なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「目指せナンバーワン売り上げ、ってことで何故か男装する羽目になったキーアです」
「はわわわわ……」
「そしてこっちが、唐突に限界化してるマシュです」
「いや、ぶれないね君……」
はてさて日付は変わって次の日。
とりあえずラットハウスをホワイトデーの覇者にするため、全力を以て事に当たると決めた私たち。
その結果なーぜーかー、こうして男装する羽目になった私がいたのでしたとさ。……いやなんでさ?
なお、現在の姿に関しては以前ハルケギニアで使ったシルファ……背の高いキリッとした女性()のそれではなく*1、普通にキーアのまま……すなわち小学生くらいの背丈のままである。……ある種ショタ風味というか?*2
「ま、まさかこのような日が来ようとは……私に
「うわぁ!?マシュ鼻血!!鼻血出てる!!?」
「これは鼻血ではありません!私の内から溢れ出る忠誠心が形となったものなのでしゅ!オール・ハイル・せんぱぁぁぁぁぁぁいっ!!!」
「うわぁ……」(ドン引き)
銀髪ロングポニテ仕様のそれが刺さったのか、はたまた私が男装していること事態が刺さったのか。
……はたまた、眠れる中の人(マシュ方面)が目を覚ましたのか。*3
答えは不明だが、ともかく鼻から
正直言って怖いので、仕方なく彼女の背後に瞬間移動&首筋に衝撃を加えて気絶のコンボである。
「なお、このやり方で他人を気絶させるのは不可能に近いので、良い子の皆は真似をしないように!」
「ほっほ~い」
「そもそも瞬間移動の時点で無理があると思うんだよなぁ……」
幸せそうな顔で気絶したマシュを家まで転送し、あれこれ真似しないようにと忠告する私である。
……まぁライネスの言う通り、真似できそうなのって悟空とかあの辺りくらいのもののような気もするんだけども。
ともあれ、元気よく返事をしてくれたしんちゃんに微笑みつつ、改めて店内を見渡す。
今回、ラットハウスにて給仕を手伝ってくれているのは以下の人物達。
まずは最初から巻き込まれることが確定していたハセヲ君とキリトちゃんの二人。
二人とも黒いスーツを着こなしており、できる執事みたいな空気を醸し出していた。
「……そういえば、この姿になってからズボンに着替えるの初めてかも」
「そうなの?」
「アスナが『キリトちゃんは可愛いんだから、色々着ないとダメ!』って感じにあれこれ着せてくるから……」
「大概爛れてるよね、君のところ」
「今の会話から爛れてる云々の話が出るのはおかしくないか!?」
で、二人の内の片方──キリトちゃんの方は、私と同じく扱いの上では男装、ということになる。
体の性別が女性で中身の性別が男性であるためややこしい、というか?
まぁ、昨今の
元は男性主義嗜好も男性、けれど女性としての自認もありそう振る舞うのも特に忌避感なし……みたいな?
