なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~   作:アークフィア

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白き日に生まれるもの

「……そういえば、相手に受け取り拒否を拒絶させるって、こういうイベントだと中々に鬼畜じゃない?」

「んー、それがそうとも言えんのよ。さっきちょっと触れたけど、本来ホワイトデーとかだと効果を発揮し辛いって言ったでしょ?」

「うん、それで?」

「相手に拒否を拒絶させるだけの正当性がないから成立しないの。例えば、相手がモテにモテまくってて誰にでも色々貰える……みたいなパターンなら辛うじて機能するけど」*1

「あーなるほど。基本的にそういう方面での悪用はできないと」

 

 

 というかそもそも、これって対人相手に発動するものでもないし。

 神とか王とか目上とか、とにかく同類以外の相手に使うのが基本の技能であるため、そういう機会における効果の方はあんまり期待すべきではないのだ。……いやなんの話だこれ?

 

 とはいえ、あくまでも最終的にそうなるというだけの話。

 現状のささらさんに関しては……いまいちわからない、というのが本音になるのだった。

 

 

「あれ、わかんないんだ?」

「あのねぇ……なんでもかんでもわかるわけじゃないのよ。確かに【星式名】は『星女神』様の付けるもの、ゆえにその存在の本質を語るものではあるけど、同時にそれは方向性としては名刺みたいなものなんだよ」

「名刺?」

「そこに書かれてあること以上を探るのは、普通にプライバシー侵害ってこと」*2

「ありゃ」

 

 

 確かに、【星の欠片】の性質上相手の情報を探るのはそう難しくない。

 だがそれは相手の人権を侵害してもいい、ということを表明するものではない。

 無論、必要ならばやる時もあるけど……ほとんどなんでもできるからこそ、やっちゃいけないこともあるというわけで。

 

 今回の場合、【星式名】をなぞることで得られる以上の情報に対し、その奥を探ろうとする際に抵抗があった。

 無論こちらの検索を阻めるような抵抗ではなかったものの、この場合は()()()()()()という事実そのものが重要であるため、それ以上の詮索を打ち切った……というわけだ。

 

 まぁ、そうして抵抗された辺り、彼女がなにかしら隠しているってことも確定したわけなんだけども。

 

 

(そうして警戒されても構わないようななにかがある、ってことなんだよなぁ……)

 

 

 それだけ、この少年に引き継ぐ際に困難が待ち受けているのだろうか?

 件の少年は相変わらず彼女の膝の上で寝息を立てており、こちらの疑念に答える気配はないのであった──。

 

 

 

 

 

 

 はてさて、一先ず話が終わったところで、ここからの話にシフト。

 元々私たちは、ささらさんの接続しているこの世界を退かすためにここまでやってきたわけだけど……。

 

 

「……話の流れ的に、ホワイトデーが終わるまで退けるつもりはないってことだよね?」

「ええまぁ~、端的にぃ~いいますとぉ~。なにぶん~私は若輩者ですのでぇ~、この子に~引き継ぐのもぉ~、機会を見極めないとぉ~難しいのですぅ~」

「あーなるほど、そりゃ確かにここが一番だわ……」

「んっと、どういうこと?」

「私たちが元々気にしてた問題がこうしてこの場所に彼女を呼び寄せてしまった、ってこと」

「んん?」

 

 

 先ほどまでの彼女の発言内容的に、そう簡単にはここから退けるつもりはないだろう。

 それを裏付けるように付け足された彼女の言葉は、現状が動かし辛いことを如実に表していた。

 

 どういうことかと言うと、簡単に言えばささらさんはこの近辺に集まっているモブ少女達に引き寄せられてきたのだ。

 正確には、彼女達の元となっている高エネルギーを目的にしている、となるか。

 

 

「……ええと?」

「これはささらさんが『道化はただ笑うのみ(クラウン・クラウン)』じゃないことに私が拘泥(こうでい)してた理由にも繋がるんだけど……本来、【星の欠片】の目覚めには()()()()()()()()なんだよね」

「そういえばそんなこと言ってたね。個人的には眉唾だけど」

「その()()()()()()()()()ってことの理由にも繋がるのよこの話」

「んん?」

 

 

 何度か語っているように、本来【星の欠片】は世界が滅んだ時にしか現れず、また滅んでいない世界に迂闊に触れると滅びを誘発するものでもある。

 

 ……現状の世界が滅んでいないのは『星女神』様がいるからだ、みたいなことも既に述べているが……それゆえ、この世界における【星の欠片】の出現パターン、というのは本来のそれから外れてしまっているのだ。

 

 

「つまり?」

()()()()()()()()()()()()()()()()()のよ、今までの【星の欠片】は」

「……はい?」

 

 

