なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
さて、オルト戦がめんどくさい、という話を何時までもしていても仕方ないので、建設的な話を。
第一段階──叩き落とした判定を何事もなく経過させられれば、そのあとはみんなで殴る余裕も生まれるだろう。
特に最初は最悪の相性だったシンユニロボは、ここまで来ると寧ろメイン戦力にカウントされるようになる。
何故かというと、一度目の再起動を終えた扱いになるために『勇者王』の再現ではなくなる、というのが一点。
そしてもう一点が、
「戦隊もののお約束?」
「演劇上でのお約束、とも言えるかも。言い換えるなら
少なくとも、間を置かずの二連戦・かつリベンジマッチ判定ならば負ける方が難しい……とでも言うべきか。
これがもし間を空けて──他の相手と戦ってからもう一度、みたいな感じだと微妙なのだが、少なくともこの場においては戦うのはオルト相手のみ、である。
これもまた、『逆憑依』が抱える性質の一つ、と言うべきだろう。
場の雰囲気に乗る、もしくは文脈に乗るとでも言語化すべきそれは、言うなれば『再現できる状況なら自然とそれを再現してしまう』とでも言うべきものだ。
元々がなりきりである以上、原作の名場面を彷彿とさせる状況が来たなら
そういう場の空気がある種の強制力を発し、原作再現を円滑に進めるというわけである。
……で、この強制力の強さは先んじて一段階目の時に話した通り。
その再現が終わった、と判定が降りるまでは容赦なく再演しようとするため気が抜けないが、それがこちらに有利をもたらす展開ならば、黙っていてもこっちに風が吹いてくるという中々ありがたい現象ともなるわけだ。
「まぁ、こっちで意識してそうなるように仕向ける、ってのが中々難しいから上手く活用できるかっていうと普段は無理、ってなるんだけどね」
「ほう、それは何故です?」
「基本的には原作再現をしたい、っていう周囲の気持ちの発露だから。言い換えると
そんな私の言葉に、シュウさんが不思議そうに問い掛けてくる。
……いやまぁ片眉を上げて尋ねてくる形式だから、ともすれば皮肉を言っているようにも見えるわけだけど……ここで皮肉を言う意味もないので単純に聞いてきている、というのはすぐわかるというか。
ともかく、彼の疑問に答えると。
この『場の空気』とでも言うべき強制力は、ある意味その名の通りの性質を持っている。
そう、周囲が『やろう』『やるべき』『やらないと』、みたいな感じでその展開を望んでいるため、それをやるしかなくなっている……みたいな感じに近いのだ。
良い時なら単純に演劇を見るようなものだが、悪い時は宴会芸を強要しているようなものというか。
……ともかく、周囲の意見を無視できないような状況下にこそ働くもの、というのが正確なところになるのだろう。
そのため、この強制力が発生するタイミングというのはとても限られている。
少なくとも、今回みたいな『大勢の人間の目が集まっている』状況と同じくらい熱がある場合でなくては発生しない、というか。
……逆に言うと、オルトみたいに
だってみんな自然と見ちゃうからね!オルトの方を!
