なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~   作:アークフィア

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緊張感が持ちませんね()

「おはつに~おめに~かかりますぅ~。私~、ここの~領主の~ささらと~申しますぅ~」

「挨拶が間延びしすぎィ!!」

 

 

 ささらっていうとゆかりさんのご親戚かなー、みたいな思考もどっかに行ったわ!

 

 ……しのちゃんやジャンヌ達の例もあるので、彼女も創作キャラの誰かと混じったタイプの【星の欠片】なのかな?

 なんて気持ちも多少はあったけど、見た目や改めて聞こえてきた声からして『それはないな』と考えを改める私である。

 

 なお、今しがた脳裏を過った『さとうささら』さんは、正確にはゆかりさんともミクさんともちがうタイプのお方である、と一応付記しておきます、念のため。*1

 

 それはともかく、改めて顔を見せた領主さんにフォーカスすると。

 見た目はその声の印象通り、いわゆる『年上のお姉さん』的空気感を漂わせた人物であった。

 意外と私の知り合いには珍しい属性であるため、それだけで印象に残りそうな予感がびんびんするというか?

 その垂れ目が向けられたら誰しもが『ママーッ!!』ってなりそうな予感がするというか?

 

 

「実際連れてこられた子は、彼女の膝の上で寝てるからねぇ」

「今まで~大変だったでしょうからぁ~仕方がありませんねぇ~」

 

 

 なお、彼女が部屋に入ってくる時に連れてきていた子──髪はボサボサ、服はボロボロ──はと言えば、現在彼女の膝の上に頭を乗せてすぅすぅと寝息を立てている。

 

 ……見た感じ奴隷っぽい空気感の子だが、どこの中世風世界から連れてきたのだろうか?

 とはいえ現状は話の主題とは関係ないため、一旦この子のことは脇に置いておく。

 

 で、改めて領主──ささらさんを見る私。

 今度は【星式名】の確認のために彼女を頭から爪先まで眺めてみたわけなのだが……。

 名字……もとい【星名】の方は確かに『祝祭』だが、続く【星式名】の方はやはり私の想定していたものである『道化はただ笑うのみ(クラウン・クラウン)』とは別だった。

 

 いやまぁ、私の観測(せってい)が間違っていて、正式な【星の欠片】として登録されたのは彼女、みたいなパターンだってあり得なくはないのだが。

 もし仮にそうだとすると、彼女の【星式名】がノイズということになるというか……。

 

 

「……なんで?さっきの話は一応納得したけど、その言い方だと他にも理由がありそうだけど」

「あーうん、私が作った(かんそくした)ものが実際に存在する、って証明してくれたのが『星女神』様だから……」

「ううん……?」

 

 

 基本的には『星女神』様が呼ぶのに使うものである、というのが私が【星式名】に込めた設定なわけだが。

 それはなにも私の勝手な設定ではなく、実際に『星女神』様が名付けているモノである……みたいな?

 あれだ、設定と現実が噛み合っているかどうかというのは、『星女神』様に確認することでその正当性が担保されている……とも言えるかも。

 

 

「言い換えると、【星式名】は『星女神』様にしか作れないんだよ。それで呼ぶのは彼女だけで、他の人達には必要ないものだからね」

「……なるほど?」

 

 

 わかりやすく言うのなら、名付けはあくまでわかりやすさ優先だ、ということになるか。

 あれだ、私の設定の上では男性に付けられる名前だけど、それを女性に付けるのも『星女神』様の勝手、みたいな。

 

 

「先代に相当する人がいるなら変わるのはわかる。けど、そうじゃないなら()()()()()()()()()()()()()()()()()はず……とか?」

「そんなのあれでしょ、普通に居たんじゃないのその先代とやらが」

「うーん……」

 

 

 代替わりしたので新しく名前を作った、というのが一番しっくり来るのは確かな話。

 だがしかし、【星式名】が『星女神』様の名付けるものである以上、どうにも違和感が残るというか。

 もう一方のほう、【星名】は別に本人が名乗り初めてもいいから余計のこと、というか……。

 

 

「……あれ、自分から名乗り初めてもいいの?」

「『星女神』様相手だとどっちが先かと言うこと自体無意味だから、『自分から名乗り始める』のも『星女神』様に名付けられるのも、感覚的には同じなんだよ」

「うーん、無茶苦茶すぎる理論……」

 

 

 居ないはずの誰かに遠慮する必要はないだろう、みたいな気持ちもなくはない。

 特に相手が『星女神』様だと、高々私が作った(みつけた)設定くらい無視しても問題ないはずなのだから。

 

 ……そう、この話の根本的な部分は結局のところ『想定される【星式名】は男性のためのものだが、その相手が居ないのに何故か同じ【星名】の相手に流用されていない』というところに尽きる。

 元々『星女神』様が区別を付けるために付けているもの、という設定があるのだから、同じ【星名】なら【星式名】を流用するのが普通なのだ。

 ……あ、いや。流用だと話がおかしくなるか……。

 ええと、本来【星の欠片】は一つの世界に一つしか現れられないのに、その上同じ【星名】の【星の欠片】なんて余計に現れるはずがないんだからなおのこと、みたいは感じ?

