なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「そういえば、なんで仮称?」
「この分ですと、ルビは同じでも日本語名の方が変わってそうだと思いまして」
「なるほど」
「止~め~て~く~だ~さ~いって~ばぁ~」
実はラヴの香りだったりするのでしょうか、などと揶揄したりしつつ、引き続きよさげな場所探し中の私たちです。
なお、ささらさんは『ち~が~い~ま~す~よぉ~』などと呻きながら戻っていったため、現在は同行しておりません。
まぁ、仮についてきてしまった場合、こちらはいいからご自分のお仕事をなさってください……と送り返していたとも思うのですが。
「そういえばその少年君だけど、全然起きてこなかったね?」
「恐らくですが、『星女神』様が干渉していらっしゃるのかと。別にあの方からしてみれば私たちが失敗しようが成功しようが関係はありませんが、別に望んで失敗して欲しいわけでもないでしょうから」
「……なんか、微妙に対応が薄情じゃない?」
「そもそも
「マジかー……」
以前
言い換えると事の善悪で対応を全く変えてくれないのがデフォの方ですので、今回のようにこちらの成功を多少なりとも手伝って下さっている時点でかなり譲歩している、という扱いになるのです。
もし仮にここにいる『星女神』様が以前の──断罪神としての性質の強い状態であったならば、彼女は何がなんでもこちらの邪魔をしてきたことでしょう。
そうなってない時点で、こちらとしては大変ありがたいことなのです。
「……いや、わりとマジで傍迷惑すぎない?その言いぐさだと、善人を邪魔することもあれば悪人を助けることもあるし、その逆もまた然り。……そしてそれは、他の要因で傾向が変わることがほぼなく、何処までもそいつの独断で決まる……ってことでしょ?」
「独断と言うのは少し違います。今の『星女神』様は人を肯定する姿、以前の彼女は人を否定する姿だった、というだけの話ですから。いわば『
「もっと悪いっての……」
本質は人ではない、というだけの話なのですが。
……まぁそれはともかく、話を戻して場所探しの件。
ささらさんから紹介された場所、外からの来訪時に
少し開けた空き地であるそこは、なるほど周囲になにもなくこういう話には持ってこい、といった風情の場所。
仮に火薬をぶち撒けたとしても、早々周囲に被害を出すことはないでしょう。
まぁ、この場合ぶち撒けるのは火薬より洒落にならないものなのですが。
「その辺りも含めて大丈夫な感じ?」
「そうですね……あとでしのさんに確認が必要ですが、この空き地くらいなら能力で覆うことも不可能ではないんじゃないでしょうか?」
「なるほどねぇ」
とはいえ、それをどうにか抑え込めるだけの力を持つ人間がいる、というのも確かな話。
しのさんの能力の有効範囲にもよりますが、恐らくは問題なく固定化できるのではないでしょうか?
そも、固定化すべき相手もそう多くなく、負担に関しても然程のモノにはならなさそうですし。
「そこら辺、束さんにはわかんないけど……うーん、絶対防御*1でも合わせて置いとく?いやでも流石に世界崩壊級のダメージだと普通に抜かれそうな気も……」
「おや、その口ぶりですとIS関連技術の製造には既に成功していると?」
「んー?……あーそっか言ってなかったっけ。こないだシュウ博士がハッスルしてたでしょ?あの時他の研究者共も大層刺激を受けたみたいでねー。結構無茶して、多少は元の研究に手を届かせた……みたいなやつがそこらに居たってわけ」
まぁ、設計図とかは頭に入ってるわけだし?……と苦笑いする束さんですが、それで済む話ではないのは確かでしょう。
科学技術を【兆し】関連の現象で保持するのは難しい、みたいな話があったと思います。
再現度という概念では、機械が持つ性質──完成品でなくてはまともに動かない、というそれと相性が悪く、上手く動かせないと。
ゆえに、なにかしら特徴的な機械を持つ人々は、それをこちらで新たに作り上げることで対処しているとも。
……ですがこれには穴があり、例え設計図通りにモノを作り上げたとしても正常に動かない、などという事態が頻発するのです。
それは何故か?……答えは単純明快、そもその機械自体が非科学的な代物だからというもの。
科学技術の粋であるはずなのに何故?
……などと思う人もいれば、当たり前だと頷く人もいることでしょう。
そう、こういった『創作における機械』というのは、
言い換えると、こちらの科学とは名前が同じなだけの別物なのです。
ゆえに、こちらの法則においては『ありえない』現象が混ざり、結果として『
それを解消するのもまた、【兆し】。
実のところ、そういった
より正確には、全体に用いるには向いていない再現度というシステムを、超科学を成立させる
今回の場合、束さんの扱う超科学──インフィニット・ストラトスに必要な核の部分、ISコアにその再現度が割り振られていると見るのが正しいでしょう。
……正しいのですが、同時に言葉面ほど簡単な話でもないというのも事実なのです。
「機械に再現度を付与する難しさは先ほど述べた通り。その上でそれを成立させ、そこから溢れた原理を超科学の再現に注ぎ込む……まさに言うは易し行うは難し、流石は超天才篠ノ之束ということでしょうか……」
「……なんだろう、この褒められてるんだけど微妙にバカにされてるような気がするこの感じ」
「どれだけ私のこと疑ってるんです???」
褒めてるんですから素直に受けとればいいじゃないですか?!
……いえまぁ、どうせ再現度が足りてないのでそこから効力を発揮できている超科学も出力が足りてない、みたいな部分を指してまだまだ未熟……とか思ってらっしゃるのでしょうが。
「とはいえその辺りを実用域にまで持って行けていたのが琥珀様、次いでシュウ様くらいとなればそれに次ぐだけでも勲章もの。もっと誇ってもいいものだと思いますが……」
「うーん、その辺りはほら。みんな悩んでることだしっていうか」
「……それはまぁ、仕方のない話ですね」
本当ならもっと上手く、素晴らしくできるはず。
にも関わらず、今の自分はここまでしかできない……。
そういう歯痒さは『逆憑依』であれば誰しもが抱えるもの。そんなものを感じずに生きている存在なんて、それこそ『逆憑依』から外れてしまった【星融体】達くらいのものでしょう。
まぁ、彼女達は彼女達で別種の悩みを抱えているわけですが。
「難しいねぇ」
「そうですね。……特殊な合金などが必要であれば、
「え、ホント?」
「そこら辺の汎用性の高さこそ
「うーんやっぱりむほーだねー」
……なんだか、思いの外暗い話になってしまったため、代わりに
それもこれもそもそも秘密主義な
「……ん?なんか今気になること言わなかった?」
「さぁて、場所の下見も済みましたしいい加減しのさんを呼んできましょうか!実際に大丈夫かどうか確かめなければなりませんからね!」
「あっちょ待っ、……って速!?いや速、本当に速っ!?」
……ないんですが、その愚痴を他人に聞かれるのはアウトです。
所詮単なる分体でしかない私に隠し事なんて無理だったんですよぉ、なんて言い訳を脳裏に浮かべつつ、逃げるように街に走る私なのでした。
……え?速度?離れるために全力を出したあとは、即座に戻ることのないようにできる限り遅延するに決まってるじゃないですかやだー。
(もし……もし……もう一人の私……私のことを迂闊だ秘密主義だと宣いましたね……それはもう一人と告げている以上、貴方にも適用される話なのですよ……)
「貴重なリソース使ってまでツッコミ入れてきてるんじゃねーですよ
──いや、一人コントじゃないんだから、マジで。