なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
──過激にファイヤー!……とでも言えばいいのだろうか?*1
そんな冗談が脳裏をぐるぐる巡る今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか?
私は現在、なんか炎の巨人みたくなってるイデオンと対峙中でございます。……スルト君かな?*2
「まぁ、イデオンもある種の終末装置ではあるが……ともかく、あれはどうなった結果だと思う?」
「うーん……仮にあのイデオンが外側だけ・つまり器しか無かったんだとすれば、そこに余計なものが流れ込んでしまった結果とか……?」
冗談はともかく、機体の各部から炎を噴出しながら進むイデオンは控えめに言って地獄の一言である。
なんでそんなことになったのかというと、恐らくは中になにも無かったからこそ余分なものが入り込めた……みたいなことになるのだろう。
実際、さっき私が言っていた『私がエネルギー源になって動かす』という案も、中になにもいないことを前提としたものではあったわけだし。
ただ、仮にそうだとするとあのイデオンの中には現在なにがいるのか?……ということが新しく問題になってくるというか。
イデオンという存在が本来まともに動くようなものではない、というのは以前説明した通り。
そこら辺を埋めているのが超エネルギーである『イデ』だったわけだが、となると今あのイデオンを動かしているのはそれに匹敵しかねないなにか、ということになってしまう。
……冗談で出したスルト君、という呼び方が冗談にならない感じとでも言えばいいのだろうか?
「ふむ、敢えて言語化するとすれば……炎の元素の精霊のようなものが内部に入り込んだ可能性がある、ということになるのかな?」
「まぁ、四大元素クラスの存在だと仮定するのが丸いのかなぁ」
もしくは、そう思う周囲の想念がそうさせている……みたいな?
周囲の溶岩達をある種の自然の脅威──神威と見なせばそれが神格を持つこともなくはないだろう。
そうしてきっかけが生まれれば、【兆し】との相乗効果で『そういうもの』を呼び寄せてしまう可能性は十二分にある。
……ただその場合、現在あのイデオンに含まれる炎は
「ふむ、なにを原典とした存在なのかわからない……と?」
「どころか、これからなにかを原典にして発現する……みたいな感じになるかも?……モノによってはエグいのが発現しかねないというか」
「なるほど、瓢箪から駒ということか」*3
例えとしてスルト君を挙げていたが、それが本当になる可能性も普通にあるというべきか。
……いや、スルト君ならまだマシで、炎型の生命体ということで『ヴァンパイア』シリーズのパイロンだとか、はたまた『X-MEN』シリーズのフェニックス・フォースだとか、そういうもっと危ない類いの存在になる可能性も否定はできないのだ。*4
なんてったってイデと比べられるような相手だからね、仕方ないね!……仕方なくなんかないが???
ともかく。
今の状況ではあのイデオンになにが含まれているのかは不明。
ゆえに対処は後手に回るか、はたまた
「……ん、いや待った。その言い種だとまさかとは思うが……」
「うむ、私が思いっきり吹っ飛ばすのが一番簡単だと思うよ?その場合あの器ごと吹っ飛ぶだろうから、後でイデに無茶苦茶キレられそうだけど」
「できれば遠慮願いたい話だな……」
……うん、後者の方は簡単だけど選んだあとのことまで思うと選ぶべきじゃない、みたいな感じだが。
なにが含まれているかわからない以上、火力的には申し分なくともネオ・グランゾンで攻撃するのは避けたい。
となれば、彼の代わりになりうるのは私くらいしかいない……という単純明快な答えであるわけだが、それはそれでやり過ぎるのが目に見えているのでなんとも。
……と、そこまで考えて思い浮かぶ案が一つ。
「……あ、そっか。【偽界包括】使えばいいのか」
「ええと、それは確か
「うん、
まぁ、本家本元の『星女神』様とか『月の君』様のそれと比べると、ある程度の観測が必要になるんだけども。
……とはいえ、それでも相手に対処するために
なんならもっと時間を掛ければ相手の成長後の姿を用意する、みたいなこともできるので汎用性の高さは折り紙付と言えるだろう。
下手に私が攻撃するより、遥かに安全にことを終えられるはずだ。
……問題があるとすれば、他二人のそれと比べると私のそれは発動までに時間が掛かる、ということだろうか?
