アンブレイカブルハンター   作:エアロダイナミクス

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ちょっと更新遅れてすみません! 
暑さにやられて書き上げるスピードが落ちてしまってます…。
極端に遅れないように頑張ります!


112、ソウフラビへ

 

 

 

 

 

 

「おい! ゲン、あのガキども、『一坪の密林』ゲットしやがったぞ!」

 

「マジか。だとしたら現在ゲイン待ちも含めて82種、か。結構迫ってきたな。どうする? ゲン、そろそろ襲うか?」

 

「……オレ達はNo.17『大天使の息吹』とNo.81『ブループラネット』を独占している。No.73『闇のヒスイ』もだ。しかもそれらを【堅牢(プリズン)】で守っている。奴等がクリアを目指すならオレ達との接触は必須だ。……寧ろ奴等にこのままレアカード集めさせた方が良さそうだな。どうやらSSランクを優先しているようだから、このままNo.2『一坪の海岸線』を取ってくれるならば、それにこした事は無い。つまり、もう少しだけ『見』だ」

 

「……そうだな。あのジジイで痛い目みたしな。それ以外の雑魚は大体潰せたんだがな。慎重にいこう」

 

「その通り。ここまで来たんだ。後は最後の詰めだ。そろそろ考えとくか。選ぶカードと報酬の使い道…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ、カーム。『一坪の海岸線』を【道標(ガイドポスト)】で調べたんだけど、ソウフラビってトコにあるらしいんだよね。ただ、問題があって、もう極端にプレイヤーが少ないんだよ。何かいい方法ないかな?」

 

 

 

 今、我々は拠点にいる。とりあえず激闘だった為、ちょっとは休養しようという事もあり、私が案内した。弟子達はその快適さに仰天していた。

 カルトはビスケを睨んでいたが、ビスケは素知らぬ顔で顔を逸らして口笛を吹いていた。

 さて、それは置いといて。今、ゴンから相談を受けている『一坪の海岸線』だが、ネックになるのは数だ。15人集めなければならないというのはただでさえ相当ハードルが高い。しかも現在、例のバッテラ関係で減っている状況だ。

 

 

「君達もトレードした相手ぐらいいたのだろう? その辺はどうだ?」

 

「それが……ここ最近その人達もいなくなっちゃって……」

 

 

 ……なるほど。少ないが攻略していたプレイヤーもいた筈。これは……恐らく『爆弾魔(ボマー)』か。状況が煮詰まってきて、強硬手段も使い出したかな? そう推察をつけていると

 

 

「プレイヤーキラー、だな」

 

「あぁ。間違いない」

 

「ちょっと前まで噂になっていた『爆弾魔(ボマー)』だと思う」

 

 

 ほう。そっちから出るとは。他から聞いたかな?

 

 

「しかし、全てがいなくなったわけじゃないだろう。ゲンスルー組、とかな」

 

「それこそありえねー。多分アイツらがPKだぜ? ここ最近特にカードの集まり方が異常だしな。いつやられるか分かったもんじゃない奴とは組めねーな」

 

「一回会った時もヤな感じしたんだよね。隙あらば能力をくっつけてきそうな気配があったよ」

 

「それこそ、『爆弾魔(ボマー)』だと思う。決め付ける事は出来ないけど」

 

 

 

 危機管理も出来ている…と。これなら不意打ちで死ぬ事もないだろう。さて、諦めた人員を数合わせとして集める手も塞がれてるか。これは私のせいでもあるな。少し手助けしよう。

 

 

 

 

 

「あまり戦力は期待しないでもらいたいが、前回と同じ様に私とビスケが入ろう。ついでに何人かアテはある。それで揃えてみよう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なぁ……会長だよな?」

 

「アシモフじゃ」

 

「いや、会長でしょ?」

 

「だから会長じゃないってゆうとるじゃろーに!」

 

「カーム……いきなり連れてこられた訳だが、私にも仕事があるのだが?」

 

「旦那、そうだぜ! 仕事もそうだけど、いくらボーナスあるからって、この前みたいな危険なのは勘弁だぜ!」

 

