なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
尊死したマシュの復帰を待っていては日が暮れる……ということで、キーあんに支えて貰いつつそのままホバー移動。
灼熱の大地を眼下にしながら、私たちは熔地庵を奥へ奥へと進んでいく。
……うん、その灼熱の大地、ってので気付いたのだけれど。
「……これ、よく見たら溶岩じゃないね」
「ふむ?……なんと、まさか加熱された水飴だったとはねぇ……」
どうにも、暑さが以前より弱いような?
そんなことを思いながら、腕に魔力の膜を纏わせ赤熱する粘性のそれを一掬い。
……その結果、それが溶岩などではなく水飴──正確には熱せられた結果熔け出した飴であることに気付くことになったのだった。
そりゃなんかこの前より暑くないなー、なんて感想にもなるというか?*1
いやまぁ、それでも素手で触れたら火傷じゃ済まないんだけどね?
……ともかく、平時と変わらないように見えた熔地庵もハロウィンの影響をしっかりと受けている、ということを認識した私たち。
この分だと思わぬ変化に
「おい見ろよ小松!こいつはマグマキャンディじゃねぇか?!お、あっちにはショコラストーンがいっぱいだ!」
「ま、待ってくださいトリコさん!流石にこんなに暑いところをそのまま進むのは僕には無理ですよ~!?」
「……なんかこう、あんまり見えてほしくないキャラがいたような気がするんだけど?」
「スルーしておこう、今のところ本筋に関わりそうではないし」
なお、その道中で美食家っぽい二人が見えたりもしたが、精神安定を取ってスルーした。
あの世界わりととんでもないからね、少なくともオルトがいる状況で混ざって欲しくはないから仕方ないね。*2
はてさて、飴の溶岩の上をひたすらに飛び続けるが、今のところ目的の相手らしき影は見当たらない。
道中なにを思ったのかマフティーダンスをしている荼毘君……もといヒードラン君と遭遇したりしたものの、彼からも有力な手掛かりは得られなかった。
「寧ろなんで踊ってるの、ってツッコミを入れる羽目になったというか……」
「『荼毘ってキャラは踊るものなんでしょ?それにハロウィンって言ったらこの踊りだとか?』……だったか?なんというかこう、話には聞いていたが……」
「聞いていたが?」
「……想像以上に荼毘らしからぬキャラ付けだったな」
それは確かに。
……まぁ、そういうキャラだからこそ特に不自由を感じずに過ごせている、という部分もあるのだろうからこっちとしてはスルーするより他ないわけなのだが。
ともあれ、違和感に首を傾げるライネスはスルーして、そのまま残りの見れていない箇所を目指して進む私たちである。
「今までは入り口からまっすぐヒードラン君のところを目指して進んでたから……」
「北か……」
「メイトリックスさんの言う通り、向かうなら北側だろうね」
即席で作った地図を前に、向かう方向を調整する私。
先程は入り口から東進してきたわけだが、そうしてたどり着いたのはフロアの奥。
ここから壁……壁?沿いに北へ向かい、壁に突き当たったら南、また壁に当たったら今度は西……という風に、四隅を綺麗に埋めていく形で進むのがいいだろう。
……え?それだと中心部分を確認しきれなくないかって?
それに関しては心配しないで貰いたい。なんでかというと、
「ハロウィンという言葉に騙されそうになるが……やはり蜘蛛は蜘蛛だな」
「だねぇ。……一応、各階層間は次元断層になってるはずなんだけどねぇ」
ちゃんとした階段からじゃないと、他の階層に移動はできないはずなんだけど……。
この感想からわかるように、オルトはなんと各階層をそのままぶち抜いて進行しているのである。
ある意味七章の再現のようなもの、とでも言えばいいのだろうか?
まぁ、特に目指しているモノがあるというわけではなく、フロアの中心部に空けた穴を上に下にと移動しているだけ、のような状態なのだが。
……中心部に建造物のなかった熔地庵はともかく、他のフロアの中心部には普通に建造物が存在したため、それらはオルトにぶち抜かれた結果大穴と化している。
一応、なりきり郷内の『非殺傷設定』はオルトにも適用されるようで、その時の衝撃で命に関わる怪我をしたという人はいないようだが……代わりに、超近距離であのオルトの波動を浴びせられる結果となったため、それらの人々は漏れなくハロウィン化してしまってもいる。
あれだ、七章で言うところの空想樹の種のポジションにされているというか?
