アンブレイカブルハンター【完結】   作:エアロダイナミクス

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127、ブリオン

 

 

 

 

 

「着いたわね。んじゃ、検問通るわよ」

 

「確か…天然素材以外の人工物の持ち込みは禁止なんだよな? スゲー面倒臭いけど」

 

「その為に会長は私をつけたのですよ。こちらへどうぞ」

 

 

 ノヴが【四次元マンション(ハイドアンドシーク)】を発動する。すると、地面に穴が開いた。そこにそれぞれが物品を放り込んでゆく。銀の武器、パイプ、指輪などだ。

 

 

 

「あぁ、アタシの指輪ちゃん…! ちょっとだけお別れね…必ず迎えに行くからね!」

 

「……すぐに取り戻すから…」

 

「分かったからサッサと入れろよな。今生の別れじゃねーんだからよ」

 

「キルア、2人にとっては大事な物なんだから大目に見てあげようよ」

 

「ははっ! ボウズは女心が分かってんじゃねーか。将来有望だなァ」

 

 

 

 

 

「ジンさんに依頼されたから来たが、何なんだこのメンバー…」

 

 

 

 カイトがそのメンバーの濃さに思わずボヤく。彼はたまたま調査を終えてヨークシン近郊にいた。その為、無事に直ぐ彼らと合流する事が出来た。そして討伐隊と会ってみてその中にゴンを見つけたが、その成長ぶりに驚愕すると共に、これから一緒に闘う事になる人員の凄まじい存在感に驚きを隠せなかった。それも無理のない事だ。大人3人は何となく分かる。全員恐ろしい程の実力者だ。特にビスケット=クルーガー。見た目は若く美しい女性だが、その発する威圧感は圧倒的な格上のものだ。

 しかし、残る3人は子供である。だが、その実力は…大人3人に負けず劣らずの力を持っている様に見受けられる。銀髪の男の子、キルアも、着物姿のカルトも、下手したら自分といい勝負をするのではないだろうか。

 更にジンの息子であるゴンなどは、昔会ったきりの久しぶりの再会だったが、もうどう見ても12歳には見えない。子供の成長は早いなー、とカイトは思考を放棄するしかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はー面倒くさ!」

 

「まぁ仕方あるまい。ここも余りいい噂は聞かないからな。とりあえずさっさと向かうか」

 

「で、どこに向かうんだ? 闇雲に向かっても分からないぜ? 監視もいるしな」

 

「そうね…とりあえず片っ端から人の住む村をまわってくしかないわさ。買った地図見ながらね。カームの話から考えればあまり猶予はない。急ぐわよ」

 

「キメラアントか……もしその話が本当ならば特大の生物災害だな…」

 

 

 

 討伐隊のメンバーは、全員足にオーラを集めてダッシュを始めた。監視役件案内役を振り切るスピードで。全員が全員特級の能力者故、そのスピードは下手な車を超える。あっと言う間に彼らは地平線の彼方に消えていった。

 

 

 ──監視役に付いてきた職員は呆然としながらもその姿を見送るしかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 参ったな。仕方なかったとは言え、あんな崇められ方をするとは。私は()()()()()()()()()というのに。とりあえず神じゃないと否定はしておいたが、あんまり分かってなさそうだった。あまり注目されるのは良くない。だが、あの時は仕方なかった。……できれば次は、なるべく早く解決せねばならない。

 しかし、ヘルベルであの被害状況ならブリオンも覚悟しておいた方がいいな。急がねば。あの迷宮都市の悪夢が再び繰り返されている事だろう。しかも今度の被害者は無辜の一般人だ。次こそは必ず救わねば。

