なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~   作:アークフィア

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おいでませ正月から海水浴(?)へ

「こ、この七崩賢が一画、断頭台のアウラがこんなことで……!!」

「おう、無様に散る噛ませ役みたいなムーブしても逃げられないわよ?」

「ちっ、じゃない。そこは騙されていて欲しいじゃない」

「幾らなんでも大根役者過ぎるわ!!」

 

 

 はてさて、次に向かう場所を聞いたアウラが駄々を捏ね始めたが、生憎こうして言葉にしてしまった時点でキャンセルは不可。

 というか、下手すると君の右手辺りから『星女神』様の手が生えてきて取っ捕まる、みたいな恐ろしすぎる状況が発生してもおかしくないため、諦めて素直に同行して欲しい私である。

 

 

「は?なに言ってるじゃない。そんなのホラー過ぎるじゃない」

「おや、そこまでは聞いてないのか。『星女神』様は【星の欠片】の元締めだから、こんな感じに他人の意志はそのままに人の体を操ることもできるんだよ(涙目)

「は?……ひいっ!?人が!?人がキーアの腕から生えてきたじゃない!?

「なにそれ怖っ」*1

──随分と好き勝手言ってますね、キーア──

 

 

 ……おかしいなぁ、単に事実を口にしただけ……アッハイ、まるで化け物みたいな説明したことは謝りますのでそれ以上のお戯れはご勘弁を……。

 

 まぁそんなわけで、噂をすれば影……『星女神』様(分身)のお出ましである。

 私はともかく、他の面々が彼女に会いに行こうと思うのなら補助必須なので迎えとして寄越した、みたいなやつだろう。

 そこを気にするぐらいなら、他の面々に対して与える精神的ダメージの方を気にして欲しかった感が強いけど。

 ほら見てくださいよ『星女神』様、貴方の登場の仕方に滅茶苦茶ドン引いてますよみんな。

 

 

「え、ええと……つかぬことを聞くんだけど、それって大丈夫なの……?」

──彼女の腕を丸々犠牲にした、ということですか?ご心配なく、彼女もまた私と同じ【星の欠片】……ゆえにたかが四肢の損失程度で、問題になど発展することはあり得ませんから──

「いやまぁそりゃ確かにそうなんですけど、なんというかこう手加減と言うものをですね?」

「私よりよっぽど魔族じゃない……」

 

 

 みんなを代表して、スカジが問い掛けを──今思いっきり私の右腕を犠牲にして現れたことを確認しているが、これに対して『星女神』様はあくまで軽い罰のようなもの、と素っ気ない対応。

 

 ……いやうん、確かにそうなんですけどね?【星の欠片】の本質が小さな小さな粒子であり、この姿は端的に言えばそれらの粒子の集合でしかないというのは事実。

 そしてそれゆえに、例え四肢に相当する部分を喪失したとしても、わりとあっさり補填できるというのもまた事実。

 事実なんだけど、だからってそんな適当に犠牲にしていいものかと言われると疑問符が付くというか。

 

 ……みたいなことを愚痴りながら、肩口からすっぽり失われていた右腕をナメック星人よろしく生やす私である。

 アウラからは魔族じゃない、というツッコミが入ったが……そんな初期の設定、覚えている人そんなにいないんじゃないかなー、とか思わないでもない私である。*2

 

 一通り生え変わった右腕の調子を確認したのち、改めて『星女神』様と向き直る。

 彼女は今の一連の流れで禊は済んだ、と判断してくれているようで、特にこちらに言葉を投げ掛けてくることもない。

 ……言い換えると『さっさと準備しろ』と無言で訴えかけていることになるわけだが、そうなると問題になるのが他の面々の様子なわけで。

 

 

「……準備できてる?」

「できてるわけないでしょうが!!!」

 

 

 ですよねー。

 

 

 

 

 

 

──結局十分ほどインターバルを挟む必要がありましたね──

「誰かさんのお陰で、ですね」

──…………──(真顔で見詰めてくる『星女神』)

「~♪」(口笛吹いてるキーア)

「……なんというか、前とは変わりましたね、色々と」

 

 

 迎えに来た『星女神』様(分身)を一先ず待たせておいて、他の面々が落ち着くのを待つ私。

 結果、彼女達が心の準備を終えるまで大体十分ほど必要となってしまったわけだが……正直、『星女神』様がもう少し考えて出て来てくれればそれでよかったんじゃないかなぁ、なんて思わないでもない。

 いやまぁ、スカジやアウラに説明するにはあれが一番早い、ってのはわかるんだけどね?口で説明してもわかりにくいし。

 

 ……みたいな感じでやり取りをしているのを見たアクアが、微妙な顔で口を開く。

 その内容に思わず首を傾げるが、隣のオルタも似たような顔をしていたため一端首を戻す私である。

 

 

「……ええと、どういうこと?」

「ちょっと前ならこいつも私達みたく引き気味だった、ってこと」

「今はなんと言いますか……対等?みたいな空気感になっていらっしゃるような……」

「あー、それはまぁほら、この髪の色が答えというか」

「髪の色が?」

 

 

 どうやら、前に比べて私が『星女神』様に対して萎縮していない気がする……と、二人は言いたいらしい。

 確かに、前までの私ならこの状況下、文句を返すこともなくひたすら恐縮していたことだろう。

 その理由には今の私の髪色が関わっていたりするのだが……それだけだとなんのこっちゃ、という話である。

 

 でもまぁ、その辺りを詳しく解説しようとするとまた時間が掛かるため、今回は割愛。

 とりあえず、髪色の変化と共に色々変わったのだ、くらいの認識で十分だと思う、とだけ返しておくのであった。

 

 

──端的に言いますと、()()()()()()()()()のですよ、彼女──

「貴方のスパルタのお陰ですよ、ありがとうございます」

──……そのせいでこんな感じにグレてしまったのです。今までは可愛い孫娘みたいなものだったのですが、これでは反抗期以外の何物でもありませんね──

「は、はぁ……?」

 

 

 今の彼女との距離感は、口うるさい上司とその部下……みたいな感じが近いのではないだろうか?

