なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「マシュ!」
「お任せください!貴方が邪神であるのならば、この白亜の城塞に傷一つ付けることはできません!!」
通常攻撃扱いで縮退砲が飛んでくるのは想定外かなー?
そんなことを思いながら、こっちも強化形態のマシュをガンガン前に突っ込ませる私である。
とはいえ、このスーパーどころかハイパーなマシュも時限強化、いつまでもこの強さってわけではないので決着は早めに付けたいところ。
……っていうか、じゃないとこの訓練場倒壊しそう感凄いというか。
いやね、縮退砲が通常攻撃にランクダウンされてるってことは、要するに
……うん、ヴォルクルスの武装集を見たことがある人はわかるかもしれないけれど、彼の武器ってなんというか規模が狭いんだよね。
少なくとも、演出的にはネオ・グランゾンに遠く及ばないレベルというか。*2
一応、破壊神たるサーヴァ・ヴォルクルスの攻撃は形あるモノに対して特攻──剛性を無視して崩壊させる呪詛のようなものを含むとされ、派手な攻撃をせずとも相手を倒すには十分、みたいなところもあるのだろうが……。
やっぱり見た目的にちょっとショボい、というのは否めまい。比較対象が縮退砲だから余計に。
さて、そんなヴォルクルスがネオ・グランゾンの力を手に入れたとなると、これまた話が変わってくる。
物理的な破壊力の最高峰とも呼べる超新星爆発に、それによって生じるブラックホール──超重力によって引き起こされる潮汐分裂。*3
この時点で生半可な防御は無意味だが、そこにさらに邪神の持つ呪詛による防御不可特性が加算されるわけだから──これを防御することは、最早あらゆる存在にとって無理難題と化していることだろう。
先の『物理法則の極致として処理されるため、架空の想念である『逆憑依』では本来一秒も耐えられるものではない』という話も含め、この場にいる存在にはまさに手の打ち用のない存在として猛威を振るうはずだった、というわけだ。
「それを貴方が押し止めた、と?」
「何度か言うように、現実ってのは【
無論、それをどうにかしたのがシュウさんの言う通り私である、ということにもなるのだが。
先ほどの行動──唐突な特殊技能の開帳。
使ったのは【偽界包括】の限定起動だが、これには大きく分けて二つの意味がある。
まず一つは、マシュに対して並行世界へのアクセス権を与える、というもの。『星女神』様達の持つ【偽界包括】と同じものであるこれは、その時に説明した通りに
成長していない自分、成長した自分。
強くなったり弱くなったり、はたまた男性であったり女性であったり。
可能性として──それが例え一パーセント以下の微細事象であれ、
……分かりやすく言うと、原作じゃないけど原作とまったく同じもの、というか。
ともかく、これに繋がることはすなわち数多の異世界と繋がることと同義。
それゆえ、マシュは先の宝具──『遥か至りし夢想の城』を展開するに至った、というわけである。これが一つ目。
そして二つ目──これは相手の優位を削ぐためのもの。
すなわち、相手の絶対性を阻害するためという意味合いになる。
これは、【星の欠片】そのものの特性がそうさせる、というべきもの。
彼らは一人の存在のために世界を作りたがると言ったが、その性質上
……実際は滅びと言っても穏便な交代劇なのだが、ともあれ【星の欠片】の顕現が今という法則を揺るがせる切っ掛けとなりうる、ということに違いはあるまい。
──そう、
ゆえに、今のヴォルクルスが使う縮退砲に、本来ほどの絶対性はない。
少なくとも、私が【偽界包括】を使い続けている間は、本来の性能の千分の一もろくに達していない、ということになるはずだ。
まぁ、それでも人一人が抗えるような規模のモノでないのだが、今のマシュはそれができるぐらいに強化されている……ってわけで。
ただこれ、実はわりと深刻な問題がある。
「ふむ、それはもしかして、貴方の
「まぁ、端的に言うとね。そういう法則の世界にしているってだけだから、特定の一人だけを強化とかはできないんだよね」
より正確に言えば、
何度も言うが、【星の欠片】は
それゆえ、その恩恵だけを抽出するのは至難を極めるのだ。
そこに注視しすぎると、結果として他のものを滅ぼし尽くしてしまうがゆえに。
……正確に語るならば
それを避けようとするなら
その結果、敵も味方も相応に恩恵を受けるように設定しなければならなくなる、ということになるのであった。
つまり、現状の邪神があれほど無茶苦茶をしているのは、その実私のせいでもあるということ。
無論、並行世界からの自身との同調はさせていないが……代わりに、科学法則より異常法則の方が優先される、という性質は利用されてしまっている。
わかりやすく纏めると、邪神が今放っている縮退砲はその実『魔術によって構成されたもの』である、ということになるか。
それゆえ、ヴォルクルスの性質に強く影響されており、マシュ以外のメンバーでは迂闊に触れることすら危険になっている、と。
……まぁ、『遥か至りし夢想の城』の効果で敵対する悪属性対象の攻撃は激烈な威力の減衰を受けているので、実際はそこまで怯える必要もないのだが。
「とはいえ、彼女の強化が時間制限のあるものである以上、なにかしら攻勢に移っておきたい……ということですね?」
「流石はシュウさん、話が早い」
ただ、それは言い換えるとマシュには攻撃に移る暇がない、ということ。
張り切って全部ガードしてくれているが、状況だけ纏めると私が行動する以前とほぼなにも変わっていない、ということですらある。
いや、ハッキリ攻撃に移る暇がない分、先ほどよりも戦局は悪化していると言い切ってしまってもいいかもしれない。
仮にそんなことするとマシュが「そんなぁ」と凹んでしまうため、口にはしないが。
「ええ、戦局の悪化と言いますが、彼女がああして張り切ってくれないことにはそもそも勝負にすらならない。──それで?そんな状況を深く理解する貴方は、私に一体なにを求めるのですか?」
そうして状況を纏め終えたのち、こちらに不敵な眼差しを向けるシュウさん。
それを見返しながら、私はこれからの作戦について口にしたのだった──。