なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~   作:アークフィア

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君は完璧で究極の?

「しかし、そうなると彼女は……」

「実写版の私を元にしている以上、そのキャラクター性はそっちに準拠しているんだろうなーというか。……いやまぁ、微妙に違う可能性もあるんだけどね?」

「そりゃまた、なんで?」

「自己犠牲系ラスボスタイプだと、『星女神』様との類似性が発生して微妙に私と切り離せなくなる」

「あー……」

 

 

 はてさて、実写版キリアちゃんについて長々と話してきたわけだけど。

 彼女がそのまんまキリアちゃんだと、それはそれで問題になる……というか、安定しないだろうというのも事実。

 何故かと言うと、彼女の安定のためには『キリアちゃんはキーアとはなんの関係もない』と証明することが必要であるため。

 

 ……キーアの空いている席を使わせて貰ってるのに?……みたいなツッコミが飛んできそうだが、これに関しては()()()()()()()()()()()()()()()()()というのが正解なので私からはなんとも。

 下手に深入りすると深みにはまるので、表面だけなぞっておいて頂きたい……という、なんとも言い辛い話になってくるのである。

 

 ただでさえキリア(母の方)と見た目が近く、かつやってることが『星女神』様に近い……みたいなことになっているのだ、これ以上キーアとの繋がりが証明されてしまうと、第二の私になるだけというか。

 ……その場合、流石に二度も無事ということはないだろうから、彼女はキリア(母の方)の【虚無】に呑み込まれて消える、という可能性が非常に高い。

 そうなると後味が悪いどころの話ではないので、できれば違ってほしいと思う私である。

 いやまぁ、実際に目の前の彼女が無事そうな辺り、その心配はないとは思うんだけどね?

 

 

「……ええと、そろそろこちらからお話をしても?」

「おおっと、どうぞどうぞ」

 

 

 そうして一通りの説明が終わったことを悟ったのか、目の前の彼女──キリアちゃんがおずおずと口を開く。

 口調こそおしとやかだが、節々から『私、よくわかりません』というオーラが発散されている辺り、恐らく彼女の知識はあくまで実写版『聖裁キリアちゃん』のそれに限定されているのだろう。

 アニメ版の方だったら、もうちょっとこっちの話に理解を示してきそうだし。

 

 

「……そうなのかい?」

「まぁ、向こうは向こうで色々出してない設定とか匂わせとかあるから。それがまんま(キーア)のことである、って可能性はゼロじゃないし」

 

 

 なお、ここでライネスが私の発言に首を捻っていたが……正直今語ることではないので後回し。

 アニメの方ではキリアちゃんがキーアちゃんと分離してたりするが、そっちが『魔王』を名乗ってたり敵側の補助をしてたりと、色々匂わせがすごいのだけれどそれを匂わせだと理解するのには私という存在を知ってることが条件だったりして、色々ややこしいし。

 

 ……え?なんでお前の存在を広めるようなことしてるんだって?そもそも私単なるオリキャラよ?知ってればわかるって言っても知らないのが大多数だから問題なんてあるわけないじゃん。

 ……という、CP君からの押しに負けた結果である。

 まぁ、ノンフィクションをフィクションとして流してても、その元の人を知らなきゃノンフィクションだって気付きようもないのは本当のことですしおすし……。*1

 

 

「というか、なんでそんなことを?」

「表向きには『毎週放送してるけど幾らなんでもそんなにぽんぽん話なんて思い付くわけないじゃないか』ってことだけど……多分本音は『キーアの周りは面白いねー』だと思う」

「あー……」

 

 

 いやまぁ、どっちかが嘘ってわけではなく、どっちもそういう面があるって感じだろうが。

 ……とまぁ、アニメ版のキリアちゃんのエピソードはわりとなりきり郷での騒動が参考にされていることが多い、みたいな話はそこまでにしておいて。

 いい加減、置いてけぼりになっているキリアちゃんにマイク(発言権)を戻そう。

 

 

「あ」

「……いえまぁ、構いませんよ?別に私のことは放置して頂いても。なんとなくですが、私がこうなれた理由が貴方、ということは察することができましたので」

(キリアちゃんの方だから丁寧な物言いだ……)

(清楚……)

 

 

 相変わらず、控えめな笑みを浮かべてこちらを見ているキリアちゃんである。

 ……なんというか、私ともキリア(母の方)とも違う感じというか。

 あれだ、私のやるキリアちゃんはキーアという存在あってこその変装であるため、同じような物言いでも背後のキャラクター性がほんのり透けているけど、ここにいる彼女は最初からキリアとして生まれているので口調通りのキャラクターになっている感じがある、というか。

 

 事実、他の面々もなんというか狐に抓まれたような顔をしている辺り、違和感マシマシなんだろうなー……みたいな感じである。

 

 

「……せ、清楚なせんぱいというのも……」

「マシュ?」

「……はっ!?い、いえ!なんでもありま」

「マシュさん?なにか私に問題でもありましたか?」

「……ふぅ」

「マシュ???」

 

 

 まぁ、約一名別の方向に違和感を発揮している不審者(こうはい)も居たわけなのだが。

 ……いや『ふぅ』じゃねぇよ???