 以前までのそれが社長と平社員、くらいの感じだったので大躍進というか。……もっと間があったかも?

 

 ともあれ、そんな感じで雑談を交えつつ『星の死海』を進む私達。

 今回は単なる正月の挨拶、ということもあり道中の試練などは全て停止中。

 素通りして直進距離を進んでいるため、比較的あっさりと『星女神』様(本体)の居住地にたどり着くことに成功したのだった。

 

 

──そういうわけで、お疲れ様私。暫く休んでいて頂戴──

──了解したわ私。貴方達はこのまま奥に進んでね──

「了解でーす、行くよみんなー」

「今のは一体なにじゃない……?」

「なにって、分身からの報告を受ける別の分身、みたいな?」

「それ必要なの……?」

 

 

 あれだ、同じ使い方ばっかりするとマンネリ……もといやり方が固定化されて宜しくないから、みたいな?

 ただでさえなんでもできるようなものなので、やり方の多彩さで世の中への新鮮味を失わないようにしてる……みたいな。

 

 ともかく、さっくりと『星女神』様のお部屋までたどり着いたのだから、さっさと挨拶を済ませて帰ろう。

 そんな感じのことを考えながら先に進んだ私は、しかしてそこで巻き起こる新たな事件について、全く予測ができていなかったのだった──。

 

 

 

 

 

 

「──ちょっと待ちなさい!そのあとの話は?!」

「そちらに関してはこの『星女神』様謹製報告書の方に纏められておりまする」

「……いや待ちなさい、これ以前渡されたエグい保存量のメモリじゃないの!?何文字書いたのよその報告書!?」

「いえいえ、4K画質で製作されてるだけですので……」

「まさかの映像報告!?」

 

 

 ……時間は飛んで、新年会の真っ最中。

 あの場でなにが起きたのか、というのは報告書の方に説明を譲るが……簡潔に告げるのならアウラが真っ白に燃え尽きたりした、とだけ。

 

 とはいえ既に終わった話でもあるので、今の私は夕食を食べること優先お酒を飲むこと優先、である。

 ……え?目の前のゆかりんは、全くそんなテンションじゃなさそうだって?

 

 

「まぁまぁ、新年なんだから仕事のことなんて忘れてお酒どうぞ」

「もがっ!?」

「ある意味絡み酒みたいなもんね……」

 

 

 折角新年会なんだから、仕事なんか忘れなさいとばかりにゆかりんの口にお酒を突っ込む私である。

 問題があるなら明日の私にぶん投げる!これこそ精神安定の一番のやり方!

 ……明日の私から恨まれる昨日の私、という部分には目を逸らすが吉である。

 

 

「最近のせんぱいは大体いっつもそんな感じでは……?」

「じゃないとやってられないからねー」

「そういうものですか……」

 

 

 隣でホログラムってるBBちゃんから、呆れ顔と共にツッコミが飛んでくるけど……まぁうん、髪がこうなってからはわりと適当さに磨きが掛かった気がしないでもない、というのもわからないでもない。

 とはいえその辺りをツッコまれ続けると困るので、露骨に話題を逸らす私である。

 

 

「そういえば、のび太君は大丈夫だったの?」

「大丈夫じゃないので自室で自習中です」

「あれまぁ」

「なんなら勝手に【継ぎ接ぎ】を使ってズルをしようとしていたので、その辺りなんにもできないようにした上で缶詰中です☆」

「あんれまぁ……」

 

 

 まぁ、逸らした結果思わず天を仰ぐ羽目になったのだけれど。

 ……いやその、なんでこう期待通り()の動きをするのかな彼は。

 

 

「うわーん!!こんなの今日中に終わるわけないよー!助けてドラえもーん!!」

 

 

 どこからか聞こえて来たような気がした彼の叫び声に、誰もが苦笑したことは言うまでもない。

 ……あとで残りものでも持っていってあげようかね。

 

 

*1
ある種の洗脳として見た場合、【星の欠片】の性能はわりと意味不明……というのは以前から何度か語っている通り。やろうと思えばアウラの天秤を『勝ったと見せ掛けていきなり反対方向に傾ける』『いつの間にか左右が逆になってる』などの手段でおちょくることも可能

*2
『ドラゴンボール』において、ピッコロさんがよくやるやつ。自力で切れた腕を生やすことができる為、作中ではわりと気軽に腕が切り飛ばされる。『魔族』云々に関しては、初代ドラコンボールにおけるピッコロ大魔王がその肩書きの通り『魔族』の長であったことから。……後半の設定を見ればわかる通り、彼は本来魔族でもなんでもないナメック星人の一人(から分かたれた悪の心)であるのだが、一応彼から産み出された部下達は魔族としか呼びようがないのも事実である(ナメック星人とは似ても似つかない)




今回は短め。次回から幕間です。
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