思いついたので外伝投下。書いていたらテンション上がって気付いたら10000字以上も書いてしまいました。本編は完結しているのでフレーバー的な感じでお読み頂ければと思います。
外伝1、泉のほとりにて
人間同士の念能力者の戦闘は、お互いの能力を警戒しつつ、読み合いながらそれぞれの能力が刺さらない様に立ち回る。また、自分の能力をいかに刺すかに力を入れる。それが念戦闘の醍醐味であり、楽しさでもある。
しかし、一定のレベルを超えた者は、それぞれの能力などが効かなくなってくる。例えば操作系は人間相手には刺されば無敵だが、オーラが一定以上を超えてくると、その巨大で濃厚なオーラが能力を緩和する。一概には言えないが、低レベルの能力などはまるで効果がないという事態が発生する。
無論、喰らった者が無抵抗ならば刺さるが、
ゾバエの固有能力である【
これは、この暗黒大陸を旅する上で必須のスキルであり、いちいち敵の能力にハマってたら生命がいくつあっても足りない。よって、必ず習得しなければならない人権スキルの一つと言える。それは体質でカバーする者もいれば、特殊なオーラで完全レジストする場合もあるので一概には言えないが、そういう事である。
「──無論、何事にも例外はある。いや、むしろ例外だらけだが、基本的にはそうだ。だからこそ、それだけは全員習得しなければならん。そうでなければ
静かな湖畔のほとりで、豪奢なテーブルに腰掛けながら優雅にコーヒーを片手に講義を行うマフィアスタイルの男。それを聞きながら渋い顔をする一同。
「ねェ、カーム…ちょっと探索するぐらいは…ダメ?」
「別にいいが…出たら速攻でヤバい能力持ちの怪物に取り囲まれて抵抗出来ないまま喰われるのがオチだな。私の記憶が確かなら、この辺だと石化レーザーを乱発する蠍とか、卵を体内に転写してきて寄生してくる蟲とか、周囲を真空状態にして来るガーゴイルみたいな奴がかなりの頻度で居たはずだ」
「ゲ…何だその凶悪能力…」
「で、それで済めばまだいい方で、1番ヤバいのは巨人な。コレに遭遇したらマジで確定で死ぬと思った方がいい」
「……そんなにヤバいの?」
「あぁ、ヤバい。まずそれぞれが私レベル以上に強い。何よりも
「その権能ってのは、オレ達のとは違うのか?」
「そうですね。念能力の先。概念とも呼べる特殊能力ですよ、ジンさん。先程の話から矛盾しますが、オーラで打ち消す事すら不可能な程の特殊能力。まさに「神」の能力とも言える能力なんです。超越種同士では、基本的にこれを警戒しながら闘う事になります。世界樹のドラゴンとかいくつも権能を持ってました。それらはまさに必殺。人間が喰らったらひとたまりも無いですね。まぁ、彼ら同士ではそれでも倒せないから超越種なんですけどね。ゾバエで言えば眷属化ウィルスかな? 私には効かないけど」
「頭痛くなるわね…しばらくはここで修行するしかないか」
「そうよ。貴方達もしばらくはゆっくりしていきなさい。ここは唯一のセーフティーゾーンなんだからね」
「アレトゥーサ、カームに近づかないで!」
「ハイハイ」
そう、ここは神の泉。泉の精霊アレトゥーサが守護する聖域である。以前カームが訪れた時よりも面積は広がっており、泉の背後には豪華な洋館が立ち並ぶ。
彼らが訪れた時、彼女は大層喜んだ。そして、事情を聞いてならばここでしばらく修行してはどうかと提案してきたのだ。人数的に手狭だったので、彼女自ら空間を拡張し、その後、カームがついでに洋館などを創造した。それによって、この空間は暗黒大陸にも関わらずまるで豪華な避暑地の別荘のような雰囲気に様変わりしていた。最初は遠慮していたカームだったが、ここを創造した神も気が遠くなるほど永い年月放置しているから好きにしていいと言われ、実際に好き勝手に手を加えたのである。
