なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「正直すまんかった」*1
反省はしている、反芻はしていない*2……と銀ちゃんに謝りつつ、街を歩く私達。
いやでもあれだよ、ノれる時には極端にノっていけ、が家訓だから、あそこでノらないのは失礼かなって思ってだね?
「それで俺が取っ捕まってたら、どうするつもりだったんですかねぇ……?」
「ほい」
「あん?……免許?」
「ほら、未成年だと思われるのがアカンねやから、未成年やないって示せばええわけやん?」
「なるほど……つーか、なにそのエセ関西弁?」
「都合よくウチピンク髪やし、茜ちゃんのお仕事奪ってこーかなーと」*3
「はぁ?」
不機嫌そうな銀ちゃんに、見捨てるつもりはなかったんだよー、と免許を見せる私。
……うん、外のお仕事する時に作った奴だから思いっきり偽造品だけど、一応私は世間一般的にこの名前の女性、として認知されているのは確かなわけで。
まぁ、郷の中でしょっぴかれるとか、よっぽど無茶苦茶やんないとあり得ない話ではあるんだけどね!
誰かに対する攻撃的な行為だって、基本的に超次元サッカー*4くらいにまでダメージ減るわけだし。……それはそれで危ない?なんのことやら、相手は単なるサッカーですぜ?()
なにはともあれ、郷の中で
……
「……あー、元々
「どうだか。仮にランス君*5とか居たら、問答無用で凍結処理になるかもー、とかゆかりんが言ってたけど、幸か不幸かそういうのは見たことないって言ってたわよ?」
「……fateは」
「fateは健全作品、いいね?」
「アッハイ」*6
ふぅ危ない危ない。銀ちゃんの迂闊な発言に心臓が止めるかと思ったよ。
えっちぃ話はノーセンキュー、fateは裏表のない健全な作品です、
……一般向けの作品が存在する対魔忍は、健全扱いしていいのか、ですって?あー、うん。……うーん?*8
……うん、わからん。
直接的な行為がないなら健全扱いでいいんじゃないかな、私にはよーわからん。なにせ昨今はぬきたしがウルジャンで連載するくらいである、正直私には基準がわからねぇ……。*9
普通のジャンプ作品でも単行本になるとはっちゃけ始める作品もあるし、なんというか私にはわからん、としか言いようがないのだぜ……。*10
──わからんしか言ってないなこいつ?
「おーい、いい加減戻ってこーい」
「……おおっとありがと、それとなに銀ちゃん?カップル御用達のカフェでも見付けた?」
「ちげーよ、なんで今回執拗にそっち方面で弄ってくるんだよ……」
「え、わかってないの?」
そうして上の空で歩いていたら、手を引かれる感覚に意識が戻ってくる。
振り返れば、銀ちゃんに右手を捕まれていた。
……目の前を通行人が横切って行ったので、前方不注意を咎めていたようだ。
軽く礼を述べたのち、彼が視線を私からずらしていることに気が付いて、その視線の先を追いながら声を掛ければ、こちらの言葉に「は?」という声を彼は漏らしていた。
……むぅ、これは私が知らないと思っているらしい。ならば彼の恥部をさらけ出さねば!
「いや、だって確か神楽ちゃんポジでX1.5ちゃんを雇い入れた、って聞いたんだけど」
「ぶふっ!!?」
思わぬ方向からの一撃だったのか、思わず咳き込む銀ちゃん。
とはいえ、X1.5もとい謎のヒロインXちゃんを彼が雇った、と言うのはゆかりんからも確認が取れている、信用できる情報である。
XとXXのちょうど中間点くらいの発育の彼女を見て、劣情とかを催さないー、というのはそれはそれで問題があるような?
……みたいな感じに、ちょっと彼の男性機能の不調を疑ってたりしなくもないのである、こっちは。
なので、彼女とは方向性の違うロリ気味な私にだったら靡くのかなー、とちょっと試してみたというわけなのだった。……遊んでるだろうって?なんのことやら。
「いやおまっ、いやおまっ!!?なに言ってんの?!流石にちょっと俺のキャパ越えてんだけどッ!!?」
「ほら、原作でもあったじゃん?銀ちゃんとよく似た顔の子供を見付けて冷や汗掻くって話。あれで冷や汗掻くってことは、それなりに経験が……」*11
「どわぁぁあっ!!!?この作品は健全な作品ですゥゥゥゥッ!!!」
「へぶっ!?」
なお、そんな銀ちゃんの女性遍歴への弄りは、彼の飛鳥文化アタック*12により強制終了させられるのでしたとさ。
……んもー、照れなくてもいいのに。
え?照れてない?あの性格だから扱い的には本当に神楽と同じ?……せやな!*13
「……なんで俺は、朝っぱらからこんなに疲れてんだ……?」
「大丈夫銀ちゃん、仮面いる?」
「いやなんで仮面?……って、これ蜻蛉のやつ*14じゃねぇか、いらねぇいらねぇいらねぇわ、必要ないから捨てちまえっ!!*15」
「ああっ、高かったのに……」
渡された
今はお疲れモードな銀ちゃんにエネルギー供給させるために、近くの喫茶店に立ち寄ったところである。……この人、ホント甘いものしか食べないな……。
