沙綾と達人が付き合うまでの話(完結)   作:春はる

16 / 21

第15話です。

夏休みに突入しました。今回は夏休み初日で達人がやまぶきベーカリーの手伝いをしている話です。ただ、達人と沙綾の各視点の終わりは、少し日が経ってます。

では、本編をどうぞ。



第15話

 

~達人視点~

 

 

夏休み初日で早朝の5時。

 

 

 

俺は、やまぶきベーカリーで中学以来のパン作りをしていた。一応、こないだの期末テスト終わりに一回やったので、今日で二回目だった。

 

亘史さんは他のパン作りからパンを焼く工程をしていて、俺は動物パンをメインに作っていた。

 

亘史「期末テスト終わり直後の休みに、手伝ってもらった時にも思ってたんだが、達人久しぶりに作ってるんだよな……?」

 

達人「うん。……中三の途中からこの間のテスト終わりまで、パン作りは手伝ってなかったから作ってなかったよ。それがどうかしたの?」

 

亘史「いや、久しぶりにやったとしては手際が良すぎて、目標にしてた達人が作るパンの数を悠々と越してるからさ」

 

達人「体が覚えてるんじゃないかな?作り方は流石に聞きながらだけど……」

 

亘史「確かにそうかもな。小6から中学の沙綾の件までは、ずっと昼間メインで、たまに早朝にパンの生地をこねたり形成をしてくれてたからな」

 

そんな話をしながらパンを作っていた。

 

今、俺が作ってるのは、他のパン屋にも見かける動物の顔の形をしたパンだ。

 

 

何でも俺が作った動物パンの方が人気があると言っていた。俺が手伝ってなかった間に、亘史さんが作ったみたいだけどあまり売れ筋が良くなかったらしい。

けど俺がテスト終わりの時に、久しぶりに作った時にすぐ売り切れになったから、"また作ってくれと"頼まれたので作ってる。

 

 

しばらく作っていると、パンを焼く作業をしていた亘史さんが声をかけてきた。

 

亘史「達人、もう七時だし千紘も朝御飯の準備をしてるだろうから、今作ってるのを最後でいいからな~」

 

俺は亘史さんの言葉に返事をして、作り終わったパンを亘史さんに渡した。手を洗ってからリビングに向かった。

 

 

 

リビングに行くと、千紘さんと沙綾が朝御飯を作っていた。

 

千紘「達人くん。おはよう」

 

達人「おはようございます。……沙綾もおはよ」

 

沙綾「うん、おはよう」

 

千紘さんと沙綾の二人に挨拶をした後に、階段から足音が聞こえてきた。今リビングにいない純と沙南だなと思い、抱きついてくると予想して身構えた。

 

純「兄ちゃん、おはよ!」

 

沙南「お兄ちゃーん!おはよー!」

 

そしてリビングに入ってきて"おはよう"と言いながら、純と沙南の二人は俺に抱きついてきた。

 

達人「うん、二人ともおはよう」

 

二人を見て"元気いっぱいだ"と思いながら、"おはよう"と俺も言った。

 

 

 

二人と話してると、亘史さんもリビングに来た。二人と話をしてる間にご飯の準備が終わってたみたいだったので、すぐに朝御飯を食べ始めた。食べていると沙綾から声をかけられた。

 

沙綾「達人、今日は一日お父さんと一緒にパン作りをやるんだっけ?」

 

達人「いや、お昼まででいいみたいだよ。だから、午前中だけパン作りをして午後はレジとか接客の方をやるよ。けど、お昼の時に午後の分の動物パンをある程度作ってから接客の方に入る感じかな」

 

沙綾「分かった」

 

沙綾から聞かれたことを答えたあとは、純や沙南と話をしながらご飯を食べていた。沙綾の方は千紘さんと話をしていた。

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

そして、やまぶきベーカリーが開店した。

 

 

俺は厨房で、亘史さんから今日は動物パンを中心に作るようにお願いされていたので作っていた。

 

 

