なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~   作:アークフィア

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オルトの日、ある人の日

「えー、改めて配置についてだけど。私は万が一にもイデオンをオルトに触られないように、大分後方から火力支援するね」

「それはどのくらい後方から?」

「亜種のオルトが触手を推定二十キロは伸ばせるって話だから、弱体化を考慮して十五キロくらい?」*1

「それほとんど地平線の向こう側では???」

 

 

 いやだって、実際にそれくらい伸びるかもって言われてたし……。

 その距離で咄嗟に避けるのが困難な位の速度で触手を伸ばしてくるというのだから、そりゃまぁ安全を取るならかなり離れないと危ないというか。

 人間大ならともかく、ロボットみたいな大型の存在が咄嗟に動くのは難しいんだからさもありなん。*2

 

 一応、イデオンを利用する関係上距離による攻撃の減衰、みたいなことを考えないでいいのは有難い。

 私自身はイデではないけど、【星の欠片】そのものは普通に無限力の一つと言っても過言ではないので、武装の取り回しそのものには差異はないだろうし。

 

 一つ問題があるとすれば、届きはするけど攻撃方法は限られる……というところだろうか?

 まさか街中でミサイルぶっぱするわけにもいかないし、罷り間違って周囲の物体に被弾した時が怖すぎる。

 私が扱う以上イデオンは【虚無】の属性を纏うわけだが、それってつまりあのミサイルが全部フォトン・トルピードみたいなことになる、って話になるわけだし。独裁者かな?*3

 

 

「……イデオンのミサイルってなんか特別だったりしないのかい?」

「いんや、作中では装弾数が多いってだけで取り立ててすごい武器ではないね」

「そのミサイルはどれだけ詰まってるんだ?」

「大体一万五千」

「!?」

 

 

 うん、比較的他より弱いとは言っても、それだけありゃ大抵の相手は沈められるよねというか……。

 なにがあれって、これを私が運用する場合はミサイル達は自動装填、かつ補充が無限になってさらに属性・虚無が付与されるっていうね。

 下手するとわかりやすいガンとかソードより密かにヤバいかも?

 ……そういうわけなんで、あからさまに周辺区域への被害がヤバい(万が一打ち落とされたりするとその場で対消滅し始めるので余計のこと)ため、今回はミサイル封印である。

 

 同じような理由で、ガンも禁止。

 巻き込む範囲が広すぎてオルトがやる前に私が(なりきり郷を)破壊する、みたいなことになりかねないし。

 なんなら効果範囲が本来のイデより狭い代わりに、破壊規模が【虚無】の属性のせいで跳ね上がっているから局所に対しての危険性ならこっちのが上だろうし。

 

 

「そうなりますと……近接戦闘は無理ですから、使えるのはソードのみということになりますか」

「それも、使い方は手をまっすぐ伸ばした状態で、ビームみたいに運用する……って方法に限られるね。間違っても原作みたいに薙ぎ払うのは不可能だし、威力を絞らないといけないから扱い難しそうだし」

 

 

 ゆえに、今シュウさんが言ったように使える武装はイデオンソード一つに絞られる。

 それも、本来の使い方のような薙ぎ払いはオルトどころか周りごと切断することになるため不可、さらに込めるエネルギーを細かく調整しないとオルトに届くどころか背後の壁まで……なので扱いが難しい、といいとこなしである。

 

 ……それもこれも、私とイデオンの相性が良くないのが悪いのだが。

 いや、どっちかというと良すぎるので悪い、という方向性なんだけども。

 

 

「イデって強い精神の人達が集まってできたもので、それが求めるのは正しい生命体って感じだけど。【星の欠片】は弱い者達がそれを極めて果てに至ったもので、求めるのは進み続ける生命体……みたいな感じで、鏡写しな感じになってるんだよね」

 

 

 あれだ、嫌ってる相手ほどどことなく似てしまう……みたいな。

 私達【星の欠片】が最終的に願うのは、私達(星の欠片)を踏み越えて進化に辿り着くもの。

 強弱の差を抜きにするとゲッターに近いわけだが、求めるものの性質から無限力に近しいもの、としてイデにも対応しうるわけである。

 

 それで、イデオンは無限力(かみ)がその力を振るうための器。

 ……そのせいで、【星の欠片】が仮にこれを動かそうとすると思わずやりすぎてしまうのである。

 分かりやすくいうと手加減がし辛くなる、みたいな。……精神力(SP)の消費が十倍になるようなものというか。

 本来なら一億の私達(星の欠片)を動員すればいいところで、勢い余って十億投入してしまうようになるというか。

 ……【星の欠片】は無限の自分達を適切な数動員することであらゆる現象を模倣するもの。

 ゆえに、動員数が過剰になってしまうのは能力の制御的にはまっったく嬉しくないのである。過剰火力とか求めていないからなおのこと。

 

 あとはまぁ、イデオンという器そのものが人に対しての試練の象徴とも言えるため、気を付けないと【星の欠片】の本能が暴走しやすくなる、というのもよろしくない部分だろうか。

 長く使い続けると『倒されるべきラスボス』として行動したくなるというか?