「しかし、星の意志に完璧に飲まれないでここまで来れるとは驚いたわ。貴方もここ数千年の中では1番のイイ男ね」
シナを作りながら彼女がカームに告げる。しかし、カームは苦々しい表情へと変わる。
「君ね…前来た時、ここの時間設定おかしかったでしょ。お陰で私もしなくてもいい絶望をしたんだが?」
「あら? そうだったかしら? まぁ、ここって滅多に訪問客いないから時間変えとかないと退屈なのよー。今は普通に戻してるからいいでしょ?」
「…………」
恨みがましい目でアレトゥーサを見つめるカーム。彼も、いつの間にか気安い口調になっていることに、自身ですら気付いていない。その様子を見ながら警戒を強めるビスケとカルト、そしてクラピカ。アレトゥーサはそれに気付いており、ワザとそういう態度をとって揶揄っている。
「なぁ、それよりさー。そろそろメシにしようぜ。オレ腹減ったよ」
「あぁ、もうそんな時間か。じゃあ作るよ。今日はサソリのしゃぶしゃぶとガーゴイルのモモ肉の炒め煮だな」
「……それ、どっかで聞いた食材だな…」
「味は保証しよう。というか絶品だぞ。この辺の植物から採れた調味料も信じられないほど美味いからな」
「ふむ…馳走になるぞ」
「なぁ、王サマはいつまでオレ達といんだよ。王目指して旅立つんじゃ無かったのか?」
「貴様等には前にも言ったと思うが。余はまだまだ『王』として未熟。故に学ばねばならん。幸い此奴のそばには学ぶべき事が山ほど眠っている。むやみやたらと彷徨って無駄な時間を過ごすよりもよほど身になるだろう」
「とかいって、食いもんに釣られてんじゃねーだろーな」
「まぁまぁ、キルア。メルエムも一緒にいてくれるのは心強いし、いいことじゃん」
「ゴンは寛大過ぎるんだよ。基本的にコイツはオレ達とは相容れない奴なんだからな」
「それを言うなら貴様等もそうだろう。魔王とかいう訳の分からん存在など、余よりもよほど人間とは相容れんのではないか?」
「んだと! やんのかコラ」
「キルア、そこまでにしておけ」
「クラピカ! コイツがケンカ売ってきたんだぞ!」
「どっちもどっちだろう。私から言わせれば似たようなモノだ。メルエムがまだ共に居たいというなら、居ても良いじゃないか。私は一向に構わんぞ」
「そうだよ。折角向こうから一緒に来たんだから、修行の時ぐらいは一緒にいてもいいと思うよ」
「チッ。わーったよ! とりあえずメシ食うか」
全員が食卓を囲み、豪華な食事を堪能する。カームが次元収納の中から取りだした獲物が中心のメニューであるが、その内容は正にこの世のモノとは思えないほどの絶品である。暗黒大陸の奥地の生物などは、その生命力はメビウス湖内の家畜などとは比較にならない。当然寄生虫や病原菌の類いはカームが調理中に除いているため、安心して食すことができる。その食事効果は、人間基準では
そんなモノを毎回食べ、水を飲む。水は当然、湖の水である。それはただの水では無く、若返りの効果がある水だ。ハッキリ言ってコレをやってるだけでレベルアップするのも当然なメニューである。
「いや~、やっぱオメーと来て良かったぜ! 修行しなきゃならねぇのはアレだが、コレばっかりは感謝してるぜ」
「ウム。ワシはこの歳で美食に目覚めるとは思わなんだぞ」
「えもいえぬ極上の美味……天より授かりし程の食材! これぞ余が求めていたモノよ!」
そんなシロモノをネテロやジンなどもモリモリ食べ、彼らも人間の枠を急速に超え始めていた。当然メルエムも食えば食うほどレベルアップするため、特にこの3人は劇的に成長していた。
