アンブレイカブルハンター   作:エアロダイナミクス

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 マイケル君視点のお話はこれにて終了。次からいよいよカーム君の冒険が始まる!
 書き溜め?なにそれ美味しいの?(2回目)


16、マイケルの別れ

 

 

 いよいよ兄さんとも別れの時が来た。あれから無事に能力は発現した。ちょっと見た目にこだわり過ぎて思った以上に時間がかかって焦ったけど、間に合って良かった。

 僕の【祝福をあなたに(アンダーソン・ファミリア)】はかける相手に天使を模したオーラが被さり、潜り込む。それから微弱に強化をするが、持ち主が真に命の危機に迫った時、真価を発揮する。自動で天使が顕現し残りオーラの限りで守護するのだ。強化系なので強化又は回復だが、相手が念能力者なら、その相手がオーラを自由に使う事も出来る。これは兄さんのためにも追加した能力だ。今は4、5人程度で半年しか持たないが、これ以上の人数に付与する気はない。せいぜい多くて10人程度で十分だ。家族にしか使わないしね。ただ、持続時間に難ありなので、基礎能力を高めて伸ばしていきたい。

 

 

 

 最終的にこうなった。

 

 

 

 

祝福をあなたに(アンダーソン・ファミリア)

・強化系能力

 指定した人物に対して、天使を模したオーラを分け与え、強化する能力。普段は微弱に強化、回復を行うが、被対象者が真の命の危機を感じた時に天使が顕現し、残りのオーラ量全てを使って守護する。一般人なら強化、回復だが、被対象者が、念能力者の場合、そのオーラと混ざり合い自由に使う事が出来る←NEW!

 

〈制約〉

・親愛の情によって威力や持続時間が変わる。

・一度かけてしまえば剥がすことはできない。

・オーラ量によってかけられる時間が変化する。また、かけられる人数も変わる。

 

 

 

 僕ももう12歳になり、エレメンタリーを卒業する。こんな僕にもついてきてくれる人はいっぱいいて、ありがたい限りだ。兄さんも最近ハンター試験を受けることを公表し始めたため、僕が次期ドンになると言うことを受け入れてくれつつある。兄さんの舎弟である先輩方も優しい。

 ジョセフさんも相変わらず僕に世話を焼いてくれる。今はうちの従業員(穏当な表現)をしながら、下積みをして、司法試験の勉強をしているところだ。あの人ならすぐ受かるだろう。成績も他の追随を許さなかったし。

 さて、兄さんだ。別れが近くなってからボタ山に呼び出された。

 

「マイケル、良く頑張った。私からは免許皆伝だ。もう既に至近距離から銃撃を喰らっても軽症で済むだろう。

 ただ、最後に守って欲しい事がある。

 まず、念で一般人を攻撃するな。同じ念能力者だけにしておけ。前から禁じてたが、もし相手が生き残った場合、念能力に目覚める可能性がある。万が一やむを得ない場合には相手は必ず始末しろ。

 次に、極力この力を広めるな。知ってるのと知らないのは大きなアドバンテージだし、もしバレたら色々狙われる可能性があるからだ。

 最後に、念能力で無辜の人々を虐げた場合、教えた私が責任を持ってお前を殺しに行く。

 まぁ、お前なら大丈夫だろう。お前には苦労をかけるが、父さん、母さん、そして家の事をよろしく頼む」

 

 

 免許皆伝か…ほんとはもっといたかったなぁ。だいたい今でも全く勝てる気がしない。僕が伸びても兄さんはそれ以上に伸びていくからだ。まだまだ教わりたいことは沢山あるけど、これから自分の力で切り開いていかないとね。もう甘えられる時間も終わり。それに、この人は僕が道を外れたら殺しに来るらしい。はっきり言ってそうなったら僕は確実に死ぬ。まぁそれだけ心配してると思っておこう。心配しなくても約束も家族も守るさ。

 

 

「…全く。目の前にいるバケモノから免許皆伝って言われても全く実感ないよ、兄さん。

 でも、言いたいことは分かった。必ず守るよ。僕はこの力をもっと高めて、家族とファミリーを護ってみせる。

 家の事は心配しないで。僕が、頑張るから。何も気にせず兄さんの夢を追ってね」

 

