なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「さて、特撮村(?)から無事に出てこられたわけだけど……次の目的地はどこの予定なのかな?」
「うーん、次の予言は『朱の中から巨神は再臨する』って話になるんだけど……」
「再臨、という辺りに不安を覚えないでもないですね……」
はてさて、無事に特撮地区から脱出した私たち一行。
次に目指す場所については、今のところ目星が付いていない状態なのだが……とりあえず、現状手元にある予言から考えてみる次第であった。
予め貰っていた予言は全部で四つ。
さっきのシン・ユニバースロボ達を謳った『勇姿は青より来る』というものと、今しがた私が呟いた『朱の中から巨神は再臨する』というもの。
それから、他に二つ──『白光』と『黒雲』というそれらを含めた合計四つが、現状私の知り得る予言ということになるわけなのだが……。
「まがりなりにも予言・文章って形になってる前二つに比べると、残り二つの意味不明感が凄いというか……」
「確か……その単語だけなんだったかい?残り二つの予言っていうのは」
「……それは予言というのか?」
「ええと、予言者達が告げている以上は……多分……?」
うん、メイトリックス氏にまでツッコミを受けてしまうくらい、残りの予言は予言としての体を為してないというか?
……そう、さっきの二単語は文章の頭部分だけを語ったとかではなく、真実
正確には、予言として与えられたのが単語──それを連想する情景だけだった、というか。
前二つがある程度文章になっていることもあり、余計に残り二つの尻切れトンボ*1感が強まっているというわけである。
一応、予言者組の取り纏め役でもある桃香さんに聞いたところによれば、
「いやー、それがですね?残り二つに関しては向こうから干渉されているのか、はたまた彼らのいる場所の問題なのか、それらがいると思われるロケーション以外について全く不明なんですよねぇ」
「はい?」
「『白光』の方は文字通り真っ白な明かりの中。そして『黒雲』の方も、文字通り光一つない暗闇の中。……辛うじて雲のようなモノの中だと判別できたため『黒雲』としているわけですが……もしかしたらどちらも全然違う場所、なんてこともあるかもしれないですね」
「えー……」
……とのことであった。
まぁ、一番最初に選んだシン・ユニバースロボの予言はともかく、その次に選んだ『朱』の予言に関しても、率直な感想を言わせて貰えば『まるでわけがわからん』となるんですけどね。
いやだってさぁ、『青』の方はまだその文体からネロちゃま──水着ネロちゃまの説明文のそれと同じ
「朱の中ってなんだ、とか。巨神って単語が凄くいやな予感がするとか、そういう方面の予測は立つけど場所の予測にはあんまり役に立ってないというか……」
「辛うじて『中から』という表現から、なにかしら赤いもの中から現れるのだ、と予測ができるくらいでしょうか……」
辛うじて文章になっている『朱』についても、正直なにか読み取れるかと言われれば微妙である。
一応、マシュの言うように『中から』という表現に着目し、このなりきり郷の中でも赤が強調されそうな場所……かつ中に入っていられるような赤、ということで炎燃え盛る灼熱の地・熔地庵を目的地に定めては見たものの……。
「炎で巨神、というとどこぞのフラれストーカーしか出てこないのよねぇ、脳裏に」*3
「主体がオルトである以上、他の四種は恐らく型月系のキャラクターではないと思うのですが……なにぶん確証もないですからね……」
「……二人はなにを悩んでるんだ?」
「唸りたいのは私も一緒なんだけどね……」
「???」
うん、炎の中から巨神、といわれると
……いや、多分ないとは思うんだけどね?
でもこう、状況証拠が揃いすぎているとどうにも疑わずにはいられなくなる、というか。
そんな風に唸る私たちを見て、わからんとでも言わんばかりに肩を竦めるメイトリックス氏であった。
「ええと、一応場所としては此処で間違っていないようです、とだけは言っておきますねー」
「はいはい、ありがとねなりきり郷ちゃん。……ありがとついでにこれから出会うだろう相手について教えて欲しいんだけどー……」
「それに関しては不明でーす。直接確かめてくださーい」
(本当に不明なのかなぁ……)
そうして唸る私たちを見かねてか、なりきり郷ちゃんが探す場所は間違っていない、ということを告げてくれるのだけれど……うーん、肝心なところをぼかされている感じがひしひしと。
いやまぁ、隠したりごまかしたりする理由がそうまで多くもないし、その場合の理由も彼女に当てはまるか微妙なのでなんとも言えないのだが。
……ともかく、ここで愚痴っていても仕方ない。
現状私たちは熔地庵と呼ばれるフロアの入り口付近に立っているわけだが、ここからこのフロア全土をあてもなしに探すとなると、相応の時間が掛かることとなる。
さっきも言ったが、そんな悠長なことはしていられない。
ゆえに、さっさと進むためにホバー移動なりなんなりみんなにさせる必要がある、ということになるのだけれど……。
「随分と上手く進むんだな、どこでやり方を習った?」
「(原作という名前の)説明書を読んだのよ」*4
……うん、うーん?
あれだ、なんかこう変な方向に修正を食らっているような気が……?
とりあえず、今回迅速な移動のためにみんなへと付与したのは『
本来これは空に浮く、というだけの効果を持つモノなのだが……そこにさらに背中に風の噴出点──婚后さんの『
……え?超能力と魔術(魔法)を一緒に使うとヤバイんじゃないかって?*7
その辺りの負荷・負担を無限死で踏み倒せるのが【星の欠片】の良いところだよネ☆
……いや嘘。嘘付きました。現状マシュの目の前でそんなことしたら死ぬほど怒られるので別のやり方してます、はい。
『だからッテ私みてーなノ作るのモどうかと思うガナー』
「ええと……チャチャゼロさん、のような?」*8
「いいえ、それを参考にした『キーあん』です」
そのやり方というのが、能力の使用者を別個に用意する、というもの。
……従者というよりは『ストレイト・ジャケット』における
え?突然専門用語ばっかで意味がわからん?
まぁ、雑に言えば小さい私が増えました、くらいの感覚でいいよ。下手に増やすとあれだから、正確には二重人格を切り分けた、くらいの意味合いの方が近いけど。
「……それ、余計にややこしくないかい?」
「私と同一だけど同一じゃない、っていうややこしさを表そうとするとどうしても一言じゃ説明できなくなるからね。それならまぁ、ちょっと分かりにくい方がいいんじゃないかなーって」
「説明を放棄しているだけなのではー?」
ええいうるさいうるさい。
隣でキーあんが『けケッ、ご主人ハ随分
……ともかく、本来一つの存在が同時に魔術ないし魔法と超能力を同時に行使することで発生するダメージを回避し、上手いこと運用するためにキーあんが生み出されたというのは事実。
恐らくここでの用事が終われば消えるだろうけど、それまでよろしくねと改めて挨拶をさせたのだった。
「…………」
「ところでそこの少女はなんで真っ白に燃え尽きている?」
「あー……彼女のことはスルーして頂戴。死ぬほど尊さにやられてる」*10
「……なるほど」
なお、マシュがキーあんを見て暫く固まったのち、ほんのり笑顔を浮かべて真っ白に燃え尽きていたが……彼女の思考回路はわからない。
多分心にアグネスデジタル*11でも降りてきたのだろう、多分。