食事の後は、修行タイム。先ほどカームが述べていたオーラ技術の応用。人権スキルの獲得である。敵の特殊能力の妨害、またはレジスト。それが最低限レベルになるまで修行を行う。幸い、オーラ量は人間比較では全員極限に近いほどある。そのためメモリなどは心配せずともよい。むしろ大多数のメンバーが有り余っている。カームは昔、メモリ不足になる事や、人間性を失うのでは、などと危惧していた為、これを忌避していた(彼は自分の体質で解決できることもあった)が、今はこれらがむしろ基本スキルであるし、それができるのがスタートラインと正確に理解していたので、彼らにこの修行を推奨した。
方法は簡単。カームが様々な適応した念能力をぶつけまくり、それに対処していくというスパルタ方式だ。当然ながら人間組は苦戦した。ビスケとカルト、メルエム、魔王達はわりと簡単にクリアしていた。彼らは元から
そんなこんなで、主にこの修行を苦しんだのはジン、ネテロである。特に苦労していたのがネテロだ。しかし、彼も流石にプライドがあったらしく、気合いで徐々にできるようになっていた。
また、それ以外にも基本的な人権スキルの修行を行う。つまり、復元能力の獲得や、ある程度の環境でも生命活動を維持できる能力の発現である。コレについてはそれこそ人権スキルである。
これについては、あくまで推奨するだけであり、能力としての発現はそれぞれの自由裁量に任せた。よって、個性豊かな能力をそれぞれ考え、修行を行っていた。
例えば、ゴン。彼は元から回復能力持ちである。また、彼の肉体は魔王準拠なので、後は環境適応だけである。彼は現在も【
クラピカはまた特殊で、
キルアも同じ結論に至ったようで、彼は苦労の末、自身の身の
メルエムは、また独特である。彼は元から護衛軍の能力を持っている。つまり、シャウアプフの能力やネフェルピトーの能力、そしてモントゥトゥユピーの能力。それを進化させれば良い。つまり、分裂し、復元し、治療する。これを短時間で行えるような修行だ。産まれて間もない状態で、恐ろしい強敵ばかりの戦闘経験を強いられた彼は、自らの存在について強烈な危機感を持たざるを得なかった。もっと力を。最低限抵抗できる力を。一つの種としての突端に類する彼であったが、それでもまだまだ世界は広かった。より強く、より極みを目指して、彼は邁進する。産まれながらの王として生まれついた彼ではあるが、まだまだ「王」としてのスタートラインにすら立てていない。だから、その最低限を埋めるべく、貪欲に自らを鍛え上げる。幸い、近くに参考になる者達がたくさん居る。いずれは彼らをすら追い抜き、追い越し、この楽園の「王」を目指す。
そうして、彼は自由自在にその身を分裂させ、そして、復元させる能力を身につけた。癪なことではあるが、彼もまたゾバエの能力をその身でイヤと言うほど体感したため、先達の王に倣い、ソレを自由自在にできるように訓練したのである。それは、彼の資質からすれば容易い、とまでは言わないが、不可能な事ではない。人間とはまた別種の肉体と才能の極みを持つ彼だからこそできることである。
カルトとビスケは、カームと同じ体質にしてもらっている。これは、彼の基本的な肉体性能と同種である。つまり、ありとあらゆる不具合に適応した肉体プラス、ブリオンの因子が混じったものである。さすがにカームの【
ジンは、なんだかんだ言って天才である。彼は強化系だ。しかし、その他の系統も満遍なく鍛えている。それこそ極限まで。彼の念能力は少し特殊で、【自身の意を押し通す能力】である。つまり、例えば彼が「右ストレートでぶっ飛ばす」と強い意志をもって思って行動したなら、それが結果として
さて、そのジンは彼の天才性を遺憾なく発揮し、カームの説明のさわりを聞いただけで、超越者同士の戦闘の概要が明確に想像できたらしい。そして、そのために自身に必要な事、足りないことがハッキリと見えたらしく、しばらくソレを実現するために必要な事を瞑想しながら考察していた。そして、やがて立ち上がり、その場で訓練を始めた。