 

 そう言ったら、兄さんはおもむろに手を出してこういった。

 

 

「じゃあアレ、やるか?」

 

 アレというのはアレだろう。最初に行った「血の掟」だ。6年ぶりになるか。あのときは針で刺しておけばよかったと後悔したけど、今回も持ってない。まぁ、昔の再現としては有りか。

 

「やろう」

 

 

 お互いの指を噛みちぎり、合わせる。やっぱり痛い。だけど感慨深い。

 

 

 

「私も生きてる限りは、1年に一度は家に帰ってくる。約束だ」

「僕も、ファミリーのドンに相応しい男になるよ。約束だ」

 

 

 お互いに約束を交わし、笑い合う。やっぱりいいな。こういうの。僕も誓いは守ろう。

 

 

 

 

 

 

 

 しかし、兄さんの手が直後にものすごい勢いで復元していって、完治した。最後まで締まらない。

 頭にきて、

 

 

「やっぱズルい!僕はこんな痛かったのに!」

 とか言いながら殴りかかっていった。

 

 

 最後にじゃれさせて欲しい。僕なりに結構本気で殴りにいったが、あえなく返り討ちとなった。兄さんは笑いながら10年早いと言ってた。やっぱりレベルが違いすぎる。慢心せずに修行しないと。でも、本当に理不尽だ。絶対に10年たっても追いつかないと思う。納得いかない…。ノックアウトした僕はその後兄さんに担がれてそんなことを考えながらも帰路についた。

 

 

 

 

 

 

 最後の日、兄さんが出て行くときに、見送りをどうしても出来なかった。たぶん泣いてしまうからだ。姿を見たら絶対に泣いてしまう。よって玄関先には出ず、2階から見送った。

 兄さんは今、父さん、母さんと話している。…話し終わったか。兄さんはこちらを見た。

 

 

 

 

「マイケル!家の事は頼んだぞ!」

 

 

 

 

 兄さんは僕に向かってそう言った。僕はとっさに返すことが出来ず、親指を立てて返事した。

 

 

 

 

 兄さんが向こうを向いた。

 

 

 

 もう行ってしまう…。

 

 

 

 

 何も別れの言葉を言えなかった……。

 

 

 

 

 

 

 気付いたら僕は走り出し、道を歩き出した兄さんに突撃した。

 

 

 

「ブフォ!?」

 

 

 

 なぜか振り返った兄さんの腹にちょうど体当たりをし、結果的に不意打ちとなった兄さんが少したたらをふんだ。僕は顔を上げられずに、そのままの状態で伝えた。泣き顔を見せたくない。

 

 

 

「兄さん、必ず帰ってきてね」

 

 

 

 

「約束しただろう。必ず帰ってくる」

 

「絶対だよ!」

 

「絶対だ」

 

 そこまで言った後、漸く顔を上げることが出来た。

 お互い離れ、兄さんが拳を突き出す。僕も合わせる。兄さんは笑っていた。

 最後に別れが言えてよかった。

 

 

「じゃあ兄さん、さよなら」

 

 

 そう告げると、兄さんは指を振りながらこう言った。

 

 

「マイケル、別れの時はさよならとは言わない。また会える様にこう言うんだ。」

 

 

 

 

 

 

()()()

 

 

 

 

 確かにそうだ。僕もそうしよう。

 

 

 

 

「わかったよ。兄さん」

 

 

 

 

 

()()()

 

 

 そう告げた後、兄さんはにやりと笑って振り返り、今度こそ自分の道を歩き出した。

 最後に、こっそり兄さんの旅路を祈って、祝福を捧げる。【祝福をあなたに(アンダーソン・ファミリア)】だ。アンダーソンの加護がありますように。

 

 

 

 兄さん、元気で頑張ってね。

 

 

 

 

 僕も頑張るから。

 




 こうして書くと別れってホント寂しい。いつかマイケル君のマフィア外伝とか書きたいぐらい。
 しばらくはここでお休み。しかし、マイケル君の能力は覚えておくといいかもしれませんね(積極的に自分からネタバレをしていくスタイル)

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