なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「…………」
「喋らないんだ……」
遂に邂逅した私たちとユニバースチーム。
しかしその邂逅は、当初予定されていたものとは全く別のものとなっていた。
何故かというと、相手側が基本なにも喋らないから。
一応反応はしてくれるのだけれど、あくまで身振り手振りだけ。
言葉に関しては一言も喋らずにいるのである。
「……ふむ、恐らく彼らは本来ユニバースロボとしての姿が基本であり、こうして分離することを想定していなかったということかな?」
「ってことは、必然的に【顕象】か。まさか『逆憑依』四人で合体、みたいなことにはならないだろうし」
顎に手を置きながら、ライネスが予測を述べる。
彼らは喋らないのではなく喋れない。その理由は現在の彼らが不安定な状態であるから……ということになるのだろうか?
本体である『シン・ユニバースロボ』としての姿を取れないため、非常手段的にこの四人(?)の姿になっているが、それゆえに意志疎通の面で問題が発生している……みたいな。
まぁ、そうなるとなんで分裂してるの?……って当然の疑問にぶち当たるわけだけど。
不安定だからって四人(?)になる必要性はないんじゃない、みたいな?
「純粋に小さなユニバースロボになるー、みたいな感じでいいんじゃないかなーって」
「その辺りはよくわかりませんが……ともあれ、彼らが探し物ということでよろしいのですよね?」
「え?あ、ああうん、そうなるけど……」
とはいえ、問題はそこではない。
彼らが探し物であるユニバースロボなのだとすれば、私たちがすべき事は彼らをオルト・ハロウィンと戦わせるということになるのだけれど……。
うーん、この状態の四人が合体したところで、恐らく精々ちょっと大きな……ワンピースのキャラくらいの背丈のユニバースロボが出来上がるだけだろう。*1
それでも十分大きいが、やはりオルトと戦うには無理がある……。
「というか、仮にこの四人が合体するとして、ちゃんとしたユニバースロボになるのかい?」
「え?……あー、あー……」
と、そこで横合いからライネスのツッコミが。
……確かに、ユニバースロボの構成は頭と胴体・シン・ゴジラ、左右の腕と脚・ウルトラマンとエヴァンゲリオン。
そして、頭の上に仮面ライダーがほぼ乗っているだけ、というもの。
実のところ、戦隊ものの合体ロボは頭だけのメカ、みたいなのもいたはずなので構造としてはそうおかしなものでもないのだが、それはそれとしてこの場合問題がでてくる。
それが、各パーツの大きさの問題。
……うん、少し考えればわかる話だが、このままだとシン・ゴジラに肩車される仮面ライダーの絵面しか出てこないのである。
「……どう足掻いてもバランスの面で見映えが酷いことになりますね」
「い、いやほら!もしかしたらゲッターみたくモーフィング変形とかするかも……いやそんなことできるなら分裂すんなや!!」
「!」<ビクッ
「あ、ダメですよキーアさん。大きな声で脅かしては」
「え、あっはい」
どこの組体操だ、みたいな絵面しか思い浮かんで来なかったので思わず叫んでしまったが、その声に蒲田くんがビックリしたようで跳び跳ねていた。
……のをキリアちゃんが見ていたため、そのままちょっと叱られる羽目になる私である。
おかしーなー?私ってば一応彼女の元みたいなものだから、彼女にとっての姉とか母とかのはずなんだけど……。
え?自分からその辺りの繋がりはないって主張してただろうって?
……まぁともかく、私よりしっかりしてる感のあるキリアちゃんに首を傾げつつ、改めて思考に戻る。
私たちがここに来た目的は、ユニバースロボを味方(?)にしてオルトと戦わせること。
そして、それをするのに相手側の準備が間に合ってない場合、手助けをしてそれができるように引き上げること。
「ということは、彼らをちゃんと戦えるように手伝わなければいけない、ということだね」
「そうなるんだけど……なにをどうすればいいんだろうね、これ」
今の彼らがまともに交戦できる状態だとは誰も思わないだろう。
つまり、私たちは彼らがオルト・ハロウィンと戦っても力負けしない程度にまで成長させる必要がある、ということになるのだけれど……。
いや、ロボの成長ってどうすればいいので……?