「オイオイ、アイツらチビなのに中々なモンだな。師匠はやっぱアイツか? それともビスケット師範代か? こりゃウチの弟子の連中とヘタすりゃどっこいかもな」

 

「モラウさん、分析は正確に。場合によっては上回りますよ」

 

 

 

「カーム氏…この集まりには一体どういう意図があるのかね? 協会のトップらしき方もいる様な気がするのだが」

 

 

 この集まりに参加した髭面の男、ツェズゲラが質問してくる。まぁ気になるよね。メンツおかしいもん。私の伝手ですぐ動ける人ってこんなもんなんだよね。しかし全員レベルヤバいな。せめて私は自重するようにしよう。

 

「まぁ気になりますよね。でも概要は来る前に話した通りです。改めて言いますと、ちょっとあるイベントに人数が必要でね。余り人員が居なかったもので、方々から少しご協力をお願いしてるのですよ。貴方もご協力いただいて助かりました。あぁ、クラピカとリベロ、君らの仕事は実はもう父に了解は取り付けてあるから心配しなくていいぞ」

 

 

 

 今現在、拠点には様々な場所から引っ張ってきた人材が集結していた。まず、私とビスケ、ゴン達、会長組、仕事中だったクラピカとリベロ、そしてツェズゲラ組。彼らには成功報酬として1人1億を約束している。会長? 強い奴がいるって言ったら2つ返事でOKしてくれたよ。クラピカとリベロの報酬はジョンへの迷惑料だ。ボーナスで還元してくれるらしい。

 当然、支払いは弟子達だが。レオリオとキルアの値引き交渉が面白かった。

 

 

 

 これで15人だ。

 

 

 

「さて、皆さん。お集まりいただきありがとう。概要は聞いていると思うが、知らない人もいるから説明しよう。実はこのゴンのチームがもうクリア間近なのだが、一つ問題があってね。そこで皆さんにお願いしたい事があるんだ。さぁ、ゴン。後は君が説明するんだ」

 

「ここで!? …分かった。え〜っと、まず、オレ達の為に集まってくれてありがとう。No.2『一坪の海岸線』ってカードをゲットしたいんだけど、そのイベント発生のフラグが15人以上で該当の街に【同行(アカンパニー)】する事って分かったんだ。だから、これだけの人に集まってもらったんだ。どんなイベントかは分からないけど、かなり高難度なミッションだと思う。だけど、みんなクリアの為に力を貸して欲しい!…デス」

 

 

 

 しん……と空気が静まり返る。ふむ。聞いてみるか。

 

 

「何か質問がある人は?」

 

 

 そう問うと、複数の腕が上がる。

 

 

「はい、クラピカ」

 

「ゴン、確認だが…我々はそのイベントとやらを終わらせたら任務終了か?」

 

「うん。そう」

 

「拘束期間は?」

 

「前のイベントを考えると2〜3日以内ぐらいかな? そんなに長くはかからないかも」

 

「内容は?」

 

「全く分かんない。ただ、かなり難しいかも……」

 

「……まぁいい。これも修行か」

 

「クラピカ。彼らがクリアしたら君にも報酬以外で恩恵がある可能性がある。修行でもあるし、やる価値はあると私から言っておこう」

 

「わかった。質問は以上だ」

 

「次は、えっと…ツェズゲラ、さん?」

 

「ツェズゲラでいい。我々は報酬があるからそこは納得している。少し別な話になるが、君達は……No.1のカードをどうやって手に入れた? あぁ、我々はもうクリアは放棄しているからこれは興味本位だが」

 

「え〜っと、それはかくかくしかじかで〜」

 

 

 

 

 

「!! なるほど…! そういう事か……。よく見つけたな?」

 

「ビスケが偶然発見してくれたんだ。流石にオレ達だけじゃ無理だったよ」

 

「それにしても、だ。このゲームを楽しまねば出来ん事だろうし、それを成す実力もあったという事だな。質問は以上だ」

 

