若干設定とか人物とかがクロスオーバーしております。ご注意ください。
イヴリスとの会談後、彼らはすぐに行動に移った。西方にあるゾバエの新たな領域、『コールドハーバー』に向かって飛び立つ。彼らが選んだのは、真正面からの強襲。凄まじい特記戦力による集中襲撃である。
突入後、すぐにカームがゾバエウィルスの
それぞれが奮闘して配下達を撃破していき、徐々に中心部へと接近していく。ゾバエ側も奮戦するものの、彼らの勢いは止まらない。何せ、神や魔王に近いクラスが10人以上もいるのだ。小物などは蹴散らされてしまう。
そして、彼らは時間はバラバラだが、中心部へと到達する。一番手はイヴリスだ。巨大な異形の姿で待っていたゾバエとの決戦に入った。実力は拮抗。超巨大な力の激突が巻き起こる。
だが、その拮抗は長くは続かない。続けて人間の英雄と名指しされたカームが参戦。状況はこちらに圧倒的に傾くかと思われた。
しかし、そこはゾバエも対策を練っていた。
ゾバエは天界から天使を捕獲し、自らと融合していた。哀れにも捕獲された女性型の天使はゾバエの内部で拘束され、強制的に神に纏わる力の大部分を無効化する『
カームの〝聖光気〟による攻撃は無効化されたが、それでも彼にはまだ通用する攻撃は幾つもあった。それは、これまで適合してきた敵の技である。融解、凝固、ドラゴンの直死、消滅、重力、時間停止…etc。それらでゾバエを追い詰める。焦りを覚えたゾバエは最終奥義の極限の呪いを繰り出すも、それすらカームが全力で対抗し、封じてしまった。
更に遅れてきた仲間達の中でもゴン、キルア、クラピカを筆頭に、カルト、ビスケ、メルエム、ジン、ネテロが総攻撃を加えた。
戦力過多気味の苛烈な攻撃によって、遂にゾバエは力を殆ど使い尽くし、頭部のみの哀れな姿と成り果てた。
「く、くそッ! おい!
ゾバエが絶叫する。すると、突然空中に文字が浮かび上がる。それはわざわざ人間にも分かるようにハンター文字で表記されていた。内容はこうだ。
『拝啓、地上にのさばるクズども。いかがお過ごしかな。私は今私用で忙しい。さぞかし楽しそうな祭りをやってるみたいだけど、そちらに行けなくて残念だ。悪いが、もう契約は終わりだ。お前が消滅するなら私の目的もある程度は達している。よって私は関わらない。最近収穫もあったから、お前は消えてどうぞ。敬具 へカーティア』
「ふ、ふざけるな!! 貴様、こんな時に…!! ま、待て、ボクの負けだ!! ボクはここから出て行く! 土地も奴隷も全て返す!! だから──」
「クックックッ……見事に裏切られたなァ。ゾバエよ、まさかこの後に及んで命乞いするとは面白いモノが見れたぜ。さぁ、地獄でオレ達に詫び続けるんだな」
イヴリスが力を溜め始めたのをカームが止めた。
「イヴリスさん、ちょっとストップ。
「……そこはオレがやりたいんだが。何か考えがあんのか?」
「えぇ。コイツにとって、見下していた猿達にここまでやられて、しかも
悪い顔で、カームが提案する。その提案を聞いてイヴリスも悪い顔になる。
「……ププッ、なるほどなぁ。魔王はヒトの英雄によって倒される。叙事詩としては最高の結末だ。気に入った、それで行こう」
「ありがとうございます。では──」
カームがゾバエの頭部を鷲掴みにする。
「な、何をする気だ…やめろ!!!」
「おいおい、由緒正しい魔王の末路だぜ? 笑えよゾバエ」
カームのオーラがグニャリと歪む。それは粘性のスライムの様な粘つきをもち、ゾバエの頭部を覆い尽くしていく。
ゾバエが悲鳴をあげた。何をされるか理解したようだ。しかし、自分が一番この様な行為を続けて来たのだ。因果応報と言えよう。
やがて、粘性のオーラは圧力を増し、ゾバエを押し潰すと同時に彼に
やがて、ゾバエの頭部が完全に潰れた時、そのオーラごとカームは自らの身体に取り込んだ。