真っ当な人ならば、なにかしら訓練でもすればレベルが上がるかもしれないが、彼らはその性質上あくまでも『ユニバースロボ』の分離状態扱い。
つまり、単純な訓練では成長が見込めない可能性が非常に高いのである。
「いやまぁ、今までも色んな人達の訓練とか請け負ってきたけどね?……そもそも訓練の意味がなさそうな人達が相手だったことはないんだわ」
「うーん、いわゆる根性論お断り、といえやつだね。……なんて冗談めかして言ったはいいものの、実際どうしたものやら」
うーん、と唸る私たち。
いやまぁ、頑張ればなんとかなるような気もするのだが、同時に
……そう、さっきも言ったような気がするが、あくまでもこの話はサブイベント。
本筋は如何にしてオルト・ハロウィンを退けるかという一点。
つまり、彼らの話だけに注力していられないのである。
「なるほど、頑張る必要があるというのは、すなわち時間も相応に掛かるということ。……となれば、今の状況では選んではいられませんね」
「そういうことー。こう、代わりに私のやり方を覚えてくれる人がいるならいいんだけど……」
「……では、こうしたらどうでしょう?彼らへの指導は私が代わりに行う、と」
「キリアちゃんが?」
しかし、できうる限り短期間で彼らを戦場に送り出せるように、となるとどうしても私が直接指導する必要がある。
……正確には、他の面々にその指導方法を使わせる手段があれば代われるのだが、多分難しいだろうなーというか。
うん、
これは普通の訓練とは違い、相手にエネルギーをそのまま付与するようなものでもある。
経験値を文字通りの経験としてではなく、その当人のエネルギーとして換算している……みたいな?
なので、本来成長しないような相手にも戦力の増強・使えるエネルギーの増大などの形で影響を及ぼす……と。
ゆえに、今回彼らに施すのならこれに限るのだが……流石に【
その場合の問題は、この魔法による強化はあくまで時限制である、ということ。
対オルト戦闘において、一定時間で戦闘が終わるなどと考えてしまうのは、見積もりどころか考えが甘いとしか言いようがない。
というか、下手すると制限時間超過した上で元に戻って撃退、とかされかねないというか。*2
流石に原種や亜種のオルトのように、戦闘に負けると即座に吸収されるなどということはないだろう。
精々、負けてもちょっと頭ハロウィンになるだけで済むはずだ。
……が、オルト側はそうもいかない。
相手には適応進化の類いの技能がある。つまり、一度戦った相手には再度戦闘した場合鎧袖一触になる可能性がとても高い。
時間稼ぎとしてすら運用できなくなるとなれば、貴重な一枠──オルトに対抗できる札を無駄に消費するのは避けたい。
そのため彼らになにかを施すのなら、時限制ではなくしっかりと根付いた力を授けるべきということになる。
……なるのだけれど、その場合使うのは【
うん、もろに【星の欠片】系統の力なので他人には任せられないよなぁというか?
例えばこの場に
そうなるとこの案は無しかなー、でもそれ以外の手段もなー。
……などと呻く私に、おずおずと声を掛けてきたのがキリアちゃんであった。
私の代わりに彼らの指導を受け持つ、という彼女であるが……そういえば、と思い出すこと一つ。
「……あー、【
「ええ、あれならなんとかなるでしょう?」
そういえば彼女、キリアじゃん。
……いや、ボケたとかそういうことではなく。
彼女は実写版『聖裁キリアちゃん』の『逆憑依』であることを改めて思い出した、というだけの話だ。
映画内の彼女は敵として立っていたが、その実できることなどは全て
それはつまり、彼女もまた私のように彼らを補助する力を持っている、ということ。
それも、原理については解説をしていないため、それが発揮されるのはある種魔法少女の──最近の
……つまり、前の私みたいに自分の身を削る必要が一切無いのだ。
だってそれは、言ってしまえば子供達の夢をそのまま叶えているようなもの。
そこに難しい理屈はなく、そこに複雑な理由はない。
ただそう願われたからそうなる、というだけのシンプルなものなのだ。
「一種の願望器みたいなもの、ということか……」
「そうそう。だから、下手なことを言うと私より向いてるかも知れないというか?」
「なるほど……では、この場はキリアさんに任せる、ということに?」
「まぁ、現状それ以外に上手い手も思い付かないし……任せてもいいかな?」
「はい、どうぞお任せを」
元は同じなのに、随分とファンタジーな存在になってるなこの子……などと思いつつ、四人の指導を任せる私たちである。
なお、ここでXちゃんとはお別れ。キリアちゃん一人では足りないだろう労働力を補給するため、他の住民達との交渉などをやって貰うこととする。
「……それでその、貴方はお残りにならないので……?」
「お前達には返すものがある」*3
「ひえっ」
なお、一番置いて行きたかった人は付いてくるそうです。
彼に