なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~   作:アークフィア

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鏡と言い張るには違いが大きく

 はてさて、あまりの驚きに一瞬フリーズしてしまったが……いや、でもこれは仕方なくない?

 

 現在私の目の前にいるのは、()()()の髪の色ではなく、以前の髪の色──ピンクブロンドの髪を棚引かせた少女。

 さっきの特撮云々の話そのままに、顔の作りは違うけどどことなく私──正確にはキリアの方*1を想起させる姿をした人物である彼女は、恐らくその感覚そのままにもう一人の私、とでも言うべき相手であることは間違いないだろう。

 

 

「……いや、ちょっと待ちたまえ。それは色々とおかしいぞ、そもそも『逆憑依』には同一人物の縛りがあるんじゃなかったか?」

「それに関してはうちのリリィとXちゃん、それからエリちゃんとかと考え方は似てるわね。()()()()()()()()()()()、みたいな?わかりやすい例で言うと原作では兵長はリヴァイだけど、実写では同ポジションはシキシマって別のキャラクターになってた、っていう」*2

 

 

 無論、そんな異常な状況を見て他の面々が疑問を抱かないはずもない。

 それらを代表するように、率先してライネスが声を上げたが……確かに、『逆憑依』において同一人物の顕現というのはほぼあり得ないこと、というのは確かな話。

 

 ……だがしかしこれ、『ほぼ』なのである。

 裏道と言うか抜け道と言うか、そういうものは確かに存在しているのだ。

 それが、()()()()()()()()()()()と判別されるパターン。

 いわばカップ焼きそば現象……いや、それより差異が少ないものを()()()()()()()()()()()()()()()()()()とも言えるので、ちょっと違うかも?

 

 わかりやすく言うと、それこそアルトリアシリーズになる。

 例えばセイバークラスのアルトリアとランサークラスのアルトリアは、外見はほぼ別物であるがその実内面はほぼ等しい。

 最果てにて輝ける槍(ロンゴミニアド)の効果で思考が少し人のそれから外れているだけで、大本のアルトリアとしての性格はほぼ変化していないのだそうだ。

 ……まぁ、だからこそお互いがお互いの出番を食い合う関係になっているわけだが、そこら辺は割愛。

 

 ともあれ、性格面に着目すると両者はほぼ同一人物となり、『逆憑依』的には本来同時顕現不可の制約が付いてもおかしくはない……のだが、恐らく実際のところは両者が同時に存在することは可能だと思われる。

 

 これは、カラーリングの変化に近く外見はほぼ変わらないセイバー/ランサーの正規版と、それぞれのオルタの場合でも恐らく話は変わらない。

 一応、それらが許される理由の一番大きなところは『原作でそうなっているから』というところが大きいのだろうが……ともかく、()()同一人物ならば同時顕現は可能である、という可能性があることに違いあるまい。

 

 

「……い、いえ。その例えだと八雲さんのパターンはどう説明するのですか?彼女は原作の彼女からはかけ離れている。であるならば、原作通りの八雲紫というキャラクターが『逆憑依』してくる可能性を否定できない、ということになってしまいます」

「それもまぁ、『そういう描写が原作に存在していない(別人として自分同士が邂逅したことがない)』とかで説明できそうだとか、『八雲紫』としてではなく『マエリベリー・ハーン』*3としてなら両立できるだろうとか色々言えるけど──一番はこれね、単純に()()()()()のよ」

「あ、空きがない……?」

 

 

 ただそうなると、明らかに原作とは違う性格になっているゆかりんのような場合はどうなるのか、という疑問が出てくるのも事実。

 賢いマシュが早速その問題点を指摘して来たので、私は最近この姿になったことで見えるようになった、『逆憑依』というもの制約の一つを開示することにする。

 

 それが『空き』──正確には『器の専有』というべきもの。

 以前『逆憑依』というのは原作を『英霊の座』のように扱い、そこから写し身(コピー)をこの世界に降ろしてその中に核となるこの世界の人を入れる……というような形であると述べたが、そこからさらに進んだ内容となる。

 

 

「コピーガードみたいなもの、ってことになるかな。同名のラベルが貼られた情報は一つしか持ってこれない……みたいな?」

 

 

 無論、先の例のアルトリアやエリちゃんのように、なにかしらその存在が同時に現れることのできる設定があれば、無視できる程度の緩い縛りではあるのだが。

 ……というか、じゃないと八雲紫とマエリベリー・ハーンは両立できない、ということになってしまう。

 一応、公式的には二人が同一人物と明言したことはないにも関わらず、だ。

 

 

「強く世間から信じられていて、かつそれを明確に否定する要素がない場合、その事象はまるで真実であるかのように扱われる……みたいな話かな。だからってそれを本当に真実として扱うと、公式的にはバカにされてもおかしくない……みたいな?」

「また色々と問題になりそうなことを……」

 

 

 こちらの物言いにライネスが額を押さえているが、話はまだまだ続くので頑張ってほしい、とだけ返す私である。

 

 ……ともかく、『逆憑依』における器の降臨には、弱めではあるが制約がある……というのは確かな話。

 そして、弱いと言ってもその制約を破るには相応の理由が必要である、というのも確かな話なのである。

 つまり、二次創作めいたゆかりん、というキャラクターはその制約を破るには『弱い』のだ。

 

 