その行動に迷いは無く、カームから見ても最短で、無駄が無い訓練内容であり、彼は放っておいてもそのうち最低限は直ぐにクリアできるだろうという期待がもてた。
最後にネテロ。彼はまごう事なき人類最強である。しかし、最強であるが、能力に偏りがありすぎた。彼は武術家でもあるため、そこに傾倒しすぎるキライがあった。だからこそ、その型を1から崩し、再び積み上げることに苦労していた。彼は、自分がかなり時間が掛かることをカームに申告した。また1から鍛え直すと。そのために、かなり時間が掛かってしまうだろうという事も正直に告げた。
その要望を受け、カームは彼の為に神の泉内に別の平行世界の部屋を創造し、そこにネテロを放り込んだ。大量の食料を持たせて。その空間とは、カーム達の居る場所とは時間の進み方がまるで違うように設定してある。具体的には100倍ほど。ついでに重力10倍かつ酸素濃度も高高度山脈並みに薄くしてある。つまり、分かりやすく言えば精神と時の部屋である。そこで3年も修行すれば問題ないだろうということで、彼は哀れにも問答無用で放り込まれた。その際、彼は道連れ、もとい対戦相手が必要と主張し、ジンを百式で捕まえ、無理矢理引っ張り込んでそのまま異空間へと消えた。10日もあれば約1000日。つまり3年である。カーム達は10日ちょい過ぎぐらいに迎えに行くことを約束して、後は放置した。当然、何日かに一回はカームが大量の食料を投下していたが、彼らはその貴重な食料をどうにか食いつなぎ、修行に励む訳である。無論、水に関しては若返りの水があるため問題ない、というかそれだけでも生存が可能である。なので、後は彼らの気力次第である。カームは日数が立つごとに重力を徐々に追加していき、最終的には100倍まで引き上げた。それによって必ずや彼らがレベルアップすると信じて。
一方、問答無用で放り込まれたネテロは、最初は呆然としていたが、やがてのろのろと自分の修行に取り組み始めた。流石に修行が最低限もできてなくて、もう3年追加とか言われたらたまったものではない。文字通り死ぬ気で大昔に取り組んだ修行を思い出しながら狂気に近い訓練を始めようとした。
しかし、同時に引っ張り込まれたジンはそれ以上にたまったものではない。激怒してネテロに対して激しいケンカをふっかけたが、結局千日手へと移行し、引き分けに終わった。彼らは思った。必ずこの中でコイツよりも強くなって、この中に居る間に絶対に完膚なきまでにぶちのめしてやろうと。結果として、2人で入った方が彼らの為には良かったと言える。
──10日後。
「テメーカーム!! このクソジジイと3年も閉じ込めやがって!!! ぶっ飛ばすぞ!!」
「………」
ゲートを開いた瞬間襲ってくる
「ハアッ、ハアッ……チッ、やっぱりバケもんだな。テメーはよ」
「おのれ…まだ届かんか…」
「いや、驚きましたね。まさか2人とも3年程度で〝聖光気〟を掴むとは……最早それだけで十分以上ですよ。それ抜きにしてもレジスト能力も身についていますし。後は復元も問題なさそうですね」
「………テメーをビックリさせようと思ったが、まだまだ道はなげーな。このクソジジイとの鍛錬でボコボコになるのを繰り返してりゃ、回復能力なんざ嫌でも身につくわ。てか何だあの重力は! 嫌がらせも良いとこだろ!!」
「ふん。お主には通じんかったが、〝聖光気〟を身につけたオレは、もう以前のオレとは違うぞ。最早オレの【阿修羅観音】は以前の【百式観音】とは次元が違うからな。どんな奴が相手だろうが一方的にボコボコにしてやる。複数相手でも問題ないぞ」
そう、ネテロは【百式観音】の数を増やしていた。