 

 

「そうなったらオルトどころの話じゃないよね。……そうならないようにあれこれ気を遣うから、余計のこと近接戦闘なんてやれたもんじゃないし、イデオンソードも単にスイッチ押すだけ、みたいな照準合わせ以外の簡略化が必要になるってわけ」

「言ってることが無茶苦茶なんだが?」

 

 

 まぁ、その辺りは慣れて貰うしかないというか……。

 

 ともかく、後ろから援護攻撃すると言っても、基本的にはそんなに役に立つことはないだろう。

 イデオンソードで串刺しにして相手の動きを止める、くらいはできそうな気もするがやりすぎると適応化からのなにが起きるかわかったもんじゃない、状態に移行しかねないし。

 

 

「なにが起きるかわからない、とは?」

「ああうん、本来ならオルトが【星の欠片】を学んだところで問題はないんだよね。私達(星の欠片)って死にたがりだから、とにかく生き延びたいって相手とは相性が悪すぎるし」

 

 

 ……この『なにが起きるのかわからない』という言葉に反応したメイトリックスさんがいたので、追加説明。

 

 オルトが生き汚いのは皆さんご存じの通りだが、それとは全く反対の性質を持つのが【星の欠片】である。

 一際目立つ特徴である【永獄致死】がその筆頭だが──私達は死を積み重ね、死に死を被せた結果()()()死を越えたものである。

 

 それを成立させる条件の一つに、『己の生に拘らない』というものがあるわけだが……それは一つボタンを掛け違えると『成仏』などに派生するものでもある。

 今の生に執着せず、自身のなすべきことをなした結果至るのが成仏だが、そこから邪道に外れたのが【星の欠片】だと言えなくもない……というわけだ。

 

 逆にいうと、生あるものが最終的に目指すべき境地に近いものでもあるため、その理解を行うことはもしかしたら万に一つでも起こりうるものかも、ということになる。

 実際、【星の欠片】の中には本来なら仏に至っていただろう、みたいな者も少なくない。

 

 この事実が示すのは、【星の欠片】は別に特別な素養がいるものではない、ということ。

 心持ち次第では普通に至ってしまう可能性があり、そしてそれは恐らく人の進化の面から見ると恐らく退化に当たる、ということ。

 ……そこら辺が踏み台にされる理由であり、そのせいでオルトみたいな存在にはまったく噛み合わないし理解できないもの、ということになるわけである。

 特別な素養があるものはそもそもこの境地に至らない、というか。

 

 

「どっこい、オルトそのものはそれが有用ならなんでも学ぶ存在。ってことは、本来噛み合わないはずのそれを無理矢理学ぶ、みたいな事象が発生する可能性もゼロではないんだよね。結果、生と死の境界がオルトの中で流転し──」

「流転し?」

世界がオルトになる

「……は?」

「まぁ、最悪のパターンだと、って話。普通は純粋に対消滅するし自爆するだけに留まるはずなんだけど、あのオルトは原種や亜種からも離れた存在だから、【星の欠片】を理解する可能性が天文学的な確率だとしても存在しうるってわけ」

 

 

 まぁ、存在するとしてもその確率が成就するような世界は剪定──観測されないものだろうから、起こることはまずありえないのだが。

 仮にそれが許されるパターンがあるとすれば、オルトに【星の欠片】を学ばせることに意義があるような状況、ということになるか。

 

 ……個人的にはそんなものはない、って感じなのでナイナイ、と答えておきたい次第である。

 

 

「まぁ、そもそも私が不用意に長時間足止めとかしなければ問題ないって話だから、今回気にする必要性は本当にないんだけどね」

「じゃあなんで話題に出したし」

「んー、今までの傾向から……裏を掻くため、かな?」

「はぁ?」

 

 

 散々口は災いの元、と言ってきたのだからいい加減対策の一つや二つ思い付くというか。

 

 ……まぁそこに関しては詳しく語る意味もないのでスルーするとして、とりあえず私が後ろに下がるのは既定事項。

 あとは他の面々の位置取りについて、ということになるのだけれど……。

 

 

「とりあえず小松君は私と一緒に後ろ、かな。彼の場合は調理場の俯瞰のためだけど」

「確かに……今回みたいな状態ですと、なるべく広い視野を持っていた方がいいですからね」

 

 

 その辺りはすでに決まっているようなものなので、流すように説明していく。

 まぁ、その中でマシュとライネスが揃って最前線、ということを告げたせいでライネスから泣きつかれることになるわけなのだが。

 

 

*1
『空想樹海紀行 オルト・シバルバー』内での描写から。かなり離れていた主人公達にも容易に攻撃できるほどの長距離射程かつ、戦闘画面の描写からその速度もエグいのがよく分かる(普通の距離に触手を伸ばすような速度で結構な距離に攻撃してくる)

*2
反応速度的な意味でもあるが、もっと大きいのは人間大に換算した時に同じような動き、となるとロボットの大きさによっては負荷が大きくなりすぎる部分。大きくなればなるほど端から見て人と同じような動きに掛かるエネルギーは高くなる(腕を振る、というのを見た目だけ同じにする場合(≒一動作に掛かる時間を同一にする)、指先の速度は比べ物にならないことになる(そもそものスケールが違うため、同じ『腕を振る』でも指先が通過する距離が遥かに長くなる))

*3
『ガンダム Gのレコンギスタ』内の描写・装備。『フォトン・トルピード』はGセルフのパーフェクトパックに導入されている装備であり、その実態は『光子対消滅反応魚雷』──SF作品等に登場する光子魚雷である。当たると対消滅する粒子をばら蒔く危険兵器。『独裁者』は、作中のとある人物が主人公を指して述べたもの。宇宙艦隊戦ならともかく、対ロボット同士の戦闘で光子魚雷なんて出てきたらそう呼んでも仕方ないかもしれない(誤解を招く表現)

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