なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~   作:アークフィア

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三十章 何度目かの正月ですがトラブルの気配は止まりません
新年開けましたがおめでたいかはわかりません


 長かった気がするハロウィンを終えると、いつの間にか年が開けていた。いやマジで。

 

 

「……ハロウィンに色々ありすぎて、クリスマスが自粛ムードになったのが効いているってことか?」

「そうだねぇ。……サンタ役をやったことのあるローさん的には、ちょっと物足りなかったりする?」

「変なもん継ぎ足されなくて済むのは、寧ろありがたい」

「あっ、さいですか」

 

 

 年明け、ということもあってご近所さんとかに挨拶しに出ていたのだが、途中で出会ったロー君に少々驚かれることになったのであった。「お前、まさかキーア屋か?」みたいな感じで。

 ……そういえば今の私、前とは見た目が変わってましたね……。

 

 これ、もしかして家の人達以外の知り合い全員と、同じやり取りをしないといけないんだろうか?

 そんな感じで、少しばかり憂鬱な気分の私なのであった。

 

 

「とはいうがな。お前さんの髪色といえば、ある種のアイデンティティだっただろう?それが変わればあれこれ言われるのは当たり前だと思うんだが」

「まぁうん、元ネタにルイズが含まれてるってことの証左みたいなものだったから……あ゛っ

「なんだいきなり、鶏が首を絞められたような声なんか出して」

「いや……向こうに行った時どうしようって思って」

「向こう?……ってああ、ハルケギニアだったか?」

 

 

 そっかー、私の髪の色って個人の判別の上では、結構重要な要素だったんだなー。

 ……なんてことを思った次の瞬間、そういえばそれが重要な場所が明確に一つあったことを思い出した私。──そう、ハルケギニアである。

 

 今の私が向こうのキーアちゃん達と同じ顔と判断されるかどうかは、さっきまでのロー君達の反応を考えると微妙だと言えるだろう。

 つまり、ここに至るまでの色々な話を全部聞かせる必要がある、ということになるわけで……今から憂鬱である。

 

 いや、単に行かなきゃいいだけの話でもあるんだけど、流石にそれが許されるような状況か、と言われると微妙な話でして……(家の一室に設置し直した、とあるクローゼットのことを思い浮かべながら)。

 ……正月の挨拶と称して向こうに行く際、誰か一緒に連れていかなければな、とため息を吐く私なのでありましたとさ。

 

 

 

 

 

 

「新年明けましておめでとうございます」

「ああこれはご丁寧に。……ところでどちら様で?」

「これだよ()」

 

 

 挨拶する度困惑増えるね♪ぽぽぽぽーん()*1

 

 ……いやまぁ、確かに最近出掛けても、誰かに話し掛けられることがなかったなぁ……とは思ってたけど。

 まさかそれが、みんなして私をキーアと認識していなかったからだ、だなんて理由だとは思わないじゃない……。

 

 で、その流れでお隣の銀ちゃんのところでも、挨拶の際に「誰?」と言われる羽目になったと。

 ……髪の色というのがどれだけ個人の判断に役立っているのか、という良い例なのかもしれない。

 

 

「まぁ、キーア屋の場合そのピンクの髪は早々類例がいない、って点で個人の判別を容易にさせていた部分もあるから、些か仕方ねぇ話だと思うが」

「ってことはなに?例えば桃香さんが髪の色変わったら、みんなわかんなくなるって言うの?」

「……髪色が変わった上に態度まで変わってたら、もしかしたらわからねぇかもしれねぇな」

「……あれ?遠回しに私の雰囲気が変わった、って言われてるのこれ???」

 

 

 いやだって、以前ならそっちから話し掛けてきてただろうし……。

 みたいなことを言われれば、そうだったっけかと思わず首を捻らざるを得ない私である。

 

 言い換えると以前より近寄りがたくなった、ないしフレンドリーじゃなくなった……みたいな話になるわけだが、本人としてはまったくそんなつもりはないので、正直怪訝な顔しかできないというか……。

 ともあれ、これから何度味わう羽目になるのだろう、という微妙な気分を噛み締めつつ、改めて銀ちゃん達と新年の挨拶を交わす私である。

 

 

「ああよろしくよろしく。……ところでお年玉についてなんだが……」

ほう(我招く)欲しいんならくれてやるよ(無音の衝裂に慈悲はなく)文字通りお年玉だがな(汝に普く厄を逃れる術もなし)*2

「ちょっとした冗談じゃねぇか本気にするなって!!?」

 

「…………」<ジーッ

「え、ええと、Xさん?なんでそんなに見つめてきていらっしゃるので……?」

「いえ……そろそろ宇宙警察として対峙した方が宜しいのかと思いまして」<チャキ

「真顔でツイン・ミニアド*3構えるの止めない!?」

 

「ああ桃香さん、貴方の後輩がまた一人増えたので宜しくねー」

「はい?後輩?……未来視能力者でも増えましたか?」

「Uーエリザマリーちゃんって言うんだけど、今度挨拶も兼ねて連れていくから仲良くしてあげてね」

「はははなにを言っているのかわかりませんが宜しくお願いしますねー」

(めっちゃガタガタ震えておる……)

 

「モモちゃんは良いこだねーお年玉あげようねー」

「ナチュラルにガキ扱いすんの止めろって!?」

「モモがうちの中で一番年下なのは、単なる事実なのだ。素直に貰っておくといいのだ」

 

 

 ……ふぅ。

 お隣さんとの挨拶だけでドッと疲れたんだけどどうすればいいかな?(白目)

 

 特に、Xちゃんは冗談と言って済ませてたけど、ほんのり視線の中に本気が混じってたから、彼女についてはちょっと警戒が必要になっちゃったし。

 ……多分、今の私が以前のそれとは違うことをなんとなく察した、ということなのだろうが……。

 今のところ敵対の意思もなければ【星の欠片】としての役割を果たすつもりもないので勘弁して欲しい、という感じである。

 

 ……桃香さん?(ビーストとしての)後輩を紹介しただけですがなにか?

