なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「それは勿論この私、Uーエリザマリーに決まっていましてよ!」
「いやー、イベントの舞台・私達が立つ場所であるここを重要視するのでしたら、やはりなりきり郷そのものであるこの私が最適なのでは?」
「
「いや、真面目になんの話???」
思わず首を捻った私を、いったい誰が責められるのだろう。
ハロウィンの終了報告のため、ゆかりんにあれこれ説明しつつ今回発生した『逆憑依』達の紹介をしたところ、「もう知らん」とばかりに全員の面倒を見るよう押し付けられてしまった私。
仕方なくその三名──キリアちゃん、なりきり郷ちゃん、Uーエリザマリー──を我が家に連れて帰ってきて。
そのまま直前までの疲れからか泥のように眠って……起きてみたらこれ、である。
助けを求めるようにマシュに視線を向けるものの、彼女も曖昧な笑みを浮かべて沈黙しているため、どうにも役に立ちそうにはない。
そんなぁ、と自身の不甲斐なさ……不甲斐なさ?を責められたマシュが消沈しているが、生憎それを慰めるような暇もない。
とりあえず、意味のわからない不毛な争いをしている三名を止めなければ。
──と、いうことで。
「久方!ぶりの!!ハリセンスマァァァアッシュゥゥゥウゥッ!!」
「「「!?」」」
昔懐かしハリセンアタックにより、彼女達の頭の中から諍いを始める気持ち、とでもいうべきものを弾き飛ばした私なのでありましたとさ。
「……いえ、思わず納得仕掛けましたがいがみ合う気持ち?とやらを体内から弾き飛ばすとはこれ如何に???」*1
「前々から(なりきり郷として)見続けていましたので、なんとなくは察していますが……やっぱり、貴方おかしいですよね色々と」
「おおっと、ケンカを止めたらなんか変なものを見る目で見られてるんだけどどういうことかなマシュ?」
「ええと……せんぱいが珍生物なのは否定できないことですので……」
「マシュ!?」
あれおかしいな、確かにせんぱい全肯定Botみたいなキャラではなかったけど、基本的には私を讃えてくれるタイプだったと思うんだけどな?
……そんな感じで、ほんのりマシュに裏切られた気分になりながら、その日の朝は始まったのだった。
「で、改めて聞くんだけど、
さっきの争いisなに?」
「「「私達三人のうち誰が配布サーヴァントだったのかという考察」」」
「ええ……?」
改めて聞き直してみても、全く意味がわからないんだが?
とりあえず朝食をみんなで食べて、片付けなどが終わった食後の時間。
午後からはハロウィンの痕跡確認などに忙しくなるため、午前中は休んでおこう……みたいな気分でいた私は、そこで改めて起き掛けのあの騒動がなんだったのかを三人に問い質したわけである。
……で、返ってきたのが今の言葉だったと。
うん、この子達ソシャゲに頭をヤられてるのかな???
「酷い言いぶりですわ!ですが許しましょう!私は寛大な領主ですので!!」
「アッハイ、アリガトウゴザイマス……?」
「素直なのは良いことでしてよー!」
うーん、なんだろうねこの似非お嬢様みたいなキャラ。
仮称サカーニィ、別名Uーエリザマリーなる名前を拝命した彼女は、今回のハロウィンにおけるラストボス……みたいなポジションの存在である。
究極のハロウィンエリザ、とでも言うべき彼女はその実、本当はエリザではないらしい。……いや、見た目とかは完全にエリザなんだけどね?
仮称として付けられた名前──ビーストⅤiとしてのそれから考察するに、どうやら彼女は現状依田話も依田話である『エリザビースト説』を触媒にして生まれた存在、ということになるらしい。
そして、その依田話に説得力を持たせるための要素として──
「ノー!彼女と私の成立過程は正反対!同一と扱うのはマナーがよくなくってよ!」
「アッハイ」
……いやまぁ、明確には本人じゃないって部分では似たようなもの……アッハイナンデモナイデス。
とりあえず、彼女はその性質としてはエリザの血に流れる竜の血、その源流となるものになるらしい。
だから、正確に言うのであれば『彼女がエリザに似ている』のではなく、『エリザが彼女に似ている』となるのだとか。*2
……頭痛持ちとしてわざわざスキルにまで言及されることがある、という人物はとても少ない。
その数少ない人物がネロなのだが、彼女のそれは毒杯を飲まされたことによるものであり、同時に獣たる自身からの干渉ゆえのものでもあるとされる。
エリザベートの場合、FGOに来てからはスキルとして表現されたことはないが……持っていたことは確かな話。
わざわざスキルとして明言される頭痛が、普通のそれとは全く別のものである可能性は捨てきれず、ゆえに彼女のそれは何者かからの干渉なのでは?
