ダイ…ジェス…ト?
「また来てね! 絶対よ! 絶対だからね!!」
「わかった、わかったから…とりあえず行ってきます」
送別会を開かれ、いつの間にかクラッカーまで用意されて涙のお別れとなったステュクスの泉。かれこれここには2週間も滞在することになった。それというのも、ステュクスの引き留めが凄かったからだ。連日盛大なおもてなしを受け、そのため、直ぐに旅立つつもりが中々旅立てず、結局2週間も滞在してしまった。何とか引き留めようとするステュクスを説得し、ようやく旅立てる。それでも必ず立ち寄ることを約束させられた。よっぽど暇だったんだろうなぁと思わず同情してしまう一同であった。
いよいよ、暗黒大陸本番。セーフティーゾーンはもう無い。
ここからが本当の暗黒大陸だ。
「では、行こう。ステュクスが言うにはここから南へ2000㎞程でイヴリスの支配領域に着くらしい。それぞれの身はそれぞれで守るように頼む」
「へっ、ようやくか。腕が鳴るぜ」
「イヴリス、母さん、か」
「強い武人はおるかのう」
一歩泉から抜け出すと、そこは広大な山岳地帯が広がっていた。現在の場所はどちらかと言えば断崖絶壁だ。そして、その標高はメビウス湖内のソレとは桁違いの高さである。恐らく成層圏まで届いているのでは無いだろうか。眼下に見える雲は恐ろしいことに色彩豊かだ。明らかに身体に害を与えそうな雰囲気を放っているし、その動きから見ると風速も尋常では無い。同じ惑星とは思えない、むしろ別の星に来たかのような錯覚を覚える。
「流石のスケールだな。メビウス湖内とは段違いの環境だ」
「……これさぁ、南へ行くってことはこの下越えなきゃダメ?」
「ん~馬鹿正直に行ったらヤベぇが、今のオレ達ならなんとでもなんだろ。とりあえず飛んできゃいーんじゃね?」
「いきなり人外の方法を提示しないで欲しいわね…まぁできるけど」
そういうことになった。そして、その雲海を眼下に収めながら飛行する一行。飛び方は様々だ。オーラジェットで飛ぶ者、オーラで翼を具現化して飛ぶ者、〝聖光気〟で飛行する者など、バリエーション豊かな彼らは、人類とは一線を画している。しかし馬鹿正直に歩いて行けば木星の表層の様な環境下で怪物達と対峙しなければならないので、飛んでいけるなら飛んでいった方が圧倒的に楽ではある。
「ねぇ…アレ、何?」
カルトが飛行中にとあるモノを見付けた。
「ふむ…余には蛇…に見えるな。スケールは馬鹿げているが」
メンバーの中で一際視力が良いメルエムが答える。その周囲は針山の様になっており、細長い岩が所狭しと並んでいる。名付けるなら千剣山、と言ったところか。その間を巨大な長い物体が巻き付いている。問題は、ソレが
「マジか……アレ何メートルあんだ?」
「すごいね、暗黒大陸。でも、アレ、オレ達に気付いたみたいだよ?」
ゴンの言うとおり、その蛇らしき生命体は明らかにこちらにその顔を向け、警戒していた。そのオーラは超越種に近い。恐らくはここの一帯の支配者であることが伺える。
「よーし、じゃあ私が討伐してくる」
おもむろにカームが述べ、彼がオーラを戦闘モードに入れる。カームはその経験上、蛇と蟲だけは絶対許さないマンである。そもそも彼の中で敵に発見されたら、それ即ち戦闘開始の合図である。そして、いざ行こうとしたときにジンからストップが掛かる。
「アホか。ちょっと待てや」
「え? 何故です? 見つかってますよ?」
「いや、ただ見つかっただけだろ? ありゃ警戒してるだけだ。これ以上近づけばヤバいがな」
「……ここから戦闘回避できます?」
「まぁ、見てな。オレに付いてこい。オーラは警戒程度の量な。敵意は含めるなよ」