 既に余所の世界にて目覚めていたもの──『星女神』様や『月の君』様がこっちにやってきたパターンや。

 類似した存在に呼ばれてきたもの──私に対するキリアのようなパターンなど。

 基本的に今現在この世界にて確認できている【星の欠片】というのは、既にどこかの生まれたあとのものがこの世界にやって来る……という形で現れたものばかりなのだ。

 

 一応、【星融体(インクルード)】みたいにこっちで生まれたと認定してもよさそうなモノも存在するけど……これもこれで全うな【星の欠片】とは別物になっている、ということを思えば例として挙げるのは微妙なところ。

 

 

「まぁ、それでもジャンヌの時なんかは危なかったけどね。あの大雨納め方間違ってたら普通に星が沈んでたでしょうし」

「なんかしれっと恐ろしいこと言わなかった?」

「それがデフォなのが【星の欠片】なのよ」

「こわー……」

 

 

 ……例外になりそうな【星融体】でも、微妙に滅亡の気配を滲ませているのはご愛敬。

 

 とはいえ、仮に【星の欠片】が()()()生まれるのなら、この程度で済まないのは本当の話。

 ゆえに、逆説的にこう言えてしまうのだ。

 ──滅びに瀕していない以上、この世界に現れた【星の欠片】はどこか別の世界で生まれたモノがたまたま流れ着いているだけでしかない、と。

 

 

「自分からやって来た面々を除く、と。……それはどうでもいいとして、この話を前提におくとなんでささらさんがここに居座る気満々なのか、って部分の答えにも繋がるわけ」

「急激に聞きたくなくなって来たんだけど……その理由は?」

「エネルギーは質量と等価。ならば、世界という巨大質量の変わりに莫大なエネルギーの消失を実質的な世界の滅びとして扱うことも可能、ってこと」

「ぎゃー!!やっぱり厄介ごとだったー!!」

 

 

 で、これらの話を踏まえて考えると。

 世界の滅びに繋がりかねない要素を匂わせているモブ少女達。

 ……それはつまり、彼女達の存在は【星の欠片】が生まれるための土壌になりうるということになる。

 

 権能の移譲に近い【星の欠片】の代替わりだが、本人が言うようにささらさんが【星の欠片】としてスペックが足りないというのであれば、彼女一人の力だけでそれを完遂するのは難しいだろう。

 そも、『その筆は彩る(パレード・メイク)』に基礎的な【星の欠片】としての技能しかないのであれば、彼女は()()()()()()()()()()()()

 流石に【星屑】ではないのだろうけど、それと大差のない状態だと言ってしまっても問題ないような状態、ということになりかねない。

 

 

「だからこそ、彼女としてはここを離れるのは避けたい。……言い方は悪いけど、巣作りに適した場所がここ、みたいなはなしだからねこれ」

「そうですねぇ~、巣作りぃ~みたいなものですねぇ~」

「!」*3

「束さん、もうピンクな妄想はいいから」

ななななんのことかなぁ!?

 

 

 巣作りって聞いてピンクな妄想が出てくるのはよくねぇと思うの、主に青少年の健全な育成的に。

 

 ……とはいえ、状況的にまったく関係のない妄想かといえばそうとも言えない。

 現状起きようとしていることを簡潔に纏めると、集まってくるモブ少女達を手込め()にして少年に力()を与えようとしている、みたいなことになるわけだし。これなんてエロゲ?*4

 

 で、その捧げられる先である少年は、相も変わらず寝息を立てていると。

 

 

「……狸寝入りとかしてないその子?」

「そんなことはぁ~、ないと思いますよぉ~?」

「まぁ、仮に起きててもちょっと顔を上げ辛い状況かな、とは思うけど」

 

 

 言い換えるとおねショタなのかね、この状況。

 ……なんかこう、しっと団が活動再開しそうだなぁ、みたいな感想が思い浮かぶ私なのでした。

 ほら、ビッグビワの元々の方向性とか的に。

 

 

*1
誰かから捧げ物を受けるだけの理由を多く持つことを前提とし、その流れに相乗りするような概念のモノであるため。贈答撃・祈念撃・奉納撃などと呼ばれる

*2
○○会社○○役職○○(なまえ)……みたいなことがすぐにわかるようになっているということ。そこから別の情報を知ろうとするならばネットなどで検索が必要となるが、それは流石に失礼だ……みたいな話でもある

*3
『巣作りドラゴン』とは、ソフトハウスキャラが発売した成人向けシミュレーションゲームのこと。往年の名作ゲームの一つ

*4
とある掲示板で定型文として使われていた言葉。目の前に広がる状況が成人向けゲームでもなければ見られないようなエッチな話だった時に、ツッコミ代わりに使われるもの

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