なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「…………。…………」
(´^`)「これは明けましておめでとうございます、と言ってるんだし……」
「あっはい、これはこれはご丁寧に……」
無言で頭を下げるビッグビワと、その言葉を代弁するたぬき達。
それに合わせ、こちらも深々と頭を下げ返したわけなのだが……なんなんだろうね、この状況。
いやまぁ、互いにやってることは新年の挨拶、ってことで間違いないんだけどさ?
でもこう、この規模でやられるとなんか変な気分になるというか。
……ともかく、一通りの挨拶を済ませ、当初の目的である他の【顕象】達の所在についても確認する私である。
「……。…………」
(´´^`)「それもいいけど、ちょっと話に付き合ってほしいと言ってるし……」
「話?ビッグビワが……私に?」
「…………」
(・ヮ・)「その通りですなー」
まぁ、本人……本馬?からは「まぁまぁそんなに急がずに」みたいな反応が返ってきたわけなのだが。
あれだろうか、久々に人の前に姿を表したから人との会話が恋しい、みたいな流れ?
「それもあるかも知れないが、単に私達を待っていたという面も少なくはないだろうな」
「おっとオグリ?それにタマモとマッキーも」
「ウマ娘組大集合、っちゅーやつやな」
「私はたまたまこっちに来ていた、というだけですけどね」
そんなことを言っていたら、私たちが来た方向とは反対側から歩いてくる一団の影。
それはオグリを筆頭とした、現在所在の判明しているウマ娘関連のキャラクター達三人の姿であった。
……え?タマモは純粋なウマ娘キャラとは言い辛いだろうって?そこを追求しすぎると怒られるのでほどほどにしとけ、というやつである。
「まぁ、今となっては所属コミュニティが増えて良かった、って思っとるでー」
「まぁ、関西弁コミュニティって感じで纏められかねないもんね、タマモって」
「内緒やで、ぶっちゃけイヤやと思っとるねんそういう雑な纏め方……って、なにやらすんやボケー!」*1
うーん、綺麗なノリツッコミ。
やはりタマモには関西人の血が流れている……?
とまぁ、そんな依田話は置いておくとして。
そのあとも、じゃらじゃらとやってくる他の面々達。
「あれ?キーアなのだ。キーアもお呼ばれしたのだ?」
「おっとアライさんとハクさん、それからパオちゃんも。出掛けるって話は聞いてたけど、ビワに呼ばれてたの?」
「いいや、たまたまというやつじゃの。まぁ、御同輩の気配を感じたというのも理由の一つではあるが」
「あー、そういえばそっか、ハクさんとビワは同期というか、ともかくわりと関係の深い成り立ちだもんね」
「吾は面白そうだから付いてきただけー。ところで最近そっちで吾と書いて『
「安心しろ、なに一つとして被っておりゃあせんわ」
「そうかなー。吾ってば結構賢者なんだけど」
「君が賢者なら世の中の人全員大賢者じゃい」
まず現れたのは、うちの居候でもある獣娘三人組。
どうにもビッグビワ再顕現の気配を察知したハクさんが、様子を見るために近くに寄ったという形らしい。
立ち寄った結果特に問題も無さそうだったため、そのまま帰るつもりだったのだが……私たちがいることを確認して、どうせなら宴会に混ざるかと判断したとかなんとか。
……いや待って、これから始まるのって宴会なんです?
「美味しいものが食べられると聞いて」<ニュッ
「突然あらぬ方向に向かうからなんだと思っていたが……これはまた、大きいな……」
「おおっと、赤城さんとハーミーズさん?」
「またビワとは無関係そうなところが来たな……」
(´v`)「初めましてだし……私はルドルフだし……」
「え、ああこれはご丁寧に……?」<ナンダコレ……
(´´^`)「そんなに見られると照れるだし……」
次に顔を見せたのは、美味しい料理の気配を察知してやってきた赤城さんと、その付き添いとして付いてきたハーミーズさんの二人。
その服装は冬らしく暖かそうなものだが、遠出をするのには向いてなさそうな感じの靴でもあったので、近場から歩いてきたのかもしれない。
……もしかして、近場にいたからこそ美味しそうな匂いを察知した、ということなのだろうか?