 ……一体誰が真の黒幕なのか。しかし理由がどうあれ黒幕は全員絶対に許さない。必ず滅ぼしてやる。パリストンは間違いないとしても、ヒソカも関わっているだろう。奴に関しては私の不始末だ。責任は取らねばなるまい。後は誰が関わっているのだろう。まぁいい。会長がその辺はキッチリとやってくれるだろう。もし見つけられなくても、それならそれでいい。この始末をつけて戻ったら必ずパリストンに聞いてやる。その身体に直接だ。なるべくならやりたくなかったが、ここまでやるなら話は別だ。覚悟しておくがいい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヘルベル、完全に沈黙!! 詳細は分からないけど、少なくとも被害が止まった…!」

 

 

 十二支んの1人、酉担当のクルックが叫ぶ。それを聞いた解析班・急行班のメンバーは、驚愕しながらモニターに集まった。急行班は解析班との打ち合わせを終え、今まさに出立しようとした所であった。

 

 

「バカ言え! 今さっきまで被害が大拡大してる最中だっただろ!! どうなってんだ!」

 

 

 寅担当、カンザイも思わず叫ぶ。それほど衝撃的なニュースだった。

 

 

「続報も続々と来てる…イマイチ具体的に分かんないけど、まとめると、どうやら上空から謎の生命体が現れて、ヘルベルを滅ぼしたようね」

 

「なんか〜〜現地のハンターが軒並み『神の遣い』が降臨した〜ッて言ってるんだよね〜〜〜」

 

「しかも、その後感染者、負傷者が〝全て〟完治したって……疑わざるを得ないわ→信憑性」

 

「もしかして…コレが会長の〝ツテ〟?」

 

「……だとしたら、相当な『力』…! 会長が超極秘扱いするのも頷ける…」

 

「まぁ、オレ達も準備完了して死ぬ覚悟で行く直前だったからな。助かったぜ。んで、その謎の生命体って奴はブリオンの方に行ったのか?」

 

「その後の消息は分からないけど、どうやらそうみたいね。我々がやるべき事は、()()が着くまで現地ハンターに被害を抑えてもらう為の指示出しってトコかしら」

 

「後は、捜査班の奴らの犯人探し次第だな。……(ジン)(パリストン)は?」

 

バカ(ジン)はあっちこっちフラフラしてる。今は捜査班かな? 副会長サマは会長と一緒に国との渉外や交渉中よ」

 

 

 辛辣なセリフを吐く巳担当のゲル。言外に会長に特別扱いされている2人への嫉妬も混じっている。

 

 

「早くテロリストを見つけないとね。これでもまだ2体しか出てないんだから」

 

「本当に頭が痛くなるわ。一体どこのバカがやらかしたのやら……」

 

「捜査班に期待するしかないね。我々はとにかく資料をあさって対処法をすぐにでも伝えとかないと」

 

 

 解析・急行班は再び仕事を開始する。願わくば、謎の会長の()()が被害を食い止めてくれることを祈りながら…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で? 出たか?」

 

「馬鹿野郎! そんな簡単に出るわけねーだろ! 大体何しに来やがった」

 

 

 ジンが捜査班に向かって尋ねるが、彼らも一向に進まない捜査に苛立っていた。

 

 

「どこの監視カメラにも映ってない…入庁記録を見ても何も無い。あそこは厳重なチェック体制を敷いているから蟻1匹通さない仕組みになっている。それは念能力者も例外じゃない。よって、国際環境許可庁に潜入して厄災を持ち出し、しかも証拠も残さないなんて普通は不可能だ」

 

 

 午担当のサッチョウが答える。その顔は暗い。他のミザイストムやボトバイなども同じ表情だ。彼らは一丸となって犯人捜索及び、今後の動きの予想を行っていた。しかし、お悩みハンター、クライムハンター、テロリストハンター、ブラックリストハンターの力を持ってしても、犯人の決定的な姿が中々見えてこない。

 

 

「もどかしいな……だが、今後のテロリストの動きは何となく読めたぞ」

 

「ほう。(ボトバイ)、言ってみろよ」

 

「なんでテメーはいちいち偉そうなんだよ。ジン」

 