「ありがとう。じゃあ……ネテロ会長」

 

「アシモフじゃ! で? 強い奴はいそうか?」

 

「それは……間違いなく」

 

「ほっほ〜う! 腕が鳴るわい。楽しみじゃのう」

 

「またジイさんの悪い癖が始まったぜ。なぁノヴ」

 

「何、いつもの事です。それに、これが恐らく()()でしょう。仕事の時間ですよ」

 

「こら! 老人の楽しみに水を差すでない。全く……質問は以上じゃ」

 

「他は無いな。では、そろそろ出発しよう。ゴン」

 

「うん。じゃあみんなこっちに来て……【同行(アカンパニー)】オン! ソウフラビへ!」

 

 

 

 

 ドヒュッ!!!

 

 

 

 

 そして、この過剰戦力とも言える楽しいパーティーは、一斉にソウフラビへと飛び立った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 キィィィン…ドン! シュウゥゥゥ……

 

 

 

 

 ……着いたか。便利なものだな。今回は人数も人数なので、ペット達はお留守番だ。ビスケなどは連れて行きたかった様だが、泣く泣く置いてきた。

 さて、15人で来たぞ。まずは情報提供者を探す所だな。手分けして調べるか。まぁ、前回と同じですぐにでも見つかるだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ()()は、町外れのボロい酒場だった。あれから情報提供者を探し、有力な人物を見つけて案内されたのがここだ。ガラの悪い輩がたむろして駄弁っている。皆一様に黒いパーティー帽子の様なものを被り、同じ格好をしている。

 中に入ったら態度のデカそうな太った男がこちらに声をかける。

 

 

「なんだ? てめェら。今日はオレ達の貸し切りだぜ」

 

「今日もだろ? へへへへ」

 

 

 

「おい、カームよい。コイツら全く楽しめそうにないぞ? 本当に大丈夫か?」

 

「まぁ序盤ですから。課題をクリアしていけば出てきますって」

 

 

「オイ!! 何言ってんだ!てめェらふざけんじゃねーぞ!!」

 

 

 あまりな会長の言いぶりに、太った男がキレ出す。まぁ会長の言いたいことも分からんでもないけどね。

 

 

「ホラ、怒った。しばらく黙ってて貰えます?」

 

「しゃーないのぅ。じゃ、はよ進めてくれ」

 

「と、言うわけで、君達はさっさとここから出て行くか、ボスの元に案内してくれないか?」

 

 

「てめェら……舐めてんのか!? まぁいい。今すぐペシャンコにしてやりてェが、全ての決定権は船長(ボス)にある。腕ずくでやってみろよ」

 

 

 そう言うと、太った男は酒瓶を周りに振り撒き、火をつける。あぁ、何となく思い出した。相撲か。

 

 

「オレをこの〝土俵〟から外に出せたら、オレ達の船長(ボス)に会わせてやる。一度に何人掛かってきてもいいぜ。炎の俵を越えたら試合開始だ」

 

 

 さて、どうするかな。ここなら私でもいいか。

 

 

「私が「僕がやるよ」やろう…って、カルトか。やるの?」

 

「うん。ちょっと腕慣らしに丁度いい。任せて」

 

 

 

 そう言うと、スタスタと土俵側迄歩いて行った。

 

 

 

「ギャハハハハ!! お嬢ちゃんがやんのか!? ボポボ、舐められてんぞ!」

 

 

 

 周りは爆笑しているが、ボポボと言われた男は青筋を立てている。

 

 

 

「オイコラ、チビガキ。いくらガキでも容赦しねェぞ? ママのおっぱいでもしゃぶってたらどうだ?」

 

「ご心配なく。貴方程度なら僕だけで充分すぎる」

 

「てめェ……ブッ殺す」

 

 

 ボポボはオーラを強める。だが、彼女の言う通りだ。アレなら1人で充分だな。

 カルトは、自宅の庭に入る様な気軽さで、炎の俵を乗り越え、目の前に立つ。

 

 

 

 ボポボはその巨体を生かし、カルトに向かって張り手を繰り出した。

 

 

 

 

 

 ドンッ!!