そして自然とその脅威を知っている人が周りにそれを教えてしまい、そのまま芋づる式に認知が高まってドン、というわけだ(白目)
……今の話からわかったと思うが、その性質上巨体を持つもの──ロボットやウルトラマンのような巨大生命体──達は必然、この強制力を発生させやすい部分がある。
単純に立っているだけ、とかなら影響も薄いがなまじ誰かと対峙している、とかになるとそのまま怪獣退治開始のお知らせ、というわけだ。
ついでに言うと、ネオ・グランゾンが暴走したのも、多分この強制力が関わっている可能性が高い。
「ほう?」
「止めて世界の理に喧嘩を売ろうとしないで。……それから今話した通り、あの場にいた人数だとそこまで強力な強制にはならないから。どっちかと言うとあの邪神が事を起こしやすくなった、くらいの話でしかないから……」
……うん、彼が気にしたって辺り嫌な予感したけど、やっぱり彼は『強制』って辺りに思うところがあったというだけの様子。
とはいえこの強制力は『逆憑依』ないしその関係者間で共有される感覚、言ってしまえば『逆憑依達の集合無意識』によるものであるため、解消しようとすると全ての『逆憑依』を全滅させる、くらいしないといけないため抑えるように促す私なのであった。
ともかく。
無数の人間による『こうなったらいいな』『こうなってしまうんじゃないか』と言うような思念が強制力となるわけで。
相手が大型生物──遠目でもハッキリ見えるからこそ、その思念が集まりやすく強制もされやすい、というのが今の状況。
それだけなら単に怪獣映画になるところだが、現状は遠くから見てもその大型生物がハロウィンに関係するとわかること、および周囲でうろちょろしているエリちゃん達に見覚えがある人達が、それを広めていることで大事には至っていない……みたいな感じというわけ。
そこから話を動かす場合、状況を進める必要があるけど……そうなるとハロウィンによるごまかしが消え、オルトという存在の危険性が再び顔を見せる可能性は大。
そんな状況下で勇者系ロボなんて出したら『これ一回目だ!?』なんて風に思う人は少なくないだろうから、その時点でゲームオーバー、ゆえにシンユニロボは出せない……というのがこれまでの話。
それがもう終わった話である……と認識されたのなら、今度シンユニロボに向けられる概念は『トラロックのポジション』ということになる。
「……それだけだと負けそうじゃないかい?」
「そこで『ロボとかは遠目からでもその存在を認知できる』ってのが効いてくるってわけ。……シンユニロボってかなり最近の存在だから、わかってることってその初報の時のCM内の描写、くらいなんだよね」
無論、トラロックは作中で相手を暫く押し留めただけとも言え、戦力として優秀かと言えば疑問が残る。
それを解消するのが、シンユニロボ側の描写。
彼らは唐突に現れた新星であり、その情報というのはそこまで多くない。
初登場時の映像で
それだけなら、短い出番過ぎて参照元としては心許なかっただろう。
それを補強するのが、彼ら自身の映画が存在する、という部分である。
「……なるほど、それぞれの作品で自身達の性能を既に示しておくことで、
「そういうこと。あれだけの戦闘力を持っている存在が集まったんだから、その合体先であるこのロボットだって強いはず……って気持ちを共有しやすくしてるって風に扱われるわけ」
その気持ちを補強するのが、CM内の描写。
……初合体補正ありきとはいえ、並みの戦隊ロボが霞むような圧倒的パワーを感じさせる動きは、そういった作品をよく知る人間ほど圧倒されたことだろう。
そこまで詳しく知らない私でも、あのCM内のシンユニロボには『強そう』なんて子供みたいな感想しか浮かんでこなかったし。
そして、イメージ先が戦隊ものであるというわかりやすい指標がこれまでの話と混ざると──オルト側の役割まで変化するのだ。
そう、シンユニロボ対オルト──シンユニロボ側に見合う敵怪獣としてオルトが選ばれたのでは?……みたいな認識に。
「そうなればこっちのもの。一度負けた判定を抜けてる扱いになってるから、言うなれば今は映画のクライマックス・強敵オルトをついにシンユニロボが打倒する……という展開が始まっているんだ、っていう風に周囲を錯覚させられるってわけ」
「そうなるとどうなる?」
「大惨事大戦だ……じゃなくて、さっきの強制力云々の話も加わってオルトを倒す隙というか流れというかが発生する、ってわけ」
そうなることを期待されているので、こちらも期待通りに動きたくなる・動けるように補正が掛かる、というか。
……雑に言うと『がんばえぷいきゅあー』みたいなノリということになるわけだが、それが実際効果的なのだから特撮万歳、みたいな。
そう考えると、初めに特撮村に行かされたのも今の展開を読んでのこと、ということになるのかなと思ってしまう私なのであった。
ハロウィン終わりませんでしたァ!
……これも永遠のハロウィンのフラグ……?