なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~   作:アークフィア

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でもお金は返してね!

「……あーなるほど妖(・)精(・)王(・)。ケット・シーは猫の妖精だから、猫の姿でも王様なのか……」

「そもそもアーサーだからね、僕(にゃんっ、にゃにゃん)」

 

 

 一瞬アイルー達かと勘違いしたが……よくよく見ると少し違うような?

 

 であれば、あとは簡単な連想ゲーム。

 オベロンは妖精王、名前のペンドラゴンから推測できるアーサーは騎士王。

 つまり、現状の黒猫の姿が猫の王様、という属性を持ち合わせていてもおかしくはないのだ。

 なにせこの猫達、単なる猫ではなく妖(・)精(・)猫(・)なのだろうし。

 

 

「アイルランドの伝承か。確かに彼らは妖精、オベロンが統率する存在として不可思議ではない……というわけだな」

「まぁ、こっちのイメージ的には虫の王様……って感じなので、違和感もそれなりにありますけどね」

 

 

 一応、原典である『夏の夜の夢』(および関連伝承)におけるオベロンは、あらゆる妖精達の王として記されているためケット・シー(猫妖精)を配下にしていてもなんの問題もないのだが。

 ただ、現状の彼の姿は──黒猫だけどそっちじゃなくて、白い方のそれは正しくFGOにおけるオベロン。

 ゆえに、虫にとっての天敵である猫を配下にしている、という状況には幾分かの違和感を抱くのも仕方がないのでは?……みたいな気持ちもなくはなかったり。

 

 

「そんなこと言ったら(にゃにゃんにゃ)、そもそもハウルの時点であれだぜ(にゃにゃにゃーにゃ)?」

「あーうん、そういやあっちは火(・)の悪魔と契約してるんだったか……」

 

 

 そうして唸る私にオベロンから返ってきたのは、そもそも火の悪魔と契約しているハウルと一緒になってる時点で大概だ、という言葉。

 ……うん、言われてみればそうだ。性格も契約相手も嫌いそうだし、彼にハウルがくっついているというのもわりと大概……ああ、だ(・)か(・)ら(・)か(・)。

 

 

「はっははは勝手に納得してんじゃねーよ(にゃにゃにゃにゃにゃにゃ)」

「いでででで、いくら猫パンチとはいえ痛いものは痛いんだいででででで」

「仲が良いですねぇ、お二方」

 

 

 ヴ(・)ォ(・)ー(・)テ(・)ィ(・)ガ(・)ー(・)ン(・)と(・)し(・)て(・)の(・)性(・)質(・)と(・)嘘(・)つ(・)き(・)オ(・)ベ(・)ロ(・)ン(・)と(・)し(・)て(・)の(・)性(・)質(・)の(・)中(・)和(・)のため、彼にとって『嫌なもの』が選ばれたのだとすれば、その人選にも得心がいく。

 ……まぁ、中和目的でなくとも彼が一言「ははは、そいつらと一纏め?死ぬほど嫌なんだけど。…………あ゛」とかやったら一発だろうが*1。どっちにしろお労しやである。

 

 なんてことを考えていたことがバレたのか、肩に飛び乗ってきたオベロンから飛んでくる猫パンチの雨あられ。

 本来そんなもの大したダメージにならないのだろうが、原則あらゆるものに負けうる【星の欠片】である私には別。

 寧ろ手数が多い方が痛さが増すレベルなので、この猛攻は普通に止めてほしい類いの抗議に当たるのであった。

 

 

「……にゃ(おや)?にゃにゃんにゃにゃ(そこにいるのは我らが妖精王)?」

「にゃー(ほんとだ)、にゃうにゃにゃにゃーにゃにゃ(我らのボスがおっとり刀で到着だ)」

「にゃーにゃーにゃっ(オーベーロンっ)、にゃーにゃーにゃっ(オーベーロンっ)」

「お、おう?」

 

 

 そんなことをしていると、一匹のケット・シーがこちらに気付いたようで、他の仲間にも知らせるように声をあげる。

 