あの二人の場合は過去とか未来・平行や並立・壁差に至るすべての軸において『現れた』のなら『記憶する』から。
……分かりやすく言うとタイムラグが一切ない、どころか寧ろ生まれる前から知っている、のレベルになるというか。
「まぁとりあえず。穏便に解決する方法を用意するから、その間の時間稼ぎよろしくー」
「軽く言ってくれるなぁ……」
いやまぁ、そっちも大変だろうけどこっちも大変だからね、仕方ないね。
「……仮称ファイヤー・イデオンから攻撃の予兆!恐らくは純粋な格闘かと思われます!私が受け止めますので皆さんは退避、ないし反撃の準備を!」
『まったく、手加減をするというのも中々難しいものですね』
立ち止まって【偽界包括】の準備をする私の目の前では、こちらに対して敵対行動を取り始めたイデオンに対処するみんなの姿がある。
相手がなにを思って攻撃してきているのかは不明だが、ともあれ降りかかる火の粉は振り払わないわけにもいかず、主にマシュを中心とした迎撃体制が組まれていたのだった。
……え?なんでマシュが主体なのかって?
相手の火力的にマシュで十分抑えられるというのが一つ、それから立ち止まる私の防衛ということで彼女が張り切ったのが一つ。
最後に、唯一の機動兵器を持つシュウさんは補助に回って貰うように示唆したのが一つである。
それぞれ上から順に、あくまでもイデそのものが動かしているわけではなく、効率の面で穴があることから火力が下がっているという点。
それから、マシュの防御力は本人のテンションにも左右されるため、現在の張り切り具合だと仮に向こうがもう少し火力が高くても問題はないだろうという点。
それから最後に、下手に反撃できないシュウさんは周囲の隙を消すように動いてくれる方がありがたいという点などから、この運用が自然と決まった形である。
まぁ、巨大兵器に対して切り払いができるだけありがたい、みたいな感じというか。
ともかく、今のところは危なげもなくファイヤー・イデオン?とやらの攻撃を凌いでいる一行。
この分なら私の技能チャージも滞りなく終わりそう……などと考えてしまったのがフラグだったのか。
『……不味いですね、歪曲フィールド全開!』
「っ、其は全ての疵、全ての怨恨を癒す我らが故郷──顕現せよ!」
奇妙な音と不気味な光。
突如イデオンから発せられたそれに、警戒を露にする一行。
それもそのはず、光はともかくとしてその音の方は、イデオンの特徴的な攻撃の一つが飛んでくることを知らせるものだったのだから。
──イデオンソード。
右手から放たれる極光の剣は、文字通りの無限射程を持ってして相手を両断せしめる裁きの一撃である。
単純に無限射程である、というその属性のみで無下限すら突破しかねないその攻撃は、なるほど生半可な対処では防御しきれぬ一撃だと言えるだろう。
無論、今目の前にいるイデオンはイデを宿さず、ゆえにその一撃も本来のそれに比べれば遥かに劣化している。
……しているが、それを補うように燃え盛るその一撃は、本来のそれとはまた別の方向でこちらに危機感を煽るものでもあった。
「……くっ!!」
『なんという高温……これは迂闊に受けられたものではありませんね』
それもそのはず、このイデオンソードは圧倒的な火力と射程を失った代わりに、熱による継続ダメージなどを発生させられるようになっていたのだから。
一撃そのものの熱は防げても、それによって熱せられた周囲の空気までは防御しきれない……とでもいうべきか。
一応、歪曲フィールドの効果で熱を近付けさせないようにしているものの、もし仮にフィールドを破られでもすれば、周囲の溶岩地帯よりも遥かに高温なその熱気を直接ぶつけられる……なんてことにもなりかねない。
なりきり郷そのものの効果により、その熱気で人が死ぬことはないだろうが……逆に言えば、死ねない状態で熱気の中に放り出されるようなものであるともいえる。
強制的にサウナに放り込まれた上、そこから逃げることも叶わないとなればそのうち脱水症状や熱中症で倒れかねないというか。
言い換えると、間接的にこっちを殺す手段がある、とでも言うべきか。
「──I'll be back.」
「おいバカしっかりしろメイトリックス!それはお前じゃなく別のやつの台詞だ!」
「ぴっか、ぴかっちゅぴっ」*5
騒ぐ他の面々を見ながら、私は現状を打破すべく【偽界包括】の展開を急ぐのだった──。