──ゾルディック敷地内
ゾルディックに戻ってアイによって辛うじて傷を癒やしたイルミではあったが、彼のストックも枯渇し始めていた。だが、ここには執事達がいる。おねだりを支払う代わりなどいくらでもいる。問題は、今の現状で
「……もうえぇじゃろ、イルミ」
彼の祖父が姿を現す。そして、諭すようにイルミに言う。しかし、イルミは聞く耳を持たない。
「ジイちゃん……駄目だ。これはオレ達が飛躍するための大事な事なんだ」
「我等暗殺者は本来日陰に潜む者。禁忌の力を使おうとすれば、必ず痛いしっぺ返しが来る。お前がここに戻ってきたのも、そうなってしまったからじゃないのか?」
「……それでもだよ。コレは条件さえ揃えば
「……その大事な兄弟にそのような威力の針を埋め込んでまで、必要なのか?」
「そうさ……これは必要な犠牲。それに、アルカならもっと同等以上の強い力を発揮できるかもしれない。そのためには何だってやるさ。それでもおつりが来る」
「お前は〝力〟に使われておる。身に余る〝力〟は必ず滅びをもたらす…。じゃが、ワシらにお前を止めることもできん。好きにするとええ」
ゼノは溜め息をつき、傷ついたカルトを抱えてその場から去って行く。
「言われなくても分かってる。でも、もう遅いよ。それに、やるならとことんやらなきゃね」
イルミは、もはや偏執的な執念で動いていた。全てはゾルディックの為に。人類を破滅させる程の友人と協力関係を結び、アイの法則を理解した。そして、ついに無駄な犠牲を多数払うこと無く願いを叶えることが可能になった。
イルミはストック1人消費してアイにアルカをこの場に呼び寄せさせた。
◆
「???」
きょろきょろと辺りを見回すアルカ。しかし、近くに最愛の兄を見付けた彼女は、そのまま彼に飛びつく。だが、大好きな彼から反応が無い。不思議に感じて声を掛けると。彼は満面の笑みで彼女に願う。
「
彼女は戸惑う。そして、自分の中にいるナニカに問う。最愛の兄の願いとはいえ、そんな事ができるのか、と。しかし、ナニカは気付く。近くに同族がいることに。
他ならぬ兄の頼みだ。叶えてあげないといけない。ナニカはもう1人のアイにアクセスする。随分とやさぐれている。何があったのだろうか。だが、彼と協力してならいけるかもしれない。しかし、その願いは自らの力をはるかに超えたもの。そんな力を使えば、恐らく自分は
願わくば、自分の事をずっと覚えていてくれますように。
そして、時間を掛けながらも、ナニカは中からアルカに要請し、自らが意識の表層に出てくる。ナニカが目覚める。願いを叶える準備は整った。
それに合わせて、もう1人のアイも、その声を重ねる。
「……あい」「……アイ」
◆
「成功だ…! やはり、キルは流石だね! アルカとナニカの共依存を上手くコントロールして懐柔し、願いをノーリスクで叶えている! ポイントは
影から見ていたイルミはその目論見が成功したことに喜ぶ。しかし、その直後にアルカが目を覚まし、焦り出す。
ここに来て、彼は再び事態がマズいことになったと気付く。まさか、キャパオーバーで消滅してしまったのか。勿体ないことをした。しかし、願いは叶えられたことは喜ぶべき事だろう。恐ろしい程のエネルギーがキルアに充満している。これなら
そうこうしていると、アルカが兄の様子がおかしいことに気付く。彼が操られていたことに気付いたようだ。衝撃に気をとられて、操作が曖昧になってしまっていた。アルカは、深い悲しみの表情を湛えて兄を撫でる。再び反応を返さなくなってしまった兄に。
──もう
ゾルディック家最強の兄弟が誕生した。特に、今のキルは文句なしの当主候補だ。これで、ゴンが襲ってきてもキルが始末できる。そうすれば針を抜いてやろう。自分が殺してしまったと知ったのなら、もうキルは光には傾かない。再び闇の世界に身を浸すだろう。イルミは、こちらを殺さんばかりの目で見てくるアルカを気絶させ、アルカを送り届けるようにアイに願わせる。
しかし、反応は無い。
再びアイに要請するも、アイを憑けていた素体は困惑するばかりであり、何も起きない。そう言えば、おねだりも何もない。もう1人のアイすらも、
「お前は……本当に酷いことしかしないんだな。自分の大事な家族ですらも」
背後から首を掴まれる。馬鹿な! もう来たというのか!? コレは…転移、か?
