なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~   作:アークフィア

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余計のことそうなるフラグである()

「いえまぁ、事前に攻撃されることは窺ってましたので」

「ええ……」

「マジかよ……」

こういう(動じない)部分も知ってほしかったからやったんだよ、別に考えなしにやったんじゃないよ」

 

 

 あれだ、周囲からの変更の拒絶は彼女の全てに適応される、ってことを分かりやすく説明しようと思うとこうせざるを得なかったというか。

 

 ……ってなわけで、しれっとしているしのちゃんの反応を見てドン引く面々と、そんな彼らを見てうんうんと頷く(ボコボコの)私でありましたとさ。

 うん、身体的な変化の無効ならともかく、精神面の揺れすら無効にするのは大概というか?

 

 なお、それだけだと器の精神を凍りつかせているようなものなので、実際にはしのちゃんに不利益になりえない感情の動きは無効にならないらしい、と付け加えておく私である。

 

 

「じゃないとしのちゃんが精神的にヤバイ人になった、ってことになりかねないからね!」

「いや、精神面を考慮しなくても大概ヤバくないコイツ?」

「一応、なんでも防げるわけじゃなくて『星女神』様とかなら突破はできるよ?」

そこが議論に入ってくる時点で大概なんだよなぁ……

 

 

 それは確かに(真顔)。

 もし仮に『星女神』様の干渉を弾ける存在がいるとすれば、それは最早誰もどうにもできないなにかってことになるからね!

 そんな怖いものがいたらヤバイよね!ああでも確か『逆憑依』の元締めってそういうタイプだっけ?じゃあヤバイね、HAHAHA!!

 

 ……はい(急に落ち着くやつ)。

 その辺りの戯れ言はともかくとして、現状のしのちゃんが色々特殊な状態になっている、ということは確かな話。

 ゆえに、見た目は完全に……完全に?一般人だけど、彼女にはこのなりきり郷での生活を受け入れて貰おう……という話になるのでしたとさ。

 

 

「あ、はい。承りました」

「即答した!?」

「いえまぁ、環境を変えたいとは常々思ってましたので」

 

 

 ただなぁ……こう、俄に漂う闇深案件の香りがなぁ……。

 具体的にどう闇深なのかはわからないけど、少なくとも()()()()()()()()()()()()()()()()()()使()()ことと、()()()()()()()()()()()()()姿()程度で『逆憑依』の判定が出っぱなしになって尚且つ釣り合う、なんて事態に派生するのかどうか、というか。

 

 これが例の掲示板でなりきりしてたことがあるー、とかならそこまで気にする必要もないんだけど、しのちゃんに関してはそういう遊びは一切したことがない、って話だったからなー。

 無論そういう遊びに理解がないってわけじゃ無さそうだったけど、それでも別に積極的にシノンの真似とかしてはいなかったし。

 

 そう考えると──どこか別の部分で、二人に似ていると判断される要素があった、ということになるわけで。

 ……闇深前提で行くと『誰かをやむを得ず銃で撃ったことがある』とか『研究対象の誰かを連れて逃げ出したことがある』……とか?

 

 

「……ないな!」

「なにがないんだよ?」

「いやこっちの話」

 

 

 いくら闇深案件とはいえ、そんなもの世間に大っぴらに転がってたら怖いわ!

 

 一応どちらも同じタイミングの出来事、と考えると一つ答えが浮かび上がらないでもないけど、その場合しのちゃんどっかの秘密組織の一員だったとかって話になるわ!

 いくら私たちが荒唐無稽の産物とはいえ、そういう方面での非日常はあり得ないのだわ!!

