なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
はてさて、目的地が決まったのだから善は急げ、とばかりに昼食をかっ込む私。
他の面々を急かすことはしないが、代わりに私の方は準備万端……みたいな状態に持っていっておく。
「なんだかやけに張り切ってるけど……ビワちゃんの居所にあてでもあるの?」
「寧ろそれがないから張り切ってるんだよ。今日は普通に別行動で、相手が何処行ってるのかとか把握してないから」
「なるほど……」
そんな私を見て、怪訝そうに問い掛けてくるゆかりんだが……どちらかと言えばビワ本人が自由人なため、所在が全くわからないので張り切る必要がある……みたいな感じの方が正解である、と返す私である。
いやね?他の──例えば普通に人型である面々とかは、何処かに出掛けているにしてもその所在を探るのはそう難しいことではない。
気配を辿る……みたいなややこしいことをせずとも、その容姿を元に目撃情報を探せば普通に見つかるからだ。
アルトリアみたいな特例を除けば、原則同じ姿の存在は居ないのだから。……いやまぁ、カップ焼きそば現象みたいなことはたまーに起きるけども。*1
ともあれそれを前提とすると、ビワの見付けにくさは彼らの数倍上……ということになってしまう。
まず、他の面々と比べると遥かに
……うちの面々の中で最小であるイッスン君とは比べるべくもないものの、それでも彼女の次に大きい人となると、かようちゃんやれんげちゃんになる……ということを思えば、その小ささがどれほどのものか?……というのはなんとなく想像が付くはずだ。
小学生より小さい、となればそれは最早赤ちゃんとかその辺り、ということになるわけだし。
……姿形の小ささが見付けにくさに直結する、というのは今さら語るべくもないだろう。
とはいえ、それだけならば探すのがそこまで難しくなるようには思えない、というのも確かな話。
何故かと言えば、彼女の見た目が特徴的だから。
要するに、他の誰かと見間違えるはずもないのだから、目撃情報が少なかろうとその少ない情報で十分のはず……という話である。
「それを阻害するのが、最近またもや増え始めたたぬき達……ということなのです」
(´v`)「呼んだかだし?」
「呼んでな……いけど都合はいいからとりあえずそこにいて」
(´^`)「はーいだし……」
そう、本来それで十分なはずのところを、
それはずばり、ひょっこり現れたこのションボリルドルフのように、最近再び増え始めたたぬき達のせい……ということになるのであった。
……いや増えるって言っても君の
ともかく。
キャラクターをよく知ってる人ならまだしも、たまたま見かけただけの同じくらいのサイズのたぬき達を、全部正確に判別しろ……というのはそれなりに無茶な話。
結果、今の状況でビワの目撃情報を募ったところで、ルドルフやオグリ・おいたん*2とかの目撃情報が飛んでくる可能性の方が大きい……ということになるのだ。
「結果、探し辛さが上がってると。……スペちゃん居たよ、とか言いながらバーヴァンシーの写真見せられた時の私の気持ちがわかるか?」*3
「そういえば……スズカちゃんと同じ声なのに、たぬきバージョンのメリュジーヌを見掛けたことはないわね……」*4
「おいこら話を逸らすな、いやまぁ確かに見たことないなー、とは私も思ったけど」
多分作画コストとウマ娘外の作品だから、って理由の合わせ技だとは思うが。あとは作る人の熱意?
……まぁともかく。
似たような体型のキャラがわらわら湧いてる状況で、特定のキャラクターのみをピックアップしろ、と言われても難しいのは当たり前の話。
いやまぁ、オタク的にそれくらい余裕では?……みたいな気分もなくはないかも知れない*5が、例えオタクであれ興味がない・もしくは自身の教養の範囲外のキャラを、突然見せられた挙げ句特定のキャラだけピックアップしろ……と言われて十全にこなせる人がどれだけいるのか、みたいな話にもなるわけで。
……要するに、現状目撃情報なんか募っても、デマだの見間違いだの悪戯だのが混じるせいで、まともにあてになる情報が埋もれる可能性大、なのである。
ならばまぁ、私が気配でも探った方が何倍もマシ……みたいな?