なお、ハーミーズはたぬきを見るのが初めてなのか、ルドルフの周囲をぐるぐる周りながら、頻りに不思議そうな顔をしていたのだった。
……見つめられてるルドルフは照れてた。
それからあとも、見知った人・見知らぬ人に限らず、たくさんの住人達がやって来て……結果、ビワの周りには都合百人ほどの人々が集まる形となっていた。
「……こんなにここに人が集まるのって、かなり珍しいんじゃない?」
「珍しいというか、基本的には初めてのことだと思うっすよ?私の本体がいるせいってわけじゃないっすけど、ここに人が来ること自体が珍しいっすし」
「あー、侵入制限とかは既に解除されてたけど、以前までの流れでわざわざここに来ようなんてことを思う人がいなかった……みたいな?」
「そういうことっすねー」
集まってくるのはいいのだが、あさひさん……もといその本体であるミラルーツ的にこれはいいのだろうか?
……などと心配しつつ彼女の方に視線を向けるが、あさひさん自身の反応はわりとあっさりしたものなのであった。
なんでも、彼女の本体はそもそもこの階層の位相違いの場所にあるため、来訪者が誤って遭遇する可能性もないのだとか。
なので、幾ら人が押し寄せようとも基本的には気にする必要がない、みたいな?
触れなきゃいいのか、みたいな気持ちもなくはないが……そう思えるようになったのが私たちとの交流の結果、という可能性もあるため深くは突っ込まない私である。
ともかく、突然始まった宴会に参加しつつ、周囲を見渡す私。
集まったのは百人程度だが、その周囲にはビワの分身としてのたぬき達の姿もある。
時々元ネタが同じキャラ同士が顔を合わせ、一言二言会話を交わしたのちに意気投合してコップを掲げていたり。
……気のせいじゃなければ、みんなお酒とか飲んでない?顔真っ赤なのが幾人か見える気がするんだけど?
(´^`)「気のせいじゃないみたいだし……料理と一緒にお酒も振る舞われてるんだし……」
「……それってトラウマなのでは?ビワっていうかケルヌンノス的な意味で」
(´・ヮ・)「だから本人は手を出してないのですなー」
「確かに……本人の前にも並べられてはいるが、一切手を付けてないな」
そんな私の疑問は、あくまでビッグビワ自身は見てるだけ……という形で済ましているという、その様子を認識することで氷解することになったのだった。
はてさて、唐突に始まった宴会はきっちり一時間で終息した。
酒も入っているのにそんなにきっぱり終われるのか?
……という疑問もなくはないだろうが、その辺りはビワ側が一枚上手だったというか。
「まさか提供してるお酒に細工がしてあるとは……」
「酒に細工をする、という部分にトラウマがあってもおかしくなさそうなものだけど、その辺りは我慢したってことなのかな?」
ライネスと二人、ふぅむと細工の妙に感心の声をあげる。
……要するに、酒精*3が
道理で飲んでも酔っぱらわねぇなあと思ったのだ。
……え?そもそもお前は飲んでも酔わねぇだろうって?酔いそうな気配がなかった、ってことだよ。
ともあれ、あとからアルコールを飛ばせる仕様となっていたこのお酒は、短期間の酩酊感を味わうにはもってこいの代物。
なんなら悪酔いする前に、酔いどころかアルコール自体を体から取り除くこともできるとあって、これからの宴会向けにどうか?……とかなんとか言われてるそうな。
「……まぁ、たぬきビールって呼び方は安直すぎる気もするけども」
「今のところアルコールの全てを入れ換える……みたいなことは想定していないので、あえてわかりやすい名前にしているそうですね」
「色々考えてるんだなぁ……」
思わずその巨体を見上げれば、ビッグビワは照れたように後頭部を掻いている。
……酒のせいで酷い目に合うことを減らしたい、みたいなことも考えているらしいとルドルフ達から聞いたが、なるほど酒で失敗した(?)存在ゆえの視点、ということなのかもしれない。
閑話休題。
集まっていた客達の大半は宴の終わりと共にこの場を去っており、残っているのはおおよそ十数人程度。
たぬき達は逆にほとんどが残っているため、端から見ると彼らに囲まれているように見えなくもない。
……いやまぁ、別に向こうになにか意図があるわけではないのだろうが。
ともあれ、残った十数人には見覚えのある顔もあり、見覚えのない顔もあり。
つまりこれは、こちらの目的を覚えていたビッグビワが気を利かしてくれた、ということなのだろう。
なにせ、そこにいる面々の幾人かは、私たちが探していた【顕象】──それも
ちらり、と彼らから視線を逸らし、ビワの方に視線を向ければ。
深い体毛に覆われ分かりにくいものの、ビワがこちらに笑顔を向けていることがわかり、私は思わず苦笑してしまったのだった。
……いや、さっきの宴会は必要だったんです?