「……腹壊すぞ」
「ジンさん、この程度で壊してたら今まで生きてませんよ。ゾバエ『は』魂ごと完全に消滅させましたからご安心を」
「ホラーものだと乗っ取られる奴だろ」
「大丈夫さ、キルア。ちょっと試してみたかった事があってね……う〜ん…難しいな……いや、いけるか」
くねくねしながら悶えるカームを見て、引きながらキルアがコメントする。
「何やってんだよ…果てしなくキモいぞ」
「あ、いや、そりゃごめん。ちょっと我慢して。……ん。安定した。とりあえず大丈夫」
「あぁ、成る程な。やりたかった事は理解したぜ。ま、後悔はすんなよ?」
イヴリスはカームの意図を見抜いて声を掛けたが、カームは笑顔であった。
「もちろん」
「本当に大丈夫なの?」
「私も気になるな。大丈夫か?」
「大丈夫、大丈夫。心配しないで」
その一連のやり取りを見て、カルトとクラピカは嫌な予感を敏感に察知していた。しかし、彼女達も結局それ以上は追求出来なかった。
◆
「そんで、これからオメーはどうすんだ?」
「どうもこうもねェよ。はっきり言って
「姫様、我らの事は心配なされるな。我らは姫様が生きていた事だけで十分なれば」
「おぅ、ありがとよ。ただ、もひとつ残ってる問題があってな」
「……あぁ、お前に呪いをつけた神とやらか」
「奴にはお礼参りしなきゃならん。これは絶対だ。2度と再びこっちにちょっかいかけねぇようにしないとな」
「次の目的地が決まったな。冥界とかワクワクするじゃねぇか」
「バーカ。俺一人で十分なんだよ。テメェら後は好きにしな」
「イヴリス…それは無いよ。行くならオレたちも行くから」
「ぼ、坊ちゃん…」
万魔殿にて、魔王家族with部下達の激論が繰り広げられた結果、次の目的地は冥界ツアーとあいなった。部下達もついてきたがったが、イヴリスが拒否した為留守番となった。尚、最低限の守りとしてバイザクも留守番である。本人はついて来たがったが、最終的には渋々了解していた。
◆
ゾバエの元支配領域の中心部、崩壊した宮殿の裏に当たるスペースに、深い深い大穴があった。そここそが冥界への入り口である。
「こんな所に入り口があるなんてね」
「いや、別に冥界へは
「えっ、そうなの!?」
「そうさ。ただし、道を繋がなきゃならねェ。それが大概面倒くせぇんだ。ゾバエの糞野郎が開けっ放しにしといて助かったぜ」
一行は深い大穴を降ってゆく。1キロほど降った頃、明らかに空気が変わった。それまでも大概な雰囲気ではあったが、更に深く、昏い。気を抜けば一般人なら卒倒して昇天するほどの濃密な妖気。
「よし。無事に結界を抜けたな。全員無事でよかったぜ」
「ねェ、イヴリス。ここが?」
「あぁ、そうさ。こここそが【冥界】の入口だ。本来ならただの人間がここに来るのはくたばってからだからな。ま、とりあえず降りようや。じきに河に辿り着くからよ」
言われるままに長く昏い崖の道を降りて行く。普通なら夜の闇よりも濃い暗さのはずではあるが、カームら一行の聖光気によって明るさが保たれている。
「ここが…私の原点…か。なるほど、何やら懐かしいような感じがするな。それも私に流れる血のなせるものか」
「クラピカはそうかもしれねーけどよ。オレ達ゃ長居はしたくねーな」
「安心しろ、キルア。私も永住する気などさらさらないさ」
「ま、お前さんが来てくれて良かったぜ。話が通し易くなるからな」
「あぁ。役目は果たすさ、イヴリス殿」
「イヴリスでいいさ…さ、着いたぜ。よろしくな」
会話をしつつ進むと、先が見えない大きな河に着いた。ここが第一の関所、悲嘆の河。当然この河はただの河ではなく、飛んで行く事や直接渡ることが出来ない。もしそれをしてしまえば永遠にこの河を彷徨う事になるのだ。
