠片】のそれは見方によっては
元となる原理が『無限死による間接的な死の否定』であるため、生きようとする意志がもはや意地汚さのレベルまで昇華されているオルトにとっては決して認められないもの、なんて判定になる可能性もある。
結局、オルト対【星の欠片】に関しては『原作が違うので比較できません』と置いておく方がいい気もするので、結果として対処として選ぶのは間違っているという話に落ち着きそうなのでたった。
……話を戻すと、どうにか対処できそうな【星の欠片】は様々な理由から止めといた方がいい、となると実質用意できるのは再現度による出力制限を受けた『逆憑依』達だけ、ということになる。
そしてそれにしたって、最高戦力であるマシュを原作と同じように使い回す、というのは中々難しい話になるだろう。
あれ、ゲーム的には体力ゲージがゼロになっているが、実際のところは致命的な攻撃を受ける前に撤退している、というのが近いだろうし。*4
……つまり、原作と同じ気分でマシュを数回投入しようとすると、途中で逃げ切れなかった場合にゲームオーバーとなるというわけである。
それを思えば、『倒せば戻ってくる』とされていた情報体──オルトのエネルギー源にならないサーヴァント以外の存在で相対するのは悪手中の悪手。
生身の人間は一切近付くべきではない、という結論に至るのであった。
「まぁ、そもそもそっちのオルトは周囲に宇宙線──いわゆる放射線を致死量レベルで振り撒いていたわけだから、戦闘うんぬんの前に近付くなって話なんだけど」
「普通に即死するだけでしょうしね……」
まぁ、そうでなくともオルトの持つ各能力が、人が近付くことを悉く不可能にしているわけだが。
その話を前提に現状のオルト・ハロウィンを見ると、こちらが言いたいこともなんとなく見えてくるだろう。
……そう、原作のそれと比べたらもはや
浸食固有結界自体はあのオルトも持っているというのに、だ。
「まず、原種や亜種の圧倒的な危険性である水晶化や空想樹化、ならびに宇宙線の放射が一切ない……というのがポイントだろうね」
「代わりにお菓子を放出してるくらいだからなぁ」
その理由だが、ほとんどのオルトの技能がオミット・ないし他のものに入れ替わっていることが主になるだろう。
浸食固有結界の効果は周囲のハロウィン化。
つまり、周囲にハロウィンの法則を振り撒くことであり、結果として起きる事象がかなり穏便化されているのである。
オルトの進行がある種のトリック扱いされている、というのも事態が深刻になりきらない理由だろう。
これが律儀にトリックオアトリートされていた日には、迂闊にトリートを選んで
まぁ、結果としてはただ進むだけでも驚かせているようなものなので、そこら辺の判定は発生してないらしいが。
更に、本来発生しているはずの宇宙線は何故かお菓子の放出に入れ替わっていた。
……その材料は何処から?という疑問もなくはないが、以前『高エネルギーを上手く使えば好きな物質を作り出せる』みたいな話をしたように、恒星級のエネルギーを使って無茶苦茶してるのかもしれない。
まぁ、それならそれで『放射線出まくりのお菓子』が誕生するのが普通なので、なにかしら別の法則が関わっている可能性も高いわけだが。
ともあれ、現状のオルトが『ただ徘徊しお菓子を配っているだけ』みたいなものである以上、それに脅威を見い出す人の方がおかしい、みたいな話になるのも無理のない話であり。
結果、現在ラットハウスでハロウィンを満喫する客達のように、今の状況を楽しいだけのイベントだと勘違いする者達が大量発生する原因となっていたのだった。
「……まぁうん、私もオルトが単に徘徊してるだけなら、そういう感覚でいるのも間違いじゃないかとは思うんだけどねー」
「それにしては付随するモノが厄介すぎるというか。……確か、他に出てきている存在も大概なんだろう?」
とはいえ、彼らを責めることはできない。
現状、オルトはなにかを目標にして進んでいるようには見えない。
一応、放置しておくと永年ハロウィンが成立しそうであるため、討伐しないといけないというのは間違いではないが……同時に、一生ハロウィンであることが許容できるなら危険度は全く無い、という風にも誤認できてしまう。
──そう、誤認だ。
オルトは無意味に徘徊しているのではない、自身が対決すべき相手を待っているのである。
それが、ここに生まれた自身に与えられた目的であるがゆえに。
その対決すべき相手と言うのが、なりきり郷各所に現れたトラブルの種達。
今はまだ隠れて
そのうちの一つ、四つのユニバースを掛け合わせた存在。
それこそが、
「シン・ユニバースロボ。完成していたとはね……」
「いやまだ蠢動してるからね?完成してないからね?」
シン繋がり……いや、寧ろこれに呼ばれて来たのか。
ともかく、四つの『シン』を組み合わせた狂気の沙汰、シン・ユニバースロボなのであった。
……一ついいかな?勝手に戦え!!*5