ジンも恐ろしい程に自らの能力を進化させていた。その自らの意を通す能力は、最早概念に近い程まで昇華されていた。つまり、「当たれ」と思えば、どんな状況でも確実に当たる。例えネテロの観音にボコボコにされていようが、彼が念弾を放てば、それが確実にネテロを捉える。途中で妨害しようにも、
「お二人とも本当に頑張りましたね。他のメンバーも大丈夫そうですし、では、そろそろ旅立つとしますか。流石にお疲れでしょうから1日ぐらいはゆっくりしてくださいね」
「はー! ホントにクソ長かった! もうオレは二度とごめんだからな!!!」
「そりゃオレの台詞だ! …流石に疲れたからオレはちょっと休ませて貰うぜ。だがまぁ…収穫はあった。ありがとよ」
「えぇ、ゆっくりお休みください。ここからが本番ですからね」
「オレも休ませてもらうぜ……ところでよ、聞いて良いのかどうか分からんが…アレ、何してんだ?」
泉の向こう側で、血で血を洗うようなバトルが繰り広げられている。具体的に言えば、カルトとビスケと
「あ~それはですね……」
「なんでもカームと一緒に寝る権利だとよ。一緒に寝るだけでなんであんなにガチってるのかしらねーけど」
キルアがカームの代わりに説明するが、本人も理由は分かっていないらしい。ジンはマジかと言う顔をしながら後ろに居たゴンの顔を見るが、ゴンが首を振り唇に人差し指を当てる。それを見て、なんとも言えない気持ちになったジンは、一言、「そうか…ま、頑張れやカーム」と告げて、自分の部屋に引っ込んだ。
「おいおい、なんでカームが頑張るんだよ。ただ寝るだけだろ?」
「キルア…まぁ、キルアにもそのうち分かるよ」
「オメーは分かるのかよ! 教えろよ」
しつこく絡み始めたキルアを上手くいなしながら、ゴンはメルエムとの戦闘の調整に入った。キルアも誘って。キルアもそこまで興味があるわけではないので、そのまま戦闘に集中し始め、その話はうやむやになった。
──ちなみに、今回の勝利者はクラピカであった。
翌朝。艶々になったクラピカと、若干げっそりしたカームが部屋から現れ、朝食となった。毎回相手が変わるが、それは日々のガチバトルの勝利者のご褒美である。少し前まではカルトとビスケの2人のガチバトルだったが、いつの間にかクラピカが2人を説得して参戦していた。そのため、三つ巴になり、より戦闘は激化した。しかし、カームも訓練になってる以上、止めるのもどうかと思ったし、モチベーションが上がるなら、とそれを甘んじて受け入れていた。尚、アレトゥーサも参戦しようとしたが、それは流石に3人が協力して全力で阻止した。
全員で久しぶりの朝食を食べる。本日のメニューはジン達の修行完了を記念して豪華飯だ。熱を操る豹型の怪物のステーキと、瑠璃色の甲羅を持つ、非常に硬い亀形の魔物の中身をじっくりコトコト煮たスープ。権能もちの毒蛇の卵(毒抜き済)のゆで卵。近寄ると絶対零度の冷気を広範囲に発するキャベツ型植物のコールスローサラダ、そして、その近くに生育していた黒く輝く米の米粉パンである。いずれも恐ろしい程の美味であり、その天上を感じさせる味に一同は言葉を失う。そして、あっという間に食卓から食べ物が消えた。
「…オレもう、この大陸好きだわ」
「…余も同意しよう。やはり余はここに来るべくして来たようだ」
「しかしの、ワシ達じゃ材料が手に入らんぞ。流石に寄生虫対策とか毒味とかは面倒じゃしの」
キルアとメルエムが感想を言い、ジジイ言葉に戻ったネテロがそれに突っ込む。
「まぁ、オレは何となくカームのやり方見て覚えたから、できるかもな。大体食えそうなのは分かるしよ」
「え? ジンって料理できるの?」
「おう! オレは興味あることはソッコー覚えるタチでな。料理もその一環だぜ。つか、ハンターなら覚えとけって話だが」
