なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~   作:アークフィア

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寧ろ子供向けの方が危ない

「うそだぁー!?」

「うそじゃないですー。さっきも少し触れたけど、しんちゃんだってその辺りの講習はちゃんと受けてるんだからね」

「ええー!?」*1

 

 

 うーん、さっきから原作相当のびっくり顔のオンパレードだな、のび太君。

 

 まぁ、気分としてはいきなり危険人物として指名手配を受けた、みたいな感じだろうから仕方ないといえば仕方ないのだが。

 とはいえ、子供向け作品はみんなこんな感じで危険度を孕むので、どうしようもないと諦めるより他ない。

 

 

「どうしてー!?大人向けの方がよっぽど危険なんじゃ!?」

「生憎だけど、これに関しては子供向けだからこその問題なので……」

「子供向けだからこその問題ぃ!?」

「うむ。()()()()()()()()()()って言う、ね」

「あ」*2

 

 

 ……うん、流石にここまで言えば気付くというもの。

 彼みたいなのが危ない理由、その一番の原因は結局子供向け作品は毎年映画を流す、という文化が根付いているからというところが大きい。

 

 現状なりきり郷でその辺りの話に該当するのは、毎年なにかしら爆発させたり大量殺人が起きたりするコナン君のところ。

 それから、毎年日本を揺るがしたり埼玉を揺るがしたり世界を揺るがしたりする騒動の起きるしんちゃんのところ、などが上げられる。

 

 それ以外にも、毎年なにかしらの映画作品を送り出しているものというのは、基本的に子供向け作品であることが多い。*3

 ……ライダーとかは厳密には同作品ではないのだが、映画になると以前までの作品も集合することが多くなっているため該当する。

 

 まぁ、この辺りは真面目な話、日本で作れるシーズン系作品が子供向け以外ほとんどないから、みたいな部分も大きいとは思うのだが。

 あれだ、普段のテレビ放送もやりつつ映画を撮るようなスケジュールがまず確保できないし場所もない、みたいな?*4

 

 ……ともかく、子供向け作品が毎年映画が増えるというのは本当の話。

 そしてそれが真実である限り、普段のテレビ放送とは別種の『売り』を演出する必要に駆られるわけで、結果毎年とんでもない騒動に発展し続ける……と。

 

 その意味で言うのであれば、ドラえもんと名探偵コナンは騒動の深刻さではトップクラスを争う作品だろう。

 しんちゃんも大概なのだが、規模が結構変動するためこの二作より対処の必要性は落ちる。

 

 コナン君の方は、見たまんま人死にや建物への甚大な被害が。

 ドラえもんの方は、そもそもが魔法使いのようなものであるため、相応に起きる騒動が甚大化しやすいというところに問題がある。

 そしてのび太君には悪いのだが──彼はドラえもんという作品の主人公であり、同時にトラブルの発端となることの多い人物でもある。

 そのため、概念的に()()()()()()()()()()()と考えられてしまうのだ。

 

 そのことを念頭において、今の彼の状態を見てみよう。

 彼が問題の起点である、とするならばそれを解決するための方法を持つのがドラえもん、ということになる。

 が、そのドラえもんはこのなりきり郷にも存在するものの、前述した通り基本的には役に立たない存在。

 ……役に立たないことで役に立っている、とも言えるのがここでのドラえもんなのだが、こうしてのび太君まで揃ってしまうと話が違う。

 

 要するに、今の状況は映画での中盤──なにかしらの理由でドラえもんが道具などを使えず、のび太達がピンチになる状態として処理されるのだ。

 結果、その状況による季節性【継ぎ接ぎ】の誘引などを引き起こし、最悪の場合にはなりきり郷崩壊の憂き目に繋がる……と。

 

 

「えー!?」

「嘘じゃないわよ?実際、さっきは説明から省いたけど、貴方達と同じようなポジションとして扱われる『マジカル聖裁キリアちゃん』の主人公であるキリアちゃんとか、去年の最後の方酷い目にあってたんだから」

「…………(それ本来なら貴方が受けてたはずの被害よね、という顔)」

(今の私とは切り離されて別人になってるから仕方ないでしょ、という顔)

 

 

 なおここまでの説明、既に実体験として味わったあとの話だったりする。

 

 ……うん、ハロウィンの時は私が別枠に移動して後釜がやって来た、という事象に対してそこまで深刻に考えてなかったんだけども。

 その実、今まで我が事だからこそ対処できてたものもあったんだなぁ……と遠い目をする羽目になったり。

 いやマジで、キリアというかキーアというか、その存在が引き寄せる厄介事があれほどとは……。

 

 ……映画なんて彼女の原作である実写しかない『マジカル聖裁キリアちゃん』ですらそうだったのだ、単純に五十作品近く映画のあるドラえもんなんて、どうなるのかは火を見るより明らか。

 警戒しても足りないというか、警戒しすぎて丁度いいくらいの区分に当たるため、私も心を鬼にして対処に当たっているのである。

 

 