「……まぁいい。敵はいきなり厄災を都市に放り込んだ。テロにありがちなメッセージもなくだ。その目的は世界各地に混乱を巻き起こす事だと考える。今回はオチマとベゲロセだ。次に起こるのは高確率でミンボかアイジエン大陸のどこか、とみた」

 

「その心は?」

 

()()()()()()()()()()だ。まず、知っての通り、厄災が盗まれた国際環境許可庁はヨルビアン大陸にある。これは厄災が漏れた時に、我々ハンターが即座に対応出来るように協会本部のある大陸に建てられたからだ。普通のテロリストであれば、わざわざ盗んだブツに海を渡らせるなどというリスクは犯さない。しかも中身は厄災だからな……だが、この犯人はやりおった。しかも首都ではなく、狙ったのは衛星都市だ。ここに何かしらの意図がある。……我々の結論としては、()()()()()()()()()()()()()()()()()()、コレを遠い地域で放出したということだ。であれば、次に起こるのは同じように我々が対応し辛い国であろう……更に言えば、ジンの言ったとおり、()()()()()()()()()()()()と言う説が濃厚になっておる」

 

「おーおーさすが専門家。そこまで分かってんならもう()()()も読めてんだろ?」

 

「……そうだな。考えたくはないが」

 

「あ? ボトバイ、そっから先もあんのか?」

 

 

 いまいち分かっていないサイユウと、言いよどむボトバイにミザイストムが助太刀する。

 

 

「あぁ。犯罪心理学から考えなくても分かることだ。ボトバイの言ったとおりの理由で、恐らく敵は我々の考えを読んでいる。これは内通者のせいだとしよう。それで、次に敵の取る手は何だと思う?」

 

「ん~…何だ?」

 

「次の手、というか、敵の真の狙い、だな。サル、ちったぁ考えろや」

 

「うるせーよ!! ……チッ。わかんねぇ。ボトバイ、どういう事だ?」

 

「……敵の真の狙いは()()()()()()()()()()だ。恐らく、だが。世界の混乱を純粋に狙うなら首都を狙った方が効果的だ。だがそうじゃないという事は、別の狙いがある。奇しくも普段バラバラな我々が全員集まって指示系統が集中しておる。敵からすればこの状況を作る為にやっておる様に感じられる。動機は分からん。しかし、状況を考えると、そうとしか思えん。よって、()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「…は? マジで…?」

 

「マジだ。今、解析班に確認したが、ヘルベルが活動を止めた。恐らくジジイのツテが機能している。それがジジイの持つツテ…厄災すら止め得る最高の戦力だろうな。で、それが今、オレ達から引き離されて大陸の向こうにいる。コレがどういう事かっていう話だな」

 

「「「!?」」」

 

「それは本当か!?」

 

「あぁ。間違いねェ。今仕入れた情報だからな」

 

「そ、それはそれでビックリだが…そしたらオレ等もヤベーんじゃねーか!? ていうか、内通者がいんだろ? ソイツはどうすんだ?」

 

「逆に考えろ。ソレすら()()()()()()か、何とか出来そうな奴が犯人だと。そうすれば何となく見えてこねーか?」

 

 

「……まさか…お前…そんなバカな!」

 

「ま、裏付けも何もねー状況証拠だけだがな。だからこそサッサと証拠付きで解明したい訳だ…サッチョウ、その入庁記録はオリジナルか?」

 

「あぁ、そうだが」

 

「ならば、いけるかもしれん。ソイツを今すぐ除念師に見せてやれ」

 

「!? …まさか」

 

「オレの勘が正しければ、それで出て来るぞ。今回の黒幕の決定的な証拠がな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──都市及び本体の場所、不明。都市の侵入者の所在、不明。周囲の素体数、1。()()()()()()()()作動──

 

 

 

 

 

 

 

 きっかけは、ヘルベルが滅びた時から20時間前に遡る。そこはベゲロゼ連合国、プールリバー。50万人規模の中規模都市である。そこの中央区に位置する場所のマンホールから、1人の奇妙な男が現れた。それだけならば工事中の作業員かふざけた大学生か、はたまたホームレスかといった所だ。しかしその男はパンツ一枚であった。それだけならばやはりふざけた大学生だったで済むが、彼が奇妙なのは、その頭部が()()()()()で覆われていたことであった。

