なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「とりあえず、空中にあるんならなんとでもなる!イデオンソード!」
「流石ですね、キーア。……さらに隕石は迫っていますが」
「なに考えてんだアイツゥ!?」
あれか、オルト側の生存本能が刺激され始めた結果、本来ハロウィンにしか使えないはずのエネルギーに、他の事柄への適応が生まれ始めた……とかそういう?
……そんなことを思いながら、
いやマジで、こっちの射程がバカみたいにあること&相手が隕石なので空中にあるって条件が重なってなければ、対処とか難しいどころの話ではなかったと思うんだけどこれ?
いやまぁ、トリコ君は「メテオスパイスだとぉ!?」とかなんとか言いながら、こちらが撃ち漏らした隕石を砕いたりしてたけど。*1
……そう、撃ち漏らし。
どうもこの隕石、オルトの意思によって降り注いでいるようで、主に狙っているのがライネス達になっているのである。
担がれてるライネスが見たことないくらいに顔を歪めてあれこれ叫んでいるのが見えるが、確かにこんな集中攻撃受けてたらそんなことにもなるわな、みたいな?
端的に言うとトラブルに巻き込まれて泣き叫ぶワンピキャラ、みたいなことになってる。お労しやライネス上……。*2
滅茶苦茶集中して狙われているため、隕石の頻度もひっきりなし。
その上でオルト自身も普通に攻撃してきているため、なんというか手が足りない。
いや、ソードしか使えないからってところもあるんだけどね?
幾ら射程が長かろうと、基本的には薙ぎ払い──直線上の隕石しか破壊できないため、そこから漏れたモノへの対処が遅れてしまうのである。
一応、ガンなりミサイルなり使えればもうちょっと楽なんだけど……それが不可能、というのは先ほど説明した通り。
そのため、少なくない数の隕石がトリコ君達の周りに落ちてくる、という状況が繰り返されているのであった。
「……これは私も前線に向かうべき、なのですが……」
「それを阻むように、パンプキンスケルトンが大挙してるんだよなぁ!」*3
なので、前線の援護のためにメカエリちゃんを前に出したいところなんだけど。
それを邪魔するかのように、周囲に溢れ始めたパンプキンスケルトン。
……ハロウィンゲージによる召喚、ということなのだろうがそれらの召喚に掛かるコストがかなり低いのか、それこそ溢れるような量のスケルトン達がこちらに向かっているのである。
一体一体の戦力はまったく高くないのだが、それを発生させているのがハロウィンゲージ──イデが含まれている、というのが宜しくない。
分かりやすく言うと、イデオンで触れたくないのであるこいつら。
そのため、こちらに近付いてくるスケルトン達をメカエリちゃんに排除して貰わないと、空を飛来する隕石を打ち落とす暇が捻出できず。
そうなればトリコ君が対処できる量を超過してしまい、そのままライネスごと潰されて作戦失敗になる、と。*4
というか、このスケルトン想像以上に邪魔いんだけど!?
倒せるとはいえ無尽蔵に湧いてくるせいで、前線のマシュも思うように動けてないみたいだし!
「ぐぬぬ、虚焦が使えれば楽なんだろうけど……」
「確か、対象とするもののせいで使えない……ということだったかしら?」
「まず間違いなくエリちゃんごと消し飛ばす形になるからねぇ……」
大群相手と言えば虚焦、と言いたいところだけどこの場であれをまとめて消すとなれば対象は『ハロウィン』、すなわちこの場にいるメカエリちゃんとかもまとめて消し飛ばす形になるので非推奨。
……というか、下手するとその辺のハロウィンの飾りとかまでのまとめて吹っ飛びかねないので無理、みたいな?
そういうわけなので、誰かしら一騎当千の存在を引っ張ってくる必要性があるんだけど……それすら封じるように、オルト本体の『祭事渓谷』が邪魔をしてくる。
そう、予め対処をしてない人間がオルトに近付こうとすると、ハロウィン属性に汚染されオルトおよびその関連物への攻撃が効かなくなるのである。
一応、遠く離れたこの辺りのスケルトンくらいなら、なんの準備もしてない人でも倒せはするのだけれど……ここから先に進めばもうダメ。
なにかしら対策を持ってないとハロウィンに染められ、結果として押し留められはしても撃退はできない、メカエリちゃん達と同じ扱いになってしまうのである。
この辺りはライネスの
祭事渓谷によるハロウィン付与、およびそれによるオルトないしその眷属への有効打の軽減・制限。
源石由来の自然災害による隙消し、およびある程度以上の戦力を持たない相手の足切り、ないし攻撃の強要。
さらに、こちらの最高戦力であるイデオンの使用方法の限定。
……向こうの対処は恐らくやれることを全部やる、という形式なのだろうが、見事に噛み合いすぎて嫌になる。
これを越えてどうにかしようとするのならば、なにかしらこちらに有利を生む増援、みたいなものが欲しいところだけど……。
「──なるほど、ならわざわざ出向いた甲斐はあったと言うことね」
「……誰?」
そんなことを私が考えていると、背後の方から響いてくる声。
反応したメカエリちゃんがそちらを向き──それでもなおそれが誰なのか、というのがわからずに困惑した様子を見せた。
……まぁうん、気持ちはわかる。
なんというかこう、色々とツッコみたくなるような相手だろうから。
この口ぶりからわかる通り、私はこの声の主を知っている。
そして、
何故かと言えば、彼女は私の知り合い……友達であり、かつ彼女はそのままだと外に出ることは不可能であったがため。
……
私がやったことは、その
その上で、彼女という存在を消失させないこと。
そのために必要だったのは、名前という意外に強い繋がり。
元となった存在が同一であるのならば、【継ぎ接ぎ】や代替の原理により元となった存在から問題だけを切り離せるのでは?……という、ある種の実験の結果ともいえるだろう。
まぁ、それを実行に移すためにあれこれと必要な別の実験があり、それらを終えるまで彼女への施術は延びに延びたわけだが……こうして成功している辺り、良かったと言っておくべきなのかもしれない。
ただ……うん、原作そのままのキャラがいい、って人には怒られそうな状態になっていることも間違いないというか?
分かりやすく言うとフォーリナーをキャスターに変更した、みたいな感じだからねこれ。*5
ただまぁ、内包する危険度的に対処しないのはありえない話だったので、こうするしかないというか本人も納得した上での施術だったというか。
……うん、勿体ぶるのは止めよう。
モニターを切り替え、映し出された背後には一人の女性の姿。
赤いドレスを身に纏い、前方を見つめる銀髪の女性。
その口許には笑みが浮かび、見つめる視線は猛禽──ないしはシャチのよう。
本来ならば大剣を持つその手には、現在二振りの朱き槍が握られており──、
「さて、ダーッっと行ってドンッと倒してパパッと片付ける……のは、この姿だと難しいから。精々、貴方達が十全に動けるように補助してあげるわ。──
その二槍を、彼女はすいと宙を切るように振るう。
それと共に紡がれる祝詞は、彼女の言うように彼女の名前に紐付けられた別人の力を起動するためのもの。*6
排除された海の怪物の代わりに、その隙間に放り込まれたのは北欧の女神の力。
──その名から連想されるとある異聞の王、さらにはその存在に紐付けられたとある神殺し。
影の国の女王が持つそれを、
「来たれ彼の
──
アビサルハンターもとい北欧の女神の依り代、『スカジ=スカディ』となった彼女は、呼び出した艦の先端に立ち、こちらにウインクを贈ってくるのだった。