 

 

「なんでもいいけどよぉー、この次はどうするんだ?」

「んんー?とりあえずしばらくは挨拶回りかなーと。サボってたわけじゃないけど、こうなったタイミングで私と一緒にいなかった面々には説明が必要そうだし」

(それはサボってたって言うんじゃねぇのか……?)

 

 

 ともかく、一通り銀ちゃん達への挨拶が終わったので次の場所へ。

 横のロー君が微妙な顔をしていたのでニッコリと笑みを返しておき、そのまま彼を引き連れて挨拶回り再開である。

 ……え?なんで彼を連れていくのかって?そりゃもう、彼が話してくれると信頼感がダンチだから、というか?

 

 銀ちゃんも最初私がキーアであることを疑っていたけど、ロー君からも確認が取れたらあっさり信じてくれてたからね。

 ……それは私に信用がないからでは?おい誰だそんなこと言った奴正解だ!

 

 

「それは偉そうに胸を張る話じゃねぇだろうが……」

「いやまぁ、言われてみてようやく理解した、みたいなところがあるので……」

 

 

 髪の色程度じゃ本人の判別には関係ないだろう、って思っていたところのみんなの反応ゆえ、必要以上に問題視してるところもなくはないというか。

 ……あとロー君が暇そうなので道連れに丁度よかった、という面もなくはないが口にはしない。

 

 いやね?本当ならマシュでも連れてくれば早かったんだろうけど、生憎彼女は家で食事の準備中。

 ……おせちとかは作らなかったので普通に準備が必要なのと、ある程度人を集めて新年会をする予定なのでその分も……みたいな感じで手が回らなくなったのである。

 

 一応、私も手伝おうかとは言ったのだが……挨拶回りも大事だと言われれば頷かざるを得ず、結果として一人で外に出る羽目になったと。

 

 ……他の面々?BBちゃんはマシュの手伝いだし、かようちゃんも右に同じ。

 ハクさんは新人三人に対しての色々な指導を受け持ってるし、CP君は相変わらず部屋に籠りきり。

 エー君とれんげちゃんは早々に遊びに出ていったし、それに続くようにしてナルト君やらアライさんやらも出ていったし。

 うん、あと家に残ってるのはアルトリアとカブト君くらいのものなんじゃないかな?クリスとかは子供達の引率としてついてったし。

 

 ……今改めて口にしてみてわかったけど、居候増えすぎでは?雑にカウントした結果二十人くらいいるんだけど?

 

 

「そんなにいるのか?」

「面倒事かつ見付けたのが私なら自分で責任を取れ、とばかりにゆかりんから投げられるから……いやまぁ、部屋が幾らでも拡張できるから、みたいなところもなくはないんだろうけどね?」

「ああ……そういえばそんな機能付いてたな。使わんから忘れてたが」

「そもそもロー君ってば自宅に戻ってるの?なんとなく職場で寝てるイメージがあるんだけど」

「…………」

「そこで露骨に目線を逸らすのは答えを言ってるようなものだと思うんだけど???」

 

 

 うーんこの。

 ……いやまぁ、相も変わらずなりきり郷に医者が足りない、ということは確かなので少ない彼らに負担が集中する、ってのは知ってるんだけどね?

 それでもなんとか回っているのは、なりきり郷内の非殺傷設定と傷の治りやすさによるもの、ということなのだろうが。

 

 でも確か、ナイチンゲールさんが現れた辺りに『医者が適切な休養を取れずしてどうされるのですか?!』とかなんとか、数少ないブルアカキャラである蒼森ミネさんと一緒に厳命されたとかなんとか聞いてたんだけど……。

 そう言いながら視線を向けたところ、露骨に視線を逸らすロー君が見られた、というわけである。

 

 ……うん、これは密告チャーンス、というやつじゃな?

 

 

「止めろ、俺もあれについては黙っててやるから」

「なるほど交換条件。……でもここで黙ってもそのうちバレるというか、今受けとかないと後々余計な負担になる可能性大だと思うんだけど」

「…………」

「また視線逸らしたよこの人」

 

 

 いやまぁ、私もあんまり人のこと言えないんだけども。

 

 

*1
公共広告機構ACの映像作品の一つ『あいさつの魔法』内の文章『挨拶する度友達増えるね』『ぽぽぽぽーん』から。自粛がもたらした必然の流行とも言える一つの例

*2
『ヴァルキリープロファイル』における大魔法『メテオスウォーム』の詠唱文から。文字通り隕石の群れを引き寄せて攻撃するものだが、色んなゲームで類似の魔法があるのがある意味恐ろしい類いの攻撃でもある(大抵の場合、描写通りの隕石が落ちてくるなら術者もタダではすまない為)

*3
『謎のヒロインXX』の持つ武装。二つのロンゴミニアドを逆さにしてくっつけたような見た目であり、その威力は凄まじいという言葉では表しきれないほどに凄まじい

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