 

 アニメの方の『キリアちゃん』がなりきり郷での騒動を元ネタにしていることがある、というのは先ほど述べた通りだが、その流れで『キリアちゃん』の方によく登場するキャラクター、というのが存在する。

 それはこの作品にしては珍しいことに、版権キャラではなくオリジナルキャラクター。

 他者の補助を基本とするキリアちゃんが、それに専念することで危険に陥るような場合にその身を守るために現れる守護の騎士……。

 

 まぁうん、言うまでもなくマシュなんだけども。

 何故彼女そのものではないのかと言えばそれは単純、基本的に『キリアちゃん』に出てくる版権キャラは理由付けした上で原作から出向して来た人物だから。

 ……つまり、素直にマシュに私を守らせるとほぼNTRみたいなことになるのである、原作の主人公君達に対しての。

 

 NTR絶対許さない勢である私としては、そんなことになったら首をかっ斬り腹をかっ捌いて詫びる覚悟なので、CP君に『それだけは止めろォ!!』と懇願した次第である。

 ……え?今のこの状況(リアル)は良いのかって?いやほら、ここにいるマシュはマシュだけどマシュじゃないから……。

 少なくとも、本編のマシュはお鶴さんみたいな顔をしながら息を荒げたりしないというか。……え?中の人はショタ相手ならワンチャンやりそう?

 

 まぁともかく、今目の前のマシュと原作のマシュが別物、というのはすぐにわかること。

 そのため、思わず目が点になっているキリアちゃんを背中に隠しながら、様子のおかしいマシュの頬を思いっきり引っ張る私なのでありましたとさ。

 

 

いひゃいいひゃい(いたいいたい)いひゃいえうえんあい(いたいですせんぱい)

「その痛みが君を正気に戻すんだ、しっかり味わいたまえ」

あひゃあいあうああ(あやまりますから)ひゃええうああいー(やめてくださいー)

「うーんいつもとは逆……」

 

 

 涙目でこちらに懇願するマシュだが、微妙にまだ視線が危ないのでお仕置き続行である。

 なんかライネスから生暖かい視線が刺さってきているような気がするけど、今はマシュへの教育的指導に忙しいので無視。

 

 ……なお、完全に大丈夫と言える状態まで戻すのに三十分くらい掛かったけど私は元気です(白目)

 

 

 

 

 

 

「ええと、改めて自己紹介を。キリアです、よろしくお願いしますね」

「はい、よろしくねキリアちゃん。私はキーア、貴方とはまったくこれっぽっちも一切関係ない赤の他人だけど仲良くしてね?」

「アッハイ」

 

 

 改めて、すごく落ち着いた()マシュを隣に、右手を差し出して来たキリアちゃんと握手をする私である。

 ……え、なんか遠い目をしている?なんでだろうなー。

 

 冗談はともかく、今の私と彼女に繋がりがない、というのは本当の話。

 さっきの話がよくわからない、という辺り彼女にキーアとしての知識はなく、それゆえに彼女の能力の基幹はアニメのそれと同じく『よくわからないなにか』ということになるのだろう。

 匂わせはあれど、恐らく最終回になっても明かされることはないだろうから問題はない、というか?

 

 

「……『逆憑依』達に知られている、というのはいいのかい?」

「こういうのは無辜の判定と似たようなものだからね。確かに『逆憑依』の人達は街を一つ形成するくらい多いけど、それでも地球に住んでいる人達の総数よりは遥かに少ないでしょ?」

「うーん、言いたいことはわかるけど凄まじい暴論……」

 

 

 ライネスの疑問については、それを知っている人達が総人口より遥かに少ない以上は問題ない、と返しておく。

 ……それで良いのか、って感じのツッコミが帰ってきそうだが、全世界に知られている設定・かつそれらが本当にキリアちゃんの元ネタであると認知できる人が溢れている……という二点が満たされない限りは問題がない、というのは本当のことなので問題はない。ないったらない。

 

 

「結局のところ、私とキリアちゃんがイコールになっている人の認識じゃないと意味がないんだよね。そしてそれを意味がない、と判断するのが恐らく集合無意識である以上、その総数に遠く及ばない論説なんてマイノリティとして消えていくのが関の山ってわけ」

 

 

 この辺り、なりきり郷に集う『逆憑依』が()()()()()()()()()()()()()というのも理由の一つというか。

 あれだ、本来ならこの世界の集合無意識だけを考えればいいはずが、他所の世界の集合無意識も気にする必要が出ている……みたいな?

 

 ともかく、彼女と私が設定的に切り離されている、ということが重要なのは確かな話。

 そして、彼女がこうして曖昧な表情を浮かべられている以上、その辺りは問題がないと察せられるのである。

 ……え?微妙な顔をしている理由?そりゃまぁ、ねぇ?

 

 

「唐突に他人の黒歴史を開帳されてもそりゃ困惑しかしないでしょ」

「自分で言ってて悲しくならないかい、それ」

 

 

 ふふふ、すっごい苦しい。転げ回っていい?()

 

 

*1
実際、リアルに起きなさそうな出来事ならまず疑われることはない。それが真実現実で起きたことだと認識できるのは、予めそれが本当だと知っている存在だけである

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