しばし待つと、遠方から舟と渡守が近づいて、河岸に停まった。そして一行に問いかける。
「生者がかように大勢来るとは……いつぶりか……貴君らはその資格ありや?」
クラピカが、前に出て応える。
「私はここの縁者。故あって主殿に面会をしたい。我々を通してくれるだろうか」
骸骨がローブを被ったような渡守は、彼の紅い瞳をその眼窩でしばらく見つめ、そして舟に戻りながら呟く。
「……乗れ。主の元まで連れて行こう」
◆
「さて……いよいよ大詰めだな。覚悟はいいか?」
「凄まじいプレッシャーだな。成る程、一つの世界の神とはこれ程のものか…」
「オレはここまででも十分以上に満足だぜ! ドン=フリークスみてーに帰ったら本にしようかな。タイトルは『冥界紀行』ってな!」
「テンションたっか…ジンってやっぱイカれてるわね」
「ワシも満足じゃなぁ。あのイヌっころも中々の相手じゃったぞい」
「ジジイもジジイで遊んでんじゃないわよ! 伝説の怪物とガチって死にかけてりゃ世話ないわ! クラピカとゴンが止めなかったら大惨事よ!」
「まぁまぁ。それにしてもゴンがあんなに活躍するとはなぁ。相変わらず動物扱いの上手い奴」
「いいハンターは動物に好かれるからな! 流石オレの息子だぜ」
「アレを動物扱いでいいのかな…僕には分からないな…」
「まぁいいんじゃないか? 最近は私も正面から闘う以外の方法を勉強中だから、大いに参考になったよ」
「お前ら緊張感ねーなぁ…まぁいい。行くぞ」
イヴリスを先頭に、巨大な扉の前に立つ。その大きさはゾルディック家の物とは比較にならない程の大きさと厚みを持っていたが、イヴリスは難なくその扉を開いた。
鈍い音を立てて開く扉。その先に昏くも荘厳な空間が広がっていた。まるでサイズは違うが、宮殿の謁見の間の様な作りであり、所々に照明の代わりのような青白い炎が揺らめいている。
彼らはその空間を真っ直ぐ進み、やがて人のサイズの10倍以上ある巨大な玉座の前に辿り着く。そこに悠然と肘をついて足を組みながら座っていた超常たる存在。
言うまでもなく【冥王】である。またその傍らには女性型の神も並んで座っている。
(これは……ヤバいな…力の底が見えない…)
カームは内心冷や汗をかいていた。冥界の王というビッグネームは伊達ではなく、隣の女神も神格なだけに想像を絶する力の流れを読み取っていたからだ。メンバーも似たり寄ったりであったが、それでも、イヴリスは臆さず、むしろ傲岸不遜な態度を崩さない。むしろ今にも喧嘩をふっかけそうな気配を隠しもしない。
「……地上の魔王よ。何用か」
「あ? 聞いてねーのか? テメーの部下をぶちのめしに来たんだが。つーかテメーらが先にオレ達の領域にちょっかいかけやがったんだからテメーも同罪だぞ」
「……知らんな。我らには関係ない話だ…ペルセポネ、何か知ってるか?」
「さぁ? 妾も知らないねぇ。大方
ペルセポネと呼ばれた女神から明らかに不穏な空気が漂いだす。
「ま、待て、それはないぞ! 兄上じゃあるまいし…」
「その兄上の縁者っぽいのもいるのだけど? というかまだ生きてたの? あの女の敵」
「……アヤツはあの戦の後で何もかも放り出して地上の東に向かったと聞いたが。そも、死んだならこちらに来よう」
「なるほどね。早く死ねばいいのに…で、誤魔化さないで、アレはどういう事?」
莫大なオーラが女神から噴出する。一触即発の空気ではあるが、イヴリスはニヤニヤしながら眺めている。大方この展開を読んでいたのだろう。
「ま、待つのだペルセポネ! 余は本当に知らん! ……そうだ、貴公! 少し近くに寄れ」
クラピカは名指しで呼ばれ、少し躊躇うも、イヴリスからの目配せで進み出る。冥王は身体を乗り出し、その巨大な真紅の瞳でクラピカを見つめた。その恐るべきプレッシャーに流石のクラピカもたたらを踏む。