聞けば聞くほどわけわからんな、私ら。
そういう性別云々の話はともかくとして、キリトちゃんのことだからズボンくらい履いたりしてそうだと思ったけど。
……どうやら、アスナさんに押しきられて可愛い服とかばっかり着てるらしい。最近の若い子は爛れてるな!(適当)
二人の話はそれくらいにして、他のメンツについて。
まずはさっき私が挨拶していたしんちゃんと、その隣に立つ
彼らは先日ここに集まった時にも執事服を着ていた面々であり、言うなればホワイトデー仕様ラットハウスの一軍メンバーに当たる存在である。
……いや、正確なところを言うと、しんちゃんは別枠なんだけどね?上条さんとウッドロウさんを代わりに加えるべき、というか。
「ぴっか、ぴかっちゅ」*5
「そーいうわけでぇ~、今日はオラ達がホール
「それを言うならホール
「おぉ~、そーともゆ~」
で、本来なら加わるはずの二人は、今日は調理の方に回っているとのこと。
先日はピカチュウがそうであったように、日によって担当する場所が変わるらしい。
みんな料理ができるのと、そもそもラットハウスがあくまで軽食のみの提供だからこそできる荒業、みたいなものなのだそうだ。
で、しんちゃんは特に料理はできないのでホールのみの担当、と。
……まぁ、そもそも論で行くと彼はここのスタッフではないわけだが。
「折角の
「
おお、そーともゆーというお決まりの台詞を再度放つしんちゃんを見つつ、小さく息を吐く私である。
……そう、イベントごと。
なりきり郷はいつでもどこでもドタバタしているイメージがあるかもしれないが、実際はそんなにトラブルばかり起きているわけでもない。
単に住民達がイベント事に積極的なだけであり、それゆえに些細なイベントも大行事になるだけである。
とはいえ、だからといって誰もが全てのイベントに参加する、というわけでもない。
例えばひな祭りに老人達が乱入することはないように、特定のイベントにおいては
結果として、参加できるイベントには積極的に参加しよう、と行動する人間も多いわけだ。
しんちゃんもそういうタイプであり、本来なら執事服を着て奉仕……みたいな話とは無縁そうだが、こうして顔馴染みの店に飛び入り参加してきた……と。
「……いや、原作でもわりとありそうじゃねぇか?ピシッとスーツ決めて色々やるっての」
「スペシャル的なやつとかパロディ的なやつとか?……でもわざわざホワイトデーにはやらないんじゃない?あいちゃん的にも」
「あいちゃんかぁ~……オラ、アルトリアのお姉さんと話してると、たまに思い出しちゃうんだよねぇ~」
「あー、俺がアトリを思い出すのと似たようなもんか……」
「そーそー」
そういえばハセヲ君としんちゃんって、身近なヒロイン役の声が同じという共通点があったな……。*6
なんて変な気付きを覚えつつ、このノリだとしんちゃんもアルトリアからなにか貰ってたりするのかなー、と思案する私である。
ともあれ、現状の店員達は先ほどの面々に私を加えた計七人。
このメンツでホワイトデーイベントを優勝に導かねばならないわけだ。
『なるほどー、せんぱいはまた変な問題に顔を突っ込んでいるんですね。ですがご安心を、そういうことならこの人類の頼れる後輩、BBちゃんが徹頭徹尾管理して……管理して……』
「おっと、今日はいたんだねBBちゃん。……って、あれ?」
ではどうやって優勝を目指すのか。
メンツは中々強力だが、それだけで勝てるほど甘くはないぞ……と本格的に対策を考えようとした矢先。
背後から聞こえてきたのは、ラットハウスの片隅に設置されたホログラム機からの女性の声。
それと同時に聞き覚えのあるBGMが流れてきたため、どうやらBBちゃんおでましの様子……と振り返った私は、そこでホログラムから半分姿を現した状態で固まる、という微妙に器用なことをしている彼女の姿を目にすることになったのであった。
……いや、なにしてるのBBちゃん?
近くに寄って顔の前で手を振って見るが、反応はない。
まるでフリーズしたかのような固まり方に、いやでもBBちゃんがフリーズなぞするか?
……と首を捻った私は。
『……せ、』
「せ?」
『せせせせせ、せんぱいがががががががががぁ!?』
「えっあっちょ、BBちゃぁぁん!?」
突如再起動した彼女が、両頬に手を当て身を捩りながらホログラム機に倒れ込んでいく、という珍妙な姿を目にすることになったのであった。
思わず反射的に手を伸ばすも、そもそも相手は単なる投射映像のため掴めるはずもなく。
彼女はそのまま『おーぼーえーてーてーくーだーさーいーぃーっ!!』という言葉をドップラー効果で響かせながら、暗い暗いデータの海へと落ちていったのであった。
……うん、どういう状況なのこれ?