なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
はてさて、互いに痛み分け?になった話は一先ず脇に置いて。
次に向かったのはよくお世話になる場所の一つ、ラットハウス。
実のところ、前回のハロウィンの際にちゃんと顔を合わせていない人物が少なからず存在するため、さっきのやり取りを繰り返す羽目になる可能性大な場所だったりもする。
「そうなのか?」
「説明とかする前に入れ違いになっちゃったからね。そのあとラットハウスに何回か行ったことはあるけど、話し掛けられたりはしなかったし」
「それってまさか……」
「『見たことない人がいるけどいつの間にか常連になった人かな?』とか思われていてもおかしくないね」
ライネスと話しているところは多分見られているけど、そこから話し掛けられたりしたことはなかったので多分勘違いされてるだろうなー、というか。
……そんなわけで、入る前から憂鬱な気分の私なのであった。
とはいえ、いつまでもぐちぐち言ってても仕方ない。
決意を固め、店内に足を踏み入れる私。そんな私を出迎えたのは、
「いらっしゃいませー♪……あれ?最近よく見かける人だよね?……というか、トラファルガーさんも一緒?」
「やっぱり……(白目)」
「え?」
こちらを見てそんな言葉を発するココアちゃんと、私の隣であちゃーとばかりに天を仰ぐロー君なのであった。
……うん、知ってた。
「えっ!?キーアちゃん?!どうしたのイメチェン!?……はっ!?もしかして、ライネスちゃんと義姉妹の契りを……?!」
「いやなんでやねん」
うーん、アニメ本編でよく見たあわあわ顔だ。
こんなところで見られるなんて私は幸せだなー(棒)
……うん、予想通り過ぎてため息も出ねぇや。
そんなわけで、店内に入っていつものカウンター席に座った私は、ロー君を交えてこれまでの話を簡単に説明し──結果、ライネスと義姉妹になろうとしている、などという愉快な勘違いをしたココアちゃんが生まれた、というわけなのだった。
……もしかしてだけど、髪色だけで判断してたりしない???
「……違うの?」
「いや違うよ。別にイメチェンでもないよ。色々あって色が変わるような目にあったってだけ」
「…………?…………はっ!?もしかしてキーアちゃん、不治の病に……っ?!」
「うん、確かに銀髪と白髪の区別って難しいけど、だからってそれを病気で真っ白になった、と解釈するのは流石にアニメの見すぎだと思うよ」*1
「ふぇ?」
うん、二次元的表現としてよく使われる『一夜にして白髪に』とか『不治の病で白髪に』とかだけど、あれって基本的に見た目のわかりやすさ重視だからまず『そうはならんやろ』としか言い様がないというか。*2
一般的に髪が伸びるスピードというのは大体『三日で一ミリ』ほど。
髪の毛が原則死んだ細胞の塊である以上、既に生えている髪が一度に変化するということはあり得ない。
仮に全ての髪の毛が白くなるとすれば、それは
なので、例えばほぼ丸坊主みたいな人なら一晩で全部真っ白になる、なんてこともあるだろうが。
私みたいに髪の長い人間が真っ白な髪になる場合、真っ当な新陳代謝においてはそれ相応の時間が掛かるのだ。*4
……なので、私の髪の変化を仮に物理法則に当てはめる場合、一番近いのは染色・ないし脱色したということになるのである。
「いわゆるホワイトブリーチってやつだね。髪の中の色素を抜く形になるわけだけど、色が濃いものほど抜かないといけない色素が多いから髪にダメージを与えやすいんで、日本人にはあんまりおすすめできないものだったりするんだよね」*5
「なるほどー。……ということは、キーアちゃんがぐれちゃった!?」
(#^ω^)「ねぇこのやりとりいつまで続ければいいのかな?」
「ひえっ」
半ば楽しんでるでしょ、と叱るついでに尋ねてみたところ、「少し……」と返してきたためこめかみぐりぐりの刑に処されたココアちゃんなのでありましたとさ。
「酷いよちょっと遊んだだけなのに~……」
(#^ω^)「ほう、懲りてないと。もう一セット行っとく???」
「ひゃあ!?痛いのは嫌だよー!助けてお姉ちゃーん!」
「ココア……流石に今のは貴方が悪いと思うわ」
「お姉ちゃんに裏切られた!?」
がーん、と擬音が聞こえてきそうな程に愕然としているところ悪いが、そんなの当たり前だと思うんですが(小並感)。
いやまぁ、中身的には小学生とかそれくらいだったはずなので、微妙に子供っぽくなってる可能性は少なくもないのだけど。
そんな、原作的にはみんな学年が三つくらい下に見える……みたいな話は置いといて。*6
とりあえず、ラットハウスで説明をするべきもう一人──はるかさんに向き直る私である。
「とまぁ、色々ありましてこんな感じになりました」
「その色々の部分を窺うと胃が痛くなりそうなので詳しくは窺いませんが……それ、どの辺りの方にまで伝わっているんです?」
「特段喧伝した覚えはないのでほとんど全然」
「……それ、大変なのでは?」
「ええまぁその辺りはひしひしと実感している次第でして……」
(しわしわになった……)
(しわしわだ……)
……うん、基本的には常識人に含まれる彼女からの言葉に、思わず胃を押さえる私である。
ちょっと見た目が変わっただけなのに、こうまで別人扱いされるのはこれ如何に……え?ベリショになったリナリーが最初読者から本人扱いされてなかったようなもの?*7
あーうん、そう言われると納得できなくもない……かも?
いやまぁ、今の人にリナリー云々の話をして通じるのか、みたいな疑問を感じないでもないけども。
「というか、まだ続いてるのあれ?」
「細々と続いていますね。*8なんなら9Sとかネトゲ嫁とかウィザーズ・ブレインとか、最近完結したりしてますよ?」*9
「!?」
シャナだって新刊が出ますし……とか言われれば、私としても令和ってなんなんだろう、って気分になってくる。
あれだ、平成の残滓があれこれ湧いてきすぎというか……え?平成だけじゃなく昭和とかも飛んできてる?
……う、うん。昔の作品が元気というのは良いことだろう、と話を締める私であった。
あんまりその辺深掘りすると隣のロー君の原作とかどうなんだ、って話になるし。*10
「それでは、ここでの挨拶も終わったということで、次の場所に向かうのかな?」
「おっとウッドロウさん。そうですね、今日はまだまだ忙しいので、申し訳ないのですが次の場所に向かおうかと」
「なるほど。では彼女達も一緒に連れていって貰えないかな?こちらの方でもお得意様への挨拶をしておこう、と思っていたところでね」
「……!なるほど、お受けいたしました」
「え?え?どういうこと?」
「これからおやすみ、ってことよココア」
「……なるほど?」
そうこうしている内に、厨房の方からウッドロウさん、それから上条君の二人が歩いてくる。
……実は上条君には挨拶をしていなかったのだが、さっきの間にウッドロウさんから説明があったらしい。
怪訝そうな顔はしているものの、特に引っ掛かることもなく挨拶は終わり……そこで、ウッドロウさんが提案を投げてきたというわけである。
彼自身はこのままここに残ってすることがあるらしいが、他の面々はそのまま挨拶回りや初詣にでも行ってきなさい、という話のようだ。
特に断る理由もないのでそれを承諾し、改めてラットハウスの前に集まることを約束してバイト組が家に急いで戻るのを見送る私。
「……なんだか、大事になってきたな?」
「まぁ、神社にも寄る予定だったからいいタイミングだった、ってことで」
私と同じようにここで待つことにしたロー君と世間話をしつつ、他の面々が戻ってくるのをのんびり待つのであった……。