 

 ……みたいな感じのことを脳内で思考した結果の『ないな』宣言だが、そんな私の脳内思考が読めるわけではない周囲の反応は『こいつまたなにか変なこと考えてやがるな?』的な呆れを含んだモノなのであった。

 いや、そんないつでも私が変なこと考えてる、みたいな反応は酷くな……いや酷くないな、私の思考は大抵エキセントリックだったな。

 

 

「ゆえに無罪!やったな君達寿命が伸びたぞ!」

「そうなんですか。とても嬉しいです」

「…………終始こんな感じだから、みんなしのちゃんのこと気にしてあげてね(真顔)」

「お、おう……」

 

 

 この流れで困惑でもツッコミでもなく肯定が飛んでくるの怖いよ……。

 

 そんな『しの恐怖』を味わったハセヲ君以下数名は、流石に彼女の怖さに気付いたのか思わずちょっと引きながら頷いてくれたのだった──。*1

 

 

 

 

 

 

「まぁ、怖さ云々だと他にもまだ警戒するべき部分があるんだけどね」

「まだなにかあんのか……」

 

 

 さて、しのちゃんの精神面での異常……というとあれだが、ともかく彼女の怖い部分について理解が深まったところで、次の話。

 こっちは、彼女の持つ【星の欠片】──仮称『揺れない天秤(コングルアント)』についての諸注意である。

 

 

「諸注意……?今の話以外になにかあんの?」

「基本的に自対象で、外に影響をもたらさず周囲からも影響されないってのが『揺れない天秤』の性質だけど、さっきのやり取り思い出してよーく考えてみて?」

「んん……?」

 

 

 ポイントは、さっきの実践。

 彼女の動じなさ、及び被害の無効化についての部分。

 これは()()()()()()()()()()()()()()()という性質があるわけだが……これは一体()()()()()()()()()()()()()()()()()のだろう?

 

 

「誰って、本人じゃないんだから能力……って、あ」

「まぁそういうこと。……意志疎通の手段がない『揺れない天秤』自体が勝手に判断して処理してるってわけ。問題なのは、向こうからこっちに伝える手段はないけど、こっちの行動を相手が受けとる──言い方を変えるとこっちから伝える手段はあるってことの方」

 

 

 そう、彼女への悪影響云々というのは、恐らく『揺れない天秤』側が勝手に判断して処理しているもの。

 そして尚且つ、今しがた私がかめはめ波を撃って防がれたことを考慮すると、その判断は()()()()()()()()()()()()()モノである、ということにもなる。

 

 そうするとどうなるのか。

 答えは単純、周囲の行動如何によっては、現在問題ないと判断されているものでも問題あり、と認識される可能性があるということ。

 ──わかりやすく言うと、なりきり郷存亡の危機である(いつものこと)。

 

 

「どう判定したのか、が向こうから伝えられない以上、『そうはならんやろ』みたいな判定になる可能性は十分にあるってわけ。具体的には(あつもの)()りて(なます)を吹く、みたいな?」*2

「ああなるほど、地形効果でダメージを受けそうになった結果、()()()()()()()()()なんて飛躍をしかねないってことか……」

「その場合、重力に引かれて落っこちるのも悪、みたいな感じで本人は宙に浮いて無事……とかになりそうね」

 

 

 代わりに周囲のものは全部奈落の底に真っ逆さまだが。

 

 ……いやまぁ、出力的にそこまでやれるのか、みたいな疑問はあるけど、いきなり全部の床を消滅させるのが無理でも()()()()()()()()みたいなことはできてもおかしくはない。

 そうなると、なりきり郷が安全じゃないと判断された途端に、じりじりとなりきり郷のリソースを削り取っていく無効化空間が発生する……なんて憂き目にあう可能性大なのである。

 

 

「そうならないためにも、しのちゃん相手には基本変な対応をしないように……って、なにその視線は」

「いやだって……」

「今しがたやらかしたやつが言う台詞か、それ」

「私はいいのよ。あとアクアとオルタも」

「……はい?」

 

 

 なお、その注意を聞いたハセヲ君とキリトちゃんは、即座にこちらに視線を向けて来たのだった。

 ……多分さっきのかめはめ波の話をしているのだろうが、生憎私とアクア・オルタに関しては話が別である。

 

 

「なんでだよ?」

「いや寧ろ、この三人を選んだ時点で答えなんて明白でしょ」

「……ああ、【星の欠片】だからか」

「キリトちゃんご明察~」

 

 

 そう、『揺れない天秤』の拒絶はそもそも【星の欠片】相手には無効なのである。

 ……一応正確に言うのであれば、【星の欠片】だからこそ無効であるというよりは私たちの性質的に無効にできる、というのが近いのだが。

 