「アイは
ギリギリギリと締まる首。次第にその力が強くなる。そして…
ブツッ!
と鈍い音を立ててイルミの首は千切れ飛んだ。キルアを操る暇も無かった。しかし、だ。このままでは終われない。イルミは最後に願う。キルアの針に
「ッはぁ~成功。よしよし。うまくいったね。なれないけど、これはこれでいいや。じゃあお前はここで死のうか」
「……どこまでも醜い奴め…その汚い針を抜いて、必ずキルアを返してもらうからな」
◇
──闇だ。一面の闇がオレを覆う。オレは、結局ゴンを助けられなかった。イルミにまんまとやられてしまった。いや、ヒソカ達も、それを言うならこのテロの首謀者達にも、だ。カームも勝てないだろう。もうそれはどうでもいい。オレは……負けた。
どうしてこうなった? いや、分かっている。オレが
あぁ、もう何もかもどうでも良い……オレは、結局家出しなければよかったんだ。こんな思いをするぐらいなら、我慢して仕事をこなしていた方がまだマシだった。だからもう……どうでもいい。
「……あい」
!? びっくりした! この声は…ナニカ、か?
「あい」
そうか……オレは、まんまと操られてお前を引っ張り出したのか。最低だな。オレって。
「あい!」
イルミのせいって? そうだけどさ、アイツに良いようにやられたオレが弱いのが悪いんだ。
「…………あい」
慰めてくれるのか? ありがとな。お前はやさしいな。でも、もういいんだ。それより、どうしたんだ? こんなとこで。
「…あい」
……ゴンが? 生きてる!? ウソだろ!!? ……え、それでイルミをボコったから奴は家に逃げてきたって? プフッ、ざまぁ!! 流石ゴンだ!! オレの……親友、
「あい!!」
え? それでオレを操って、好き勝手してるって? アイツ…本当にクソ野郎だな。で? 今どうなってんの? 何? イルミ死んだ!? やったぜ! アイツホントざまぁ!!! ……ん? なら、なんでオレは
「……あい…」
オレにアイツが乗り移って、ゴンと闘ってる!? ……ふざけんなよ、あのクソ野郎…! 死んでからも縛ろうとするとかマジで×××××だな!! クソッ、前みたいに針抜けば解決だろ! 早速出ないと!!! ……ここ、どうやって出るんだ?
「あい」
そうか! だからお前が迎えに来てくれたのか。ありがとな。本当にお前はオレの大事な兄弟だ。イルミのクソ野郎なんかとは全然違うな。もしコレが終わったら、お前をいろんな所に連れてってやるよ。一緒に行こうな。
「……あい♥」
よし、そうなったらいつまでもこんな所にいられねー! ナニカ。オレを連れてってくれ!
「あい」
──あ、ちょっとストップ! ……ところで、さ。
「あい?」
お前は、なんでここに?
「…………」
アルカはどうした? いつも一緒にいただろ?
