なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~   作:アークフィア

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恨みで人が○せるなら、とか言われそう()

 そんなわけで、急遽ってほどじゃないけど注目を集める少年。

 

 ボロボロの布を服代わりに纏ったこの少年、緊急で連れてきたらしいこともあって見た目は浮浪者もかくや、と言った感じである。

 早急に風呂とかに入れるべきなのだろうけど、そこら辺は【星の欠片】の最低限稼働でなんとかしてるのかな?

 

 

「……と、言うと?」

「しのちゃんには教えてたでしょ、『清めの炎』的なやつ。あれをささらさんがやってるんじゃないかなーって」

「なるほど……」

 

 

 余所の世界から連れてきた相手である以上、そこら辺の行為をやってないはずがない……みたいな?

 他の国に行く時・帰る時は検閲による疾病などの確認が行われるけど、それよりも遥かに重要性が高くなるのが世界間移動の際の検査になる、というべきか。

 未知の環境、という意味ではそこらの国より遥かに遠いって言っても良いレベルだからね、そこら辺のは。

 

 

「だから、仮に微弱であっても表皮の消毒食らいはしてるはず、って話になるわけ。ただでさえ色んなところから引っ張ってきてる人が多いところみたいだから、病気に関する感覚はこっちが思う以上に鋭いっていうか厳しいって思っておいた方がいいはず」

「なるほど。確かに、隣の国に行くより遥かに危険度は高いってことになるかもね、その話を聞く限り」

 

 

 わかりやすいのはアークナイツの世界とかだろう。

 その世界にしかない疾病、みたいなものを余所の世界に持ち込んでしまった結果、元の世界より被害が甚大になる……みたいな可能性は否定できない。

 いやまぁ、鉱石病を例えにしてしまうと、寧ろそれが入ってきて一大事にならない世界って何処だよ、みたいな話になりかねないわけだが。

 

 ともかく、世界間移動の際に気を付けるべきことに病原菌などへの注意がある、というのは確かな話。

 これだけの人員を揃える場所を運営するささらさんなら、その辺りにもしっかり手を付けていてもおかしくないだろう、みたいな話になるのも当たり前。

 ゆえに、目の前の少年も浮浪者っぽく見えても、その清潔さは比べ物にならない可能性が高い……という話になるのであった。

 

 

「……で、それがわかったからってなにかあるわけ?」

「あるよー、滅茶苦茶ある。この少年がこれからどういう風に成長して行くのか、みたいな方向性の面で大いに関係がある」

「はい?」

 

 

 で、それが今後の話にどう繋がるのかというと。

 具体的には、この少年がどういう大人になっていくのか?……みたいな部分に繋がる話になってくる。

 え?なんか話題が大きくねじ曲がった気がする?気のせいじゃないかな?

 

 

「ともあれ前提条件を改めて確認すると。まずこの少年は『道化はただ笑うのみ(クラウン・クラウン)』の候補者として選ばれた存在、ってことになるわけだけど」

「うんうん」

「この場合の候補者っていうのは、言ってしまうとこの場で()()()()()()()みたいな話になってくるんだよね」

「いきなりなに言ってるの???」

 

 

 おっと、なんだか怪訝そうな眼差しが。

 とはいえ別になにかをごまかそうだとか、はたまた煙に巻こうとして変なことを言っているわけではない。

 確かに『生まれる』という単語だけ聞くと変な感じになってしまうが、その実【星の欠片】達はみなやっていることでもあるのだから。

 

 

「はい?」

「【星屑】──【星の欠片】になる前の材料であるこれは、意思あるモノがその意思を削りきった先にあるものでもある。……分かりやすく言うと、単なる人から【星の欠片】になる際に絶対にやってることと深く結び付いてるってわけ」

「絶対にやってること?」

「『星女神』様との面会」

「あー……」

 

 

 とはいえ、ここでいう『面会』はこの間私たちがやったようなアレではなく、単純に人から【星の欠片】になる際に啓示のような形で訪れるもの。

 記憶にほとんど残らない、一瞬だけの邂逅なのだが。

 

 ともあれ、そのタイミングで以前の人間としては死を迎えているようなもの、というのは間違いではない。

 ほとんど同じ姿形で現れてはいるものの、【星の欠片】とそうでない存在は別の生き物と呼ぶほうが正しいというか。

 ……それを端的に言い表すと、『生まれ直す』ということになるのである。

 

 

「【星屑】から再び人の姿に戻った、っていう属性がなにより重要だからね。そこをわかりやすくするとどうしても『再誕(生まれ直し)』って呼び方が相応しくなってしまう、と」

「……その辺詳しく知らない方がいい、ってことだけはよくわかったわ」

「お、中々に危機管理能力がアップしてきたねー」

「やっぱり……」

 

 

 なお、今しがた束さんが危惧した通り、『再誕』回りの原理についてはあんまり理解しない方がよかったりする。

 私たち(星の欠片)達が私たちの間で語る分には問題ないけど、一般の人がその辺りの詳しい原理を知ってしまうと普通に後戻りできなくなるというか。

 ……今の例えをそのまま流用すると、知ったら赤ちゃんにされる……みたいなことになるのかな?