しばらく作っていて、手が空いたので厨房から少し店内を見てみると、いつもの常連客の人も来ていた。ただ、今日から夏休みなので親子連れや子供だけのお客さんが多かった。

 

自分のパンが置いてある方を見てみると、確かに亘史さんの言う通りで凄いスピードで数が減っていっていた。それを見てると亘史さんから話しかけられた。

 

亘史「言った通りだろ。達人の作った動物パンの方が人気あるんだ」

 

達人「うん、確かに……」

 

亘史「お店的には売れる事は嬉しいんだがな。……昔からパンを作ってた自分よりも売れてるって思うと、少し複雑だけどな……」

と、亘史さんは哀愁漂う感じで話してて、俺は苦笑いしか出来なかった。

 

お客さんの様子を見てから、すぐにパン作りに戻った。

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

~午後~

 

午後になり、沙綾と一緒に店内で接客をしていた。お昼時なのでパンを買いにくるお客さんが多いので忙しかった。

 

 

そして今は落ち着いて、お客さんのを客足が途絶えたので沙綾と話をしていた。話してるとお店のドアが開きお客さんが来た。

 

達人・沙綾「「いらっしゃいませー」」

 

おじさん「お、今日は沙綾ちゃんの家で手伝いしてるのか」

 

達人「あ、はい。元から約束してたので手伝ってます」

 

お客さんで来たのは、ここの商店街の組合事務所のおじさんだった。おじさんは俺がベーカリーの手伝いをしている事に触れながら手慣れた感じで素早くトレーにパンをのせていた。そしてレジに来た。

 

おじさん「あ、達人。一つ伝えとく事があるけど会計しながらでいいから聞いてくれるか?」

と、おじさんからトレーを受け取って会計していると、そう言われたので、頷いて続きを促した。

 

おじさん「いつも事務所の手伝いをしてくれてるだろう。もう手伝いをしなくても大丈夫だ」

 

続きを促して聞いた話は、"組合の手伝いはしなくても大丈夫"といきなり言われた。俺は"何で?"と聞くと、理由を教えてくれた。

 

おじさん「商店街のお祭りの後に、達人は沙綾ちゃん達のバンドのサポートやってるだろう。それに達人の家の雑貨店と、今の沙綾ちゃんの家の手伝いもしてるから、少し負担を減らそうと思ったんだ。だから達人は手伝いに要らないって訳じゃないよ」

 

達人「俺が手伝わなくなったら、忙しくなるとかは無いよね……?」

 

おじさん「それは大丈夫だよ。他に手伝ってくれる人もいるから手は足りてるからね。けどお祭りとかの商店街の行事がある時には手伝いをお願いするよ」

 

達人「分かった。じゃあ何かあったら声かけてね。手伝うから」

と、おじさんに伝えて商品のパンとレシートを渡した。おじさんがお店から出ると沙綾が声をかけてきた。

 

沙綾「明日も手伝う予定だったの?」

 

達人「うん。でも無くなったから明日は家の手伝いをしようと思う」

 

沙綾「そっか。……私、少し安心したよ」

 

おじさんとの話の内容の事を話してると、沙綾が"安心した"と言ってきた。

 

達人「安心したって、どういう……」

 

沙綾「最近の達人、無理してる感じがしてたから。皆にバレない様にしてるから皆は気付いてはないと思うよ。ただ中学の時のお母さんが無理してた時に似てる感じだった。だから今の話を聞いて安心した」

 

達人「……ごめん、心配かけて。……まぁ、組合の手伝いが無くなったから休める時は休むよ。前につぐみが倒れちゃった時があったけど、あんな風になって心配はかけたくないから」

 

沙綾「うん。そうしてくれたら私も嬉しいから。……でも、いつも一生懸命の達人も格好いいからね」

 

沙綾を安心させる為に無理しないことを伝えた。すると、沙綾からいきなり面と向かって"格好いい"と言われた。それを聞いて恥ずかしくなったので、顔をそらした。その直後に、狙ったようにモカとリサさんが来て、顔をそらしてる事とか顔を赤くしてる事とかの質問責めにあってしまった。

 

 