 

 始めは誰も見ないふりをして通り過ぎていった。しかし、誰かが通報したらしい。警察官が駆けつけ、その彼に職務質問をしようとした、その時

 

 

 ()()()の腹部がぱっくりと割れ、そこから触手が伸びて取り囲んだ警察官を襲った。身体の各部位を触手に貫かれた警察官は、たちまち身体に異変が起き始めた。全身が痙攣したかと思ったら、その内頭部が変化し始め、最初の男と同じ様な緑色の球体に変化してしまったのだ。

 

 

 

 あまりにも非現実的なその光景に、道ゆく人々は何かの撮影か、ショーかと勘違いし、逃げる事もせずにその光景を携帯で撮影する者もいた。しかし、警察官が全員変化してしまった後、彼らはその動けない人々に襲いかかった。

 

 

 

 パンデミックの始まりである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「未確認生物が市民を襲ってる! 今すぐ応援を!!」

 

「な、なんだアレは…バケモノだ!!」

 

「ギャアアアアアア!!」

 

 

 

 必死に対抗しようとする警察官達だったが、銃などはまるで効果が無かった。撃った端から修復していき、その反撃により次々と侵食されていった。また、ソイツの出現場所も良くなかった。よりによって、ソイツは人口が集中するアーケード街に現れた。よって、最初の侵食から僅かな時間で大量の人が犠牲になり、そしてそれはそのままソイツの戦力となった。

 警察の必死の抵抗も虚しく、なす術なく侵食され続ける人々。やがて、その化け物はグループを作り出し、別々の地域に別れて活動を始めた。

 その目的は一つ。都市に侵入したであろう生物の捜索及び抹殺、である。その為、ソイツは近くに存在する同種の生物を手当たり次第に攻撃し、侵食する。そうすれば、いずれターゲットに辿り着くだろう。ソイツは独自のネットワークを活用してプールリバー全域に広がりつつあった。

 

 

 

 ソイツの名はブリオン。五大厄災の1つの植物兵器である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「クソッ!! 不味いぞ! 想像以上に敵が強い!! 避難が間に合わねェ」

 

「奴等に触れるなよ! 触れたら侵食されて仲間入りだぞ!!」

 

「ガアアアァ…!!」

 

「……遅かったか! 退避しろ!! 元能力者の個体は更に厄介になるぞ!!」

 

 

 

 ベゲロセ在住のハンター達は、会長の指令と十二支んの対応策を確認後、現場で必死の封じ込めを行っていた。しかし、それは溢れ出すプールの水を手で食い止めようとする行為に等しい。数十のグループで活動する奴等は、等しく強力な身体能力を持ち、更に身体を変形させながら奇想天外な攻撃をしてくる。一度身体に入られれば恐ろしい速さで侵食を受け、奴等の仲間になってしまう。軍も出動し、感染個体の排除にかかるが、その時には既に拮抗するか、数で押し負けてしまっていた。しかし、ただ軍やハンターもやられ続けた訳ではない。偶然ロケットランチャーがブリオンの頭部に命中し、一時的にその個体は活動を停止したのだ。それを発見してからは少し状況は改善した。

 しかし、既にブリオンは大量に増殖しており、焼け石に水の状態であった。

 ベゲロセの首相はこの事態を受けて、緊急閣僚会議を開催。超法規的措置により戦術核の使用を決定した。そして、国家の象徴とも言える女王陛下に決断を委ねた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……何とかなりませんか?」

 

「陛下……残念ですが、最早そういう段階を超えてしまいました。一刻も早く使わねば、更に被害が拡大し、近隣の都市、いや、ベゲロセ連合全体にまで厄災が広がってしまいます。ご決断を」

 

 

