朝から汗が噴き出す…!
頭が朦朧とする…!
でもそんなの関係ねぇ!
「よかろう。
彼はそう告げた。
「よし! オレと闘るぞ、メスガキ! 相撲で勝負だ!! こっち来い!!!」
「ヤダ」
「あぁ!?」
「貴方は準備運動で充分。他当たって」
「…………!」
ボポボは侮辱と捉えてブルブル怒りに震えている。そこに他の男が来て、肩に手を置く。
「まぁまぁ。少し頭冷やせ。オレが一番手だ。オレの
グローブを付けた男がリングに上がって言う。ここは誰が行ってもいいが、弟子たちは行かない様に目配せする。彼らは後半大事な対決があるからな。出来るだけ参加させたい。逆に、他のメンバーにも、レイザーが来るまでは雑魚戦だから、先にやって欲しいと小声で伝えた。恐らくどうせ全員やる事になるから、安全にやりたいなら雑魚戦がいい、と。さて、誰も行かないなら私が行こうかな。
「ふむ……ボクシングね。偶には運動しましょうか」
そう言って出て来たのはノヴさんだ。なるほど。もしかしてリングの
彼はグローブを付けて、リングに上がる。しかし、スーツとメガネのままやるのか。スマートというか何というか。人の事言えないが。
試合は一方的に進む。というか、ノヴさん、強すぎ。ワザと距離を詰めたかと思えば、アウトボクシングして、敵を翻弄している。まぁ、レベル差がね……。で、全てのパンチにカウンターを入れてる。敵の攻撃は掠りもしない。
そして……離れた瞬間を狙って、敵が拳を瞬間移動させる。これが敵の秘策! 神字で補助される事によって可能になる、必殺の顎を狙ったショートアッパーだ。
うん。
「神字を書く技能は賞賛すべき所ですが、肝心の術者がイマイチですね。また、読める人間にとっては何が来るかバレバレです。ま、いい運動になりましたよ」
……こりゃひでぇ。でも、まぁいいか。次いこう。
「……じゃあ次はオレがやるか。オレのテーマはリフティングだ」
サッカーボールを持った男が告げる。リフティング、ね。
「ハイハイ! オレオレ!! サッカーなら任してくれよ!」
うん。そうだよね。得意分野だね。妨害アリらしいけど彼にとってはいつもやってる事だよね。彼も敵のレベルを見破ってウキウキしてる。良かったね。ボーナス確定だよ。
「レディ…ゴー!!!」
バゴン!!!
いきなり凄い勢いでボールを
その後、ツェズゲラ組の人たちの奮闘やモラウさんが圧勝し、遂に6勝までいった。モラウさんとか、あの基本性能で能力もヤバいぐらい汎用性あるから強すぎだよな。ノヴさんの方もヤバいけど。流石会長の付き人やるだけあるわ。
さて……後2勝だが。中々レイザーが出てこない。その間、我々をつぶさに観察している。なるほど。ギリギリまで見ている感じかな。彼も手下達に「死ぬ気でやれ」って言ってるし。
そして、結局私がやる前にここまで来ちゃった。まぁいいか。後1勝でレイザーだな。
と思ったら、ボポボがキレた。
「納得いかねェ。こんなクソゲームに付き合うのは辞めだ。オレは降りるぞ。やってられっか!」
「おい。ボポボ」
いや、君、次だよ? 確かに今までの人達ボコボコにされたけどさぁ。そこはやろうよ。次は絶対私がやろうと思ってたのに。
「そいつは契約違反だな。ムショに逆戻りだぜ、ボポボ」
「知った事かよ。オレに乗る奴はいねーか!? あんな奴みんなでかかれば何とかなるだろ。後は船でも何でも使ってこの島を脱出すりゃいいんだ!!」
彼はレイザーを指差しながら周りに問いかける。いいのか? 明確な反逆行為だぞ? それは。あ、念弾。その強さは……。
グシャッ!!
