なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
オベロンとハウルとアーサーの【複合憑依】。
それこそが目の前の彼の真実、ということになるわけなのだけれど。
……うん、ぶっちゃけだからどうした、って話なんだよね。
確かに私に対して滅茶苦茶当たりが強いけど、そもそも今回ここに私達が来た理由って、新人二人に色んな仕事を見せていこう……ってなった結論になったからだし、それで私がどう思われてようが別に関係ないし。
まぁ、こちらも知らなかった【複合憑依】に会わせている、という点ではちょっとやらかした感がなくもないが。
向こうに情報与えすぎなんじゃない、的な意味で。
「その辺りはなんとも言えませんが……まぁ、問題ないとしておくのがいいんじゃないですか?」
「そうだな、始まる前から余計な負担を背負う必要もないだろう」
「ははは仲いいねー。僕としてはそのまま回れ右してくれると嬉しいんだけど」
(……王子様スタイルなのに口悪いなこいつ)
これはあれか?黒い方にハウルを、白い方にオベロンを割り振ったせいで、それぞれがそれぞれの方に濃縮されてるみたいな?
姿の変化が露骨に出る二人だが、それが変に作用して【複合憑依】としての人格の交代と混ざってる、とか?
……みたいなことを考えていたら、露骨に嫌な顔をされた。
これあれだな、「だからお前は
「はははー嫌だなーそんなことないよー?ただ他人の
「おあいにくさまですが、個人的にもここの業務については気になっていますので」
「クソァッ!!」
やだ口の悪い。
……自身の内面を読んだ挙げ句、嫌なことばっかりやってくるから好感度最低値……みたいな話だろうか?
まぁ別に嫌がられたからって止めないんだけど(クズの鑑)。これもお仕事ですので。
ってなわけで、嫌がるオベロンの背後に回ってその背を押し、彼の仕事場へと案内して貰おうとしたところで。
「おっと」<ガシッ
「そのまま逃げようとしてもそうは行きませんよ」<ガシッ
「……デスヨネー」
背後から両肩を二人に掴まれ、観念したように両手を上げる私なのでありましたとさ。
……うん、そりゃまぁそうなるよねー。
てなわけで、オベロンから再三呼ばれていた『星のお姫様』の意味を説明させられた私である。
……改めて自分のことを説明させられるのって、わりと罰ゲーム染みてるよね。
「ははは。悪いけどクッソ笑える」
「白だからかはたまたハウルが混じってるからか、随分ご機嫌じゃぁないかオベロンさんよぉ?ねじ曲がる体質どこやった?」
「えー?生憎僕のフルネームはオベロン・ジェンキンスなんで、どこぞのプリテンダーのことなんてわかんないやー」
「都合がいいなぁテメェ!?」
(……仲がいいですね)
なお、その最中隣のオベロンはずっと腹を抱えて笑っていた。
……おいこら、白い癖に半ば黒くなってるぞどうなってんのさ。
いやまぁ白い方も清廉潔白な王子様、って感じではそもそも無かったけども。
その辺りツッコんだら「お望みならなろうか?
……どうにも嫌な予感がするんだよなぁ、ハウルの方。具体的には今の私の
「……え、マジで言ってる?」
「さっき説明してる時に触れたけど、こっちの世界でかつての運命の相手に会うことは稀。なくはないけど確率は低いってのと、そもそものハウルの性格を思えば……まぁ、あり得なくはないんじゃない?」
「我がことながら今すぐ分離するかなにかしたいんだけど?!」
「ははは、諦めなよ妖精王オベロン」
流石に君にとっての
無論、成り代わりというよりはあくまで妥協、みたいな感じだろうけど……そんな夢女*2みたいな展開は求めていないため、オベロン君には引き続き私との会話に興じて頂きたい次第です。
……この辺り、【複合憑依】だからこその悩みだよねぇ。
「ああ、先ほどの話で言うと……【継ぎ接ぎ】による現状の再現の場合、あくまで三人分に見せ掛けているだけなので余計な問題に発展しない……ということですね?」
「そうそう。【複合憑依】は明確に三人分のキャラを抱え込む暴挙だけど、【継ぎ接ぎ】はあくまで一人の人間に要素を盛りに盛ったってだけだから人格間の齟齬が起きないわけだね」
まぁ、しのちゃんなんかを見てればわかる通り、【複合憑依】の中でも【星の欠片】が関わる【星融体】に関しては別口だが。
あれは最終的に【継ぎ接ぎ】とも違う形で全部一纏めにする、って系統の存在だし。
「正しく人格の悪魔合体ということだな、まったくゾッとせん」
「ゾッとせん、で済んでる分遥かにマシなんですけどねー」
なお、ここまでの話は(思いっきり)機密も含むが、普通に二人にも聞かせている。
なんでかって?そもそも私の正体自体がトップシークレットだから、それを伝えた時点でアレだからだよ!他のこと隠す意味ないよ!