クラピカにとっては永遠にも等しい時間が流れた後、冥王はクラピカから視線をそらし、溜め息をつく。
「ふん……何事かと思えば、以前冥界下りして来たニンゲンのせいか」
「……どういう事? 分かりやすい説明して頂戴」
「昔、口八丁で余から眼を受け取ったニンゲンがいただろう? 其奴がその眼を同族に使って無理矢理適合させたらしい。此奴はその末裔よ」
「あぁ、あの時のね。珍しく貴方がいっぱい食わされたから覚えているわ。……ニンゲンも大概無茶苦茶するわね」
「この様子であれば奴の目論見は成功したという事になるな。全くニンゲンは度し難い。まぁ、とりあえず余の疑いは晴れたな」
「えぇ、えぇ。
そこで黙って聞いていたイヴリスが声をあげる。
「待てや。オレの用事は終わってねぇ。さっさとこの糞呪いを解くか、オレにぶちのめされるか決めろや」
「ふむ……余は別に貴様らを蹴散らしても構わんがな…」
気付くと二又の巨大な槍が具現化され、冥王の手元に現れている。強烈な波動を感じる事から、それがただの具現化された武器などではありえない事が伺える。
「ねェ貴方…私達が関係無い所でやり合うのは面倒よ。それよりあの娘の所に連れていけばいいじゃない。その呪いはあの娘のでしょう? 少しは好き勝手してるのを反省させましょう?」
「オレはどっちでもいいぜ? 返答次第じゃ暴れるがな」
「むぅ………確かに遊んでもいいが…冥界の運営に支障をきたしかねんな……良かろう。奴と直接話すがよい。右の扉だ……我らの気が変わらぬ内に行け」
「なんだ。やらねぇのか。まぁいいぜ。あばよ」
颯爽とイヴリスはその扉に向かう。そこに慌ててついていく一行。去り際、冥王は聞こえるか聞こえないかの声量で囁く。
(───我が眼を持つ者よ…その眼はまだ目醒めておらん。余の系譜を名乗るのであらば、最低限の権能ぐらいは起こしておけ)
◆
「あ”〜マジで冷や冷やしたぜ。何であんなに挑発しまくってんだよ!」
再び長い下り坂を降りながらキルアが愚痴る。それに対してイヴリスはどこ吹く風だ。
「魔王たるものどんな相手だろうが魔王を貫く。常識だろ。テメェらはまだヒヨコだからしゃーねーが、覚えとけ」
「うーんこの脳筋思考。こりゃ間違いなくゴンの親だわ」
「待ってよ、オレもそこまでアレじゃないんだけど?」
そこにジンが割り込む。
「似たようなモンだろ。ま、それでもオレの子でもあるから心配すんな」
「あぁ? ジン、テメェは育児放棄してた癖に偉そうによぉ。まぁ安心しろ。ゴンはこれからオレが立派な魔王にしてやるからよ」
「分かってねぇな。ゴンはもう立派なハンターなんだぜ?」
「チッ…また〝分からせ〟られてェらしいな」
「上等だぜ、今ここでやるか?」
「ちょっと2人とも、こんな時にやってる場合じゃないでしょ。まずはさっさと目的果たそうよ」
「ゴンの言う通りだぜ…ところでアイツ、オレを見て何か言ってたけど何だったんだ?」
「さあ……少なくともキルアも神々と何らかの関わりがありそうだね…」
傾斜も緩やかになり、目的地が近づいて来た。クラピカはいまだに自らの由来と緋の眼の真の力について考察しているようだ。他の面々は黙ってついて来ている。メルエムも全く喋りはしないが、尻尾の様子からみると楽しんでいるようだ。最近機嫌がいい時と悪い時がある程度察する事が出来るようになっていた。皆、本人には言わないが。
下り坂の終点。岩に囲まれた開けた空間に出る。白い霧に地面は覆われていて足元は岩の様な感触だが、良く見るとそこは透けている。眼下には宇宙の様な光点が煌めき、更にその下には無限の渦が広がる。ここから下は魂の還る場所であるらしい。まるで宇宙空間にいるかの様な錯覚に陥る。
「ようこそ、冥界へ〜」
「……へカーティア! ようやく逢えたなぁ…!」
