なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~   作:アークフィア

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幕間・莉頑律縺ィi縺オ譌・縺ョ闃ア繧呈遭闃ス

「──随分待たせちまったな」

 

 

 彼の言葉が世界に響き、それに合わせるように輝きが視界を埋め尽くしたのち。

 静寂が世界を包んだ中、それを裂くように静かに響く彼の声。

 ──その声の主であるハセヲ君の傍らには、不定形かつ靄のようななにかが彼に付き従うように寄り添っていた。

 

 スケィス。

 死の恐怖と呼ばれる彼の半身とも言えるその存在は、不確かな姿ながらにこの場に姿を現した。

 ……いや、不確かなのは私たちに対してだけで、ハセヲ君の目にはしっかりとその勇姿が写っているのかもしれない。

 

 そうして二人?の視線が交差する中、その停滞を破ったのは、

 

 

「──ようやくこっちを見やがったか」

『縺雁燕縺ョ蟄伜惠繧定ィシ譏弱○莉」』

 

 

 スケィスを呼び出したハセヲ君の方へ視線を向け直した、三爪痕の触手による攻撃。

 それを彼は傍らの靄で防ぎ、凶悪な笑みを浮かべる。

 

 ……もしかして、憑神(アバター)を呼び寄せたことでハイになってたりする?と少々警戒する私に、彼はチラリとこちらに振り向いて。

 

 

「心配すんな。単純にちょっと嬉しいってだけだからよ」

「嬉しい?」

「そう──」

 

 

 柔らかなモノに変えた笑みを見せながら、相手に向かって大剣を構える。

 そのまま、弾かれたように飛び出して行った彼を迎撃するように触手が振るわれるが──、

 

 

おせぇ!!

『!』

 

 

 それを時に大剣で弾き、時に傍らの靄で弾きながら、彼は三爪痕に肉薄する。

 そのまま、先ほどと同じく地面を抉りながら大剣の振り上げが三爪痕を襲い、

 

 

だらぁっ!!

「!入った!?」

「明らかにさっきとは違うぞ、どうなってんだ!?」

 

 

 それは受け止められることもなく、容易に相手を吹き飛ばしてしまう。

 明らかに様子の違う激突に、思わず見に回ってしまった面々から驚きの声が上がるが……その理由自体は一目瞭然だろう。

 

 

「あの靄──もといスケィスが原因だろうね」

「……そういえば、なんかあのスケィス小さくないか?いや、そもそも姿が見えないって時点であれだけど」

「逆だよ、キリトちゃん。あれは見えないんじゃない、()()()()()()()()()()()()()()()()んだ」

「……んん?」

 

 

 突然のパワーアップ。

 それは紛れもなく、彼の横に立つスケィス……らしき靄のせいだろう。

 

 だがしかし、疑問も多くある。

 何故靄なのか、何故本来の大きさより小さいのか。

 それらの理由は恐らく、あれが【継ぎ接ぎ】によるものだから、というところが大きい。

 

 

「……え?継ぎ接ぎ?」

「そう。元々『声が聞こえる』なんて風に言ってたハセヲ君だけど、その実(スケィス)を呼ぶことはできなかった。その理由は相手がそれを拒否してたから、というのもあるけど──一番大きいのは多分、『スケィス』という埒外の存在を顕現させるのが不可能に近かったから、というところだと思うんだよね」

 

 

 存在するだけで、一つのサーバーを丸ごと機能不全に追い込みかねないギガストラクチャ。

 かつ、仏教における八識──無意識に属する末那識、()に執着する心──翻って死を恐れる心を具現化したモノでもあるとされるのがスケィスという憑神(アバター)*1

 

 言い換えると、それを再現するためのリソースが多すぎるのが問題、ということになるか。

 存在するだけでゲームの運行を妨げるような存在であることに加え、末那識は八識の中でも人の原罪に結び付くとされる最も重きもの。

 真っ当に再現しようとした場合に、どれほどの再現度を必要とするものやらわかったものではあるまい。

 

 その上、そうして現れるだろうスケィスは、作中描写からもわかる通りチート以外の何物でもない存在。

 軽くその力を奮っただけで、『tri-qualia』という世界を破壊するに足る力を見せ付けることだろう。

 

 つまるところ、スケィス側が望んだとしてもこの世界に現れるのは不可能に近かった、というわけだ。

 少なくとも、フルスペックで現れようとすれば『tri-qualia』という世界そのものが反発してもおかしくない。

 無論、スケィスくらいになればその反発もあってないようなもの、という形で無視できたかもしれないが……。

 

 

「少なくとも、彼はそれを望まなかった。結果、【顕象】として現れるのではなく、ハセヲ君に付属する【継ぎ接ぎ】としての顕現を選んだ、ってわけ」

「……色々ツッコミ処は多いが、とりあえず一つ。つまりあれは、半端な状態で現れた結果……ってことか?」

「そうなるね。正規?の手段で現れていたのならまず私たちには見えてない。憑神(アバター)はAIDA感染者か同じ憑神持ちじゃないと視認すらできないからね」

 

 

 スケィスは無用な混乱を嫌い、結果として彼の付属物として甘んじることを選んだ。

 本来であれば世界を揺らすほどの存在感を、あくまで霞のようなその姿に貶め。

 かつ、本来であれば形のない存在であるところを、証を持たぬ者達にも認識できるように書き換えて。

 ……方向性的にはスタンドとかに近い存在になった、ということだろうか?