一行はジンについてそのまま飛行する。すると蛇は警戒するだけで手を出してこない。遠距離専用の能力と思われる蒼白い隕石を周囲に複数出しているが、攻撃してくるまででは無い。ただこちらを見ているだけだ。そして、彼らはそのままその剣の様な山の横を通り過ぎ、蛇と睨み合いながらもソレすら通り過ぎる。横目で見た彼らは密かに驚愕する。その大きさはメートルを超えてキロ単位だ。正確には分かりかねるが、40㎞ほどあるだろう。昔カームが飲み込まれたワームと長さだけなら同等の大きさである。
そして、彼らはそのエリアを無事脱することができた。
「ホントに回避できましたね…」
「だから言っただろ? 恐らくアレは産卵期だろうな。いや、既に産卵した後か。眼に当たる部分見りゃ分かるし、遠目に産卵床みてーなのが見えたからな。その時期の蛇は凶暴にはなるが積極的には襲ってこねぇ。だから近づかなきゃOKだな」
「マジですか…今まで考えたこと無かったですね」
「オメー前にもそれ聞いたけどよ。良く生きてたな。それで生き残るってのはよっぽどのアホだな」
「いやぁ、照れますね」
「褒めてねぇよ! これからはその辺も学べな?」
「ええ。真面目に勉強になります。マジで宜しくお願いしますね」
翼を作って飛行しているメルエムは興味深そうに聞いている。半分野生で生きていたゴンや、暗殺業としてサバイバルを叩き込まれたキルアとカルト、知識として知っていたクラピカと経験値が膨大なビスケが飛びながらうんうんと頷く。その彼らのリアクションを見て、カームはガビーンとした顔になる。あ、これもしかしてハンター的な才能はこのメンバーでは最下位者じゃ? と。そもそも彼はこれまでその体質でゴリ押ししすぎであった。多少の能力や特性など真正面から吸収するスタイルであったため、そのスキルを磨くという考えは頭から無い。ある意味自業自得である。戦闘については自信があったカームだが、この件によって改めてハンター的な能力を身につけようと決意するのであった。
また、観音の掌の上に乗っているネテロは興味がなさそうだ。阿修羅観音の背には光臨が浮かび、その謎パワーで浮いている。彼は、興味が無いというよりは、あの蛇を見ながら自らの観音が通用するか考えていたようだ。「もっとサイズが必要か…」などと呟いていたため、もしかすると、今後観音がより巨大化するかもしれない。
そうこうしているうちに、山岳地帯を抜ける。広大な土地が眼前に広がる。一行が飛行している高度は5000メートル以上だ。地平線の先が見えない。見えないが、謎の建造物や飛行物体に飛行島、蠢く何か、そして明らかにおかしい気象現象などが見てとれる。いずれも遠近感がおかしい。つまりサイズがおかしいのだ。メビウス湖内とはスケールが違う。
「うっひょ~!! スゲぇぜ!! これぞ冒険! 楽しみだぜ!!」
「うん!! これは凄いね!!! 来て良かった!」
「そんな感想が出るのはお前等ぐらいだと思うぜ…」
「で、カーム。方向は合ってるのか?」
「恐らく、としか言えないけどね」
「全く…オメーは意外とノープラン野郎だな。そんなだろうと思ってオレもいいアイテム持ってきたぜ」
クラピカに問われたカームが曖昧に答えたが、ジンがそれの解決策を提示する。それは羅針盤。メビウス湖内で発見した、
「さすがジン! やるね」
「まぁな。てか、これぐらいはハンターとして当然だろ。今までどうしてきたんだよ」
「え~まぁ…勘?」
「……そりゃ迷子になるわけだ。改めて良く生きてたな、オメーはよ」
「ドン=フリークスさんにも散々言われましたよ、それ。まぁ回り道も楽しいし」
「そりゃ今だから言えることだろが! まったく…それでも合ってるのが余計に腹立つぜ」
