アンブレイカブルハンター【完結】   作:エアロダイナミクス

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116、鬼ごっこ

 

 

 

 

 

 

「いや〜お主! 中々楽しかったぞい。いい見せもんじゃった」

 

「そうでしょう? アシモフさんもご協力ありがとうございました。で、約束はいつになさいますか?」

 

「あーそれがな…ヤりたいのは山々じゃが、ワシもそろそろタイムアップじゃ。次の機会にとっておこうかの」

 

「そうですか。またいつでも言ってくださいね」

 

「……それと、コレはお主にしか言わんからちょっとこっち来い」

 

 

 ん? 何だ? 内緒話かな。大人しく離れた場所についていく。

 

 

 

「実はな…まだ影も尻尾も捕まえとらんが、不穏な動きをしている輩がおる。今、本腰を入れて調査しとる段階じゃ。しばらく、というかもうここには来ん……場合によってはお主に連絡することもあるじゃろうがな」

 

「不穏な、動き?」

 

「左様。世界各国がどうもキナ臭い。組織から個人に至るまでな。ワシら協会も色々探っとるが、尻尾をつかません。じゃが、いずれ何かしらがおきるじゃろう。お主の予言も含めてな」

 

「……そうですか…まぁ、覚悟はしていましたよ。何かあったら私に連絡ください。確実に、潰しますから」

 

「頼もしいのぅ。なるべくワシらで解決したいが、万が一の時は頼んだぞ」

 

 

 

 そう言って、会長はお目付け役を引き連れて去っていった。しかし、一体何が起こっているというのだろうか。考えられるのはまずヒソカだが……これが終わったらこちらも本腰を入れて探してみよう。

 さて、これからの事だな。

 

 

 

「おめでとう。みんな。クラピカもリベロもありがとう。ツェズゲラさん達も。報酬は彼らが払うからよろしく頼む」

 

「旦那、こちらこそ貴重なモンを見せてもらいましたよ。オレっちも、もうちょい鍛えときますよ」

 

「そうだな。我々も自分を見つめるいい経験になった」

 

「私もだ。いい修行になった。あんな能力者がいるとはな。まだまだ私も伸びる余地がありそうだ」

 

 

 それぞれが感じる所があったのだろう。口々に感想を述べ、ゴン達と報酬の打ち合わせをして去っていった。まぁ、不満を持つ人が出なくて良かった。ツェズゲラ組もそこはプロ、という事か。

 クラピカ組も、ゴン達に引き留められたが、仕事があるとこれまたすぐに去っていった。リベロはもう少し遊びたかった様だが、クラピカに引き摺られていった。

 

 

 

「…みんな行っちゃったね」

 

「あぁ。あっさりとしたもんだぜ」

 

「でも、楽しかったね!」

 

「…オメーだけだよ。その感想は。マジでヤバかったんだからな」

 

「僕はあんまり活躍出来なかった…」

 

「気にすんな、カルト。大体あんだけできりゃ充分だろ。それに、すぐにでも活躍する機会がくるからな」

 

「それだが、このカードと前のを手に入れた時点でもう君達はクリアに王手をかけている。だが、最後の詰めが待っている。これが君達にとっての最後の難関だろう。決して油断せずに当たるようにしてくれ」

 

「カーム。それってもしかして──」

 

「『爆弾魔(ボマー)』、か」

 

「さて、それは分からないが。だが、いずれにせよ、クリアを目指すならトップ組との直接対決は避けられん。しっかり案を練って事にあたる事だ」

 

 

 

 そう言えば連絡来ないな。直接会話してない私達はともかく、ゴン達にぐらいはあっても良さげだが。()()()()()()()()()()()()()()。気づいていると悟らせないように注意するのも一苦労だ。

 敵からすれば、今この瞬間こそが最大の好機であると私は思うのだが。バトルを経て消耗した今この瞬間こそが。私を警戒しているのかな? 以前会長に遭遇したのが影響しているかもしれないな。

 奴等は我々こそがオリジナルを持っていると思っているだろう。それは奴等からすれば当然の思考! 【贋作(フェイク)】がある以上、リスクを犯して弟子を狙うメリットは薄い。しかも今は私達が一緒にいる。思った以上に慎重な奴等だ。

 ならば我々は離れた方がいいな。そうすれば奴等はまずゴンたちを狙うだろう。よし。方針は定まった。

 

 

「では、とりあえず移動しようか。ちょっと用事があるからマサドラまでいいかな?」

 

「OK。魔法カード買うのか?」

 

「その通り」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「! ゲン、奴等動いたぞ! アレは…マサドラの方角だ」