「まぁ、ビワ達って大本が一緒だから、単に気配探るだけだと普通に勘違いするんだけどね」
「じゃあダメじゃないの……」
「
「んん?」
そんな私の言葉に、どういうこっちゃとゆかりんは首を捻っていたのだった。
「にしても……こっちに付いてきてよかったの?ゆかりさん達と遊んでたんじゃ?」
「基本的にいつも一緒にいますので。あとはまぁ、こっちに付いていった方が面白そうなのと、だからといって全員で付いていくのはあれかなー、みたいな
「うーむ、面白さ優先のスタイル……」
いやまぁ、どうせなら面白おかしく……みたいな感覚はわからんでもないけど。
……というわけで、あの後きりたんを一行に加えることとなった私たちは、私の先導でビワを探して一路自然溢れる階層にまで足を運んでいた……というわけなのであります。
具体的にはあさひさんの本体がいるところ、みたいな?
「そう考えてみると……なんというか、昔ここは禁足地だった、なんて言われても冗談かなにかと勘違いされてもおかしくないわよねぇ」
「ああ……確か、ミラルーツの居住区って関係上、迂闊に足を踏み入れるんじゃねぇ……みたいな扱いになってたんだったな」
「いやまぁ、今も私がいるって部分では変わらないんっすけどね?」
「親しみやすさが増した、ってことでしょ?」
いつの間にやら混じってた混じってたあさひさんと会話しつつ、私たちは草原を進む。
……美しい湖畔を望む大草原、といった風情のこの場所は、その穏やかな空気とは結び付かない存在・ミラルーツの居住区である。
そのため、以前は他者が足を踏み入れることを禁じられた場所であった。
当時は対話の糸口すらなく、罷り間違って相手の怒りでも買った日にはどうなることかわかったものではない……みたいな懸念が解消できなかったため、である。
それが今ではこうして、本人(?)同行の元歩き回れるようになったというのだから、なんというか当時からしてみれば驚愕の事態だろうなぁ、みたいな?
「……そういえば、あさひの姿なのってあくまでその日の気分、みたいな話だったと思うんですけど、その辺りどうなんです?」
「実際そうっすよ?キーアさん達の前だと基本この姿、ってだけで」
「ふむ?」
そうして過去を懐かしむうちに、そういえば初対面の時って確かハロウィン関係だったなーとか、あさひの姿なのはあくまでその日の気分みたいなもの、みたいな話をしてたよなーと思い出す私。
……その日の気分、と言いつつ基本あさひさん以外の姿を見た覚えがないことに気付いた私は、その部分について尋ねてみることに。
そうして返ってきたのは、実際にその日の気分で姿を変えているということと、およびそれだと毎回挨拶から始めないといけないから、私たちの前ではあさひの姿で統一している……という意味合いの言葉なのであった。
……言われてみれば確かに、毎日姿が変わるとなれば、どうしたって同一人物であると判別することに遅れが生じる。
例えば多くの龍種のように、魂の色を見て判別しているというのなら別だろうが、そんな視点を持ってる奴がどれだけいると……あ、いや。よく考えたら【俯視】覚えた人達はできるな……。
ま、まぁともかく。
普通の面々に対しての説明やらなにやらの手間を思えば、確かに『毎日姿が変わる』なんていうのは混乱の元。
つまりはあさひさんなりのこちらへの配慮、ということになるので疑問に思うのはある意味失礼ということになり、その辺を踏まえて一つ謝罪を入れることになった私なのであった。
「まぁ、別に気にしてないっすから別に構わないっすよ」
「そう言って貰えると助かります……で、単純な好奇心から尋ねるんですけど、他の姿ってどんなのがあるんで?」
「え?えーと、例えば
「おぃィ???」*6
実は謝る必要性なかったんじゃねぇかなこれ?(真顔)
思わず声が低くなる私に、あさひさんは「いや、これに関してはあんまり見せる姿じゃないんっすよ?」と返してくるのだった。
……見せる見せないの話じゃないんだよなぁ……。