「う”……まぁ、そうだね。前メンチにも言われた」
ゴンとジンが親子の会話をする。
「コレは精がつきそうだな! カーム」
「ちっ…明日はアタシがもらうからね」
「次は僕。それは絶対」
いい笑顔をしたクラピカとビスケとカルトがそれぞれ笑顔で牽制しあう。本日の争いも熾烈な事になりそうだ。ちなみにカルトは肉体年齢はあれから変わらず18歳のままである。だから何というわけではないが。
ひとしきり朝食を終え、彼らはいよいよ旅立つ準備を始める。まずはどこに向かうか、である。闇雲に探索するよりも、何か目標があった方がいい。よって今後の方針を全員で話し合うのだ。
そこで出たのは、
・ゴンの母親探し。
・ドン=フリークスの捜索。
・ゾバエ完全討伐。
以上の3つである。全員で熱い議論を交わした結果、ゴンの母親の捜索を第一優先と言うことで話がまとまった。彼女については情報がなさすぎて誰も居場所を知らない。いきなり頓挫する計画。これはドン=フリークス捜索についても同じ事が言えるが、かくなる上は手当たり次第に放浪すると言う案が出始めたとき、それまで黙っていたジンがおもむろに意見を述べ始めた。
「
「む……何故、そうだと?」
「アイツは仮にも魔王だ。だが、奴も奴でメビウス湖内に入ろうとしたと思われる痕跡を掴んだ。つい最近な」
「…ワシゃ全然知らんかったぞ?」
「たりめーだ。ごくごく小さな新聞記事だったからな。南西の海域が一時期大荒れしてやべー嵐が発生したとな。ただそれだけだ。だが、これは色々と繋がる事件でな。メルエムの事にも関わるが、コイツの母親は南西の彼方の方角から流れ着いたんだろ? 大型のキメラアントは楽園には居なかった。ならば何処から来たか…暗黒大陸南西の地、またはその間に存在する諸島のどっかだろう。恐らくそれが
「それは……それが、イヴリスって事?」
「あぁ。オレはそう思うぜ。根拠も薄いが、闇雲に探すよかいいだろ。南にはゾバエもいるだろうしな」
「……まぁ、ここから出たら何らかの接触があるかもしれないな。とりあえず、南だとしよう。そこで問題がある。
「「「「…………」」」」
カームが割と深刻な事を言う。そう。ここはブリオン生息地の奥の奥。世界樹の手前。つまり北だ。ジンが言っているのは南。真反対である。その距離は絶望的な程遠く、長い。
「な〜にウンザリした顔してんだよ! むしろ回り道こそ楽しいんじゃねェか! 南に行くまでに大冒険がオレ達を待ってるだろ。それを楽しみながら行きゃいいんだよ」
「あ、南なら私が送ろうか?」
ジンが珍しく割といい事を言った直後に、話を聞いていたアレトゥーサが被せてきた。
「……オメーなぁ…で? できんのか?」
「えぇ。『神の泉』は様々な場所に存在してて、それぞれを私の姉妹が管理してるのよ。丁度貴方達の言うメビウス湖挟んで、南西奥地にもあるわ。確かあそこはステュクスだったかしらね」
「マジ? そりゃいいな。だが、向こうは大丈夫か?」
「うーん…聞いてみる」
そう言って泉に向かうと、彼女はその水面に呼びかけると、やがて水面が揺れて美しい女性の姿を映し出した。
『…んも〜〜な〜によー。アタシは寝てたんですけど〜』
「久しぶりね、ステュクス。アレトゥーサよ」
『……ほ〜ん、珍しいわね〜…貴女が連絡くれるなんて何千年ぶりかしら〜』
「私から貴女にお願いがあってね。ヒトの英雄達が私のトコに滞在中なんだけど、彼らの目的地はそっちが近いから送りたいの。いいかしら?」
『…………今、なんて?』
「そっちに何人か送りたいの」
『いや、それは分かったけどその前! もしかして…ヒトの英雄とか言った!?』
「えぇ、そうよ。3人が神気使いで、1人は星の意志すら制御してる英雄ね。魔王の系譜とか亜人種とかもいるけど、英雄クラスの純粋なヒトも何名かいるわ」