 

「ほっといていいのか!? 今がチャンスだったろ!!」

 

「……あのカームとか言う奴、気付いている気がする。()()()()

 

「は!? この距離だぜ? 何かそんなそぶりでもあったか?」

 

「いや、無い。オレの勘だ。考えすぎかもしれんが、奴は危険かもしれん」

 

「勘かよ! 別に大丈夫だろ? オーラも大したこと無さそうだぜ?」

 

「ならば、奴は何故消耗してないんだ? ガキどもはそれなりにボロボロだが、奴はその様子はまるでないぞ。S Sランクのイベントでバトル有りならそれなりに消耗してる筈。それが無いという事はかなりの実力者の可能性がある」

 

「それは…」

 

「焦るな。急いては事を仕損ずる。確実にやるならまずガキからだ。奴等は元々別行動だ。今回は共同で行動していたが、しばらくしたら別れる時が来るだろう。それまで監視を怠らない様にしよう。チャンスは必ずくる…ガキのが【贋作(フェイク)】や【複製(クローン)】ならば、ガキの後で狙えばいい。とりあえず、オレ達もマサドラに向かうぞ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「とりあえず、君達とはこれで別れる。まずは、怪我を癒す事だ。時間は待ってくれないからな。早めに準備を整えとけ。ではな」

 

 

 

 

 

「……行っちゃったね。って、どうしたの、キルア?」

 

「……いや…そうだな。気のせいかもしれないが、カームの言い方はあまりにも不自然だった。まるで()()()()()()()()()()()()()()()みたいに」

 

「…つけ加えれば、彼は『爆弾魔(ボマー)』の警告をしてた。つまり──」

 

「奴等がすぐにでも来るって事か!? 今はマズいぞ! ゴンは限界までオーラ使ってるし、キルアはまだ完治まで程遠い! とてもバトルできるコンディションじゃねー!」

 

「シッ! もしかしたらすぐ近くにいるかもしれない。だからマサドラに来たのか…」

 

「【念視(サイトビジョン)】オン! ゲンスルー」

 

「バッ! お前、何やってんだよ!!」

 

「これから闘わなくちゃいけない相手の情報を知らないのは致命的だよ。どうせ敵対せざるを得ないなら、先に仕掛けた方がいい……うん。オレ達のが移動系スペルは多いね。さっき買ったのと併せてカームが持ってる分全てくれたから。でも、僅かな時間稼ぎしかできないね」

 

「……ッ! 確かにそうか。とりあえず今はコンディション的に来たら逃げるしかねーな。レオリオもかなりオーラ使ってるだろ? だとしたらまともに闘えるのはカルトだけで、相手は3人だからな。おまけに未知の能力者で格上ときた。出来れば万全で挑みたい。1日2日あれば違うんだけどな」

 

「……それなんだけど…」

 

 

 ボンッ!!

 

 

『他プレイヤーがあなたに【交信(コンタクト)】を使用しました』

 

 

 

「!!」

 

 

 

『……久しぶりだな。誰だか分かるか?』

 

「ゲンスルー!!!」

 

『ククク…嬉しいね。覚えていてくれたか。さて、無事にカードをゲット出来たようだな。おめでとう、と言っておこうか』

 

「…何の用だ。交換(トレード)なら受け付けないぞ」

 

『まぁまぁ、そう警戒するなよ。いい話がある。オレ達と共同でクリアしないか? 丁度お前達とオレ達のカードを合わせれば99種だ。報酬は山分け。勿論クリア特典もだ』

 

「…その提案でお前達やオレ達に何のメリットが?」

 

『嫌だなぁ。疑ってるのか? なーに、心配いらない。オレ達はただクリアしたいだけなんだ。お前達には一切手を出さない、と誓おう!』

 

「そんな口約束だけじゃ到底信じられない。話すだけ時間の無駄だ」

 

『そうか……じゃ、死ぬか?』

 

「! やっぱり…」

 

『お前らのせいで条件変更だな。生命の安全は保障する。そのかわり【一坪の密林】と【一坪の海岸線】をよこせ』

 

「……ふざけるなっ!」

 

『ククク…声がおかしいぞ。対決でダメージを受けたか? ま……ガチンコバトルでオレ達とどれぐらい闘えるか試してみるのも面白いかもな。取引に応じるなら10分後に1人でマサドラの入り口まで来い。いるんだろ? マサドラにな。来なければこちらからいくぜ。ではな』

 

 

 

 

 

 

 

「……切れたか。10分か。完全にこちらをなめ腐ってやがる」

 