「じゃあ案内お願いしますね!」
「……まぁ合ってるからいいか。行くぜ」
そうしてワイワイ言いながら羅針盤を頼りに飛行しようとしたその時、全員の脳裏に念話が届いた。
──遅かったじゃねェか。待ちわびたぜ。
「「…………」」
「…今の……イヴリス、だよね?」
「……あぁ、間違いねぇ。変わらねぇな、アイツも」
ジンとゴンが確認し合う。どうやら今のはイヴリスで間違いないようだ。それにしても、迎えとは一体何だろうと全員が思っていたとき、前方の空間に歪みが発生する。そして、巨大な気配。瞬間、全員が警戒し、戦闘態勢を取る。ソレの姿が徐々に鮮明になってきた時、人の形であることを察したネテロが俄に興奮し始める。
「クックック……ようやくオレの出番だな…!」
ソレが完全に姿を現す前に、ネテロは祈りの姿を整えた。直ぐにでも三乃掌を放てるように。しかし、その直前に気配が消える。瞬間、ほとんどのメンバーが推定敵を見失ったとき、カームも姿を消し、全員の背後でそのヒトガタの胸ぐらを掴んでいた。
「背後からとは恐れ入るな……何用かな? キミは
その正体は、小さな少女。しかし、漏れ出す気配が冗談では無く強い。現在のゴン~キルアより若干下ぐらいだ。
「グッ…放して。もう分かったから…敵意は無い」
そう言ったので、カームは素直に手を放す。改めて見ると、薄手の扇情的な服を纏っているが、年齢的には8~10歳と言ったところだろうか。その少女が警戒しながらも語り出す。
「……ようやく会えたわね。
「え!? お兄様って、まさかオレに言ってる!?」
「アイツ、あれから娘も産んだのか…相手は?」
「お義父様、我々は通常の生命体とは一線を画すのです。母は自らの細胞を培養し、私を創造なさいました。ですからどうぞご心配なさらず」
空中で器用にカーテシ-をする自称イヴリスの娘。薄手のセミロングスカートを両手でつまみ、挨拶をする。その仕草はどこかぎこちない。
「ふ~ん、流石暗黒大陸。ありそうなこった。言われてみりゃ確かに、イヴリスをガキにすればこんな感じか」
「へ~キミってオレの妹なんだね! オレ、兄妹居なかったから新鮮かも!」
「さて…こんなところで長話も何でしょう。我が母の元へと案内します。付いてきてくださいまし」
そう言うと、彼女はおもむろに空中に手をかざし、空間を
「……罠で無いという証拠は?」
「おや、英雄様ともあろう者が臆するので?」
「最低限の確認だ。キミが嘘を言っている可能性も否定できない。ここでは一瞬でも油断できないから当然だと思うが」
「……メンドくさ。小心者め」
「何と言われようが証拠を見せろ。話はそれからだ」
結局、一触即発の空気になりかけたその時
──おいコラ、早くしやがれ!!
「…………」
「…………」
「……母が失礼しました。これで証明はできたはず。どうぞお通りください」
「うん、なんかごめん。じゃあ行くよ。皆もいいかい?」
「あぁ、いいぜ。もしイヴリスがオレ等を嵌めようってんならぶっ飛ばすだけだしな」
「お嬢ちゃん、後でワシと手合わせ願いたいのだが」
「おいジジイ、流石に犯罪臭いから止めときなさい」
カームに続き、他の面々も続けてポータルに入る。最後にバイザクが入ってそのポータルを閉じた。そして、完全にその大地から彼らの姿は消え、残された雄大過ぎる光景だけが残った。
◆
「おっと、無事はぐれずについたか」
一同が到着したのは、暗くて広いホールである。幾多の材質不明の柱が見上げるほど高くに伸び、天上は遙か上空だ。
「我が支配領域、『