「それもこれもオベロン、お前が迂闊に私のこと『星のお姫様』とか呼ぶからだ!」
「いや、別に僕が言わずとも普通に気付いてなかった?その二人」
「気付いてても核心的なことが知られてなきゃシラは切れるんだよぉ!その辺りが大人の駆け引きってやつなんだよぉ!つまりテメェは重罪だぁ!!」
「自分の迂闊さ棚に上げて他人を責めるのは楽しいかい?」
「喧しいわ!!」
打てば響くなコイツ!殴ってやろうか!?
まぁ言論に対して暴力で返すのは明白に負けなので、こっちから殴りかかったりはしないのだが。
……ともかく、ぐだぐだになってきたが仕事は仕事。
改めてオベロンに声を掛ければ、彼は笑いながら暖炉の前に向かったのであった。
「いいのかハウル?おいら達結構あれだけど」
「
「わかったよぅ……やるさ、やればいいんだろ……ってわけで、カァッ!!」
「ぬぉっ!?」
なにやら気になることを言っていたが……そのことを尋ねる前に、オベロンが暖炉から掬い上げたカルシファーに大きく息を吹き込む。
それによって小さな火だったそれは大きな業火となり、暗かった室内を明るく照らし出す。
思わずまぶし、と目を閉じた私達が再度、目を開けた時には……。
「
「……は?」
「
「……そっちのアーサーかよ!?」
思わず声を上げた私。
しかしてそれも無理のないこと、何故なら私達が再度目を開けて飛び込んできた風景──カルシファーを暖炉に戻したオベロンが立っているはずの場所には、何故か黒い猫が四本足で立っていたのだから。
それも、明らかにこちらに向けて話し掛けてくる(上になんとなくなに言ってるのかわかる)というおまけ付きで。
……アーサーはアーサーでも猫の方かい!?*3
「あーうん、あれだなこれ……魔法使いの変身姿としてポピュラーな黒猫って要素が、
「
「絵面は随分とメルヘンだが……あれだな、展開としては駄作と言うべきか」
「貴方から見たら大抵駄作でしょうに」
世界三大童話作家のお眼鏡に叶う展開なんて早々出てくるわきゃないんだわ。
なんて駄弁りつつ、先導する黒猫……オベロンの背を追い掛け、奥へと進む私達。
なんでも、彼の仕事的にはこの姿の方がやりやすい、ということになるらしい。
いやまぁ、お前虫達の王様だろうとか虫と猫の組み合わせというと、うちの居候の一人*4を思い出すなとか、色々あるんだけども。
その辺は全部仕事場に到着してから、ということで駄弁りながら先を急ぐ私達である。
……しかしまぁ、黒猫姿の方がやりやすい仕事、ねぇ?
「……あれかな?あっちは教えてた魔術的にあれだし、逆にあっちはあっちであれだからそっちの姿の方がいい、とか?」
「
「おおっと、ごめんごめん」
的確にシンキングタイム潰してくるな、こいつ。
……オベロンが妖精眼を持ってたかはよく覚えてないが、ともあれここにいる彼がナチュラルにこちらの思考を読んでいる、というのは間違いなさそうだ。
その結果が考察キャンセルというのはなんとも言えないが、このまま引っ張って最終的に顔を引っ掛かれる、とかやられても困るので素直に足を動かすことに専念。
……できるんならみんなに呆れられたりしてなぎゃー!?
「
「ひどい」
ハッキリ残った爪痕に涙目になりつつ、それからしばらく歩き。
「
「なるほど、ここが」