「…………」
まさか…お前……
「…あい…」
アルカと
「…………」
できない!? なんで!! ……もう決めた事!? 待てよ……なぁ、ダメだって…! お前がいなくなったらオレは……馬鹿! 迷惑なんか思うもんか!! お前を迷惑に思う奴等がいるんなら、オレはお前を誰もいないところに連れてってやるから! アルカとお前とオレと、3人で幸せに暮らすんだ!! ……え? コレはオレが望んだから…? そんな事……オレは……
「…………あぃ」
…………そうか……
……ナニカ。図々しいんだけど、オレからお前に最後のお願いがある。オレはこれから自力でここから出る。そしてイルミの針も抜く。だから、
オレは……自分を、取り戻す。
「……あい!」
◇
その闘いは、ククルー山脈の形を物理的に削り、穴を開け、地形を変えた。イルミが憑いたキルアは、そのゴンすら上回る暴虐的な力を縦横無尽に振るい、ゴンを責め立てていく。まだ特殊な念能力は発動できていない。しかし、キルアに格闘を叩き込んだのはイルミである。ならば当然、身体の使い方も同じ。元は変化系であるキルアも、その格闘性能で強化系のゴンを遙かに上回る。一方のゴンは防戦一方だ。これほどの〝力〟に目覚めても、外法によって更に上を行くイルミ。そして、暗殺術の極みとも言える技をふんだんに使用してゴンを追い詰めていく。流石のゴンも、ダメージが目立ち始めた。彼はその都度自己修復できる。しかし、今現在、イルミにはダメージを与えられていない。
「ん~。やっと馴染んできた。やっぱり兄弟だから相性が良いのかな? オレが一番キルアを分かってるしね。たしかキルは雷の変化だったかな? こんな感じかな?」
そう言うと、身体から凄まじい電撃をスパークさせ始めた。いよいよ固有の念能力を発動し始めた。より、勝利が遠ざかってゆく。しかし、ゴンは折れない。一番の親友であるキルアを、こんな奴が何を理解しているのかと一層腹を立てる。コイツはキルアの事を何一つ分かっちゃいない。ただ、自分の欲望のために都合良く利用しているだけだ。それを、理解しているなんて言葉で飾るなど、絶対に許せない。
「キルアだったらそんなもんじゃ無い。もし本人ならオレはとっくにやられてる。お前はキルアの事なんて何も分かっていないんだ。死人はサッサと魂の還る場所に行け」
「イヤだね。オレとキルの相性は抜群さ。何故なら兄弟だから。このままオレとキルと2人で一つになって、最強の暗殺者として君臨するさ。それが最高のプランだ。で、本人じゃ無くてもお前、そろそろオレには勝てないよ」
「だからといってオレが諦めると思うか? オレは、【キルアの親友】にして、【魔王の子】、ゴン=フリークス。必ずお前を冥土に送ってやる」
「ふ~ん…やってみなよ。でも、無理だと思うよ?」
雷を纏ったまま、雷速を超えたスピードでゴンの周りを飛び交い、攻撃を重ねていく。これはキルアの技、【韋駄天】! しかし、威力が桁違いだ。ガードの上から叩き込まれる連撃に対応しきれなくなっていく。遂に技まで吸収し始めた。急がなければ、キルアが完全に飲み込まれる! 内心ゴンは焦っていた。しかし、その焦りが彼にミスを生む。
「あっ!」
無数の連撃に隠されたガード崩し。ガードが下から弾かれ、直後にがら空きになった顔面に蹴りを喰らい、上空に弾き飛ばされる。
ブゥーーーン……!
オーラと電流を混ぜた凄まじいエネルギーがイルミに集中する。それは、必殺の一撃。それを喰らえばいかにゴンとてただではすまない。
「さようなら。キミは
ズアッ!!
