なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~   作:アークフィア

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モテ期フラグだよ、少年君(発動篇)

 さて、いい加減束様にはやる気を出して貰わねばなりません。

 

 

「そのためにきびしいはんのうがひつようというのなら、わたしはこころをおにしてそれをなしましょう。さー、ばしゃうまのようにはたらけー!」

「うう……幼女に搾取される束さん……」

(なんでちょっと楽しそうなんだろう……?)

 

 

 後ろから蹴り飛ばすような勢い(あくまで勢い・意気込みであって、実際に蹴るわけではない)で声を掛けたところ、渋々とばかりに動き始めた束さんです。

 

 ……心なしか嬉しそうな辺り、実はロリコンだったりするのでしょうか?

 ──イヤないですね、だったら本体(キーア)の時点でなにかしらアプローチがあっても良さそうですし。

 あれでしょうか?『ジ・エーデル・ベルナル』のように、圧倒的強者である自分がその足元にも及ばないような存在に粗雑に扱われることに興奮する……みたいな特殊な性癖だったりするのでしょうか。*1

 

 

そんなわけないよ!?というか流石にそれと並べられるのは束さん納得行かないよ!?」

「そうですか?本来の『篠ノ之束』なら、並べられてもおかしくないような存在だと思いますが」

「微妙に反論し辛いこと言うの止めない???」

 

 

 なんなら最終的に世界のために戦ってた(※超要約)エーデルの方が遥かにマシかも、みたいなことになりかねないのが今の原作束さんといいますか。

 ……うん、あんまり触れると変な方向に延焼しそうな気がひしひしと致しますので、これについては触れるのは止めて起きましょう。

 

 ともあれ、本体(キーア)が連絡のために本腰を入れた以上、こちらはこちらでやらなければいけないことが盛り沢山。

 差し当たって現状必要なのは……、

 

 

「場所の選定、でしょうか」

「場所の選定?……ってあ、そっか。流石にこんなとこでなにかやるとか無謀だよね」

 

 

 周囲に被害の及ばないような、できる限り開けた場所の捜索……ということになるでしょうか?

 

 世界が滅びかねないようなエネルギーの爆発が必要、ということはそれが発生しても問題ないような場所も必要……ということ。

 無論、発生したエネルギーを全て受け止める必要はなく、あくまで少年様への引き継ぎの際、漏れ出るであろうエネルギーに耐えられる程度で十分ではあります。

 なんなら、しのさんによる周囲への被害の最低下も施されるため……見積もるべき耐久性は、そこまで高いものではないはずです。

 

 だからといって、どこでもいいのかと言われればそれはノー。

 確かにしのさんが防御策を講じるのであれば、さほど警戒する必要はないように思えますが……。

 

 

「そうは言っても彼女は【星の欠片】もとい【星融体】となってまだ日の浅い存在。許容量オーバーを起こさないという保証はどこにもありません。普段なら、それでもバックアップが利くのですが……」

「あーうん、みなまで言わなくても流石にわかるよ。そのバックアップをしてくれる相手(キーア)が今回そっちに手を回せない、ってことを言ってるんだよね?」

「最悪の場合は私をリソースに戻して防御、みたいなこともできなくはないですけどね」

「やめて!?それ絵面的にすっごい辛くなるやつ!!」

 

 

 まぁ、はい。

 幼女一人を犠牲に世界は救われた……みたいな絵面になりますので、後味としては最低の部類をお約束する形になりますね。

 一応こんななりでもキーアはキーアなので、気に病む必要はないという利点はありますが。

 そう口に出したら『仮にそうだとしてと無理!!』と束さんからお答えが戻ってきたのでした。……そんなに無理ですかね?

 

 ともかく、万が一に備えるのが私たちの役目だとすれば、しのさんが仮にミスった際にリカバーする対象はできる限り少なくなるようにすべき、というのは間違いありません。

 なので、仮に彼女の上限を越えて影響が漏れ出ても、周囲に被害を受けるような存在が居ない場所が好ましい……という話になるわけです。

 

 

「その辺りどうなので?」

「ん~、街の外れにぃ~行くのがいいんじゃないかなぁ~」

「ですよねー」

 

 

 で、それを踏まえてささらさんに話を聞きに行ったところ。

 そもそもこの世界は彼女一人で構築している分さほど大きくなく、仮に周囲へ被害を出さないような位置を……という条件で検索すると、当初キーア達が降り立った場所・すなわちこの世界の入り口?的なところくらいしかない、みたいな話が返ってきたのでした。

 

 

「一応~そこから外れた位置ですけどねぇ~」

「そういえば旗刺さってたところから、さらに脇に逸れられる感じだったね……」

 

 

 ……訂正、壁を乗り越えた時にたどり着いたあの場所から、街に向かわず逸れた方へ進んだ先、とのこと。

 そういえば『キーア様ご一行大歓迎』などという旗が刺さっていましたが、あれはささらさんが刺したものなのでしょうか?