「あとあれだ、やっぱりトラブルメイカーとしての体質の問題もある」

「体質の問題……?」

「わりといい性格してるでしょ、貴方。ちゃんと言い含めてても普段なら『いやなんとかなるでしょ』みたいに流してしまうというか」

「あー……」*5

 

 

 で、それとは別に彼の性格面での問題、というのも理由になる。

 ……ドラえもんの原作とかを見ればわかるのだが、のび太君って結構雑というか、調子に乗りやすいというか……。

 ともかく、トラブルを燃え上がらせる才能がある、みたいな傾向があるのである。

 

 まぁ、早期にトラブルを解決できてしまうとお話にならない、という作劇上のメタを含む描写である気もするのだが、ともかく彼に注意一つもなく……いや仮に注意をしたとしても、それがしっかり彼に伝わってなければいい加減なことをしだす、というのがのび太君であることは間違いあるまい。

 まぁ、彼自身はまだ小学生であるため、殊更に判断ミスなどを責めるのはよろしくない、というのも確かな話なのだが。

 

 ……総括すると。

 そもそものキャラクターが持つ特性として、彼はトラブルメイカーであり。

 尚且つその性格面においても、起きたトラブルや火種を盛大に出火させやすい性質を持つ、というのが彼こと野比のび太。

 ゆえに、その辺りの実感や自重を覚えて貰うため、これからゆかりんのところでスパルタ指導を受けて貰うことになるのであった。

 

 

「えー!!?」

「えーじゃありません。テストで目標点取れない限り寝れないからそのつもりで」

「えーっ!!!???」

 

 

 ……結果、こっちでもテストに悩まされるのび太君が発生することになったわけなのだけれど。

 すまないな、のび太。このテストは強制イベントなんだ。

 ちゃんとゆかりんの話を聞いてたらゼロ点なんて絶対取らないようなテストだから、その辺把握した上で臨んでくれたまえ。

 ……え?話を聞いてりゃわかるなんて説得がのび太に通じるかって?……頑張れ!!(やけっぱち大声)

 

 そんなぁ、と泣き崩れるのび太君には悪いが、彼には早急に自分の立場を理解して貰う必要があるため、心を鬼にしてスキマ送りにする私であったとさ。

 

 

*1
近年新設された『影響度』関連の講習。別名『無辜の怪物に関しての研究、及びそれの自覚についての講習』。型月の用語である『無辜の怪物』とは人々の風評によって存在をねじ曲げられる……という現象のコトを指すが、これは近年のSNSの普及によって容易に発生してしまうものでもある。『無辜の怪物』はデメリット方面の影響であり、メリット方面の影響だと『可能性の光』という名称になる……のだが、どちらにしろ本人の意思に関係なく周囲の思う○○、という形で方向性をねじ曲げられていることに代わりはない。『逆憑依』の場合は直接的に本人に影響があるわけではないが、周囲がもたらす空気感により【継ぎ接ぎ】が発生しやすくなる……などの影響をもたらす為、警戒するに越したことがなかったり。一応『ごまかしバッジ』などによって本人を意識させなければあまり問題がないのだが、ドラえもんやポケモンなどの知名度が高い存在は、それらの視線が周囲になくとも影響を受ける……ということが判明した為、その辺りどれくらい気を付けるべきなのかを学ぶ……ということで、なりきり郷への初登録の時を初回とし、本人に定められたレベルに応じて年数回の講習への参加などが義務付けられることとなった。無論キーアは強制参加である(現状の彼女は『影響度』からは解放されているが、代わりに周囲の『影響度』による問題を解決する際に現場に派遣される確率が高まった為)

*2
内容の過激さ、という意味合いでは大人向け作品の方が遥かに危険に見えるが、その実それらは『影響度』の観点からすると()()()()()()()()()()()ものである為ここで語る危険度からは外れてしまう。この章の冒頭の方でロイドがロイド以外に扮していたのも、実のところ『スパイファミリー』がファミリー向け作品としてかなり影響度が高くなり、こちらの把握していない場所で勝手に家族が成立してしまうと酷いことになりかねないから……みたいな面もなくはない。劇薬同士を反応させる際、慎重に取り扱うのと方向性的には同じ

*3
他に該当するのは『プリキュア』シリーズなど。これも映画内での被害規模が大きくなりやすいタイプ

*4
日本で現在長期のドラマ作品として有名なのは恐らく『相棒』『科捜研の女』『水戸黄門』シリーズなどだろう。刑事もの・医療もの・時代劇は一話完結タイプで続けやすい、ということか。逆に言うとそれ以外の作品は1シーズンで完結することが多い……というより、海外ならドラマになっているようなものが日本だとアニメになっている、というのが近いのかもしれない

*5
『なんでお前はゼロ点ばかり取るんだ』という旨の言葉を担任から受けた際に、『だって先生がくれるから』というような言葉を返したことがある……というのが答え。わりと図太いというか、図々しいというか……。発想の仕方が閃き型なだけであって、実際はわりと頭が良いのではないか、とも感じさせるエピソード

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