 

「【レーヴァテイン】は世界の破壊者だからそういう拒絶空間を破壊するのは大得意。私の場合はそもそも【星の欠片】の基本原理『自身より小さいものには対処できない』でスルー可能ってわけ」

「三番目だものね、下から数えて」

 

 

 雑に説明するとそんな感じ。

 見たところ『揺れない天秤』は【星の欠片】としてはそこまで虚弱……通常の比較的に言い直すと強力であるとは言い辛い。

 なので【レーヴァテイン】は防げないし、格の問題から私のことも塞き止められない。

 

 なので、私たちに関しては『揺れない天秤』を気にする必要はない、という話になるのであった。

 ……いやまぁ、そもそも【星の欠片】は攻撃の意志がないので脅威とは認知されないだろう、みたいな話もあるのだけれど。

 

 

「それでもまぁ、余計な干渉を防ぎたいって視点からすると、極力他の【星の欠片】は弾きたい……ってなるのはわからないでもないし、そうなるとその意志を無視して触れるのは同格未満(かくうえ)、ってことになるんじゃないかなーと」

「その辺の感覚は俺達にはわからねぇけど……まぁ、問題ないならそれでいいんじゃねぇのか?俺らが気を付けるべき、って話には関わらねぇわけだし」

「そだね。一応もし仮に暴走することがあったら私たちに連絡してね、って知らせておく意味合いもなくはないけど」

「……基本的に暴走とかしないんじゃないのか?」

「保険よ、保険」

 

 

 自分だけで完結している節のある『揺れない天秤』なので、暴走する可能性は限りなく低い。

 先の『地形ダメージにびっくりして地形を否定する』というのも、起こりうる問題として一番警戒すべきパターンを抜き出しただけであって、極論ダメージ床みたいなところ──溶岩地帯とか毒沼とか──に近付かなきゃ問題ないのも事実。

 

 なので、これらの話はどちらかと言うと、しのちゃんと初めて関わるだろう相手への諸注意……みたいな話に落ち着くのであった。

 そもそものマナーとして、相手に失礼となるようなことをしない……っていう当たり前の話とも言う。

 

 

「なるほど……つまり新しいとして、よく面倒を見ろということですね!」

「そうそう新しい妹として……なんて?

「しのちゃん!アクアお姉ちゃんですよ!」

「……?アクアお姉さん?」

……………………ッ!(感激に打ち震えている)

「一気に空気がおかしくなったんだけど、どうすんのよこれ?」

「わ、笑えばいいんじゃないかな……」

 

 

 ……そういえば、周囲の拒絶ってある意味防御なのか。

 人間城塞みたいな防御力、となればアクアが反応するのも仕方のない話だったのかもしれない。

 なんなら彼女の影響を拒絶できない理由も先ほど説明してしまったし、しのちゃん妹化は予想してしかるべき話だった……?

 

 思わず宇宙猫になった私たちだが、それで終わらないのがなりきり郷。

 後日、このやり取りはゆかりんへと提出されることとなり、彼女以外の他の面々すら思考を宇宙に招くことになるのだが……今の私たちは、そんな当たり前のことに気が付くこともなく、アクアとしのちゃんのやり取りを眺める羽目になったのであった……。

 

 

*1
ハセヲの異名『死の恐怖』を捩ったもの。元々は彼の原作における『志乃』の怖いところ、みたいなものを読みが同じとうことに引っかけて『志乃恐怖』としたことから発生したもの。お姉さんを怒らせるのは止めましょう()

*2
『楚辞』の九章の一節『懲於羹而吹韲兮、何不變此志也』から。『膾』と『韲』で言葉が変わっているが、どちらも冷たい食べ物であることは同じ(『膾』は生肉の刺身、『韲』は和え物のこと)。肉や野菜を煮込んだ熱い汁物である『羹』を食べた時に酷い目にあったので、冷たい食べ物である『膾』や『韲』を食べる時にも熱を冷ますように息を吹き掛ける様を指し、そこから『失敗を悔やむあまり必要以上の対策を取るようになる』こと、『無意味な心配をすること』というような言葉として使われるようになった

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