そう言ってバイザクはスタスタと歩き始める。一行は一瞬顔を見合わせたが、彼女に付いていった。広いホールを抜け、長い回廊を渡り、延々と続く階段を上る。そして、登り切ったその先に刺々しい巨大な玉座があり、そこに座っている人物がいた。その人物は、見た目上女性に見える。薄手の白い羽衣の様なノースリーブ衣装を纏い、玉座に悠然と座っている。髪は漆黒を思わせる様な色で、癖が強く、かつ腰辺りまで無造作に伸びている。その髪を留める為か、バンダナを額に巻いていた。
「よォ…息子。そしてジン」
その声は、威圧感を伴いゴンとジンに向けられる。男の様な乱暴な言い方だが確かに女性の声ではある。しかし、それ以前に王者としての風格のある声だ。
「……なんか体調悪い?」
「なるほど。テメー自ら来なかった理由はそれか」
2人が出会い頭に指摘する。この重圧の中、彼らは気付いていた。目の前の超越種が
「ほう……確かにそうだな。オレは今
「……そう。でもそれはそれとして聞きたいんだけど…なんでオレの闘いをジャマしたの?」
「ふっ…お前はオレの掌の上だ。ケツの殻も取れてねェガキをどう扱おうがオレの自由だ」
「なっ…!」
「イヴリス、ようやくテメーに辿り着いたぜ。テメーは一発ぶん殴ってやらねーと気が済まねーんだ。覚悟しろや」
「ふふ…羽虫が少しマシになったじゃねーか…
「母さ…いや、イヴリス。悪いけどオレもムカついてるから一発ぶん殴るから。覚悟してね」
「いいぜ…遊んでやる。かかってこい」
久しぶりに会ったとは思えない不穏な会話である。感動の再会は行方不明だ。そして、明らかに戦闘態勢に入っている。これは止められないなと他の面々は感じ取り、距離をとる。
──程なくして、激突が始まった。
◆
「どうだ? 気は済んだか?」
「くそっ……」
「これがガチの魔王の力ってか…」
2人はボロボロ倒れている。大小様々な傷が服の上から見える。対するイヴリスは傷一つない。なんなら彼らを座ったままあしらった。
「分かるか? テメェらは、弱ってるオレを玉座から動かす事すらできねェのさ」
「……それにしちゃ、オレ達を待っていたようだが?」
「
「……駒?」
その言葉に、ゴンのこめかみに青筋が立つ。ジンも同様に。この親子はキレるポイントが同じであった。
「そうだ。オレは今戦争中でな。どうしても気にくわねェ奴がいる。ソイツらが仕掛けてきやがるから手伝え」
「「断る」」
ノータイムで断る2人。まぁそりゃそうだよなぁと後方で他人事の一同。
「まぁ聞けや。ここら一帯は〝魔界〟と呼ばれている。古くからオレの一族が治めてた。とは言え、統治なんざしてねェがな。強えぇ奴が好き勝手に振る舞う素敵な楽園だった。だが、ある時クーデター起こされてな。んで、オレ等は生命からがら人間の楽園に逃げたんだ。その後は知ってるだろ?」
「まぁ…な」
「で、10年前に帰って見れば……ズタボロになっててなぁ。親族とか部下達は軒並み奴隷になってやがった。何とか僅かに残ったこの城と共に反撃の糸口を探ってたっつーわけよ」
「…………」
「で、バチバチやってたんだが…あの野郎、人間の楽園にも興味持ちやがっててなぁ」
「!? …まさか」
「お前らも知ってるだろ? その裏切り者は
◆
──遥かなる昔から、この地一帯は魔族、所謂力を持つ人外の楽園であった。魔族とは、神族に反旗を翻して天界を追われた神族及びその手下達の末裔の総称である。彼らは、紆余曲折を経て暗黒大陸の地に根を下ろすことになった。魔族と呼ばれるようになった彼らが住まう地。それ故にその場所は魔界と呼ばれるようになったが、暗黒大陸に点々とそのような地域がある。現在いるこの場所は、その中でも強大な力を持つ魔族が根を下ろしていた。それがイヴリスの一族だ。彼らは彼らなりにその地で暮らしていた。