 

 

「というか、なんでそんなにその部分を気にするのよ?先代がいないなら同じ名前のはず、ってのはそんなに問題?」

「……あーうん、相手が名乗る前にそこに触れるのもどうかなーって」

「はぁ?」

「な~る~ほ~どぉ~。お話は~わかりましたぁ~。私が名乗ればそれでわかるぅ~、ということですねぇ~」

「え?いや今名乗って……って、あ」

 

 

 ……うん、やっぱり私の説明だけで理解して貰うのは無理がある。

 ってなわけで、本人──ささらさんからも説明をして貰おう。

 と言っても、彼女にして貰うのは単に名乗ることだけ。それも名乗るのは彼女の名前ではなく──、

 

 

「私の~【星式名】はぁ~、『その筆は彩る(パレード・メイク)』~。よろしく~お願いしますねぇ~」

「はぁ、よろしく……んん?」

 

 

 彼女の【星式名】について、ということになる。

 ……名付けるのが『星女神』様だとはいえ、自分から名乗ることもあるのが【星式名】。

 本人の証明に便利だから、というのはついこの間語った通りだが……それゆえに一つ、不可解な部分が残る。

 

 わかりやすいのは、これが『星女神』様が名付けるもの、という点。

 ……【星名】の方ならともかく、【星式名】の方は絶対に『星女神』様が名付けに関わっているのだから当たり前なのだが、これを本人が知るためには直に『星女神』様から聞くしかないのである。

 無論、彼女は『星女神』であるがゆえにあらゆる場所にいるのだし、単に名前を告げるだけならどこにいても関係はないのだが……この話で重要なのは、それゆえに『星女神』様が相手の実在・非実在を認識している、という部分。

 

 そして彼女の感性的に、現状存在しない相手を考慮する必要はまったくないわけで。

 

 

「……なるほど、パレードのためにメイクをする人物、という名付け方からすると、道化(せんだい)の存在を前提にした名前、ってことになるんだねこれ」

「それだけじゃないんだよ、【星式名】には色々情報が含まれてるって言ったけど、その中には自身が初代か引き継ぎか、みたいな情報も含まれているんだ。その前提からすると、ささらさんは明確に()()なんだよ」

「んん?」

 

 

 まぁ、その『含まれる情報』を閲覧するには、ある程度のレベルの【星の欠片】であることが大前提になるんだけど。

 でもその辺り私なら余裕な訳で、それゆえに含まれている情報を目にして、思わず困惑してしまったわけである。

 

 そう、ささらさんは『祝祭』としての初代。

 だがしかし、与えられた名前は明らかに私が作った(観測した)相手を意識したもの。

 でも、当の先代は影も形もない……。

 そりゃまぁ私も思わず意味わからん、と首を傾げてしまおうというものだ。

 

 

「なるほどぉ~。でもお一つ~修正点が~ありますぅ~」

「はい?修正点?」

「はい~。確かに~私は~初代ですがぁ~。()()()()()()()()()()()()なんですぅ~」

「……はい?」

 

 

 で、そうして私の疑念の元が明かされたわけだけど。

 それをさらに混ぜっ返すようなことを言うのが、当のささらさん。

 その言い方的に、彼女は既に『祝祭』を誰かに継がせる予定で……って、まさか?

 

 

「その通り~でしてぇ~。この子が~次のぉ~『祝祭』ですぅ~」

「逆パターンかぁ!?」

 

 

 なるほど、寧ろささらさんの方が先代だったのか!

 流石にそのパターンは思い付かなかったというか、脳内から選択肢が抜け落ちてた!

 なにせジャンヌ達ですら、私が見たのが初めてじゃないって扱いの【星の欠片】だったし、そういうものかと!

 

 ……意外と自分の知識を前提にしてたんだなぁ、と小さく自戒しつつ、改めて彼女の膝の上で眠る子供に視線を向ける私。

 今は静かに寝息を立てているだけだが、その先には既に苦難が待ち受けているとは……と、少し同情してしまう。

 ただでさえ引き継ぎタイプの【星の欠片】は面倒だしなぁ……などと考えたところで、まったく別の閃きが私の脳裏を走る。

 

 

「……あ、もしかしてここにこの世界が現れたのって……」

「ご予想のぉ~通りですぅ~。引き継ぎのための補助がぁ~主な目的でしてぇ~」

「あー、なるほど……」

「また勝手に納得してる……」

 

 

 それは、何故彼女がホワイトデー真っ只中のこの場所に現れたのか、という理由。

 ──簡単に言うと、それは彼女から彼へと【星の欠片】を引き継ぐ際、その成功確率を上げるためなのだという予想なのであった。

 

 

*1
CeVIO(チェビオ)』と呼ばれる音声合成ソフトのキャラクターの一人。サンプリングした音声を繋ぎ合わせ音を作る『波形接続型』ではなく、人が発声する過程をシミュレートすることで音声を作り出す『統計的音声合成』と呼ばれる技術を使用している。その為、中の人と呼ぶべき相手は本来存在しない(一から十まで機械で作っている音である為)が、サンプリング対象となっている人物が存在するのでそれが一応の中の人となる。さとうささらの場合、中の人はチノちゃんやライネスなどと同じ『水瀬いのり』氏になっている

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