 女王は深いため息を()き、深く椅子に座り直した。そしてしばし瞑目し、やがてその状態のまま話しはじめる。

 

 

「……まさか、愛すべき臣民に対して核兵器を使用しなければならない時が来ようとは思いもしませんでした。私は後の世で自国民を無差別に殺戮した愚かな女王と罵られるのでしょうね」

 

「それは……しかし、それは間違いなく陛下の責ではありません! 憎むべきは厄災をテロに使用した犯人です!!」

 

「同じ事です。それを防げなかった我々の責任でもあります……そもそも人類を滅ぼしかねない程の厄災を持ち帰ってしまった事、それこそが間違いだったのです」

 

「……しかし」

 

「貴方の気持ちは分かります。ですが、やらなければなりません。責任は取らねばならない。多くの人から恨まれようと、後の世で無能、暗愚と謗られようと、臣民の安全を守る立場としてやらねばならない。それが我々の務めでもあるのです……戦術核の使用を許可します」

 

 

 女王陛下の言葉を受け、首相は自らを恥じた。国家の象徴たる人物に、その様なあまりにも重い十字架を背負わせようとしてしまった事に。だが、女王は決断した。後の世に暗愚と謗られようとも。この覚悟こそが一国の長たる者の責務。首相は自らも泥を被って退陣し、女王のみに責任を負わせない事を決意した。

 

 

「陛下のお気持ち、承りました。ありがとうございます。我々も覚悟を決めました」

 

「なるべく……早く使いなさい。手遅れになる前に」

 

「仰せのままに……ユア・マジェスティ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アレは……! まさか戦術核を搭載したミサイルか!? 不味いッ!! 遅かった…!! だが、まだ炸裂してない!! 早く追いついて対処せねば!!

 

 

 

 くっ! 速い…!! 間に合うか!? いや、間に合わせなければ!!!

 

 

  ……よし、並んだ!! 部品がパージし始めた! 爆心地が近いのか!!! マズい、もう爆発する! ……仕方ない、出来るかどうか分からんが、ここで防ぐ! もう時間が無い。やってみるしかない!!

 

 

 

 

 〝聖光気〟のオーラをミサイルに纏わせ……硬質化!!! そして私自身も小型化した核弾頭に密着する! どれほどの威力か読めないが、細胞一片になっても抵抗してやる!! さぁ、来い!!!

 

 

 

 

 カッ!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「目標、プールリバー中心地に接近中! 後1分で着弾です!!」

 

「……済まない。市民達よ…我らを許してくれ……」

 

「……!! 少々お待ちを…何だこれは…! 北東から謎の高速飛行物体確認! ミサイルに接近しています!!」

 

「な…どういう事だ!? 他国のミサイルか!?」

 

「分かりません…ただ、大きさは人間サイズ、ミサイルではないようです! あっ、方向を変えて並んだ…!!」

 

「何が…一体何が起こっているのだ……!」

 

「着弾まで後10秒、9、8、7…飛行物体が重なった! 4、3、2、1、0!!!」

 

 

 

 

 

 

「…………どうなった? 目視では一瞬明るくなったが…」

 

「……()()()()()()()。不発ではない。間違いありません。しかし、未だ目標は健在。何が何やら分かりません……」

 

「急ぎ、退避していた軍に確認を取らせろ! 場合によっては追加を撃たねばならん!」

 

「サー、イエス、サー!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ブリオンを押しとどめる為に核兵器が使用されると聞いて、()()()()残ったハンターや兵士達は、飛んで来るミサイルを目視して安堵した。ようやく、ようやく報われる、と。退避命令は出ていたが、1人でも多くを救う為に残った。又、自分達が退避すれば、それに付いて来る個体を誰が押し留めると言うのか。そういった様々な想いから、死を覚悟しながらも残って絶望的な抵抗を続けていた。

 そして、ようやくそれが報われる時が来たのだ。神の怒りに等しいとも言える威力は、必ずやこの化け物共を跡形なく吹っ飛ばしてくれるだろう。…我々と共に。しかし、祖国を守れるので有れば上出来だ……そう、思っていた。