そんな彼らに転機が訪れる。3000年以上前、彼らの元に配下ができた。亜人種ではない、純粋な魔族だ。彼は放浪の魔王だった。そしてこの地に目を付け、支配しようと目論むが、イヴリスの父にこっぴどく敗れた。そして配下として彼らに組み込まれたのだ。
最初は下っ端だった彼も、元は魔王である。それから更にメキメキと頭角を伸ばし、No.2の域まで到達した。とは言え、彼の力ではトップであるイヴリスの父には敵いはしなかったが。
だが、彼には野心があった。彼の本質は吸血鬼だ。隠していた権能を使って同僚達に少しずつ自らの毒を浸透させてゆく。それによって巻き起こる不信、不安、猜疑。
彼は同時に王に気づかれない様に少しずつ毒を盛っていった。魔王にすら通用する毒、それは冥界の産物である。彼は冥界とも繋がりを持っていた。
そうして、外部や内部から様々な方法で魔界を少しずつ侵蝕していき、最終的には部下を率いて魔王に対してクーデターを起こした。複雑怪奇な系統図を逆手に利用され、最終的に魔王は、親族同士の殺し合いにより死んだ。気付いた時には遅過ぎたのだ。魔王の最期は、周辺を更地にしながら、絶叫して相討ちとなった。
娘の1人で、まだ幼いが王子であるイヴリスは、そんな政変の直前に事態に気付き、首謀者であるゾバエを追い詰めたが、後一歩と言う所で数の暴力に屈し、瀕死の重症を負った。ギリギリの所で逃げ出した彼女は、自分の最後の忠臣であるディアナの献身により、何とか魔界を脱出した。亜人種であるディアナもゾバエの侵食を受けていたが、彼女の持つ特性、と言うか権能(大天使の息吹の元になる能力)により辛うじて撃退できていた。ゾバエもそれは承知していたが、彼女の弱さとしぶとさによってしばらく放置していた。結果的にはそれが裏目に出た形であった。
瀕死のイヴリスを抱え、何とか龍神の庇護する人間の楽園に逃げ込んだ彼女達。そこに至って、追っ手を幾度となく出していたゾバエも、もう何もできまいと放置した。そして、ゾバエは自らの国を新たに魔界に樹立した。それがおよそ2000年前である。ゾバエはそれから2000年もの間、この地域一帯を支配するに至ったのだ。
そして、12年前。封印を喰らっていたイヴリスとディアナはジンに発見され、封印を解かれる。なんやかんやがあってゴンが産まれたが、その後力をある程度回復したイヴリスは、その力故に龍神に楽園追放を喰らう。
飛ばされたのは、自らの領域よりやや東方の地。そこで彼女は鍛え直した。今度こそ必ず負けないために。そして、1年後に魔界に凱旋を果たすも、そこは既にゾバエに荒らされ、不毛の地と化していた。部下もいない、領地も何もない。ただ一つ残ったのは、無残に破壊された「
そこから彼女は奮闘した。自らの力を大量に使い、領域を拡張し、闘いを挑む。手が足りないと、自らの力を裂き、クローンを作ったり、無理して周辺地域や「
そして、現在膠着状態である2大巨頭は、お互い睨みを効かせながら動けないでいる状態となっている。
◆
「ま、そーいうわけだ」
落ち着いて話す為に、全員で巨大なテーブルを囲み、謎肉を頬張りながらイヴリスが言う。この謎肉も繊維一つ一つが輝いていて、極上の美味さだ。
一頻り自己紹介を終えた後、彼女はこれまでの事をかいつまんで話してくれた。
「なるほどな。だけどよ、オメーならそれでも覚悟決め込んでカチ込みに行ったろ? 何でやらなかったんだよ」
「……まぁそうだな。敵が奴だけならオレもそうしたぜ。だがな、第3の勢力が絡んでやがってなァ」
「第3の勢力?」
「さっき話した中にあっただろ? 冥界勢力だ。正確には冥界の神な。冥界とは言え、神は神だからオレ達を目の敵にしてやがる奴等でな」
「冥界の……」