「連中はぎりぎりまでショップで張る気だろうな。わずかな差もこれで埋まる。こうなったら手遅れだ。どうにか時間は稼げないものか……」

 

「……」

 

「ゴン、難しい顔して黙ってどうした? キレてんのか?」

 

「ん? いや…そうじゃなくて、()()が使えないかなぁって思って」

 

「珍しいな、ゴンがあいつらにキレてないって。しかし、アレって…何だ?」

 

「…オレ、そんなにキレやすいように見えるかな? アレっていうのはこの前のアレだよ。もしかしたら、一方的なセーフティーゾーンになる可能性が…ないかな?」

 

「……ッ!! そうか! その手があったか! でも、それはもしかしたらの話だろ? ミスったら悲惨だぜ?」

 

「結構高い確率でOKだと思うけど、何も試してない状態じゃギャンブルだよね…だから、ある程度攪乱する必要があるかなって」

 

「そうだな。どうせなら攻めの姿勢でいった方が余裕が出るかもな。オレはやる価値あると思うぜ?」

 

「じゃあ早速やろう。まず、これと───」

 

 

 

 

 

「……なぁ、アイツら何の話してんの?」

 

「えっ、まさか……分からない?」

 

「いや! そうじゃなくてな? 指示語が多すぎてちょっと分かりづらいかな~って……」

 

「ハァ……しょうがない大人。見た目はでかくて中身は子供」

 

「ため息やめろや! 大体オメーみたいなチビに言われたかねーわ!」

 

「内容を分からなくてもいい。説明する時間が惜しい。とにかく、作戦は兄さんが考えるとして、貴方も貴重な戦力なんだからちょっとは自分で考えて? 僕はどちらにせよやることがあるからそれに集中する。なんとしても兄さんは守護らなくちゃ。ついでに貴方たちも」

 

「オレたちゃついでか! まぁいい。そうだな。オレに出来るのはひたすらメンバーをベストコンディションで送り出すことだ。オレはオレのやることをするか」

 

「その通り。ようやく気付いた。でも今は貴方はやることないけどね。もう残りオーラないし」

 

「……水差すなよな。全く…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「約束通り1人で来たか。ゴン。感心、感心。じゃあ早速こっちに来てカード出せ」

 

「その前に聞きたい。ゲンスルー。お前達が『爆弾魔(ボマー)』なの?」

 

「それを聞いてどうする? オレ達が答えると思うのか? 思い上がるなよ、ガキ」

 

「いや…それで納得いった。やっぱりお前達とは闘わなきゃならない」

 

 

 ズズ…

 

 

「ほう。やる気か。いいぜ?」

 

 

 あくまで強気のゴンに対して、ゲンスルーは怒りをオーラの形で表現する。彼の身体から吹き出す量は、中堅ハンターを遙かに凌駕し、一流の域に至っている。その様子をまじまじと観察するゴン。彼のオーラは現在弱々しい。むしろ、維持するので精一杯だ。本来であれば、彼のオーラもゲンスルーと比肩する程度はある。しかし、レイザーとの闘いにより、非常に弱まっている。よって、ゲンスルーは与し易し、と踏んだ。 

 

 

「いや。()()オレじゃお前達には絶対に勝てない。だから───」

 

「だから、何だ?」

 

「こうする」

 

 

 ザザザ

 

 

「!?」

 

 

「「【徴収(レヴィ)】オン!!」」

 

 

 

「なっ…しまっ…!!」

 

 

 

「「「「【再来(リターン)】オン!! ソウフラビ!!!」」」」

 

 

 

 バシュッ!!

 

 

 

「くそったれが!!! 《絶》で隠れてやがった!!! ぶっ殺してやる!!! 後を追うぞ!」

 

「待て! まずカードの確認が先だ!!」

 

「…№85『身代わり鎧』と№53『キングホワイトオオクワガタ』、どっちもダブりだ」

 

「やられた…!! 奴等に足りない№85『浮遊石』と№65『魔女の若返り薬』だ!!」

 

「チッ…オレもか! №42『超一流作家の卵』と№29『強制予約券』…!!」

 

「クソッ! 指定ポケットのカードばかり…!! 奴等リスキーダイス使ったな!? 【堅牢(プリズン)】で守っている独占カードは大丈夫だったが、奴等に足りないカードを4種類も持って行かれた…!!」

 

「今すぐ【同行(アカンパニー)】で追っかけてぶっ殺そう! 早く!!」

 

「そんなに死にたいか……!! いいだろう。望み通りブチ殺してやる!! こっちの方が移動スペルは多いんだ。逃げられると思うなよ!!! 【同行(アカンパニー)】オン!! ゴン!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うまくいったな! アイツらの呆然とした顔は傑作だったな!!」

 

「あの様子じゃすぐに来そうだね。打ち合わせ通りやろう…来た!!」

 

 

 

 キィィィィン…バシュッ

 

 

 

「【同行(アカンパニー)】オン!! マサドラ!!!」

 

 

 バシュッ!

