なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「……新年早々ややこしい話だったな」
「私的には意外とロー君に他のワンピキャラとの接点がないんだなぁ、ってちょっとしみじみしちゃったけど。パールさんとか」
「……俺の中の人間はともかく、俺自身は全く接点が持てねぇ奴代表だな、あれは」*1
まぁ、登場タイミング的に知る機会もないしね……。
そもそも物語序盤のやられキャラその一、みたいな立ち位置のキャラと連載が進んだ結果準メイン級にまで格上げされたキャラじゃぁ、知ってても話しかけ辛いとかあるかもしれんし。
いやまぁ、なりきり板じゃあそんなこと言ってらんないんですねどね?
「極論自分が好きなキャラを勝手にやってるだけ、だからな」
「メジャーなキャラばかり、ってわけでもないですからね。
「遠回しに地味、みたいなこと言ってると奥さんから呪われるぞオルタ?」
「……いや、流石にここにまではやってこないでしょう?ないわよね???」
メジャーなキャラをやりたがる人ばかりではなく、時にマイナーなキャラが集まってくることもある。
……というか、そうじゃないといつぞやかに遭遇した『明らかにモブにしか見えない民衆達』みたいな『逆憑依』が一定数居る、ってことに説明が付かないわけだし。
そんなわけで、自分の他にスレに顔を出すキャラが犬猿の仲……みたいなパターンを鼻で笑うような、自分と相手に接点ゼロな環境すら見越してやらねばならないのがなりきり、なのであった。
……まぁ、そこまで覚悟してなりきりしてる、って人はそう多くはないとは思うけど……心構え的な意味で、みたいな?*3
ともかく。
折角数少ない同じ原作のキャラなのだし、ちょっと話し掛けるくらいはしてみてもいいんじゃない?……みたいな感じで話を終え、境内を出た私たちであった。
「で、こっからの予定は?」
「家に戻るのは夕方の予定だから、このまま挨拶周り続行かなー。特に目的地らしい目的地……っていうと、大きく階層を移動していく感じになるけど」
大雑把に目指すべき場所はまず地下千階、隔離塔だろうか?
なんやかんやと去年もお世話になったブラックジャック先生への挨拶とか、あとはあの後のスカジの経過とかを確認する必要があるというか。
「スカジと言うと……アークナイツ出身の人物だったか。何故か
「そうでもしないと、キャラ背景的に外に出せないんだから仕方ないね!」
「背景って言うと……
「シャナってことは……アラストール?」
「そうそう」
で、私が出した『スカジ』という名前に真っ先に反応したのが、遠目ながらその姿を視認したことのあるライネス。
……どうやら彼女がスカディ様の宝具である『
そのこと自体は特に隠すものでもないので、普通に認める私だが……そこに異論を唱えるのがオルタ。
一応アークナイツについての予習はできているのか、スカジがその裡に秘めるものは本来干渉して来ないはずでは?……みたいなツッコミが飛んできたのだった。
確かに、
それを『ありえない』と否定しきれなかったのは、偏にそれが
「はぁ?」
「極端な話、シャナの能力って自在法なわけでしょ?天罰神としての権能・ならびにそれによる出力の高さを無視すれば、一応は他の人物にも再現できる……みたいな」
「凄まじいまでの暴論だが、一応は納得できなくもねぇな」*5
基本的にその人しか使わない、みたいな感じなので勘違いしやすいが……彼女達のそれは自在法という共通規格によってもたらされるもの。
……より正確に言えば『存在の力』を変化させたもの、というべきか。
似たような例としては『悪魔の実』や『斬魄刀』、『忍術』などがある。*6
個々で見ると個性的であり同一のものなどなにもないように見えるが、その実それらを大別する区分はしっかりと存在している……みたいな?