「テメーは関係ねェから気にするな。そもそも冥王ご本人じゃねェ。だが、正直奴より厄介な相手だ。この野郎、いや、女神だから女郎か。密かにゾバエの奴を支援してやがった。奴の目論見はオレ達を潰し合わせること。そしてあわよくばこの界隈を冥界に取り込みたいってとこだろう。無論それはゾバエも分かってるから膠着状態になってるって訳よ」
「…でも、イヴリス? そもそもその体調不良さえ無ければ余裕で倒せるんじゃないの?」
「そうだな。だが、コレは治んねェ」
「我々の〝奇跡〟でも?」
「これは
そう言うとおもむろにイヴリスは衣装を豪快に脱ぎ、背中をはだける。その唐突さに男性陣は目を背けそこなった。だが、その直後に背中から無数に生える蛇の頭に覆われていた姿に目を奪われた。
「コイツはオレの身体に巣くって栄養を貪りやがる。抑えるのにも一苦労だぜ。ジンは知ってるだろ?」
「まぁ、な。分かったからサッサと服着ろ」
「へいへい…まぁそういうわけで、〝救世主〟関連の奴には解除は無理だ。元を辿れば同じモノだからな」
「〝星の意志〟と神々は同種だと?」
「そうだ。神とは何かっつーそもそもの話になるがな……」
神とは何か。その正体は
星の力は即ち神の力。そして、それを直に受け継いでいる神々だからこそ、〝聖光気〟では神の呪いの解除が難しい。
「だがよ…ここに来てチャンスが巡ってきた。なァ、英雄殿よ」
「………はっ…私?」
イヴリスの突然のご指名に気付いていなかったカームが驚く。彼は彼でキルアとメルエムと談笑していたからだ。
「そーだ。お前だ。お前の
「えぇ、まぁ……」
「で、オメーは楽園で奴に散々いいようにされたらしいじゃねェか。そもそも一緒にここに来てんならコイツ等と目的は同じと見ていいんだろ?」
「そうですね。奴は滅する。それが大目標の一つですし」
「テメーはオレの話が無くても特攻しそうだな……それならいい。手を組もうぜ」
「いや、いきなり言われてもね。初対面だし」
「固いこと言うなよ。な? 頼むぜ。終わった後ならバイザクをくれてやってもいい」
「お母様!?」
「それは僕が断固拒否する」
「右に同じく、だわさ」
「そうだな。私もそれは拒否しよう」
カルト、ビスケ、クラピカが即座にそれを拒否する。
「おーおー愛されてんなぁ。まぁそれは冗談としてだ。どうする?」
「……お母様?」
「う〜ん…まぁいいですよ。どうせやるつもりだったし」
「よし。なら早速作戦会議だ。ゴン、ジン。オメー等もいいな?」
「……まぁ、いいぜ。オレも奴はぶちのめしたいと思ってたからな。テメーをブン殴るのはその後にしてやる」
「そうだね。オレもジンと同じ意見かな」
「ただ…その呪い、何とか外せないですかね。それが無ければ貴女1人で行けるでしょうに」
「ま、しゃーねーわ。ゾバエぶっ殺したら奴にもお礼参りしに冥界に行くつもりだ。幸いな事に何故か今奴は冥界に引っ込んでるからな」
「冥王より厄介な神……どんな奴です?」
「ん? あぁ、そうだな……大昔に神々以上の強さの巨人が居た。今は大部分が絶滅したんだがな。コイツらはクソ強いくせに神には殺せない、というか人間にしか殺せない厄介な権能持ちの奴らでな」
何故ここで巨人の話が? というか、やっぱりアイツらクソ強だったんじゃん。そりゃ勝てんわとカームが考えていた時、イヴリスは衝撃の発言をした。
「奴は、それを無視して真正面から巨人の長を殴り殺せた唯一の神だ」
時系列的には外伝1の続きです。おかしい…ダイジェストになるはずだったのにどうしてこうなった(一万字超えを見ながら)
ゲスト出演
ダラさん「お? やんのかコラ」
彼のサイズだとメビウス湖内は確実に滅びますね…むしろアレを許容しているモンハン世界はマジで大魔境ですわ。