『き』
「き?」
『キターー♪───O(≧∇≦)O────♪ー!!!! さぁ、送って! 今すぐ!! ハリーハリーハリー!!!』
「落ち着け。ドン引きされるわよ…ま、そういうわけでよろしく。全部で9人ね」
「あ! ちょっと待って! 片付けるから!! 空間の拡張もしなきゃ…あー! 全然英雄迎える状態じゃない!! 急いでやんなきゃ……じゃ、アレトゥーサ、1時間ぐらいしたら送ってね!」
そう言って泉の向こうの女性は消えていった。消える間際にアレトゥーサが「時間設定変えときなさいよー」と忠告していたので大丈夫とは思うが、それ以前に一同に果てしなく不安が募る。大丈夫なんだろうか。
「ま、私達は基本ヒマしてるから嬉しいんじゃない? 向こうでも少し滞在してあげてね」
と、彼女は締めくくった。1時間後、再び泉の前に全員が立つ。
「じゃあ、またしばしのお別れね。貴方は自分の願いを叶えた。そしてこれから再び旅立つ。数奇な運命を持つ人よ。貴方の旅は、貴方にとって得難いものになるでしょう。それは世界にとっても同じ。だから、貴方はこれからを楽しみなさい。疲れたら戻ってきていいからね」
「あぁ。ありがとう、アレトゥーサ。もうマーカーも打ち込んだからいつでも来れる。また厄介になるかもしれないが、ひとまずお別れだ。……世話になったな」
「えぇ…また逢えるのを楽しみにしてるわ。じゃあ、お行きなさい」
それぞれが彼女に礼を言い、泉に向かって歩き出す一同。彼らは
「ふふ……ヒトの英雄達。これが貴方達の始まり。貴方達はこれからどんな神話を紡ぐかしらね……また逢った時はその英雄譚をたっぷり聞かせてね」
──というわけで、彼らの大冒険の第一歩、神の泉での修行編でした。探索に行く前に最低限のスキルがない奴に人権はねぇ! という事で、人権スキル獲得の修行風景でした。いかがだったでしょうか。書いてみて思いましたが、これ、書き始めると終わんねぇな! っていう。まぁ、ちょこちょここんな感じで外伝を書くかもしれませんが、全ては無理かなぁ…気が向いたら続きも書いてみます。ダイジェスト風になるかもしれませんが。
今回は、超越者同士の念戦闘についての描写を妄想したのでそれを書いてみました。ついでにジンの能力とか。色々意見はあるかと思いますが、フレーバー的な妄想という事でご了承ください(汗
「幽☆遊☆白書」にて、魔界の3大妖怪のステータスが公開されていましたが、アレの中で妖力値、体力、攻撃力、守備力などというものがありました。しかし、その中で一つ、特殊能力という値がありました。妖力値はオーラ量、体力は肉体性能、そして攻撃力、守備力まではわかります。しかしこの特殊能力が何かと言うことに長年疑問を覚えていました。これ、何の値なん? っていう。
仙水編の前半までは能力バトルに入りかけてましたが、結局仙水編後半や魔界編だとガチンコバトルに戻っていたので、この特殊能力値というのは死にステータスなんじゃ…と。しかし、「バスタード」での魔神ウリエルとダークシュナイダーの闘いで、それぞれの防御障壁である《
話が逸れましたが、人間の特殊能力である固有の念能力では、強者相手だとオーラ量と技術によってレジストされてしまう。そういうイメージです。
暗黒大陸では、幽白のS級妖怪=超越種という感じ。彼らはデフォルトで復元能力持ちなので、彼らを倒すには、そのオーラのリソースを完全に消費させた上で滅殺するか、それ以上のエネルギーで根こそぎ消滅させるかって感じになると思います。まぁ、その辺を考えるのも楽しいですね!
長くなりましたが、外伝1は以上になります。もしかしたら続きも書くかも…? その時は宜しくお願いします! では、また!