「あんまりにも解釈を加えすぎて、最早原型もない──例えば名義だけの一次キャラ(HACHIMAN)みたいな状態なら、普通の八幡君と両立することもあるでしょうけど……ゆかりんのあれって『幻想郷の少女達は酒を飲む』ことの延長線上・拡大解釈の類いで大まかな部分は普通に八雲紫そのものだからね。結果として、『八雲紫』という枠組みから逸脱はしておらず、ゆえに『八雲紫』の器は専有されている……ってことになるわけ」

「な、なるほど……」

 

 

 ゆかりんに関してはそんな感じだが、それとは逆に専有が弱いタイプの『逆憑依』というのも幾つか存在する。

 それが『ポケモン』『デジモン』のような、見た目が同じだが別個の個体が普通に多数登場するタイプの作品。

 彼らの外見は実のところ人で言う『人種』に近いモノであるため、『逆憑依』的には器の専有が起き辛いタイプのキャラクター群だと言えるだろう。

 実際、『逆憑依』と【顕象】という形ではあるけど、ピカチュウはこっちの知る個体とは別の個体が出てきたこともあったし。

 

 ……で、ここまで語ってから話を私と彼女(キリア)についてのそれに戻すと。

 

 

「まず、実写とアニメというメディアの違いが一点。……とはいえこれはさっきも言った通り、差異としては『器の専有』を突破できるほどの強いものじゃない。だから、他にもそれを補強する情報が必要になる」

「……例えば、前提が違うというような?」

「…………もしかして、マシュってば実写の方も詳しかったり?」

「それはもちろん!媒体が違うとはいえせんぱいはせんぱいですので!」

「お、おぅ……」

 

 

 うーんこの。

 ……まぁ、私が詳細を語らずとも把握している、というのは説明の上で助かる話ではあるのだが。

 

 さて、では前提が違うとはなにか、という話だけど。

 実写版はアニメが受けたことで製作されたものであり、その関係性は実のところさっき例に挙げた『進撃の巨人』と近いものがあるのだ。

 つまり、私の目の前の彼女は『キーアをアニメにした結果変身ヒロインになった』ものではなく、『最初からキリアという存在として生み出された』ものである、というような。

 そういう意味でも、リヴァイとシキシマの関係性に近いものがあるというか?

 

 

「なるほど、だからこそカップ焼きそば現象というわけか。見た目こそ似通っているが、その実両者は全くの別人である、という……」

「まぁ、実はこれだけだとまだ弱いんだけどね、理由」

「……む?いや、これで十分なんじゃないのか?」

「このパターンの場合、私がキリアに変身すると目の前の子の存在が揺らぐ可能性が高いんだよね」

「……なに?」

 

 

 だが、まだ。

 これらの情報だけでは、彼女が特に不調を訴える様子もなく、普通に立っている理由としては弱い。

 

 それが何故かといえば、結局のところ彼女は()()()()()()()()()実写版を元としているため。

 より支流に近いモノがあれば、その存在を脅かされる可能性が高いのだ。

 言ってしまえば、以前の私がキリア(母の方)の到来によって色々と不調になっていたのと同じ、と言うか。

 

 

「元となるモノが存在するなにか、という関係性だとそれが余程かけ離れていない限り別個の存在としては認められないってわけ。これが例えば元ネタは同じでも見た目は全く違う、って形なら問題はないんだけど……」

「なるほど。目の前の彼女は少なくとも外見を以前の君──もっといえばキリア君達に寄せているともいえる。ゆえに、繋がりを否定するには弱いってわけだ」

「そういうこと」

 

 

 カップ焼きそば現象であることが逆に足を引っ張っている、と言うべきか。

 見た目が近似で元ネタも同じなら、それらを別個の存在と言い張るための理屈が足りていない……とも。

 

 ゆえに、彼女がこうして安定している──もっといえば、この場で私がキリアに変身したとしても問題がないだろうと思われる理由がある、ということになる。

 そして、それはとてもシンプルでわかりやすい理由だったのだ。

 

 

「それは?」

「私が()()()()()こと。わかりやすく言うと、今の私は『キーア』という器を専有してないんだよ。だから彼女は空いたキーアの器に収まったし、その上で『キーア』という原型を持たないからキリア(母の方)とのコリジョンも起こらないってわけ」

「…………????」

「……あれ?」

 

 

 それは、私がキーアという存在から脱却したという事実。

 外見変化としては髪の色が変わったくらいだが、そこに込められた事実はとても多い……みたいなことを述べたのだが、周囲の反応は『わけわからん』とでも言いたげな虚無顔であった。

 

 ……これは……追加説明フラグじゃな?

 

 

*1
さらに言うならキーアの変身した姿としてのキリア

*2
実写版『進撃の巨人』で唐突にリヴァイ・アッカーマンと差し換えられた人類最強の男、それがシキシマと呼ばれる男である。後に実はリヴァイともう一人、別のキャラクターの要素を持ち合わせる存在だったことが判明するのだが、少なくとも公開当時その辺りの話はまだだった為、実写版の評価を下げる要因でしかなかったとか。……なお、現在では色々と裏話が判明したこともあり、彼のキャラクターも幾らか見直されるきっかけになったとかなんとか

*3
『東方project』における『秘封倶楽部』を中心とした外の世界でのストーリーに登場する人物の一人。見た目と能力が八雲紫に酷似している為、ファンからは同一人物……もとい八雲紫の過去の姿がマエリベリーなのでは?……と推測されている。一応、公式から明言されたことはない

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