霧が人型を取り、1人の人物が現れる。Tシャツのラフな格好ではあるが、チョーカーとアクセサリーを付け、何処となくパンクな出立ちである。また、そのTシャツには『Welcom ❤︎ hell』とプリントされていた。変なTシャツだ。見た目だけで言えば、楽園のパンクファッションな少女にしか見えない。
だが…その〝力〟は計り知れない。下手すれば先程の冥王よりも。
「おやおや、そちらから来てくれるなんて可愛らしい。まぁ、私は君にはもう用は無いんだけどなぁ」
「オレにはあんだよ性悪女。さ、やろうぜ」
「ふふ……悪魔らしい穢らわしさ。『この私に無礼な口を聞いた』それだけで私は貴女を地獄に堕とす」
「地獄はオレの故郷さ。テメーをブチ転がして呪いを剥がす。覚悟しな」
「──と、言いたい所だけど、今私は凄く気分がいいのよねぇ。君ももうどうでもいいし。だから、こうしよう」
女が地面に手をかざすと、何もない地面から人型が生えて来た。全身拘束具と包帯のミイラの如きシルエットだ。顔どころか全身が見えない。
「最近いい
ナナシと呼ばれた者の拘束具が一部解ける。顔は見えないが、カームは嫌な予感が全身を駆け巡った。身長は190オーバー。すらりとした体躯。胸がざわつく。嫌な予感が全身を駆け巡る。これは──
ナナシと呼ばれた人物は、包帯と拘束具に覆われた手を上げ、こちらを指さす。その指先は間違いなくカームに向けられていた。
「うん、キミは彼とやりたいみたいだね? ふふ…いいだろう。そこの人間、お前が相手をしてあげてね」
「テメェ…どこまでもバカにしやがって…!! 先にテメェから死ね!!」
イヴリスが激昂し、へカーティアに食ってかかるが、へカーティアはどこ吹く風だ。たまらず飛び出したイヴリスの拳は空を切る。彼女の姿は消え去り、声だけが響く。
──まぁまぁ。落ち着きなさいよ。そこの彼と闘うだけでキミの目的は叶うんだからね──
「……一つ、聞いていいか? 勝利条件は?」
──私が〝止め〟と言うまで。ただし、一対一の真剣勝負よん──
「おいコラクソ女神! オレ達が守ると思うか!? そんな条件をよ!!」
──守るよ。今、私の
「……な、まさか…!」
──ふふふ…さて、では、はじめなさい。真剣勝負はいつ見てもいい。お互いの道程が交錯し、火花を散らす。私が満足したら解放してあげるよ。何なら
その言葉を最後に、へカーティアの声は沈黙する。流石のイヴリスも怒髪天も突かんばかりに激怒し、凄まじいオーラを漂わせてプルプルしていたが、しばらくして怒りが一周回って冷静になったらしい。
「……分かったぜ…それまでの楽しみにしといてやる……吐いた唾を飲み込むんじゃねぇぞクソ女神……救世主よ……この茶番をサッサと終わらせろ」
有無を言わせぬ様子で告げるイヴリス。あまりの凶相に加えて、全身に紋様が複雑に浮かび、頭から角が伸び、翼が生えて来ている。イヴリスの戦闘形態だ。激怒している為話しかけるのすら躊躇われる。カームはそれを見て、戦闘を回避するタイミングを完全に失ってしまった。ネテロやメルエムもやりたがっている雰囲気を漂わせていたが、流石に空気を読んだのか黙って見ている。
溜息を吐きながらカームは戦闘モードへとスイッチを切り替える。やるしかないか、と。
この相手は一筋縄ではいくまい。それは直感というよりも確信。何故ならこの相手は───
自分にとって最も因縁の深かった敵であろうから。
大変長らくほったらかしにしてしまって申し訳ありませんでした!
どうもなんか書けなくて、置いてしまいましたが、外伝でもいい加減決着をつけようと思い立ち、今更ですが続きを書いてみました。
書いてたら長くなって、5話ぐらいのつもりでしたが、未来編も書き始めたら最終的に10話ぐらいなりそう…。とりあえず、これから5話、連日投下いたします。