 

 

「……こちらの勝ちが決まった鬼ごっこだ。いつまでやるかな?」

 

 

 

 バシュッ!

 

 

 

 

 バシュッ!

 

 

 

 

 

 バシュッ!

 

 

 

 

 …………

 

 

 

 

「オレはもう無い! カルト!!」

 

「了解!」

 

 

 

 バシュッ!

 

 

 

 バシュッ!

 

 

 

 …………

 

 

 

 

「……来ないな。諦めたか?」

 

「いや、緩急をつけて動揺させるつもりだろうな。またはちょっと冷静になったか。どっちにしろ諦めてないだろ。ホントに嫌な奴等だぜ」

 

「よし! チャンスだよ!! 例のアレ、試そう!! キルア、お願い」

 

「そうだな! 行くか!! 【同行(アカンパニー)】オン! ()()()()()()へ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……そろそろ行くか。奴等は…まだいるな。【離脱(リーブ)】使われたら厄介だったが、その場合は10日間シソの木で張ってりゃいいもんな」

 

「枚数的にそろそろ打ち止めだ。大詰めだな。よし、行くか。【同行(アカンパニー)】オン! ゴン!!」

 

 

 

 

 

 ドヒューーン…

 

 

 

 バシュッ

 

 

 

 

「……いない!!? なぜだ!?」

 

「ここは…エルディアナ大森林!!! なぜこんな所に……!!!!」

 

「【離脱(リーブ)】でもねェ! どこ行きやがった!!」

 

「……クソッ!! そういうことか…!!」

 

「な…どういうことだ? ゲンスルー」

 

「恐らくだが、これはカードの効果!! 未知のカードだ。そして()()は……」

 

「…『一坪の密林』か!! バカな! そんな貴重カードを使うなんて……!!」

 

「恐らく【複製(クローン)】だろう。少なくともオレ達じゃどうしようもない」

 

「…クソガキどもが~!! 絶っ対に許さんからな!!!! 覚えとけよ!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ひゅ〜危なかったな。だが、上手くいって何よりだぜ…!」

 

「やっぱりオメーはスゲーよな。あの短期間で思い付くか、フツー」

 

「へへ。なんとなく思い出したからね。でも、無事に成功してよかった。最悪【離脱(リーブ)】だったからね」

 

「ホントにな。結局それだと戻れなければカード消えちまうし、戻ったとしてもスタート地点で待ち伏せされるからな…。ま、とりあえず休もうぜ。もうクタクタだ」

 

「アイツらまだこの辺ウロウロしてるね。会話からするとこのカラクリに気付いたみたい」

 

「カルトの()()、便利だよな。ま、アイツらカラクリに気付いてもどうしようもねーからな。奴等にこのイベント突破は無理だろ。むしろフラグを立てられねーだろうし」

 

「そしたら、アイツらどうするかな…カームのトコ、行くかな?」

 

「そうなったらそうなったでアイツらは終わりだ。カームなら何らかの手段でこっちにヘイト戻してきそうだけどな。カームの心配ならするだけ無駄だぜ?」

 

「まあそうなんだけどね。とりあえず休んで回復しよう。キルアはしばらく怪我の治療に専念だね。出来れば対策も練っておきたいよね」

 

「そうだな。どっちみち対決しなきゃならないからな。でも、近くで見た奴等の実力の程度なら総合的に考えてこっちが同等かやや上…能力の想定をして、奴等がオレ達を格下に見てる内に確実に勝てる方法を考えるか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふふ……どうやら上手くやってるようだな」

 

「あのさ……カーム、()()、何?」

 

「うん? 《円》だが?」

 

「《円》だが? じゃないわさ! なんちゅー範囲の《円》よ! しかもそれを《隠》で隠すとか意味わからんわ!!! …はぁ~。ちょっと強くなったと思ったけど、自信なくすわー」

 

「イヤ、まぁ…訓練すれば出来るようになるさ」

 

「出来るか!! 全く……いつになったら追いつけるのかしらね」

 

「大丈夫さ。私も元は普通の人間だったんだからな。それより、奴等が腹いせにこっちに来そうだな。お迎えの準備でもしておくか」

 

「アイツらも災難なことね……ま、自業自得、か」

 

「そういうことだな」

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