店のおすすめであるというストロベリーサンデーを黙々と食する銀ちゃんを横目に、特になにを食べているわけでもない私は、店内をなんとはなしに見回してみる。
……ふむ、あそこで皿を積み上げている二人組は、孫悟空にオグリキャップ……だろうか?*16
生憎ウマ娘には詳しくないので、正確にこれ!とまで言えるほどの自信はないので、もしかしたら違うのかもしれないが。
でも確かプリティって付いてない漫画版の主人公*17、というのは知ってるので、そこまで間違いでもないような気もする。……自信があるのかないのかどっちだよ、というツッコミが入りそうなので口にはしないが。
それにしても、基本的に軽食しかメニューにない喫茶店で皿を積み上げるほど食べるとか、店に大迷惑だから止めてあげなよ感が凄い。
……のだが、対する店の店長らしき方は、鼻唄混じりに調理をこなしているので、あまり問題はないのかもしれない。
パフェ系がメニューにあるくらいだし、喫茶店だけどしっかりした店……なのかもしれんね。*18
なんてことをボーッと考えながら、新たに皿が積み上がっていくのを眺めていると、パフェを食べ終えた銀ちゃんが、こちらの視線を追って行くのが見えた。
「なに見てんだ?……っておお、ウマ娘か。居るもんだな、意外と」
「オラ、サル息子だ!」
「いやなんの張り合いだよ、飯の食いあい見てるだけでこちとら胸がいっぱいなんだよ、摩訶不思議過ぎんだろうがお前らの胃袋」
「私の胃袋は宇宙……なのか?」*19
「なんで疑問系?それはまさかあれか?今のは八分目ですらない、みたいな余裕の現れなのか?」
「お、落ち着いて銀ちゃん」
おおっと、今日は基本的にツッコミモードな銀ちゃんなので、向こうの集団の底無しな感じの食欲に、ちょっと疑問を持ってしまったようだ。
関わりすぎるとまた銀ちゃんの機嫌が斜めになるので、ほどほどにして彼らから離れる私達。
……離れた途端に皿がまた積み上がり始めたが、とりあえず無視。これ以上銀ちゃんにぷんぷんされると、下手すると伝説のギンタマンに進化しかねないし。
「いや止めようね?流石の俺も本物の前で、あのパロを披露する勇気はないからね?」
「……?こっちもあっちもなりきりなんだし、別に構わないんじゃ」
「そうだけどそうじゃねぇんだよっ!!」
むぅ、難しい。
怒っているわけではないが、冷や汗を掻いている銀ちゃんを連れ、そのまま喫茶店の外に出る私達。
腕時計を見て時刻を確かめれば、まだお昼にもなっていない十時前くらいを針が指していた。
……ふぅむ、このまま街を散策してたら、ちょうどいい感じのお昼の時間になるだろうか?
「じゃああれだ、私の趣味に付き合って貰おう」
「趣味?キーアの趣味っつーと……」
と、いうわけで。
やって来ました眼鏡屋さん!
ふふふ、ここにある眼鏡はコラボ系を越えた実用系・眼鏡が生命線となるキャラ達のために、日夜眼鏡を研究開発する、眼鏡スト達の最前線なのだ!
初めて見た時は、そのあまりの神々しさにひれ伏してしまった私だが、今回は余裕を持って優雅に店内を回りたいと考えている。なので平常心平常心、と小さく深呼吸をするのです。
……おや?銀ちゃんが心なしかげんなりした表情を浮かべている。
ちっちっちっ。ダメだなぁ銀ちゃん、この聖域でそんなテンション下げ下げとは。眼鏡の威光に気後れするのは仕方ないけどね!
「な・の・で、眼鏡どうぞ☆」
「なにが『なので』なのかわかんねーんだけど、そういやキーアの趣味って眼鏡布教だったっけか……」
「そだよー。私も読書用の眼鏡も持ってるしね」
「……いやまぁ、似合ってるけどよぉ」
なので、スチャッと
そのまま眼鏡を崇めよ・眼鏡を欲せよ・さすれば汝・与えられん──みたいな言葉を紡げば、彼のげんなり感はますます増していくようだった。
……むぅ、そもそも銀ちゃんってば、銀八先生やってる時は眼鏡掛けてたはずだし、そんなに頑なに固辞することないと思うんだけどなー?
別にいつもいつでも掛けてなさい、って言ってるわけでもないんだしさぁ?
「……お前さんの眼鏡愛、時々どっかの海賊思い出すんだよ……」
「へ?……な、なん、だと……!?」
などと腕組みしながら考えていたら、彼から返ってきたのは衝撃の言葉。
……え、ここで言う海賊って、もしかして彼?……マジで?
どこぞのメカクレ好きーが脳裏で「君もメカクレにならないか」とか言っているのが浮かび、思わず背筋が凍る。
「ままままマジで言ってるそれっ!!?」
「うん、時々怖い」
「……あ、あー、なるほど。……はい、自重します……」
「そーしてくれ。まぁ、たまになら付き合うから」
「うぃー……」
まさかアレと同列扱いされているとは……。
できる限り押し付けたりはしないように気を付けていたつもりだけど、周囲から言われてしまえば反省するほかない。
意気消沈としつつ、私は銀ちゃんに似合う眼鏡を探し始めるのであった……。*21