ドオォン
レイザーから念弾を受けた彼の頭が弾け、そのまま倒れる。まぁあの威力食らったら普通死ぬよね。私は死なないけど。
しかし…躊躇なくいったな。あまりにもアッサリ彼はお亡くなりになった。だが、私の中ではそこまで衝撃は無い。彼、極悪人だったし。オーラが物語っていたからな。大体さっきの反逆も契約違反も、本来なら絶対にやってはいけない事だ。雇用側からすれば示しがつかなくなるからな。
私は理不尽な死は許容出来ないが、理不尽ではない死は受け入れられる事が分かった。まぁ自業自得という奴だろう。私のトラウマも順調に治ってきている証かもしれない。みんなに感謝だな。
レイザーが他の手下に威圧する。ルールを破ったら厳罰だそうだ。それを聞いてゴンが怒り出すが、レイザーから死んだボポボは死刑囚である事が告げられた。罪状を聞けば納得の所業だ。ゴンはそれを聞いて、彼がゲームマスターだと気付き、ジンを知ってるかと問いただす。
すると、レイザーから強烈なオーラが噴き出した。
「お前が来たら手加減するな…と言われてるぜ。お前の親父にな」
うーん。これは驚いた。凄まじい顕在オーラ!! 数値にすると5〜6千は出ている。しかも
……これが全力の攻撃をしてきたらどうなるだろう。
そうだ、今のうちに言っとこう。
「そう言えば、死んだ彼の勝敗はどうなる?」
「あぁ、君達の勝ちでいい。誰が不戦勝でも構わないさ」
「ふむ。じゃあツェズゲラさんで」
「……いいのか?」
いや、言い訳をさせて欲しい。そもそも会長がやる気満々な時点で難易度調整をミスってるのだ。
いや、自重はする。するが、ちょっとだけ。そう、ほんのちょっとだけ体験してみたくなったのだ。
弟子達の本当の試練はノーヒントの『
彼から次のテーマの提案がなされる。8対8のドッジボールだ。ルール説明を受ける。このゲームはクッション制を採用しているとの事。リフティングと同じく、より攻撃に適したルールとなっている。
楽しみだ。
実に楽しみだ。
◇
「なんじゃ、結局お主もやるんかい。さては我慢できなくなりおったな?」
「アシモフさん。確かにそれは否定しませんが、あくまで弟子の成長を近くで見たいという親心であってね? 私は流石に自重しますよ? ただ、ちょこーっとだけやってみたいなぁっていう、ね?」
「いや、それは苦しい言い訳だわさ」
「いやいや、彼らほぼ自力で前のイベントクリアしたしね? ちょっとくらいいいよね? 大体ビスケも似たようなもんじゃないのか?」
「アタシだって自重するわよ! ただ、近くで見てないと心配だからね!」
「ハイハイ分かった分かった。じゃが、お主らのオーラはそう言っとらんぞ? ま、いい傾向じゃな。楽しめる時は楽しんどけ。それが人生の秘訣よ」
「……まぁおっしゃる通りですね。最近楽しみが増えました」
「えぇ事じゃのぅ。しかし、ドッジボールか。球遊びは得意な方じゃが、盛り上がるかのぅ」
「相手の得意なルールっぽいですからその辺は大丈夫だと思いますよ? それに彼らの修行でもあるのですから、ちょっとは自重してくださいね」
「え〜。つまらんのぅ……」
「私達の弟子の成長を見るのも楽しい筈ですから。不満でしたら私が後で相手しますよ」
「ふむ…まぁそれはそれでええか。約束は守れよ」
◇
……ここに来た15人は、恐ろしい事にほぼ全員が凄い使い手の集まりだ。何をどうやったか分からないが、あの子供達ですらそうだ。
だが、あのジイさんと、しゃべっている男、そしてそばにいる女は別格だ。レベルが周りの者と一回り二回り、いや、恐らく桁が違う。オレとタイマンで勝てる程のレベルと見た。確かに彼らにとっては正しく遊戯だろうな。化け物と言われても違和感が無い。さっきから冷や汗が止まらない。バレないように振る舞ってはいるが。
このオレがまさか挑戦者側に立つとは、世の中分からないものだ。
そして、ゴン。遂に来たか。長い事待った。ジンは必ず来ると言った。そして、ジンの言った通りに来た。
凄まじい仲間を連れて。
ジンに捕まって、この島でゲームマスターになるまで、様々な事があった。だが、基本的にはジンの言う事を守り、律儀にここで鍛えながら罪を償っている。もう10年経つ。ゲームマスターの任も服役労働だと思えばポジティブとは言わないまでもこなしていける。
そして、遂に
オレは死刑囚だ。他の奴等と同じく。そしてオレもボポボと同じくらい人を殺めている。その精算はいつかやらねばならない。それが今だ。
ハンターに雇われた死刑囚の生殺与奪はハンターに握られている。だが、オレはジンに
これほど喜ばしい事があろうか。クソみたいなオレの人生は、あの言葉で少し報われた。ジンは覚えていないかもしれないがな。
だが、
誰かの役に立てる。オレはその為に生きてきたとさえ思える。
そして、死ぬかもしれない。しかしそれもまたオレの役目だ。
ジンの息子が来た。オレは全力を尽くそう。ジン、喜べ。お前の息子もまた怪物だ。オーラを見れば分かる。既に子供が発する様なオーラではない。そして更に化け物の様な仲間を多数連れて来た。いいハンターは仲間にも恵まれる。お前と同じだな。
さぁ、始めよう。ありったけをぶつける。
それが今まで生かされてきた、オレの生きる意味だからな。
【悲報】カーム氏、参戦を決意!
※尚、本人は自重するなどと供述している模様。
Q 何でモラウさんとノヴさん出なかったん?
A 彼らは会長のお目付け役であり、ガチバトル要員という契約ではないからです。というか、バトルの邪魔したら怒られる。あと、ゲームとは言え、極力能力は開示したくないというのもあります。
Q カーム氏、弟子の育成は?
A 本人がヤりたくなっちゃったからね。仕方ないね。
Q ゴレイヌ=サン……
A そもそもバッテラ氏が募集かけてないから……。ファンの方、誠にごめんなさい。