 

 

「いいえ~?あれは刺してくれたものなんですぅ~」

「刺してくれた?」

「たまたま挨拶に来ていたぁ~『月の君』様ですぅ~」

「すみませんじびょうのいつうが」

「ぷちちゃんがお腹を抱えて踞った!?」

 

 

 なんでしょうストレスで私を殺す気だったりします???

 唐突にささらさんから与えられた情報に、本体(キーア)の如く胃を押さえる羽目になった私です。

 

 ……いえまぁ、おかしいとは思っていたんですよ。

 あれだけわかりやすいのぼり旗、ここにいる人間──本来の『クラウン・クラウン』を想起させるそれ。

 あれは流石にささらさんは刺さないでしょう。そもそもこちらの名前を知らない可能性が高い。

 ()()()()()()()()()()なのだから、()()()()()()()()()()()()()()……みたいな話と言いますか。

 

 ですが、その事実に思い至る前に『こちらが知らない』という事実が衝撃を持って思考を揺らした。

 ()()()()()()()が判断を鈍らせた。

 恐らく、あの時点でここの主が『クラウン・クラウン』でないことを知っていれば、本体(キーア)は特段気にせず戻っていたことでしょう。

 

 

「え、なんで?」

「脅威度を見誤っていた可能性が高いです。基本的に本体(わたし)がここまで来た理由は、ここにいるのが『クラウン・クラウン』であると思っていたからこそですから」

「……ううん?」

 

 

 正確には、『クラウン・クラウン』とホワイトデーの相性がよくない(良すぎる)から、ということになるわけですが。

 とはいえこれは『クラウン・クラウン』の能力がホワイトデーを無茶苦茶にしてしまう、という意味ではありません。

 その辺りは既に何度か触れている通り、能力の方向性が微妙に噛み合わないため、思うような反応にはならないだろう……という形で否定しています。

 

 ですので問題なのは能力面ではなく、()()()

 

 

「ぶっちゃけますと、本来の『クラウン・クラウン』は不細工なのです」

「すっごいぶっちゃけたね」

「いわゆる外印(旧)タイプ、ということですね。醜い顔を道化のメイクで隠す……みたいな感じというか」*2

「ああうん、なんとなくわかったけど……それで?」

「この状態の彼は、要するに外の【兆し】と相性が良すぎるのです」

「……ん?」

 

 

 思い出して欲しい。

 そもそもなりきり郷にこの時期──クリスマスやバレンタインなどを含む──転がり落ちてくる【兆し】には、どういう願いが込められていたか。

 ビッグビワや白面の者達を形作る元となった、人々の思念とはなんだったか。

 

 ……そう、()()()()()()()()()なのです、この時期に転がってくる【兆し】の主成分というのは。

 無論、それらがそのまま悪影響をもたらさないように、と方々が努力していることは知っています。

 知っていますが、元を形作るのがそれである、という情報は消えないわけでして。

 

 

「……結果、本来の『クラウン・クラウン』は外の空気に同調してしまうのです。同調した結果、世界規模で『リア充爆発しろ!』ってやりかねないのです……」

「く、くそ迷惑……」

「ですが一大事、というのもわかりますよね?」

「まぁ、うん。ビワとハクを例に挙げられた時点でわかんないはずがないというか」

 

 

 ただでさえ、外の人間達から出てきた【兆し】だけで、ビッグビワや白面の者(ハク)のような存在が生まれたのです。

 それを【星の欠片】が後押しする、となればどうなるか。……結果は火を見るより明らか、ということでしょう。

 

 というか、ささらさんが他の迷惑省みず引き継ぎを強行しようとしているの、もしかするとそれが理由なのかもしれません。

 

 

「はい?」

「今の候補者である少年は、不細工などという言葉とは無縁な美少年。……もし仮に、彼が歪んだ大人になることをこのタイミングで否定できるのであれば……」

「……あーなるほど、未来の悲劇を未然に防げる、みたいな話になるのか……」

「そ、そんな殊勝な話じゃないですよぉ~?」

(……なんか照れてないこの人?)

(仮にこの話が正解なら、ある意味逆光源氏みたいなものなので恥ずかしいのでは?)

(ああ……)

「や、やめてくださいってばぁ~」

 

 

 ……なんだか、下世話な話になってきましたね?

 一気に恋話(コイバナ)感溢れてきた現状に、思わず遠い目をしてしまう私と束さんなのでありました……。

 ……ええと、良かったですね『クラウン・クラウン』(仮称)君。

 

*1
『スーパーロボット大戦Z』シリーズに登場するキャラクター。初代ではラスボス。倒錯したドMな趣味を持つヤベー存在。一作目ではラスボスだったが、それ以降は(色んな意味で)味方側である為、現状の束と比べるとマシっぽく見えてしまう(現状の彼女はあからさまにラスボスである為。一応最終巻が出た後に評価が変わる可能性はあり)

*2
『るろうに剣心』のキャラクター。顔を隠した黒子姿の人形使い。再筆版やキネマ版などでは中身がイケメンになっているが、原作では中身は老人だった。顔を隠しているヤツが不細工だとウケない、みたいな理由で同作者の作品ではこれ以降顔を隠しているキャラは基本美男美女になっている

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