その衝撃が接近し、直撃する刹那、彼の脳裏にキルアとのそれまでの思いがよぎった。
しかし、それを押しのけるようにして、
──あんな……に……困るな…
「な、何?」
──あんな奴に手こずってもらっては困るな。力の使い方を教えてやるよ──
直後、
「さて…やったかな?」
油断なくイルミが爆心地に近づく。彼も先ほどの威力は致命的なダメージを与えたと確信していた。しかし、油断はしない。土煙が舞う中、一歩一歩慎重に歩みを進める。
一陣の風が吹く。土煙の中心地に人影が立っていた。
「ちっ。まだ足りなかったか。じゃあもう一発かな」
そうして再び同じ物をチャージし始める。だが、現れた人物は、先ほどとはまた様子が違っていた。
その頭髪は伸び、腰まで届くほどに垂れている。身体はまた少し成長し、細身の青年の姿に変わっていた。服は先ほどの電撃で破れ、上半身は裸だ。しかし、その体中に不思議な文様がいくつも刻まれている。
「……なんだ? それは。お前はゴンか?」
ゴンは答えない。
返答は無いが、その溢れるほどの戦意は、先ほどとはまた別物であった。
しかし、相手は平然と立っていて、着弾の寸前に見えない程の速度で腕を振るい、その超威力の攻撃を
「!!? な、何!?」
直後、
「うっ!!」
途端に、彼は動きが鈍り始める。しかし、そこを遠慮するような相手ではない。素早く先回りしたゴンは、
「ぐっ…はっ……なんだ、この威力は…!」
「キル…! お前、まだこのオレに逆らうか…!!」
そう、イルミの怨念が込められた針。それは決して壊れたり逆らったりできる物ではない。だが、そこに罅が入った。それはゴンの攻撃だけでなく、キルアの抵抗のおかげでもあった。そして、イルミが責め立てられているこの瞬間にキルアが中から激しく抵抗している。身体の主導権を返せ、と。
だが、間の悪い事に、ゴンは既に意識を奪われている。とある超越種に。ソレにとって目の前にいるのは敵だ。そして、その者は敵には容赦などしない。
激しい攻撃によって、そして、キルアの中からの抵抗によって
「い…イヤだ…オレは、オレはゾルディックのために…!!」
ゴンは、その普段の様子からは想像もできないような悪辣な笑みを浮かべ、空中に放り投げる。
ブオンッ!!!
超巨大なオーラが片手に集中する。空中に投げられた
──
直後、その念弾を発射するゴン。しかし、発射する直前に彼の意識が戻る。彼は理解した。自分が何をしたか。そして、相手がどのような状態になっているのかを。
「キルア!! よけろォオオーーーーー!!!」
キルアは、その刹那の瞬間、抜いた針と共にゴンを見る。そして、彼を目で確認し
──確かに笑った。
◇
「キルア! キルア!! お願い、死なないで!!!」
ゴンが、先程の様子がなんだったかというほどに取り乱し、涙を流しながらキルアに縋り付く。横たわるキルアはもう、どう見ても手遅れだ。
彼は、最後の力を振り絞り、手に持つイルミの針を粉々に握りつぶす。そして、ゴンを見る。
「ゴン……姿、変わっちまったけど、お前が生きていてくれて、本当に良かった」
「でも! このままじゃキルアが死んじゃうよ!!」
「いいんだ…身体も、最後に取り戻せたし、な。元は、オレが弱かった、せいだ」
「ダメだって!! オレを置いてかないで!!!」
「あぁ…お前は、こんな、オレでも、友達だと思って、くれるのか」
「当たり前でしょ!! むしろオレのせいでキルアがこんなになっちゃったんだから!!! 馬鹿はオレだよ!」
「良かった…ゴン…お前は、光だ」
「…? キルア?」
「お前と、出会えて、本当に良かった。お前はオレの、最高の」
──親友だ。
キルアが沈黙する。その呼吸も、鼓動も動きを止めた。
「キ、キルア…嘘だよね…折角ここまで来たのに…冗談はやめて、早く起きてよ。ねぇ、キルア……」
ゴンが夢遊病者の様な虚ろな目でキルアを揺さぶる。急速に冷たくなっていく身体が、キルアの状態を表していたが、ゴンはそれを見えないふりをしている。本当は分かっていたのだ。もう、キルアが
◇
ナニカ。ありがとな。最後まで付き合ってくれて。
「…………」
ゴンが生きてた。イルミも死んだ。オレはそれで充分さ。
「……ぁぃ」
悲しむこたないんだぜ? お前とこれから同じトコ行くんだ。寂しくなんてないさ。むしろありがとな。
「…………」
さぁ…時間だ。ちょっぴり残念だけど、オレはここまで。道連れがいるとオレも心強いからな。
「……あい」
どうした? 早く行こうぜ? 何? やり残した事がある? お前…あんまり時間ないぞ? 大丈夫か? てか、お前もギリギリだろ?