そんなこんながありながら、接客を続けてお店を閉める時間になった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

お店を閉めて後片付けをした。それを終えると晩御飯も一緒に食べさせてもらった。

 

晩御飯を食べている際に、亘史さんに俺が作る動物パンを毎週土曜日限定で販売したいと言われた。前からお客さんから定期的に販売してほしいと声があり、最近から俺がパン作りの手伝いもやり始めたのでしようと思ったからしい。

 

それを聞いた俺は組合事務者の手伝いが無くなった事、"だから出来ると思う"と伝えて承諾した。

 

一応、長期休みとか関係なく、"毎週土曜日"に俺が作ってお店で販売することになった。

 

そういう風に、話が纏まってご飯を食べ終わったので、"ご馳走さま"といってお皿を片付けた。

 

お皿を片付けた俺は、今日は沙綾の家に泊まらず家に帰った。ただ、帰ろうとした時に、純と沙南が駄々をこねてしまった。なので、二人と遊ぶ約束とかをしてなだめてから、家に帰ったけど。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

沙綾の家で手伝いをしてから、しばらく経った夏休みのある日。

 

蔵で、ポピパの皆と夏休みの宿題をする為に集まっていた。しばらく宿題をしてから一息ついた時に、いきなり香澄が立ち上がり大きな声で宣言した。

 

香澄「皆で海に行きたい!」

 

達人「え?」

と、俺は言って他の皆は静かになっていた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

~沙綾視点~

 

 

朝7時少し前に目が覚めた。起きてリビングに向かうとちょうどお母さんが朝御飯を作っていた。

 

沙綾「お母さん、おはよう」

 

千紘「おはよう」

 

沙綾「ご飯を作るの手伝うよ」

と言うと、お母さんは"お願い"と言われて頼まれたおかずを作り始めた。

 

 

しばらく作ってると、お母さんが話しかけてきた。

 

千紘「達人くんの作った動物パン凄く人気よね」

 

沙綾「テスト終わりの時に、復活した時は開店と同時に売り切れちゃったもんね」

 

千紘「お父さん、売れるから嬉しいけど、自分が作った動物パンより売れるのは複雑って言ってたわ」

 

沙綾「(そうなんだ……)でも確かにそうかもね~」

と、お母さんと話してると朝のパン作りを終えた達人がリビングにやってきた。

 

達人に"おはよう"と挨拶した。すると純と沙南が起きてきて達人に抱きついていた。二人とも達人が来ることは知っているから、凄く嬉しそうな顔をしていた。達人も笑顔で二人と話をしていた。

 

 

三人の様子を見てから、料理をお皿に盛り付けてテーブルに料理を持っていき、ご飯が出来たことを教えた。

 

 

ちょうどお父さんもリビングに来たので、達人を入れて六人で朝食をとった。

 

 

ご飯を食べてる時に、達人に今日の作業の予定を聞いた。聞くと、午前はパン作りで午後は接客の方をすると教えてくれた。それを聞いて"分かった"と伝えて話を終えると、お母さんが声をかけてきた。

 

 

千紘「良かったわね。午後、達人くんと一緒に接客出来て」

 

沙綾「ちょっと、なに言ってるの……!」

 

千紘「だって沙綾、達人くんから午後は接客って聞いた時の顔、凄く嬉しそうな顔をしてたわよ」

と、お母さんに指摘された私は恥ずかしくなった。"確かに嬉しかったけど"と思いながら、黙々とご飯を食べた。

 

この時の達人は純達と話をしてて、私の様子に気が付いてなかったから良かった。

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

朝食を食べ終わり、お店の準備をしてからお店を開店した。

 

お客さんはいつもの常連客の人も来ていたけど、今日から夏休みなので、親子連れや子供だけのお客さんが多かった。というのと、久しぶり(期末テスト終わりぶり)に売られているのが影響してるのか、達人が作った動物パンが凄いスピードで売れていった。

 

 

私は"凄いな……"と思いながら、接客していった。

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

~午後~

 

 

 