 

 

「こっわ!?」

「意味合いとしては単なるデータの付け加えなんだけどね。それをする際にどうしても無茶苦茶する必要があるだけで」

 

 

 ついでに、これはあくまでも最低限必要というか勝手に処理されるものなので、それはそれとして自分から折を見て『星女神』様への挨拶に行かなきゃダメだったりするわけだが。

 ……そう、例の柱への挑戦とかそういうのである。

 

 それはともかくとして、彼の話に戻ると。

 彼は現在『クラウン・クラウン』への生まれ直しのために待機中、ということになるわけだが。

 そのために必要な状況を整えるだけの力が今のささらさんにないため、その場を整えるのに適した状況──強いエネルギーの発生する余地のあるこの商店街が一種の『巣』として選ばれた。

 

 ……これは見方を変えると、彼女達は聖杯顕現のタイミングを狙ってここにきた、ということになるわけで。

 

 

「きっちり話を付けておかないと、こっからささらさんが敵対する可能性があるってわけ」

「……あっ、そっか。そういえばホワイトデーの安全な運行を求めてやって来たようなものだから、ある意味問題が起きて欲しいと言ってるようなモノのこの人とは敵対の理由があるんだ」

「え~、ダメなんですかぁ~?」

 

 

 ここでちゃんと子細を詰めておかないと、後から彼女が敵になる……みたいなとても面倒臭い話に発展する可能性があるのだ。

 

 何故かといえば、こっちが当初求めていたのが『発生する聖杯の無害化』であったため。

 それに対してささらさん側は『問題が発生する聖杯』こそを欲しているとも言えてしまうのである。

 ……【星の欠片】の生まれ直しに必要な条件は、そもそも通常の【星の欠片】の発生のそれとほぼ同じ。

 ゆえに、必要なのはいついかなる時でも『世界の滅び』なのである。

 

 

「まぁ、私たちは最小の存在だから、別に人間という存在を一つの世界と見なし、それが壊れる時を『世界の滅び』としてもいいんだけどね。ただ……」

「ただ?」

「それで発生するパターンもあるってだけの話で、誰にでもそれを適用できるわけじゃないってのが問題」

 

 

 火種として小さいため、目的とする【星の欠片】としては全然足りないなんてことが起きかねないというか。

 まぁ、中には例外として一人の嘆きに呼応し現れる【星の欠片】、みたいなのもあるけど……。

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()ことを確約するものだから、最終的な必要経費はまったく変わってないんだよね」

「……参考までに聞くんだけど、多分それって私たちも知ってるやつでしょ?」

「おっ、束さん大正解。一人の嘆きで世界を滅ぼす、その一連の流れを以て成立する【星の欠片】。……ぶっちゃけると『終末剣劇・潰滅願望(レーヴァテイン)』のことなんだよね、それ」

「やっぱりー!!」

 

 

 はい。

 ……『レーヴァテイン』に限らず、武装として現れるのが本来の形であるタイプの【星の欠片】というのは、それを持った人間が世界を滅ぼすことを期待しているものと考えてほぼ相違ない。

 元々【星の欠片】が次代の王を願うものであることから、それが一定の方向にのみ固定されたようなもの……ということになるわけだが。

 彼らは基本次の世界までは望まず、自身の主となった存在の望みを叶える方向に舵を切りまくっている。

 結果、滅びのあとの再生を全て投げ捨てる代わりに、人一人の嘆き()()で呼び寄せられるほどにコスパのよい存在と化しているのであった。

 

 ……え?滅ぼされる側からしてみれば良い迷惑?

 基本的に『レーヴァテイン』が呼ばれるような世界は()()()()()みたいなところばっかだから仕方ないね!*1

 

 まぁその辺りは話が脱線してるのでいい加減置いとくとして。

 ともかく、少年に『クラウン・クラウン』を受け継がせるために必要な切っ掛けとして、モブ少女達から発生するであろう聖杯というのはとても有用。

 ゆえにささらさん的には是が否にでもそれが欲しい、ということになるわけだが……。

 

 

「こっちとしてはそもそも現れることから避けたい。……ただそれだと、切っ掛けごと潰れる形となるからささらさん的には勘弁して欲しい、ということになる……」

「……あれ、詰んでない?」

「一応、当初のこっちの予定──顕現ギリギリで封印って流れをそのままこっちの世界に聖杯放り込んで任せる、って形にすればなんとかならないこともないよ。その場合ささらさんとの連携が少しでも遅れるとこっちの世界滅ぶけど」

「や、やりたくねー!」

 

 

 失敗時のリスクが高すぎるため、やりたくないと蹴った案こそ今必要、みたいな話になってしまううえ、それ以外に手段がないみたいな話にも繋がってしまうのであったとさ。

 ……いやまぁ、無用な争いは避けたいわけだから、色々と仕方ないんだけども。

 

 

*1
バッドエンド後の世界に残された人達に与えられる武器、みたいなノリである為。寝取られエンドを迎えた前の彼氏のところとかに転がり込むことも普通にある。この剣でこのクソッタレな世界を丸ごと滅ぼそうぜ!()

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