 その結果発生したのは、室内にいた猫達全てからの『オベロン』コール。……妖精國の時も思ったが、オベロンという存在は余程他の妖精達に好かれやすいものであるらしい。

 

 

「にゃうにゃにゃにゃっ(偉大な妖精王)!」

「にゃうにゃにゃにゃっ(愉快な妖精王)!」

「にゃんにゃにゃにゃー(楽しく明るく)」

「にゃうにゃうにゃー(みんなに好かれる)」

「「にゃにゃにゃんにゃー(僕らの妖精王)!」」

「ははっ、よしてくれよみんな(にゃっ、にゃうにゃーにゃ)。そんなに褒められると困るって(にゃにゃにゃんにゃーにゃ)」

 

 

 滅茶苦茶褒め称えられて、満更でもなさそうに鳴くオベロン。

 ……っていうかホントに大合唱だし、どんだけ好かれてんのこの人(?)……って、ん?

 

 

「にゃうにゃうにゃー(だけどちょっとずぼら)!」

「にゃうにゃうにゃー(だけどちょっと面倒臭がり)!」

「にゃにゃんにゃーにゃ(ツンデレ気質も行き過ぎると毒)!」

「はっはっはっ……って、ん(にゃっにゃっにゃっ……にゃっ)?」

 

 

 なんか、雲行きが怪しくなったような?

 変わらず大合唱を続ける猫達に、私達が思わず困惑する表情を返す。

 けれど彼らは変わらぬ様子で、そのまま合唱を続けている。

 

 

「にゃうにゃうにゃにゃん(そんな王様ついにやる気)!」

「にゃうにゃうにゃにゃん(今日こそやるぞと大張り切り)!」

「にゃんにゃんにゃーにゃ(だからリソース必要だ)!」

「にゃんにゃんにゃーにゃ(たくさんたくさん必要だ)!」

「にゃうっにゃにゃー(僕らの給料後回し)!」

「にゃうっにゃにゃー(自分のために後回し)!」

「「「───フシャーッ(いい加減給料寄越せやごらーっ)!!」」」

「ぬわーっ!?」

「ぐわーっ(ぎにゃーっ)!?」

「き、キーアさーん!?」

「……猫共の大波に呑まれたな」

「猫津波ですか。いささか不謹慎かもしれませんね」

「言ってる場合ですか?早く助けませんと!」

 

 

 ……これ妖精達の「お金返してね」コールと同じやつやんけ!?*2

 そんなツッコミをする暇もなく、肩にいたオベロンごとケット・シー達の襲撃(THUNAMI)に巻き込まれる私なのでありました……。*3

 

 

 

†

 

 

 

「……地獄だった」

「言葉と表情があってませんよ。まぁあれに揉まれてその程度で済んでいるのですから、最終的にはその顔が答えなのでしょうが」

「おおっと」

 

 

 はてさて、猫妖精達の波に呑まれた私だけど。

 ……うん、ぼこぼこにされたのでマイナスのはずが、実際には肉球のぷにぷにに晒され続けただけなので精神的にはプラスかもしれない()

 そりゃまぁ、思わずジェイドさんも指摘するような緩んだ顔にもなるというものである。

 え?オベロン?そこでボロ雑巾のように転がってますがなにか?

 

 

「……酷い目に遭った(にゃーにゃにゃにゃ)」

「話を聞く限り自業自得では?」

「給料未払い、みたいな内容でしたからねぇ」

「原稿料をちょろまかすことほど重罪もあるまい。殴(ぼこ)られるだけで済んだのであれば十分幸運と言えるんじゃあないか?」

「くっ(にゃっ)!味方がいない……っ(にゃうーにゃっ)!」

 

 

 まぁ彼らの主張を聞く限り、どうにもオベロンってば彼らへの報酬を滞納しているということになるらしいし、正直言って自業自得以外の何者でもないのだが。

 ついでに言うならその合唱の内容的に、そうして滞納した分は自身のポッケにナイナイしてるみたいだし?

