なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「……ホワイトデーだと引き継ぎがうまく行くの?」
「正確には、
「ふむ?」
彼女が連れてきた少年こそ『
……みたいな話なのだと判明したところで、何故彼女がわざわざホワイトデーの真っ只中にこのなりきり郷に現れたのかを理解した私だが。
無論、それは私があれこれ知っているからこそ理解できた話であり、そういう知識の欠けている他二人にまで理解して貰えるか?……と言われるとまた別の話。
なので、その辺りの詳しい情報を伝えるため、ささらさんも会話に交えつつの解説が始まったのだった。
「まず、『祝祭』はその本質的に
「カーニバルとカニバリズムの意図的な混同と、そこから来る方向性の一致した事柄の補強……っていう解釈でいいんだよね?」
「そうそう。捧げ物を『弱いもの』として見るなら、祭りには
まず大前提として、祭りというものが本来『なにか』への感謝など、自分以外の存在への祈念を含むものである……という部分に着目する必要がある。
わかりやすくいうと、単に騒ぐだけに見える祭りでも、『祭り』というシステムを使っている以上はなにかを──この場合は目に見えぬ信仰などを捧げている、と解釈できるわけだ。
その例に則れば、バレンタインは女性から男性に
「見方を変えると、
「なるほど。一般的な祭りとは異なるけど、ホワイトデーもしっかり祭りの要素を持ってるってことになるのね」
……まぁ、あくまでそういう見立てができる、ってだけの話であって本当に神性とかが付与されてるわけじゃないんだけど。
でも受け取って貰えるか・それが受け入れて貰えるかと気を揉む瞬間は、ある意味神頼みのそれに近しいと言えなくもないのかも?
「とはいえ、『祝祭』が対象としている祭りとはちょっと毛色が違うから、本来なら引き継ぎ云々どころか『祝祭』としての本領を発揮するのも難しいんだよね」
「……そういえば、その『祝祭』ってどういうことができる【星の欠片】なの?私なら二つの要素を選ぶとその間に当たる存在に不変属性を与える、みたいなことができるけど」
「んー、どうなんですその辺り?」
「意図的に~混同してるって~話でしょ~。だからぁ~、それが答え~」
「……はい?」
うーん、間延びした発言な上に分かりにくい返答……。
とはいえ、混同してるって部分が重要だというのなら、答えは限られてくる。
あとは、自身の記憶と照会して考察すると……。
「……その祭りにおいて得られるモノを相手から貰える、みたいな?」
「祈りの再分配、ってことだねぇ~」
カニバリズム……人肉食において目的の一つとされる、打ち倒した相手の能力の獲得。
相手の持っていた強い力を得るため、それを司るであろう部位を食すというその考え方を、通常の祭りにおける捧げ物と同一視するならば。
それはつまり、神が人々から信仰という力を貰い食している……という扱いになる。
一般的な【星の欠片】は弱者の面から強者の理論を崩壊させる……という事実をそこに加えてみれば、出てくる答えは『捧げる方向の反転』となるのではないだろうか?
まぁ、細かいところではもう少しややこしいことになってるとは思うのだが。
扱いとしては捧げ物内の【星の欠片】が悪さをする、みたいな感じなのだろうし。
「そうですねぇ~、相手の中にある~
「……あっ、そっか。なんにでも含まれてるんだもんね」
「うーん、束さんからするとなに言ってんのこいつ、って感じなんだけど……でもそういうもんってことで流さないとそっちの方が大変なんだもんねぇ……」
しのちゃんはなんとなく納得したようだけど、この面々ではオーク君を除けば一人だけ【星の欠片】とはまったく関わりのない束さんとしては、どうにも理解が及ばない様子。
……とはいえ理解しすぎるのも問題、という前回の忠告は忘れていなかったようで、深入りは止めておくことにしたようであった。
言い方を変えると適当にスルー、である。
まぁともかく。
本来【星の欠片】ができることとさほど変わらないことしかできないように見える『祝祭』。
それが持つ本質を理解するには、恐らくもう少し踏み込んだ話をする他ない。
「ってことで、参考までに『クラウン・クラウン』の方について解説すると。そっちの本領は『望んでそれを行わせる』ことにあるんだよね」
「望んで?」
「そ。祭りをする時にいやいややる人はいないでしょ?いやまぁ、手伝いとか嫌だからって理由で拒否する人もいるけど、基本的にはみんな張り切って参加したり、楽しんで参加したりするはず」
祭りの一番重要なことは楽しむこと。
奉ずる目的で行われるそれには、ほぼ確実に正の方向性の感情が関わってくる……とも言い表せるだろうか?
他者を嫌な気分にさせる目的で行われるものではない、とも言い換えられるかも。
これに奉ずるものという性質が合わさると、概念の上では
……無論、人間相手なら普通に断られることもあるので、あくまでもこれは『人以外の相手に対して』と付くわけだが。
「つまり、『クラウン・クラウン』は
「……あー、道化の諫言を王は無視できないとか、そういうやつ?」
「そうそう、
一応、【星の欠片】による相手から自分の構成要素を離反させる、という方式は場合によっては弾かれることがある。
自己とは最小の世界、それゆえに自身の把握力の高い相手であれば内部の動きを制限できる、というわけだ。
そもそも【星の欠片】は相手に負けることも大前提であるため、そうして掌握されきった世界では無理はできない。
……いやまぁ、正確にはできなくもないんだけど、それをやった結果人としての形を失う可能性大であることを思えば、正直自爆技としても微妙というか。
その点、『クラウン・クラウン』にそういう制約は──あるにはあるのだが、別枠の制約が絡んでくるため無視できてしまう、と。
それが、相手が格上であるために立場的に部下?になるこちらの言い分を聞き流すことも反論することもできない、というもの。
似たような性質を持つものに『神断流』があるが……それゆえ、その特性にはこう名前が付いている。『対神性』と。
「……また大きく出たねぇ」
「正確には神だけじゃなく、人以外……人より遥かに優れたモノ全て、みたいな判定だから名前詐欺なんだけどね。……ともかく、『神断流』が攻撃に振ったタイプの【星の欠片】なら、『クラウン・クラウン』は言葉に振ったタイプの【星の欠片】ってわけ。下手に喋らせるとなにもかも
「こっわ!?」
道化に身ぐるみ剥がされる王様とか……みたいな?
性質的には
で、後任がそれだとするなら、前任は……。
「ないですねぇ~そういうのは~なにぶん引き継ぎ前提ですのでぇ~」
「ええ……」
いまいち真偽の判別が付き辛い、そんな返答がささらさんから返ってきたのであった。