「……あい!」
わーかった! わかったよ。ったくお前は頑固だな。その辺アルカと変わんねーな。まぁそりゃそうか。同じだったんだもんな。あ! わかったぞ。アルカに別れの挨拶か。そりゃ大事だな。じゃあ待ってるから急げよ。
「あい」
◇
泣き腫らして放心状態のゴンと、冷たくなり始めたキルアの側に、ボロボロの服を纏った女の子が近付く。
「……お兄ちゃん…」
その言葉にゴンは僅かに反応する。だが、彼は再びキルアに目を向ける。最後の最後まで見届けるように。
女の子は2人に近づき、キルアに手を触れる。
「……ナニカ。あなた……うん。分かった。もうお別れなんだね。……あなたの想い、きっと、きっと大切にする。絶対に忘れない。
「キミは……」
「願って。
そう言うと、女の子の顔が変化する。目が空洞の様になり、人間とは異なる顔立ち。だが、その顔は、キルアに対する愛情に満ちている様に見えた。だからこそ、ゴンは願う。
「キルアを…キルアを
「あい」
凄まじい〝力〟の奔流が起きた。キルアを中心に光が溢れ、ほぼ死んでいたキルアのダメージを癒していく。癒す事が得意なナニカ。もう殆ど力が残ってなくて、存在が希薄になっていても、大好きな兄の為に力を振り絞り、最後の願いを叶えた。
徐々に光が薄まり、同時に女の子が普通に戻ってゆく。もう、
そこに、寂しさを覚える。でも、これで良かったのだ。少なくとも、自分は忘れる事は無い。大切な、大切な家族の事を。
目を閉じたキルアから一筋の涙が溢れる。そして──
「……ナニカの馬鹿野郎」
「キルア!!!」
「……ゴン。戻って来たぜ。ありがとな」
「ううん、オレじゃないよ。それはここにいる──」
「いい。知ってる。アルカ、ありがとな」
「お兄ちゃん…ナニカは……」
「あぁ……逝っちまった。オレを置いて…オレを助けなきゃまだ生きていられたのに」
「それは違うよ!」
「アルカ…」
「あのコは優しいの! 必死でお兄ちゃんの為に頑張ってくれたの! だから、だからあのコの頑張り、認めてあげて…」
アルカは涙を流しながら兄に抗議する。キルアはそれに涙しながら答える。
「悪かった……でも、オレはナニカにも…生きてて欲しかった」
「…………」
「だからこそ…忘れない。オレがナニカに生かされた事を。アイツが必死で頑張ってくれた事を。絶対に!」
「うん…うん。そうだね。それならきっとあのコも喜ぶよ」
ゴンは無言で2人のやり取りを見つめていた。事情は理解できていた。その上で、彼らに口を挟むべきではないと、静かに見ていた。やがて、ゾルディック家の人々が集まってきた。その中にはカルトもいた。
まだ闘いは終わっていない。それでも、一つの区切りを迎えた。残すは後一つ。カームは、必ず勝つ。だから、自分達が出来る事は次で最後だ。ここまで来たら、必ず勝たねばならない。
生きる事を。
だから、この世界から理不尽な死を拒絶する。
それこそが、兄を想い、自らを犠牲にした心優しい厄災に捧げる鎮魂歌であるのだから。