 

 

 

 

 

 次の瞬間には、ボポボは()()()()()()()()()()()()()()。そして……。

 

 

 

「ぎゃぁぁああ!!」

 

 

 

 

 落ちた場所は炎の俵。ボポボの顔面が焼かれる。逃れたいがカルトがボポボの小指を極めており、1ミリも動けない状態になっている。

 何が起きたかというと、ボポボが張り手してきた時に、カルトは最小の動きでそれを躱し、その小指を掴んで力を利用しながら回転させて地面に叩きつけた、というわけだ。中々咄嗟にできる事じゃ無い。

 コレは合気だな。最初から持ってた技能かな? いずれにせよ、素晴らしい。結果、彼は顔面を焼かれ続けている。

 

 

「ボポボ!!」

 

 

「入んな!!」

 

 

 海賊共が助けようと踏み出しかけるが、キルアが止める。オーラとその雰囲気で彼らは踏み出せない。

 

 

「まだ勝負はついてない。コイツは()()()()()()()。よって、出るまでは負けじゃない、だろ? カルト、その辺にしとけ」

 

「はーい」

 

 

 そうしてカルトは小指を離す。ボポボは必死に転がり、顔の火を消してもらっていた。君達兄妹いいコンビだね? そしてカルト……うん。まぁムカついたんだろうね。仕方ないね。ただ、獲物を嬲る悪い癖は改めた方がいいかもな。

 そうこうしてると、ボポボの火が消えて、走りながらこちらに向かって来た。あーあキレちゃった。カルトも鉄扇を出して迎撃体制を整えてる。目が細まっているが、ほどほどにしとけよ?

 

 

 

「このガキがぁああ!!」

 

 

 

 ドゴッ!!!

 

 

 

 横からボポボは仲間のリーダー格っぽい海賊に蹴り飛ばされ、カウンターに激突する。今日の彼は踏んだり蹴ったりだな。

 

 

「てめェが約束した事だろうが。キレてんじゃねーよ」

 

「……あぁ、悪かったよ」

 

 

 流石にリーダーっぽい奴の言う事は聞くらしい。我々は彼に案内され、別の場所へと向かう。そうそう、そうだった。相撲で思い出したけど、これってスポーツ対決だったよね。

 道中、ボポボはカルトに絡んでいたが、軽くあしらわれていた。どうでもいいけど、アイツ、カルトとかビスケを見る目付きがいやらしい。確か、死刑囚だったか? さもありなんだな。彼女らには逆立ちしても勝てないだろうが、度が過ぎる時はお仕置きしよう。

 

 

 そして、灯台みたいな場所に連れてこられた。灯台を改造した要塞らしい。密航船をチェックしてるとの事。どうでもいいが。

 中に入り、しばらく進むと、体育館の様な場所に案内された。そして、中で筋トレをしていた、スポーツジムのトレーナーの様な格好をしている短髪の筋肉質な男の元へ辿りついた。

 

 

 

 

「誰だ? そいつら」

 

「客だ。オレ達を追い出したいそうだぜ」

 

「ホウ。じゃあ早速本題に入るが、勝負しよう。互いに15人ずつ出して戦う。1人1勝、先に8勝した方の勝ちだ。勝負のやり方はオレ達が決める。それでお前達が勝てばこの島を出ていこう。どうだ?」

 

「うん。いいよ。それでいこう」

 

 

 

 

 ゴンが了解の意を伝える。他に特に質問はないようだ。しかし……うーむ。素晴らしい。見た感じ、明らかに一流。いや、超一流に手を伸ばしつつある程の力量だ。会長もウズウズしてる。落ち着け。

 ただ、この話だと、彼に行き着く迄に幾つか雑魚バトルがあるな。確実に取れるだろうから、人選が大事だ。さて、誰がどう当たるかね。







追記
申し訳ありません! ボマー組の独占カードに『闇のヒスイ』忘れてました。だからビスケが家に飾ってたんですよね…! よって、加筆しました。

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