 

 ともかく、本来ならば私たちには認識できないはずのそれが認識できるように──存在の縮小が行われた結果があの靄だ、ということは間違いない。

 つまるところ、本体からすればあまりにもお粗末な弱体化、ということになるわけだが……だからこそ、【継ぎ接ぎ】によって発生するハセヲ君へのフィードバックも微少なもので済んでいるわけで、なにも悪いことばかりとは言い辛い。

 

 

「一瞬警戒したけど、もし本来のスケィスが彼の側にあったのなら、本当に暴走してた可能性大だからね……ハセヲ君はわりと再現度高めな方だけど、それでも憑神(アバター)を不足なく扱える練度かと言われると微妙だし」

「なるほど……とりあえず、今のハセヲ君はちょっとテンション上がってるだけ、ってことだね?」

「まぁ、そうなるね」

 

 

 そんな感じのことを話しながら、未だ猛攻を続けるハセヲ君に視線を向ける私たちである。

 

 ……うん、三爪痕の触手が危なすぎるため、援護とかできないから仕方ないんだよね。

 スケィスのパワーが下がっているということは、すなわち本来みたいにパーティ全域に及ぶ保護──バグ耐性とでも言うべきものの効果範囲も狭くなってる、ってことだし。*2

 

 なんなら、遠距離からの援護も正直微妙だろう。

 確かにハセヲ君には効いてないが、触手の効果は未だ健在。

 それはすなわち、仮に銃弾とか矢とかで攻撃した場合、触手に触れると操作を奪われるということでもある。

 ……パーティ保護がしっかり機能していれば、そんなこともなく援護もできるんだろうけどねぇ。

 

 とはいえ、だからと言って手をこまねいているのも問題といえば問題。

 ゆえに、なにかできないかと探してみるものの……。

 

 

「……うん!戦闘方面ではどうしようもなさげだし、私たちはここからの脱出手段を探すことにしよう!」

「諦めるの早っ」

 

 

 あれだ、結構離れた位置に行ってしまったハセヲ君をよくよく見ると、なんか姿が変わっている。

 白い姿であることは変わらないのだけど、なんか後ろに光で出来た羽根が増えてるというか。

 わかりやすく言うと、スケィス3rdの背中についてるソードビット?みたいなやつが今のハセヲ君にも増設されてる感じ。

 

 一応、『.hack//Link』でのXthフォームにもソードビット*3っぽいのがくっついていたりするのだが、そちらが二つなのに対して今のハセヲ君にくっついているのは八本。

 ……どう考えてもスケィスの羽根がそのままくっついてますねありがとうございます()

 

 よく見れば傍らにいたはずの靄──スケィスの姿もないし、コレってもしかしなくても合体してるくね?【継ぎ接ぎ】であることを活かして原作にない謎の強化形態に変身してるくね?

 ……ってなわけで、正直手伝う必要性が皆無になってしまったのである。お前はどこのストライクフリーダムだ。*4

 

 そうなると、こっちにできそうなのはこの空間──原作に肖ってAIDAフィールドとでも呼ぶが、ここからの脱出方法について探ることという形になるだろうか?

 いやまぁ、普通に考えたらあの三爪痕を倒せば出られるとは思うのだけど、万が一倒しても出られないパターンを引いたら……ね?

 

 

「……言われてみれば確かに。あやつが現れたと同時にこの場に移動させられたわけじゃが、だからといってあやつが原因とは断言しきれぬのう」

「そういうこと。ってなわけで、向こうの邪魔にならないようにちょっと探索してみよう」

 

 

 そんなわけで、可能な限りハセヲ君達の戦闘に近付かないようにしつつ、この不可思議な空間を探るために動き始めた私たちなのであった。

 

 

*1
八相と呼ばれるモノの中で、一番最初に生まれたのがスケィス──正確にはスケィスゼロだとされる。生みの親とも言えるモルガナ・モード・ゴンはアウラの生誕によって自身が必要性を失う……すなわち死を迎えることを恐れ、そうならないようにと暗躍した。故に、人の持つ八識のうち無意識──考えずとも胸の裡にて燻る原罪、末那識を元にしたスケィスが強いのもまた道理である。というか強すぎて初代プレイヤーはトラウマになってたりすることもあるとかないとか

*2
初代『.hack//』などで存在する描写。主人公カイトの持つ『黄昏の腕輪』などのアイテムは、相対するバグ的存在・八相などの攻撃を劣化させる効果を持つ。そうじゃないと一般PCでは彼らに叶わないから、というメタ的部分もある(モルガナがわかりやすいが、ゲーム的に体力のパラメーターが『0/0』になっていたりする。システム的にはそもそも死んでるはずなのに敵対している・動いているという扱いになる為、一般PCが行える行動は全くの無意味、という形になっている。一応腕輪などの効果でプロテクトに対するダメージに変換され、データドレインが効くようにする、という意味はある)

*3
無線で動く斬撃武器。ガンダムシリーズやダンボール戦機などに登場し、遠距離から相手を攻撃できる武器として重宝それている。作品により稼働の方式は違うが、単純な近接戦闘以外に戦闘に華を持たせるものとして、絵的な意味でも重宝される

*4
型式番号『ZGMF-X20A』。『機動戦士ガンダムSEED Destiny』に登場する機体であり、キラ・ヤマトが搭乗する。背後にマウントされた『スーパードラグーン』が一番の特徴

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