達人と接客中に組合のおじさんがやってきた。おじさんがレジに来た時に達人と話を始めて隣で話を聞いていた。

 

 

二人の話は、達人の組合の手伝いの話だった。簡単に言うと、達人に組合の手伝いはしなくても大丈夫という事だった。

 

理由は、達人がポピパと雑貨店とベーカリーの手伝いもしてるから、少しでも負担を減らしてあげたいという事らしい。商店街の行事の時はお願いするとおじさんが言うと、達人は承諾していた。

 

おじさんが商品を受け取ってお店を出ていった後に、達人に手伝いの事で声をかけた。

 

沙綾「明日も手伝う予定だったの?」

と聞くと、手伝う予定だったらしい。けど、家の手伝いをすると言ってきたので私はそれを聞いて"安心した"と呟いた。

 

すると達人が私の言葉に疑問に思ってたので"安心した"を言った理由を教えた。

 

沙綾「最近の達人、無理してる感じがしてたから。皆にバレない様にしてるから皆は気付いてはないと思うよ。ただ中学の時のお母さんが無理してた時に似てる感じだった。だから今の話を聞いて安心した」

 

私がそう言うと達人は"ごめん"と謝ってきて、休める時は休んで心配かけないようにすると言ってくれた。

 

沙綾「うん。そうしてくれたら私も嬉しいから。……でも、いつも一生懸命の達人も格好いいからね」

と、私は達人のその言葉にそう返しつつ、一生懸命の達人も格好いい事も伝えた。格好いいって事は自然と言ってしまった。

 

すると達人は顔を横にそらしてしまったが、言った本人である私も少し恥ずかしかった。その直後にお客さんが来て、入り口を見るとモカとリサさんだった。

 

沙綾「いらっしゃいませ。珍しいですね、二人でお店に来るなんて……」

 

リサ「今日は、アタシとモカはバイトだったんだ。それで、モカがおすすめのパンを教えるよって言ってきたから来たんだ」

 

沙綾「そうなんですね」

 

二人はバイトだったらしく、帰り道にリサさんはモカに連れてこられたと教えてくれた。リサさんの説明を聞き終わるとモカが声をかけてきた。

 

モカ「それで~、た~くんはどうして顔を横に向けてるの~?」

 

沙綾「あぁ……それは……」

と、私は言おうか迷った時に達人が一言呟いた。

 

達人「何でもない」

 

モカ「何でもなかったら~、お客さんの方を見ても問題ないんじゃないかな~」

 

リサ「あれ?達人顔赤くない?……あ、もしかして沙綾に何か言われたの~?」

とリサさんもモカと一緒に達人に質問を始めた。達人は質問責めにあい、"何でもない"と答える状態が続いた。結局他のお客さんが来たので、二人に声をかけて商品を買ったもらい帰ってもらった。

 

 

そういうことがあったが、お店の閉店時間になったので後片付けをした。その後は晩御飯を皆で食べた。

 

 

晩御飯を食べてる間、お父さんと達人が話をしていた。動物パンを毎週土曜日に作ることになったらしい。

 

そんな話を二人がして達人がご飯を食べ終わった後に、帰る事を伝えてきた。

 

今日、達人は泊まらないので帰ると伝えてきたが、純と沙南が"達人に泊まってほしい"と駄々こね始めた。一応、二人は泊まらない事を教えてたんだけど……。

 

駄々をこねてる二人に私が声をかけようとした。けど私より先に達人が、夏休み今度遊ぶ事や泊まる事を純と沙南と約束をして、なだめてくれた。

 

 

二人と約束した達人は家に帰っていった。

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

達人がベーカリーを手伝ってくれた夏休み初日から、しばらく経った夏休みのある日。

 

蔵でポピパの皆で、夏休みの宿題をしている。しばらくして休憩として各々ゆっくりしていたら、いきなり香澄が立ってから大きな声で宣言した。

 

香澄「皆で海に行きたい!」

 

その言葉に達人は"え?"と言って、私達は静かになってしまった。

 

 

 





次回は、香澄の海に行きたい宣言をした直後の続きから、話を書きます。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。