そこから考えると、スカジのそれもアビサルという区分けとして、他者と一纏めにできる区分のモノに思えるかもしれない。
では、それらとなにが違うのか。──正確には、
「ん?一緒?」
「そ。何故シャナのアラストールは許されなくて、スカジの中の海の怪物は許されうるのか。ナルト君の中の九尾は許されなくて、何故一護君の中の
「多重人格?」
そう、多重人格。もしくは
例えば一護君の中の二人──斬月は、しかして一護君本人以外に認知できる存在、とは言い難い。
いやまぁ、たまに実体化させられることもあったりするけども、基本的には一護君の中にいるものであって、その外に出てくることはほとんどない。
……これだけだとナルト君もそうだ、ってなりそうなのでもう少し突っ込むと、一護君のあれはそもそも一心同体どころか本人そのものなのだ。
「己の魂を写しとり磨き上げられるそれは、言ってしまえば人の人格そのものを一部切り取ったようなもの、ということができてしまう。まさしく我は影、真なる我……みたいな感じ、ってわけね」
「そこから己を認められれば多大な力を得る……みたいな?」
「そうそう」
ナルト君の場合、九尾……もとい
あくまで別の存在が彼の中に封印されているだけであって、本人とは別の存在として成立しているのだ。
アラストールもそちらと同じく、シャナの人格の一部を切り分けて生み出した存在、とかではない。
別世界の天罰神と呼ばれる存在が、同族達の横暴を見てそれを諌めるために現れた……みたいな感じなので、端からシャナとは別個の存在なわけだ。
……まぁ、こういう言い方をすると一護君ってば微妙にノイズなのだが、ノイズだからこそスカジの話をするには合っている、とも言えてしまうのが悲しいところ。
「と、言うと?」
「他の斬魄刀は
先の例で言うなら、九喇嘛がナルト君本人から分かたれたモノになっている、もしくはそうなってしまった……みたいな感じだろうか?
本来なら明確に別存在なのに、システムに組み込まれた結果
本来の斬魄刀は己の魂を写すもの。
言うなれば本人の似姿だが、一護君を筆頭とした幾つかのメンバーは、
斬魄刀のシステム上、それらは確かに本人の魂から生まれたもの、と判定されてしまっているが……厳密に考えるとそれって本当に本人?……ってなるというか。
スカジにとっての海の怪物というのは、区分的にそれに近いものになってしまっている。
己の力の源である海の怪物由来のそれが、
それによって異格──濁心を呼ぶ水となってしまっているというのだから、色々と皮肉というか……。
まぁともかく、中の
「まぁ、それだけだと精々『暴走形態がある』程度の話でしかないんだけど、ここで海の怪物が同一視される相手、っていうのが問題になるわけで」
「あー、にゅるっと這い寄ってくる?」
「そうそう、にゅるっと這い寄ってくる」
海の怪物の元ネタは、ほぼ恐らくクトゥルフの神々だろう。
そしてその同一視があるからこそ、『逆憑依』におけるクトゥルフ神話は危なっかしいものになる、と。
「イメージに左右されやすい『逆憑依』の場合、クトゥルフ神話って体系そのものが【継ぎ接ぎ】を誘発しやすいモノになっててね?……結果、クトゥルフ系に区分されそうな作品の描写は全部【継ぎ接ぎ】の恐れがある、ってことになる……と」*8
「うわっ」
ネタにされやすい弊害がここに、みたいな?
……まぁ、神の化身であるとかフォーリナーみたいな代行者であるとか、そういう属性を持たない相手への【継ぎ接ぎ】は、幸いにしてそこまで大事にならないみたいだけど。*9
逆に言うと、例えばアビーがいた場合凄まじくヤバいことになる可能性大、というか?
そんなわけで、スカジは現状唯一現れた
「そんな彼女がこちらです」
「許して!アーミヤ許してこの通りだから!」
「わわっ!?ゆ、許しますからすがり付くのは止めましょう!?」
「ええー……」
で、地下千階についた私たちが見た光景がこれだった、というわけなのでございます。
……別れたくないと駄々を捏ねる元カレかな?