「まぁ、やることは周囲の生物の殲滅じゃなく、周囲の生物のハロウィン化だけど」
「言葉の上だけだと意味不明だけど、その実やってることはオルトの力を応用しての洗脳みたいなものってわけだ。オルト本人をどうにかしないと解除できない永続効果、みたいなものだと考えれば質が悪いどころの話ではないね」
人の生き死にに関わらないだけで、結局オルトの存在維持に使われているのだから問題しかない……というべきか。
ハロウィンが終わらないということは、あそこでうろうろしているオルトが消える余地がなくなるということ。
生きることにとかく貪欲であるオルトらしい、悪辣な自己保持方法だと言えるだろう。
……いやまぁ、やってることはハロウィンを永遠に続けるためハロウィンから抜け出せない人間を増やしている、という微妙に緊張感を削がれる行動なんだけどね?
ともあれ、いつもの
やっぱりオルトはオルトだな……などと、FGOでのオルトの活躍を知らない人からすれば『なんか抱く感想おかしくない?』みたいなことをぼやきたくなる私なのであった。*3
「まぁ、オルトの話は一先ず置いておいて。目的の相手、どんなのだと思う?」
「また急な話題転換だな……俺は強いやつ、と答えておこう」
「その心は?」
「ドンパチするならデカイ方が映える」
「……それは確かに」
とはいえ、未だ私たちはオルトに挑む権利すら与えられていない状態。
拡大するハロウィンに関しては、同じエネルギー(?)を持つため対抗できるエリちゃんずにお任せし、私たちは他の四つの予言達を探す仕事に戻ることにする。
……で、その流れで件の四つの予言──その対象となる存在達への考察に話が移行するわけなのだけれど。
最初彼らが『隠れたトラブルの種』と言われていたことからわかるように、彼らは素の状態だとこちらに協力する気のない、ともすれば自分達が新たなトラブルを引き起こすような問題児達である。
幸い、一番最初に出会ったシンゴジ君達は、そもそもなにかしらの被害を巻き起こそう……みたいな意思のない状態であったが、他の面々までそうだとは限らない。
その場合、相手が協力する気になるようにしなければならない、ということになるだろう。
シン・ユニバースロボ達ならば彼らの成長を必要とする、みたいなことが他の三つでも起きるはず、と言い換えればいいかな?
で、そんなことをする必要性がある──それをする価値があるということになると、四つのトラブルの種はそれらが力を合わせることでオルトを撃退するに足る力を持っている可能性が高い、ということでもある。
そこら辺を鋭く感じ取ったメイトリックスさんは、これから出会うだろう相手も大きく強いはずだ、と告げたわけである。
……ただねぇ?
この人の口からその類いのことを告げられると、なんとなく彼こそがその『トラブルの種』当人なんじゃ、みたいな気持ちも少なからず湧いてくるというか。
「あー……ムキムキマッチョマンだもんねぇ」
「ムキムキマッチョマンだからねぇ」
うん、往年の中の人なら無敵で最強、みたいなイメージも少なからず存在しているというか?
流石にオルト相手にどうにかなる、とは思いきれないけど……でもここのオルト、戦力的には遥かに弱いからなぁ。
だったらある程度の戦力が四つ揃ったらどうにかなりそう、とも思えなくはないというか。
そんなことを考えながら、ホバー移動しつつ北へと向かう私たちなのであった。
「…………」
その威容を前に、私たちは息の呑んでいる。
唖然、と言い換えてもいいかもしれない。それくらい、目の前にあるものは非常識だった。
正直、冗談めかして言った『ここでの探し物はもしかしてメイトリックスさんなのかも?』という言葉が本当であった方が幾分かマシ、というか。
……いやまぁ、メイトリックスさんと出会ったのはこことは違う階層。
すなわちなりきり郷ちゃんの『探し物はこの階』という言葉と微妙に噛み合わないため、あり得ない話なのはわかっているのだが。
……ともかく、こんな微妙な現実逃避をしてしまうくらい、私たちの目の前にあるものは異常であった。
それは、三つのメカが合体して出来上がる巨大なロボット。
装甲車・タンクローリー・バス。それらの三つが合体し、町内の平和を守る(大嘘)──。*4
すなわち、伝説巨神イデオン。
それこそが、現在私たちの前に鎮座するロボの状態で。
……一ついいかな?そういえば一年目のハロウィン以来ですね貴方!!(涙目)*5