……みたいな話が生まれ、そこから様々なフラグを元にビーストエリザの可能性を論じられるようになった、と。
まぁ、ハロウィンに増えるエリザ、というのがどうも彼女特有のものであるらしいなど、色々不穏な話は出ていたので仕方のない話ではあるのだが。
ともかく、彼女の場合はエリザの祖先に当たる者であり、そこにそういった依田話が集まった結果イマジナリィとして目覚めたということになるらしい。
なので、基本的にはエリザと同じもの扱いをするべきではないのだけど……当初の『ハロウィンに際して新しいエリザを生み出す』というゆかりん達の目的はひっそり生存扱いされていたらしく、そこも巻き込んだ彼女の自認はわりとエリザそのもの、だったりするのであった。
……言ってることがよくわからん?んじゃまぁ究極のエリザが誕生した、ってことでいいよそれであってるし(なげやり)
「ですけど、その成立過程はどちらかというとイベント終わりに発生するもの。……言ってしまうとそのタイミングでの新規星五サーヴァントのそれだと思うのですが?」
「むぅ……」
で、そんなUーエリザに反論しているなりきり郷ちゃん……ややこしいのでなーちゃんと呼ばれるようになった彼女。
そんな彼女の言うところによれば、イベント展開的に一番最初に加入した仲間である自分こそが、作中展開を通して絆などを深め正式加入させるタイプの配布キャラだ、ということになるそうで。
……言ってることはわからんでもないけど、それを頑なに主張する意味がわからないのだがこれは私が悪いのだろうか???
そもそも配布サーヴァント争い、というのが意味がわからんというのは禁句。
「ですが、私もある意味主人公の似姿であり、イベントなどで配布されるタイプのキャラ造形だと思うのですが?」
「まぁ、それはそうですわね。他作品の主人公を参加させる際に、そのまま持ってくるものもあれば別キャラめいたアレンジを利かせる……なんてこともよくあることというわけですから」
「貴方はどちらの味方なんですか?!」
「最早配布にはなれそうにもないので、とりあえず争わせてみたいだけですわ!」
「最低だこの人!?」
で、最後の一人であるキリアちゃんだけど。
彼女は彼女で私と同じような姿であることをアピールポイントとし、他の面々と渡り合っている。
正直『配布』であることが決まるとなにか良いことがあるのか?
……みたいな部分から謎な私としては、全く共感も賛同もできないのだが……何故か三人は、期待を込めたような視線をこちらに向けてくる。
……ええと、もしかして私に判定させようとしてるの君達?
「ええ、私達だけで話していても千日手。ならば外部の人間に話を聞くのは道理、ということでしょう?」
「ついでに言いますと、実のところ貴方以外にも既に聞いたあとなのですよ。皆さん現在の票を見たあと、綺麗に三分割されるように意見を分散させてくれやがりましたので、なんにも決まっていないのですが」
「ですが、裏を返せば票は横並びということ。……つまり、貴方の投票に全てが掛かっているのですよキーア」
(みんなして面倒事を私に投げ付けやがったな!?)
なんてことだ、もう助からないぞ☆
……冗談はともかく、三人の目は本気と書いてマジと呼ぶほどに据わっており、この話題が決して適当に流してよいものではない、と主張しているかのよう。
そんな眼差しで迫られたら誰だって面倒を避けるよ、とはとても言えた空気ではない私は渡された紙とペン、それらに視線を巡らせたあと……。
「……ちょっと用事を思い出したから出掛けてくるわね!」
「あっ、逃げました!!」
「追いなさい!そんなに遠くには行ってないはずよ!!」
「マシュさんも手伝ってくたさいますよね!?」
「アッハイ、キリアちゃんの言うことならヨロコンデー!」
即座に逃げ出したのだった。
こんなところにいられるか!私はゆかりんの所に逃げる!!
なお、あっさり見付かってゆかりんも巻き込んだ一騒動が起きるきっかけになるのだが、それはまた別の話。