 

 

「ナイナイとは人聞きの悪い(にゃにゃーにゃにゃ)。僕は未来のために先行投資しているだけさ(にゃうっにゃにゃんにゃ)」

「にゃっにゃーにゃー(オベロン嘘つき)!」

「にゃっにゃーにゃー(王様嘘つき)!」

「にゃうにゃーにゃにゃにゃ(本当は溜め込んだリソースは)、」

「おおっと手が滑ったー(にゃっにゃっにゃー)」

「「「ぎにゃー(熱ーっ)!?」」」

「なにしてんの!?」

「いやいやちょっとドジッちゃった(にゃうにゃにゃにゃー)。ごめんねみんなー(にゃーにゃにゃー)」

 

 

 そのことについて弁明するオベロンと、そんなのは欺瞞だと詰め寄る猫妖精達。

 ……だったのだが、徐にすっ転んだオベロンに吹っ飛ばされる形で、数匹の猫妖精達が後ろの溶鉱炉(?)に墜落。

 まるでどこぞの配管工のように尻を押さえながら飛んで戻ってくる彼らの姿に、思わず私がツッコんでしまうのも無理はないだろう。

 ……つーか今転んだのに手が滑ったって言ってなかったこの妖精王?

 

 

「ははは気のせいじゃなーい(にゃにゃーにゃんにゃー)?ほら君達も、いい加減仕事始めるよー(にゃーにゃ、にゃうにゃーにゃ)」

「ええ……」

 

 

 ごまかすの下手か?(困惑)

 仕方ないので、無事な他の猫妖精に詳しく話を聞こうとしたのだけれど。

 

 

「にゃ、にゃーにゃうにゃ……(え、オベロン様がなにを……)に゛ゃ゛っ゛(ひぃっ)!?」

「にゃうにゃーにゃ……(隠していることは……)ぎに゛ゃ゛ーっ゛(なにも隠してないですっ)!?」

「…………(눈_눈)」

「なにその顔ウケる(にゃーにゃにゃにゃ)w」

「草生やしてんじゃねー!!」

 

 

 うん、手近な猫妖精に近付く度、なにかに怯えたようにぴゅーっと逃げて行くんだよね。

 で、彼らの視線を追うとそこには、妖精達の様子を俯瞰して確認できるように上に登ったオベロンの姿があるわけで。

 

 ……いや露骨か。なんも言うなって威嚇したろ今?

 されどオベロン、これを単芝でスルー。……単芝生やすなって聞かなかったのかテメー!*4

 

 

「おいこら待てオベロン!なにを隠してる!ハケッハクンダ!」

「やなこった(にゃーにゃっ)!それより仕事の邪魔なんだけど(にゃうにゃーにゃにゃ)、さっさとどっか行ってくれない(にゃーにゃにゃーにゃ)?」

「喧しいわ!!こんなにあからさまになんか隠してるとこほっとけるかー!!」

 

「……あの、こちらの気のせいだったら申し訳ないのですが……彼女、思いっきり変身してませんかね……?」

「気にしないでください、ここでは日常茶飯事ですので」

「……………………なるほど」

 

 

 小さな体を活かして縦横無尽に逃げ回るオベロン。

 そんな彼を取っ捕まえるため、こちらも妖精に変身して狭いところに逃げ込む彼を追いかけ回す私なのでありました……。

 

 

*1:
「ところでこの件に関して髭面の文豪一人を血祭りにあげてやろうかと思ってるんだけどどうかな?」「やだ、本物より表現が直接的……」

*2:
FGOにおけるオベロンのコミカルシーンから。伝承によっては借金王()カエサルの息子だったりもするので宜なるかな

*3:
単なる波ではなく、地震によって引き起こされる強力な大波のこと。元々は1946年に起きたアリューシャン地震の際、ハワイにいた日系人が押し寄せた波に対して『津波だ』と述べたことで、それがきっかけで周囲にも広まったのだとされる。英語で表す場合は本来「タイダルウェイブ」だが、現在では基本的に『津波』で通じる

*4:
笑っていることを示すスラング『w』だが、これのことを『草』とも呼ぶ。……個数が多いほどに大きく笑っていることを示す為、それが一つしか使われていない場合鼻で笑う──すなわち嘲笑の意味が強くなる、ということで単芝(=一つだけ『w』を付けること)は嫌われる、ということになっている

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