 

 

 

 そこに金色の光が後方からついて来て、ミサイルを覆った。何だ、アレは。

 そう思った瞬間、目も眩む様な閃光が起きた。全員滅びの光だと確信し、なるべくなら苦しまずに逝ける様に祈った。

 

 

 

 …………何故、()()()()

 

 

 

 滅びの熱も、風も何も無い。少なくとも今自分達は死んではいない。ブリオン共を見ると、奴等も、頭を一様に傾け、そちらの方向を見上げて停止していた。やがて、奴等はそちらに向かい始めた。そのミサイルの爆心地()()()()()場所へ。

 軍もハンターも、死を覚悟して生き延びた反動からか、皆その場にへたり込み、しばらく動けないでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……かなりのダメージがあった。ここまでダメージを受けるのは久しぶりだ。流石は人類の最強兵器だ。だが、抑え込んだぞ。放射線も全て飲み込んで取り込んだ。後はブリオンだ。私も奴等とは『同類』だ。何となく感じる。奴等が付近にいる事は。

 昔は出来なかった。しかし今ならできる筈だ。()()()()()()()()()()()()()()()()。早速やってみよう。

 

 

 

 ──全ての〝我々〟に告ぐ。直ちに現在の指令を破棄せよ。そして、我が元に集まれ──

 

 

 

 …………来た! 良かった。無事にプログラムの()()()に成功した様だ。しかし……チッ、なんて数……!! だが、これなら何とかなるかもしれない。〝奇跡〟をフル活用すれば…。上手く行くかは分からないが、やるしかない。行くぞ!! 〝聖光気〟!!! 全ての人々を覆え!

 

 

 頼む……成功してくれ! 全ての人々に癒しを!!!

 

 

 

 

 

 ……出来た……だが…身体は元に戻ったが、魂が戻らない……。ヘルベルの時もダメだったが、今回も魂は既に旅立ってしまっていた。あの渦の中に。一度旅立った魂は私でも戻せない。私の時もそうだったからこそ理解できる。彼らは既に行ってしまった……。

 クソッ!! 何て事だ! これだけの人々が犠牲になるなんて……!! 今、彼らは安らかに眠っている。せめて、人間らしい姿に戻せただけでも良かったか…。

 

 

 

 私の眼前には、巨大な緑の球体が浮かんでいる。コレがブリオンの元の姿だ。今、プログラムは書き換えてある。だが、コレをそのまま放置は出来ない。私は片手を上げ、その球体に〝消滅の雷〟を浴びせ、この世から消し去った。こんなものはこの世界には必要ない。

 

 

 ……さぁ、行こう。次は、キメラアントだ。

 

 

 

 

 ……ん? 何だ? 祈り!? これは……クラピカ! 一体どうした! …不味い! 生命反応が極僅かだ!! 先にこちらに向かわねば……!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ハンター達は見た。広範囲に広がる神々しいオーラを。ブリオンに侵食された全ての個体が集まり、それらがそのオーラを浴びて、緑色の頭部から緑が抜けて、元の姿に戻ってゆく…。今、彼らは奇跡を目撃していた。元に戻った彼らはその場に倒れ、安らかに眠っていた。その様子から見ると、もう既に生きてはいない様だが、元の姿に戻っただけでも〝奇跡〟だ。

 そして彼らは中心地に浮かぶ緑色の巨大な球体を見た。アレがブリオン…! では、今その目の前にいるのは何者だ…?

 すると、彼はその球体に右手をかざす。次の瞬間、その手から白い雷が迸り、球体はその姿を消滅させた。

 何が起きているか彼らには分からない。しかし、厄災が滅びたと言う事だけは理解できた。

 そして……中央にいる人物に話しかけようとした所、彼は忽然と姿を消した。まるで白昼夢の様な光景に呆然としながらも、この事態をどの様に報告するか頭を悩ませるハメになった。

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